この記事の概要
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マンションの売却前には不動産会社が物件を訪問し、売り出し価格を決めるための査定をおこないます。
査定前になにを準備すればいいのか、なにに気を付ければいいのかと疑問な方もいるでしょう。
本記事では、マンション査定で不動産会社がチェックするポイントや査定前にやるべきこと、やってはいけないことなどをまとめています。
売却による収益をあげるためにも注意点について把握し、後悔しない査定を進めましょう。
この記事の目次
マンション査定の基本
マンション査定とは、立地や建物の状況などをもとに、物件の価値となる価格を決めるために不動産会社がおこなう査定です。
マンション査定では、いくつかのチェックポイントをもとに査定額を決めます。
大きくわけると、物件の構造や部屋の状態を見極める「建物状況」と、修繕や共用部分の状態を見極める「管理状況」の2つです。
マンションの売却する際は、査定依頼することで適切な価格を把握でき、後悔しない選択ができるようになります。
不動産の売却を検討しはじめたら基本を把握し、不動産会社に査定を依頼しましょう。
マンション査定で見る建物状況のチェックポイント7選
マンション査定時の建物状況で、不動産会社がチェックするポイントは次の通りです。
- 立地条件
- 築年数
- 耐震性能
- 床面積や間取り
- 日照・通風条件
- 内装や住宅設備
- リフォームや修繕の履歴
それぞれのチェック内容について解説します。
①立地条件
駅から近いか、人気の住宅エリアかどうかを交通の便や周辺環境などをもとにチェックします。
とくに通勤・通学で利便性の高い立地だと高評価となり、査定額が高くなるでしょう。
普段の生活に欠かせない、スーパーマーケットや病院が近くにあるかどうかも重要です。
ファミリー向けのマンションを査定する際には、保育園、幼稚園、小学校などの教育施設や公園などの公共機関が近隣にあるかどうかもチェックします。
子育てしやすい環境であるかどうかは、購入者の物件選定で重要なポイントと言えるでしょう。
②築年数
一般的に、築年数が経過するほどマンションの価値は低くなります。
しかし、マンション査定時では、築年数相応の建物状況であるかどうかを判断します。
次の図は、2023年度の東京都における、築年数別の成約時の件数や㎡単価をまとめた資料です。
引用:公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年7~9月】」
築年数が経過するほどに成約価格こそ下がるものの、築25年以上の物件でも成約件数は多く、売りにくくなるとは言えません。
中古マンションの購入を検討している方のなかには、予算内での購入が叶う物件かどうかを判断基準としているケースが多いとも言えるでしょう。
③耐震性能
マンションの構造の良し悪しは耐震性能ではかれます。
建築確認申請が受け入れられた日によって、耐震基準は次の2種類にわけられます。
耐震基準 | 建築確認申請を受けられた日 | 予測される強度 |
旧耐震基準 | 1981年6月より以前 | 震度5で崩壊しない程度 |
新耐震基準 | 1981年6月以降 | 震度6~7で倒壊しない程度 |
新耐震基準に適合してるマンションであれば、査定額が高く売れやすい傾向にあります。
しかし、旧耐震基準だからといって安全性が確保されていないわけではありません。
物件のなかには新耐震基準相当の強度をもつケースもあります。
管理組合で作成される資料で耐震診断の有無を確認しておくとよいでしょう。
④床面積や間取り
ファミリー向けに人気のあるエリアのマンションの場合、床面積が広い物件であると購入希望者が集まりやすいなど、部屋の広さも重要です。
生活しやすい動線のある間取りかどうかもチェックされます。
玄関から各部屋へのアクセスがしやすい間取りや、LDKから各部屋へのプライバシーが取れる間取り、洗濯などの家事動線がスムーズな間取りは人気があります。
また、家族の荷物を収納できるスペースがあるのかどうかも大切なポイントとなるでしょう。
⑤日照・通風条件
南向きの物件は日当たりがよく人気があるため、売却価格が高くなる傾向です。
マンションが密接して建つエリアの場合、通風の確保も重視されるでしょう。
各部屋の窓の個数や大きさ、窓と窓との位置関係によっても通風条件は異なります。
換気口や通気口の有無や効率よく換気できているかどうか、湿気がこもりやすくカビが発生していないかどうかも同じく査定対象となるでしょう。
⑥内装や住宅設備
内装では、床のキズや汚れ、壁や天井ではクロスの剥がれもあわせてチェックします。
住宅設備では、キッチンなどの水回りに不具合箇所がないかどうかや、劣化状況を調べます。
