マンションを売却する際、適正な「売り出し価格」を算出するために欠かせないのが、不動産会社による査定です。
しかし、初めての経験であれば「安く買い叩かれないか?」「この査定額に根拠はあるのか?」と、期待よりも不安が勝ってしまうのは当然のことでしょう。
そこで本記事では、査定現場で実際にチェックされる項目を詳細にご紹介していきます。
提示された金額の信頼性を見極めるポイントから、安心して任せられる担当者の選び方までをプロの視点で網羅しました。
最高の結果を導き出すための「正しい知識」をここで蓄え、納得のいく売却活動をスタートさせましょう。

この記事の目次

マンション査定とは?

マンション査定とは?のイメージ画像

マンション査定とは、立地条件や建物の状態に基づき、不動産会社が「現時点で売れる見込みの価格」を算出する作業です。
マンション査定では、近隣の成約事例と比較して算出する「取引事例比較法」が一般的です。

査定で評価されるポイントは、大きく分けて2点です。

  • 建物状況: 専有面積や間取り、室内の劣化具合など
  • 管理状況: 大規模修繕の履歴や管理組合の運営実態など

マンションの売却をする際は、査定を依頼することで適切な価格を把握できます。
売却を検討する際、査定は相場を知るための有効な手段ですが、「最も高い数字を出した会社が、最も優れた会社」とは限りません。
査定額とはあくまで「売却予想図」です。
提示された金額に一喜一憂するのではなく、その根拠を堂々と語れる誠実な担当者を見つけ出すための「選別テスト」として活用しましょう。

マンションの査定方法の精度とリスクを比較

マンション査定の方法のイメージ画像

マンションの査定方法には、主に「訪問査定」と「机上査定(簡易査定)」の2種類があります。

近年では「AI査定(匿名査定)」も広く利用されています。

まずは、それぞれの特徴を理解していきましょう。

【マンションの査定方法の比較表】

査定方法 精度 所要期間の目安 営業リスク 目的
AI査定
(匿名査定)
低
(相場把握のみ)
瞬時~数分 低
(ほぼなし)
まず概算相場を知りたいとき。
机上査定
(簡易査定)
中
(物件データなどをもとに分析を行う)
最短当日~3日程度 中
(メール・電話が主)
優良企業を3~6社に絞るとき。
訪問査定 高
(最も正確)
1週間程度 高
(対面での交渉が伴う)
最終的に媒介契約を結ぶ会社を決めるとき。

AI査定(匿名査定)

AI査定は、個人情報の登録なしに、マンション名や専有面積などのデータに基づき、瞬時に概算価格を算出する方法です。

これはあくまで過去の成約データや市場動向をもとにしたシミュレーションであり、あなたの物件固有の状況(室内の傷み、設備のグレード、管理組合の運営状況など)は一切考慮されません。

そのため、査定額の精度は最も低いですが、営業電話のリスクがほぼなく、売却を検討し始めた段階で相場感を掴む目的で活用するには最適です。

机上査定(簡易査定)

机上査定は、不動産会社が訪問することはなく、物件のデータ(築年数や間取り、所在地など)をもとに価格を査定する方法です。

最新の市場環境や競合物件の情報も反映されるため、AI査定よりも精度が高いという特徴があります。

また、査定額を最短当日~3日程度で知ることもできます。

一方で、机上査定は訪問査定に比べると査定額が厳密ではないという注意点もあります。

さらに、不動産会社が査定を担当するため、査定結果後にメールや電話による営業連絡が来るリスクが伴います。

この査定結果をもとに、対応の迅速さや提出資料の論理性を見て、訪問査定を依頼する会社を絞り込むのが賢い活用法です。

訪問査定

訪問査定は、実際に不動産業者が物件を訪問し、見積もりを算出する査定方法です。

訪問時に、内装の維持管理状況、日当たり、風通し、眺望、共用部分の清掃状態といった、机上査定では判断できない物件の「プラス要素」や「マイナス要素」を細かく確認します。

