この記事の概要

  • 一戸建ての売却には不動産査定前の事前準備も重要
  • 一戸建ての売却期間は3〜6ヶ月が目安
  • 住宅ローンの残高確認や売却相場、諸費用などを調べて金銭的な計画を事前に立てる

一戸建てを売りたいけれどなにから取りかかっていいのかわからず、とりあえず査定からはじめようとしている方もいるでしょう。

一戸建ての売却をスムーズにおこなうためには、不動産査定前の事前準備も重要です。

本記事では、一戸建ての売却に焦点を当てた売却の流れやコツ、注意点などを解説します。

不動産の売却時には、諸費用や税金がかかります。

トータルの費用もあわせて把握し、物件それぞれに合った一戸建て売却のベストな方法を確認しておきましょう。

この記事の目次

一戸建て売却の流れ

一戸建て売却の流れのイメージ画像

一戸建て売却の流れは次の通りです。

1.売却前の準備
  • 住宅ローンの残高確認
  • 周売却相場を把握
  • 売却時にかかる費用の把握
  • 不動産の所有者名義や境界線の確認
2.不動産査定・媒介契約
  • 査定依頼
  • 媒介契約締結
3.売却活動
  • 不動産会社による売却活動
  • 内覧に向けた片付けや掃除
  • 内覧の立ち合い・アテンド実施
  • 購入希望者の感度確認
4.売買契約・引き渡し・確定申告
  • 買主との条件交渉
  • 不動産売買契約の締結
  • 決済と物件の引き渡し
  • 確定申告の手続き

一戸建てはマンションに比べ個別性が高い不動産であるため、マンションの売却期間の目安が3〜4ヶ月であるのに対し、一戸建ての場合は3〜6ヶ月が売却期間の目安と長めです。※

住み替えなどを希望している方は、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

それぞれの流れでなにをすべきか、売却を失敗しないために知っておきたいポイントを詳しく解説します。

※なぜマンションよりも売却期間が長いのか?

マンションよりも需要が低いため
(一戸建てはファミリー向けに需要があるが、少子化の影響で需要が低くなっている)

マンションと比べて資産価値が下がるのが早い
(不動産には「耐用年数」という指標があり、住宅の構造によって変わる。マンションは鉄筋コンクリート造りが多く耐用年数は47年と長いのに対して、一戸建てに多い木造は22年となっている)