正確に査定額を算出するためには、瑕疵(欠陥)となる経年劣化以外の故意や不注意でできてしまったキズ、壁に開いた穴や床の凹みなどがあれば隠さずに伝えましょう。
瑕疵を隠した場合、購入希望者に売買価格を下げられる恐れがあるなど、売却計画がスムーズにいかなくなるリスクがあります。
⑦リフォームや修繕の履歴
室内のリフォームや修繕をおこなっていれば、経年劣化による傷みが抑えられるため、査定時にプラスに働きます。
施工会社に工事を依頼した場合は、施工見積もりなどを準備しましょう。
控えの書類などがない場合は、いつ・どこを・どう直したのかをメモに書き留めておくと査定がスムーズです。
リフォームや修繕の履歴があると、大切に扱いながら暮らしていたとわかり、査定時の印象もよくなります。
しかし、査定額に大きく影響するとは言えない点は、把握しておいたほうがよいでしょう。
マンション査定で見る管理状況のチェックポイント4選
マンション査定時の管理状況で、不動産会社がチェックするポイントは次の通りです。
- 大規模修繕の履歴
- 管理体制
- 駐車場の有無
- 企画・建築・販売会社名
それぞれのチェック内容について解説します。
①大規模修繕の履歴
大規模修繕の履歴で建物の劣化具合がわかります。
大規模修繕では、外壁やシーリング材、屋上などの塗装や補修をおこなうほか、貯水槽や給排水管などの目に見えない重要部分についても修繕がおこなわれます。
大規模修繕の履歴があるかどうか、修繕計画が実行されているかを把握しやすいよう、管理組合の報告書を準備しておくとよいでしょう。
②管理体制
マンション査定では、エントランス、廊下、エレベーターなどの共用部がメンテナンスされているかどうか、管理体制も調べます。
たとえば、ゴミが落ちていないか汚れが放置されていないか、整理整頓されているかどうかです。
また、管理人が常駐しているか、監視カメラの有無なども査定対象です。
これらの共用部の管理には管理費が使われます。
管理費が正しく使われているかを把握するためには、管理組合からもらう報告書を用意しておくと査定の精度が増すでしょう。
③駐車場の有無
車で生活する機会の多いエリアでは、住人の人数に応じた駐車場があるかどうかも重要です。
平面駐車場、自走式立体駐車場、機械式立体駐車場のどれに当てはまるかをチェックします。
敷地内に駐車場がない場合でも、近隣に月ぎめ駐車場があれば評価がよくなるため、査定時に不動産会社に伝えておくとよいでしょう。
④企画・建築・販売会社名
ブランド力のある企業が企画・建設・販売した物件の場合、売れやすい傾向にあります。
売却後の万が一のトラブルへの補償体制も整っており、購入の決め手になりやすいからです。
ただし、ブランド力のある企業でないマンションでも、管理体制がしっかりしていれば問題はありません。
査定額を決める上でのひとつの指標として把握しておくに留めておきましょう。
【マンション査定前】やるべき2つのこと
マンション査定前には、次の2つをおこないましょう。
- 最低限の掃除や整理整頓をおこなう
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
それぞれについて解説します。
①最低限の掃除や整理整頓をおこなう
査定前に室内をきれいにしたところで査定額には響きませんが、最低限の片づけは必要です。
不動産会社が室内状況を確認しやすく、査定がスムーズにいくためです。
きれいに片づけや掃除をおこなうのは、購入希望者が来訪する内覧時のみで構わないでしょう。
②複数の不動産会社に査定を依頼する
不動産の査定額にはバラつきがあるため、査定時には複数の不動産会社に依頼しましょう。
できれば、3社以上に査定を依頼し、査定額が高すぎないか低すぎないか、妥当な査定額かどうかを判断するのがおすすめです。
査定額は双方の調整後に売り出し価格になりますが、成約価格ではないため、購入者希望者が購入しやすい相場の範囲内であるのが理想です。
【マンション査定後】やるべき3つのこと
マンション査定が終わり査定額を確認した後は、次の3つをおこないましょう。
- 不動産会社に査定額の根拠を聞く
- ローンの残債を返済できるか確認する
- 相場の範囲内で売り出し価格を決める
それぞれについて解説します。
①不動産会社に査定額の根拠を聞く
不動産会社によって査定額が異なるため、査定額の根拠を聞いて適正な価格であるかどうかを確認します。
スムーズな売却には、査定額と成約価格との間に差が生まれないように、売却価格を設定する必要があるからです。
納得する答えが返ってくる不動産会社であるかどうか、信頼できる不動産会社かどうかの見極めもできるでしょう。
②ローンの残債を返済できるか確認する
不動産の売却時は、住宅ローンを一括完済しなければいけません。