これにより、最も正確な価格を把握することができ、査定額の精度は最も高くなります。

ただし、訪問査定は知らない人が自宅マンションを訪問することに抵抗がある人にとってはハードルが高く感じるでしょう。

また、複数社に依頼するとその都度立ち合いが必要になり、時間的・精神的な負担が大きくなります。

そのため、最終的に信頼できると判断した2~3社に絞り込んでから依頼することが重要です。

【参考】査定方法の賢い使い分け

「いきなり見ず知らずの人を自宅に招くのは不安」「複数の会社から一斉に電話がかかってくるのが怖い」と感じる方は少なくありません。
プライバシーを重視したい場合、いきなり訪問査定からスタートするのは避けるべきでしょう。
こうした心理的な負担や営業リスクを最小限に抑えたいなら、以下のステップを試してみてください。
段階を踏んで依頼を絞り込むことで、無駄な接触を避けつつ、本当に信頼できるパートナーを効率的に見極めることが可能です。
査定方法の賢い使い分け

この手順に沿って進めることが、精神的なゆとりを持ちながら売却成功への最短ルートを歩むコツとなります。

マンション査定の流れと費用

マンション査定の流れと費用のイメージ画像

不動産会社にマンション査定を依頼する際の流れは、次の通りです。
査定から引き渡しまでの期間は、一般的に3ヶ月〜6ヶ月程度が目安です。

1.査定依頼〜結果受領(当日〜1週間)
2.不動産会社の比較・選定(1〜2週間)
3.媒介契約の締結
4.売却活動〜売買契約(1ヶ月〜3ヶ月)
5.決済・引き渡し(契約から約1ヶ月後

不動産会社と結ぶ媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、仲介を依頼できる不動産会社が複数社選べるかなどの条件によって契約方法を選択します。

【媒介契約はどれを選ぶべき?】

  • 一般媒介契約
    人気エリアで、複数社に競わせたい場合に最適。
  • 専任・専属専任媒介契約
    手厚い売却サポート(ハウスクリーニング等)を受けたい場合や、窓口を一本化してスムーズに報告を受けたい場合に選ばれます。

さらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

売り出し価格は査定結果をもとに相談して決めます。

これは、不動産会社が出した査定額(予想価格)と現在の市場相場を基準とし、売主の売却希望を考慮して設定していく重要な工程です。

また、マンション査定の費用は無料のものと有料のものがあります。

個人での売却の場合は無料査定で十分でしょう。

法人間で不動産取引を行う場合や裁判を伴う財産分与などのトラブルがある場合は、不動産鑑定士による有料査定(不動産鑑定)が必要となります。

マンション査定の必要書類

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査定に必要な書類を単に用意するだけでなく、「なぜその書類が査定に影響するのか」を理解することが、査定額を上げるための重要な準備となります。

書類が揃っているほど不動産会社は強気の価格を出しやすくなりますが、万が一紛失していても、管理会社や役所での再発行・代用が可能です。
「手元にないから」と査定を諦める前に、以下の表で役割と紛失している場合の対処法を確認しておきましょう。

書類の種類 なぜ必要か 紛失している場合の対処法
登記済証または登記識別情報通知書 マンションの所有権や新築年月日、種類などを証明する書類。売却後の登記手続きに不可欠。 再発行は不可。司法書士への依頼による「本人確認情報」の作成などで代用します。
重要事項説明書・間取り図・パンフレット 購入時の仕様や専有面積、設備グレードを確認し、適正な評価を下すために必要。 マンションの管理会社に連絡し、間取り図やパンフレットの写しがあるか確認しましょう。
返済予定表または残高証明書 売却時のローン残債の返済計画を立てるために不可欠。 住宅ローンを契約している金融機関の窓口やネットバンキングで再発行・確認が可能です。
管理規約 ペット飼育の可否やリフォーム制限など、買い手に影響する重要事項の確認。 管理会社から最新のものを購入、または閲覧・コピーさせてもらうことができます。
大規模修繕の履歴・計画書 建物全体の管理状態の良さを証明する最重要書類。修繕を適期に実施している物件は評価が上がる。 理事会や管理会社が保管しています。「査定で使いたい」と伝え、最新版を入手しましょう。
リフォーム履歴のわかる書類(契約書など) あなたの専有部分に適切なメンテナンスを実施していることを示し、内装・設備評価のプラス材料となる。 施工した会社に連絡し、見積書や図面の再発行、または施工記録の照会を依頼してください。
 