1.売却前の準備 

家を売る前には、スムーズな取引のためにいくつかの準備を行っておくことが大切です。

特に、ローンの残高確認や市場価格の把握は必須です。

【売却前の準備】
①「住宅ローンの残高確認」
②一戸建ての売却相場を把握
③売却時にかかる費用の把握
④不動産の所有者名義や境界線の確認

①住宅ローンの残高確認

一戸建てを住宅ローンで購入している場合、売却する際は原則としてローンの完済が必要です。

そのため、売却前に現在のローン残高を把握しておくことが重要です。

【ローン残高の確認方法】
現在の大まかな残高は、以下の書類で確認できます。

  • 確定申告用に送付される住宅ローン残高証明書
  • ローン契約時に受け取った返済予定表

より正確な金額を知りたい場合は、金融機関が提供しているインターネットのマイページや、直接の電話確認が確実です。

住宅ローンの残高を把握しておくことで、どの程度の価格で売り出すべきかの目安が立てやすくなります。

 これにより、売却計画をより現実的に検討することが可能です。

②一戸建ての売却相場を把握

不動産を査定に出す前に、自分で周辺エリアの一戸建て相場を調べておくことが重要です。

 事前に相場感をつかんでおくことで、不動産会社から提示される査定額の妥当性を判断しやすくなります。

【売却相場を確認できる主なサイト】
過去の成約価格や現在売り出し中の物件情報から相場を把握できます。
代表的なサイトは以下の通りです。

これらを活用し、売却価格の目安を事前に確認しておきましょう。

【一括査定サービスで効率的に相場を把握】
複数の不動産会社に同時に査定依頼を出せる一括査定サービスを使うと、短時間で査定額の幅や相場感を把握できます。

当サイトが運営する「イエイ」は、日本最大級の不動産一括査定サイトです。

「売却を検討している家の査定を依頼したい」と考えている方は、ぜひ活用してみてください。

不動産一括査定・売却なら【イエイ】

査定額がどのような要素に基づいて決まるのかを知ることで、より納得のいく売却が可能になります。

詳細は下記で解説していますので、併せて確認してみましょう。

③売却時にかかる費用の把握

一戸建ての売却時にかかる費用は次の通りです。

かかる費用の種類

かかる金額

必ずかかる費用

仲介手数料(不動産会社に支払う)

(売買価格の3%+6万円)+消費税

※売買代金が400万円を超える場合

印紙税(不動産売買契約書の作成時)

200円~48万円

(軽減税率適用)

住宅ローンを利用している場合

抵当権抹消登記費用

不動産1個につき1,000円

(司法書士に依頼する場合は約1万~1万5,000円)

住宅ローン返済手数料

金融機関によりかからない場合もある

売却益が

出た場合

譲渡所得税(譲渡所得にかかる所得税と住民税)

(譲渡価格 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額) × 税率

場合によって必要になる費用

解体費用(更地にして売却する場合)

約3万~8万円/坪

測量費用(境界線の未確定時)

約30万~60万円

ハウスクリーニング費用

(プロに清掃を依頼する場合)

約6万~20万円

売却益だけではなく、売却にかかる費用や税金なども含めてトータルでどのくらい手元に残るのかを計算すると計画的です。

④不動産の所有者名義や境界線の確認

不動産を売る際は、まず所有者の名義と土地の境界線をしっかり確認することが重要です。

【所有者名義の確認】
登記簿謄本が手元にない場合は、法務局で取得して正しい所有者情報を確認しましょう。
売却手続きの前に名義を確認しておかないと、トラブルの原因になる可能性があります。

【境界線の確認】
隣接する土地との境界が明確でない場合、売却後に敷地の利用やトラブルが起きやすくなります。
境界が未確定の土地は、土地家屋調査士に依頼して確定測量を行い、正確な境界線を明確にしておくことが推奨されます。
 

 

2.不動産査定・媒介契約 

売却準備が整ったら、次は不動産の査定依頼を行い、どのくらいの価格で売れるかを把握しましょう。

その後、実際に売却活動を依頼する不動産会社を選び、媒介契約を結びます。

【不動産査定・媒介契約】
①査定依頼
②媒介契約締結
①査定依頼

①査定依頼

不動産会社へ査定依頼・査定実施のイメージ画像

不動産がどれくらいの値段で売れるのかを知るため、不動産会社へ査定を依頼しましょう。

不動産の売却査定では、次のように複数の査定方法があります。

  • 机上査定
  • 訪問査定

売却へと着実に進めていきたいのなら、訪問査定を選ぶほうがよいでしょう。

机上査定は書類などをもとに査定するのに対し、訪問査定では現地で不動産の現況を確認しながら査定を行うため、机上査定よりも精度が高くなる傾向があるからです。

不動産査定は、信頼できる不動産会社を見つけるための重要な工程であることも理解しておくとよいでしょう。

売却査定は、築年数などを加味して査定額を算出することになります。

なお、売却査定を行う不動産会社によって査定額は異なるため、複数の不動産会社に査定を依頼し、比較したうえで媒介契約を締結する不動産会社を決めるのもよいでしょう。

その他、査定依頼時の注意点や伝えるべきことなど不動産の売却査定について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

②媒介契約締結

売却を任せる不動産会社が決まったら、まずは媒介契約を締結します。
 この契約を結ぶことで、不動産会社が正式に販売活動を行えるようになります。

【媒介契約の3つの種類】
媒介契約には次の3タイプがあり、それぞれに特徴があります。
 売却スタイルや希望に合わせて、最適な契約形態を選びましょう。

契約内容 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社との
契約
× ×
自分で買主を見つけての
取引