そのため、ローン残債がある場合は、残債金額と売却代金の差を確認する必要があります。
ローン残債の方が多いケースでは、次の解決策があります。
- 預貯金でローンを返済する
- 住み替えローンを利用する
- 任意売却をおこなう
新居の購入費用として新しくローンを組む場合は住み替えローンを、どのケースにも当てはまらない場合は、任意売却後にローン残債を返済していきます。
>> 家を売って住み替えるときの基礎知識|買い替えまでの流れを解説
③相場の範囲内で売り出し価格を決める
査定後には、売り出し価格を決めます。
売り出し価格を高くしすぎると買い手があらわれにくくなるため、売り出し価格は慎重に考える必要があります。
次の表は、公益財団法人 東日本不動産流通機構が発表した「首都圏 中古マンションの成約・新規登録件数の推移」です。
引用:「季報 Market Watch サマリーレポート 2023 年 7~9 月期■首都圏 中古マンションの成約・新規登録価格の推移」
㎡単価での売り出し価格(新規登録価格)と成約価格に差があり、平均すると3万円/㎡となりました。
早く売却するためには、売り出し価格と成約価格との差を把握し、相場の範囲内での売り出し価格を設定する必要があると言えるでしょう。
マンション査定の注意点
マンション査定には注意点があり、把握していないとスムーズな売却ができずに後悔する恐れもあります。
査定前には、次の2点に気を付けましょう。
- 売却前に勝手なリフォームをしない
- 査定は早めに受ける
物件を高く売りたいからといって、査定前の勝手なリフォームはやめましょう。
リフォームをしたからといって、費用を上乗せして売却できるとは限らないためです。
購入後に自分の好みにあわせて買主がリフォームするケースも増えているため、売却を検討後のリフォームは必要ないと考えましょう。
マンションの売却を考えてから査定、成約できるまでには3ヶ月〜1年ほどの時間がかかります。
そのため、売却へのファーストステップとなる査定は早めに依頼してくと安心です。
マンション査定の流れ
不動産会社にマンション査定を依頼する際の流れは、次の通りです。
①必要書類を集める
②不動産会社に査定を依頼する
③査定を実施する
④売却の仲介者となる不動産会社と媒介契約を結ぶ
⑤売り出し価格を決めて売り出す
必要書類は、次の通りです。
購入時の建物状況を把握できる書類 | 現在の建物状況を把握できる書類 |
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不動産会社によっても査定時に必要となる書類が異なるため、依頼時に確認すると安心です。
媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類あり、仲介を依頼できる不動産会社が複数社選べるかなどの条件によって契約方法を選択します。
売り出し価格は査定結果をもとに相談して決めます。
どのくらいで売りたいのか、相場と希望とをあわせて設定していきましょう。
マンション査定時によくある疑問点
実際にマンション査定をおこなった方や、売却する方に多い疑問点について解説します。
依頼先の不動産会社をどのように選べばよいか
マンション査定では、複数の不動産会社に依頼します。
契約先を決めるための判断材料として、査定金額と営業担当者との相性が重要です。
査定額が高すぎず安すぎない不動産会社のなかで、営業担当者の印象の良し悪しで契約先を決めると失敗しにくいでしょう。
具体的には、親身になって話を聞いてくれるかどうか、レスポンスの早さ、説明の充実度です。
マンション査定は依頼先を決めるための大切な機会であるため、営業担当者の対応をしっかりと確認しておきましょう。
マンションが売却できないときの対処法はあるのか
マンションの立地や条件によって売却までに時間がかかるケースでは、次の対処法を試すとよいでしょう。
- 売却価格を見直す
- 不動産会社に買取してもらう
不動産会社が営業活動をしても売却できない場合は、売却価格が高いまたは、ニーズの低い地域である可能性が高いです。
不動産会社に相談して周辺相場より価格を下げたり、不動産会社への買取を検討するのもひとつの手段です。
>> マンション売却で買い手がつかない!売れない場合の対処法5つ
マンション査定は複数業者への依頼がおすすめ
マンションの査定時には、築年数や立地などの建物の基本情報のほか、室内状況、管理体制などが細かくチェックされます。
複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な査定額かどうかや安心して売却できる不動産会社かどうかを見極めましょう。
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