マンション査定で見る建物状況のチェックポイント7選

マンション査定建物状況のポイントのイメージ

マンション査定時の建物状況で、不動産会社がチェックするポイントは次の通りです。

・立地条件
・築年数
・耐震性能
・床面積や間取り
・日照・通風条件
・内装や住宅設備
・リフォームや修繕の履歴

それぞれのチェック内容について解説します。

1.立地条件

駅から近いか、人気の住宅エリアかどうかを交通の便や周辺環境などをもとにチェックします。

特に通勤・通学の利便性の高い立地だと高評価となり、査定額が高くなります。

ファミリー向けのマンションを査定する際には、保育園、幼稚園、小学校などの教育施設や公園などの公共施設が近隣にあるかどうかもチェックされます。

子育てしやすい環境であるかどうかは、購入者の物件選定で重要なポイントと言えるでしょう。

【プラス評価に繋がる要素】

・駅から徒歩5分以内
・スーパーマーケットや病院が徒歩圏内
・主要駅へのアクセスが良い

【マイナス評価に繋がる要素】

・交通量の多い道路沿いで騒音・振動がある
・ハザードマップで浸水リスクが高いエリア
・周辺に嫌悪施設(工場、墓地など)がある

2.築年数

マンションの市場価値は、一般的に築年数の経過とともに下落する傾向にあります。
しかし、査定現場では単なる数字上の経過年数だけでなく、「築年数に対してどれほど良好なコンディションが維持されているか」という実態が厳しくチェックされます。
以下のデータは、2026年度の東京都における築年数別の成約状況をまとめた最新の資料です。

首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2026年01~03月】
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2026年01~03月】」

この統計から明確なのは、築25年を超えるような経年物件であっても、成約件数全体の大きな割合を占めているという事実です。
昨今の中古市場では、購入予算を抑えつつ自分好みにリノベーションを楽しむ層が増えています。

そのため、「古いから売れない」と諦める必要はありません。市場のニーズを汲み取り、築年数に見合った適正な価格設定を行えば、築古物件でも十分にスムーズな売却が期待できます。

3.耐震性能

マンションの構造の良し悪しは耐震性能で測れます。

建築確認申請が受け入れられた日によって、耐震基準は次の2種類に分けられます。

耐震基準 建築確認申請を受けられた日 予測される強度(目安)
旧耐震基準 1981年6月より以前 震度5で崩壊しない程度
新耐震基準 1981年6月以降 震度6~7で倒壊しない程度

新耐震基準に適合してるマンションであれば、査定額が高く売れやすい傾向にあります。

旧耐震基準の物件でも、管理組合で作成される資料で耐震診断の有無を確認し、耐震補強の履歴があればプラス評価になります。

査定時には、これらの資料を準備し、建物の安全対策が適切に行われている点をアピールすることが重要です。

4.床面積や間取り

ファミリー向けに人気のあるエリアのマンションの場合、床面積が広い物件であるほど購入希望者が集まりやすいです。

生活しやすい動線のある間取りか、収納スペースが充実しているかも大切なポイントとなるでしょう。

【プラス評価に繋がる要素】

・LDKから各部屋へのプライバシーが確保されている間取り
・家事動線がスムーズな間取り(キッチンと洗面所・ベランダが近いなど)