×
レインズ(不動産流通機構)への登録義務 任意 媒介契約締結後7日以内 媒介契約締結後5日以内
契約期間

法令上の制限なし

(3ヶ月以内を推奨)

3ヶ月以内 3ヶ月以内
営業成果の
報告頻度
義務なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上

【契約タイプ選びのポイント】
一戸建てのように個別性が高い物件を売却する場合は、 担当者と密にやり取りができる「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」を選ぶのが一般的です。

 販売戦略の相談や進捗報告も受けやすく、安心して取引を進められます。

3.売却活動

ここからが売却活動のスタートです。

不動産会社に売却活動を進めてもらっている間に、内覧に向けた片付けや掃除を行っておきましょう。

【売却活動】
①不動産会社による売却活動
②内覧に向けた片付けや掃除
③内覧の立ち会い・アテンド
④購入希望者の感度確認

①不動産会社による売却活動

不動産会社は、まずインターネット広告やチラシなどを活用して購入希望者を集めることからスタートします。

 集客を行うと同時に、査定結果や周辺エリアの相場を踏まえて売り出し価格を設定します。

価格を相場より高めにするか、低めにするかによって、それぞれ次のような特徴があります。

価格設定 メリット デメリット
相場より高い 売却益が増える 売却までに時間がかかる可能性あり
相場より安い 早く売却できる可能性あり 売却益が減る

早めに売却したい場合は相場よりやや低めの価格設定を、時間をかけても高値を狙いたい場合は高めの設定を選ぶなど、目的に合わせて戦略的に価格を決めることが大切です。

②内覧に向けた片付けや掃除

購入希望者に良い印象を与えるためには、内覧前の掃除や片付けが重要です。

とくに、玄関まわりや庭などの外観部分は、第一印象を左右します。

室内ではキッチンや浴室、トイレといった水回りを重点的に清掃し、清潔感を意識しましょう。

また、空き家の場合は定期的な換気を行い、カビや臭いがこもらないように注意が必要です。

電気・ガス・水道などが使用できるかも、事前に確認しておくと安心です。

③内覧の立ち合い・アテンド

購入希望者が内覧する際は、原則、売主も立ち会います。

売却不動産のアピールポイントなどがあれば、購入希望者に積極的に伝えていくとよいでしょう。

どのような売主から一戸建てを購入するのか、売主の人柄も重視する買主もいるため、印象よく対応するのが望ましいでしょう。

④購入希望者の感度確認

内覧後は、不動産会社の担当者に、購入希望者の感想を確認してもらうようにしましょう。

【担当者にヒアリングするといいこと】

  • どういった点がよいと思ったのか、悪いと思ったのか
  • 売却不動産に対する購入意思の感度について

上記のような内容を担当者を通じてしっかりとヒアリングしておくことで、次回以降の内覧時に、役立てることができることもあるでしょう。

4.売買契約・引き渡し・確定申告

購入希望者が見つかったら、売買契約を締結し、物件の引き渡しを進めます。

売却後には忘れずに確定申告を行うことも重要です。

【売買契約・引き渡し・確定申告】
①買主との条件調整
②不動産売買契約の締結
③決済と物件の引き渡し
④確定申告の手続き

①買主との条件調整

売買契約の前には、売却価格や引き渡しのスケジュールなど条件調整がおこなわれるケースが多いです。

買主の意図も汲み取りながら交渉してみましょう。

交渉前にどこまで条件を譲歩するかを決めていくと、当日スムーズです。

②不動産売買契約の締結

不動産売買契約では、売主・買主・不動産会社の三者が揃い、次の通りに進行します。

  • 不動産売買契約書、重要事項説明書の読み合わせ
  • 不動産売買契約書、重要事項説明書への署名・捺印
  • 手付金の受領
  • 不動産会社へ仲介手数料の半金の支払い

重要事項説明書は、売買の対象となる物件や取引条件にかかわる重要事項が記載された書面です。

また、不動産売買契約書が交渉時の条件と相違がないかをしっかりと確認しておきましょう。

③決済と物件の引き渡し

不動産の引き渡し日に決済がおこなわれ、その当日に、司法書士が所有権移転登記等をおこないます。

所有権移転が完了した後、鍵を引き渡します。

その後、不動産会社へ仲介手数料の残金を支払うほか、司法書士へ登記にかかる報酬を支払います。

④確定申告の手続き

不動産の売却で出た売却益の金額によって譲渡所得税がかかります。

譲渡所得の申告および所得控除を利用するためには確定申告が必要です。

確定申告は引き渡した年の翌年の2月中旬から3月中旬におこないます。
納税は義務となるため、忘れずにおこないましょう。

一戸建て売却に必要な書類とは?

家とチェック項目のイメージ

一戸建て売却時に必要な主な書類は次の通りです。

  • 登記簿謄本または、登記事項証明書
  • 確認申請書
  • 固定資産税納税通知書
  • 固定資産評価証明書
  • 測量図
  • 境界線確認書
  • 実印・印鑑証明書
  • 住民票
  • 本人確認書類(運転免許所、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • 抵当権抹消書類

必要書類について不足がないか不動産会社に相談すると安心でしょう。

売却益にかかる税金を抑える特例制度

お金を計算しているイメージ
不動産を売却して得た利益には売却益の金額によって税金がかかります。
しかし、特例制度を活用すれば所得税や住民税を抑えられるほか、譲渡損失のある場合にも次の特例が活用できます。

売却益が出た場合

売却損失が出た場合

  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

  • マイホームを売ったときの軽減税率の特例(所有期間10年超え)

  • マイホーム買い替え時の損益通算と繰越控除

  • 特定マイホーム売却時の損益通算と繰越控除

なお、特例制度を受けるには確定申告を行う必要があるため、忘れずに申告しましょう。

売却の可能性を高める!おすすめの5つの方法

ポイントと電球のマーク
一戸建ての売却を成功させるため、どんなコツがあるか紹介します。

①ピックアップしたアピールポイントを内覧時に伝える
②一戸建ての売却に強い不動産会社を選ぶ
③積極的に不動産会社へ連絡して報告をうける
④早期に売却したいのなら不動産会社の買取も視野に入れる
➄内覧の時間帯にもこだわる
⑥デメリットも正直に伝える

それぞれを詳しく解説します。

①ピックアップしたアピールポイントを内覧時に伝える

購入希望者に売却不動産をアピールするため、魅力的なポイントをリストアップしましょう。

  • 品ぞろえのよいスーパーマーケットが近くにある

  • 閑静で住みやすい

  • 公園や学校が近い

  • 病院が近い

  • 公共交通機関が近い など

どのようなポイントがあればイメージがプラスに働くのか考え、まとめておきましょう。

②一戸建ての売却に強い不動産会社を選ぶ

地域に根付いた不動産会社のほうが、一戸建ての売却が得意な場合もあります。

査定額だけでなく、不動産会社の過去の売買実績なども考慮しながら、仲介を依頼する不動産会社を選ぶとよいでしょう。

なお、営業担当者との相性も重要です。

査定時にきちんと話を聞いてくれるのか、真摯な対応をしてくれるかなどを見極めましょう。

③積極的に不動産会社へ連絡して報告をうける

問い合わせはあったのかなど、積極的に営業担当者へ確認することも大切です。

営業担当者では、多くの売却物件を抱えています。

自分の不動産の売却活動を積極的におこなってもらうためにも、定期的に連絡を取り、コミュニケーションを深めるとよいでしょう。

④早期に売却したいのなら不動産会社の買取も視野に入れる

早期に売却したい場合や需要の少ないエリアにある不動産の売却を検討する際は、不動産会社の買取も視野に入れましょう。

なお、仲介では相場と同じくらいの価格で売れる可能性が高いですが、買取となると相場の7割~8割程度に価格が下がるのが一般的ですが、その分、売却までの期間は、仲介と比べると短いというのが特徴です。

しかし、その分売却までの期間は、仲介と比べると短いというのが特徴です。

一定期間、売却活動をおこなったが売れなかった場合に買取を行う「買取保証」を取り扱っている不動産会社もあります。
 

売却スケジュールなども考慮したうえで、どの売却方法を選ぶのがよいのか検討しましょう。

 

➄内覧の時間帯にもこだわる 

戸建をより魅力的に見せるには、内覧の時間帯を工夫することも有効です。

例えば、以下のようなポイントを考えてみましょう。

  • 日当たりが最も良い時間帯
     朝日や夕日が部屋に差し込み、リビングが明るく見える時間に内覧すると、広さや開放感がより伝わります。
     
  • 窓からの景色が映える時間帯
     家の中から見える庭の紅葉など自然の美しさを活かす時間に案内するのがおすすめです。
     
  • 季節や天気に合わせる
     春なら花が咲く時間帯、冬なら朝の柔らかい光など、季節ごとの景観を見せると、家の魅力を最大限にアピールできます。

自分が「ここが一番素敵」と思う時間帯を選んで内覧すれば、買い手もその感動を共感しやすくなります。

小さな工夫ですが、物件の印象を大きく変えるポイントです。

⑥デメリットも包み隠さず伝える 

家のデメリットを隠さず伝えることも、売却の成功につながる大切なポイントです。

買主にとって住宅購入は大きな買い物であり、慎重にならざるを得ません。

さらに、実際に住んでみないと分からない点も多いため「住んでいる人にしか気づけないデメリット」を知りたいと考える人も少なくありません。

そのため、嘘をついたりごまかしたりせず、正直に伝える姿勢が信頼を高めます。

ただし、伝え方によっては購入意欲を下げてしまう場合もあるため、不動産会社と相談し、どのように説明すべきか事前に確認しておくと安心です。

一戸建ての売却が難しい・売れない時の対処法

一戸建ての売却が難しい・売れない時の対処法のイメージ

首都圏にある戸建ての売却が成約に至るまでの期間は、おおよそ3~6ヶ月以内です。
売却活動をしているが「内覧の申し込みがあまりない」や「内覧はあっても契約に至らない」といった悩みを抱えている方も多いと思います。
こちらでは、それぞれの原因と対策についてご紹介していきます。

【内覧の申し込みがあまりない】

原因 対策
物件が需要の少ないエリアにある そのエリアに詳しい不動産会社に依頼しアピールポイントを探す
物件の築年数が古い 不動産会社の売却サポートであるインスペクション(専門家が行う住宅診断)や瑕疵担保保険(修繕費用を補償する保険)を活用する
物件の間取りが個性的 リノベーションすることを前提としている顧客へアピールする
アピール不足 不動産会社の広告の見直しを依頼する
広告戦略が得意な不動産会社へ依頼の変更を検討する
売り出し価格が相場よりも高い 市場相場に詳しい担当者に相談し、価格の見直しを行う

【内覧はあっても契約に至らない】

原因 対策
購入希望者の購買意欲を高められない 掃除をするなど物件をきれいな状態に保ち、場合によっては不動産会社の売却サポートであるハウスクリーニングを依頼する
内覧時に売主が購入希望者に悪い印象を与えてしまっている 不動産会社の営業担当者に内覧対応について相談し、好印象を持ってもらえる対応を心がける

一戸建ての築年数ごとの建物価値と売り方のコツ

これまでに「一戸建てがなかなか売れないときの対処法」を紹介しましたが、 実際のところ、一戸建ては築年数が経つほど建物の評価額が下がる傾向にあります。

 築年数によって売却しやすさや買主のニーズも変化するため、 それぞれの段階に応じた売却戦略を立てることが重要です。

以下の表では、築年数ごとの建物価値の目安・特徴・売却のポイントをまとめています。

築年数 建物価値 特徴 売り方のコツ
築5年 購入時の75%まで下がる 購入需要が高いため比較的売却しやすく、高めの売り出し価格も設定しやすい 新築に近い状態で人気があるため、周辺地域の不動産の売却相場をしっかりと調べ適正価格での販売を心がける
築10年 購入時の約半分まで下がる 築10年までは購入需要が最も高い時期であるため、売却しやすく、高めな売り出し価格でも売れる可能性が十分にある リフォーム歴によって金額に差が出る
ただし、売却のためにリフォームをするべきかの判断は自身ではせず、不動産会社に相談して行う
築15年 購入時の2割ほどまで下がる 売却期間が長引き、1年以上かかることもある 木造戸建の場合は築15年以降から価格が急落する傾向にあり、築20年を経過すると価値はほぼなくなるため早めの売却を検討する
築20年 価値ゼロと査定されやすくなる ほとんど土地の価格で売却されることになる 建物を解体して「更地」として売るか、建物を残したまま「古家付き土地」として売るか選択する必要がある

築年数が経過するほど、「建物価値」よりも「土地価値」が重視される傾向があります。

 状態の良い物件は内装の清掃や軽いリフォームで印象を高められるため、 早めに売却計画を立てることが、高値売却への近道です。

一戸建ての売却における特有の注意点

ポイントと鉛筆
一戸建ての売却時には、次の注意点があります。

  • 抵当権の抹消登記を行う
  • 契約不適合責任を負わないように建物のチェックを徹底する
  • 買主がローンを組めない場合、契約破棄されることも

あらかじめ確認し、失敗しない売却をしましょう。

抵当権の抹消登記を行う

不動産を売却する際には、所有権の移転登記とあわせて「抵当権の抹消登記」が必要となるケースがあります。

住宅ローンを利用して購入した物件には、通常、金融機関によって土地や建物に抵当権が設定されています。

 そのため、売却して買主に引き渡す際には、司法書士を通じて抵当権の抹消手続きを行うのが一般的です。

スムーズな売却を進めるためにも、引き渡し時に抹消登記が完了するよう事前に準備しておくことが重要です。

契約不適合責任を負わないように建物のチェックを徹底する

不動産に欠陥があった場合「契約不適合責任」となり、売主側に責任が課されるため、売却前は建物をしっかりとチェックする必要があります。

チェックする主な項目は次の通りです。

  • 雨漏り
  • シロアリの被害
  • 給排水管の不具合
  • 地中埋没物 など

不具合箇所をしっかりとチェックし、重要事項説明書に記載するほか、契約時にも説明するとよいでしょう。

瑕疵が発覚しトラブルとなった場合、欠陥部分の補修費用を請求されたり、売買代金の減額を請求されたりする場合があります。

 

買主がローンを組めない場合は契約破棄されることも 

住宅購入は高額な取引であるため、買主が住宅ローンを利用できない場合、契約が解消されることがあります。

これは、不動産売買契約に一般的に付けられる「住宅ローン特約」が理由です。

この特約により、買主が契約後に金融機関へローンを申し込み、審査に通らなかった場合には、契約を無条件で解除できる仕組みになっています。

そのため、買主がローンを利用できなかった場合は、売主は新たに別の購入希望者を探す必要が出てきます。

一戸建て売却でよくある疑問点

住宅街
古い一戸建ての売却方法と、相続時における売却方法について解説します。

古い一戸建ての売却は更地のほうが売れやすいのか

古い建物をそのまま売却するよりも、建物を解体して更地にしてから売却するほうが好まれる場合があります。

しかし、それぞれ次の通りにメリット・デメリットがあります。

 

メリット

デメリット

そのまま売却

  • 手間いらず

  • 売買価格から解体費用が値引かれる恐れ

  • 地盤の状況が確認がしにくい

解体して更地にしてから売却

  • 買い手の購買意欲を高められる場合も

  • 住宅の欠陥のリスクがいらない

  • 解体費用がかかる

  • 固定資産税と都市計画税が高くなる


築年数や劣化状況に応じてどちらを選択するのがよいかは異なります。また、リフォームしてからのほうが売却しやすいケースもあります。

一戸建てをそのまま売却するときは以下のようなポイントがあれば、購入希望者の購買意欲が増す可能性もあるでしょう。

まずは、信頼できる不動産会社に相談してみましょう。

  • ホームインスペクション済みであることを訴求する
  • 「古家付き土地」「更地での引渡しも可能」として購入条件を緩和させる
  • 引き渡し条件や価格など交渉に応じる

【ホームインスペクションとは?】

ホームインスペクションとは「住宅診断」のことです。

住宅診断士が専門的な知識をもって、住宅に欠陥があるか、劣化の状況や改修すべき箇所(時期や費用も含めて)などのアドバイスを行います。

相続した一戸建てはどうやって売却するのか

自分ひとりが相続した一戸建ての場合は、所有者名義はご自身ですので売却可能です。

相続人は原則として、遺言書に記載された人物や、配偶者や子どもなどの法定相続人です。

複数人の相続人がいる(共有者)場合では、共有者全員の同意がないと不動産を売却できません。

また、相続が開始された日から3年10ヶ月以内に相続不動産を売却すると、譲渡所得が抑えられる「取得費加算の特例」を活用できるため、期間内での売却も検討してみましょう。

 

離婚で一戸建てを売却する場合どうすればいい?

離婚を理由に一戸建てを売却する際、売却して手元に残ったお金は原則として夫婦で公平に分配します。

ただし、名義や婚前の取り決めによって取り扱いが変わることがあるため、注意が必要です。

どちらかがその家に住み続け、もう一方が代償金を受け取るという方法もあります。

具体的な金額や支払い方法は話し合って決め、できれば書面で取り決めを残しておくと安心です。

住宅ローンが残っている場合は、売却して残債を完済するのか、住み続ける人がローンを払い続けるのかを明確にする必要があります。

売却額で残債をカバーできない可能性もあるため、ローン残高や抵当権の有無は金融機関で事前に確認しておきましょう。

査定額はどのような根拠で決まるのか?

不動産会社が査定額を算出する際は、主に次のような要素を基に評価を行います。

要素

評価の視点

備考

立地

交通の便や周辺の生活環境など

・最も変動しにくい要素。
・査定の根幹となる。

建物

築年数、建物の状態、間取り、内装・設備のグレードなど

・築20年を超えると建物の価値はほぼゼロと見なされることが多い。
・メンテナンス状況はプラス評価につながる

市場性

地域の需要バランス、類似物件の供給状況、経済動向など

・市場の動向(金利、税制優遇など)によって短期的に査定額が変動することもある

一戸建て売却は査定から始めるのが基本!

家と鍵
一戸建ての売却は、まず不動産会社による査定からスタートします。

しかし、査定前の準備も売却成功には欠かせません。

事前に確認しておくとよい項目は次の通りです。

  • 住宅ローンの残高
  • 周辺エリアの売却相場
  • 売却にかかる諸費用

これらを把握しておくことで、無理のない売却計画を立てやすくなります。

スムーズに売却を成功させるためには、不動産会社選びも重要です。

査定を依頼する不動産会社は、一戸建ての売却経験が豊富か、過去の実績がしっかりあるか、担当者との相性や信頼性などを基準に選ぶとよいでしょう。

売却活動は会社選びで成果が大きく変わるため、慎重に検討することが重要です。

また、複数社を比較し、最適な売却パートナーを見つけましょう。

不動産一括査定サービス「イエイ」を利用すれば、複数の不動産会社に同時に査定依頼が可能です。

 査定額の比較や、各社の特徴を確認することで、自分に合った売却戦略を立てやすくなります。

一戸建ての売却を検討している方は、信頼できるパートナー探しに「イエイ」をぜひ活用してみてくださいね。

不動産一括査定・売却なら【イエイ】

この記事の監修者
中田宏樹
中田 宏樹

大学卒業後、2007年に大手金融機関に入社。資産運用・不動産・相続・ファイナンス分野での新規事業・サービスの立ち上げに従事。不動産金融、資産運用等のテーマとしたメディアの企画・編集を務め、リリース1年弱でオーガニック検索・月間400万PVの大規模メディアへとグロースさせる。現在は、大手コンサルティングファームにて金融機関に対し、DX支援や事業・サービス企画支援を行う。
保有資格:不動産証券化協会認定マスター(M1808036)、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士 他多数