【マイナス評価に繋がる要素】

・デッドスペースが多く、家具の配置がしにくい間取り
・玄関を開けたらすぐにリビングが見える(プライバシー性が低い)間取り

5.日照・通風条件

南向きの物件は日当たりが良く人気があるため、売却価格が高くなる傾向です。

マンションが密接して建つエリアの場合、通風の確保も重視されます。

湿気がこもりやすい物件は、カビが発生していないかどうかも査定対象となります。

【プラス評価に繋がる要素】

・角部屋や二面採光で通風が確保されている
・上層階からの眺望が抜けており、日照が遮られない
・窓やバルコニーの配置が工夫され、効率よく換気ができる

【マイナス評価に繋がる要素】

・北向きや一室採光(窓が一つのみ)の部屋
・隣接する建物と密接しており、日照や眺望が遮られている
・湿気がこもりやすく、カビや結露の跡が目立つ

6.内装や住宅設備

室内査定では、フローリングの傷や壁の汚れ、そして水回り設備の稼働状況が細かくチェックされます。
ここで重要なのは、不具合や欠陥(瑕疵)を隠さず、正直に共有することです。
故意や不注意による損傷を伏せたまま売却すると、引き渡し後に「契約不適合責任」を問われ、多額の賠償金や契約解除といった深刻なトラブルに発展しかねません。
正確な査定額を導き出し、安全な取引を行うためにも、気になる箇所は事前にすべて担当者へ伝えましょう。

【プラス評価に繋がる要素】
・過去5〜10年以内にキッチンやユニットバスなどを交換しており、現行水準の機能性を保っている
・床暖房や食洗機、高性能な浴室乾燥機など、生活の質を高める設備が充実している
・目立つ汚れや損傷がなく、日頃から丁寧に使用・清掃されていることが伝わる状態

【マイナス評価に繋がる要素】
・給湯器の故障や配管の漏水など、生活に直結するライフラインのトラブル
・壁の大きな穴や、床材の深い剥がれなど、通常のハウスクリーニングでは修復できない損傷
・頑固なカビの付着や、ペット・タバコの染み付いた臭いなど、内覧時の印象を著しく損なう要素

7.リフォームや修繕の履歴

室内のリフォームや修繕を行っていれば、査定時にプラスに働きますが、査定額に大きく影響するとは言えない点を把握しておきましょう。

施工会社に依頼した場合は、施工見積もりなどの控えの書類を用意しておくと、査定時に内容の確認がスムーズになり、適切なメンテナンスを行ってきたことをアピールできます。

マンション査定で見る管理状況のチェックポイント4選

マンション査定で見る管理状況のイメージ

マンション査定時の管理状況は、戸建てにはない最重要チェックポイントです。

建物の寿命や資産価値に直結するため、査定では厳しく見られます。

ここでは、査定時に特に重要となる4つのチェックポイントを解説します。

・大規模修繕の履歴と積立金の適正度
・管理体制と管理組合の状況
・駐車場の有無
・企画・建築・販売会社名

1.大規模修繕の履歴と積立金の適正度

大規模修繕の履歴は、建物の劣化具合と管理組合の運営能力を示します。

外壁や屋上などの目に見える部分だけでなく、貯水槽や給排水管などの目に見えない重要部分についても修繕が行われているかがチェックされます。

【補足】修繕積立金の「残高不足」が査定額に与える具体的な影響

修繕積立金の残高が長期修繕計画に対して不足している場合、将来的に一時金徴収や積立金の値上げが発生する可能性が高いため、購入希望者にとって大きなマイナス要因となります。

査定では、この不足分を補うために将来的な負担を考慮し、査定額から減額される具体的な影響を事前に理解しておく必要があります。

管理組合の報告書で修繕積立金の状況と今後の計画を把握しておきましょう。

2.管理体制と管理組合の状況

マンション査定では、専有部(室内)だけでなく、エントランスや廊下、エレベーターといった「共用部分」の維持管理状況も重要な評価対象となります。

具体的には、ゴミが散乱していないか、管理人が常駐しているか、監視カメラの有無など、「日常的な清掃や巡回が行き届いているか」がチェックされます。
管理が行き届いた共用部は、買主への第一印象を左右するだけでなく、物件全体の寿命や資産価値を守る重要な要素だからです。

【補足】管理組合の報告書からマンションの将来性が読み取れる

共用部の清掃状況や管理人の常駐有無だけでなく、管理組合の活動状況が特に重要です。

管理組合からもらう報告書や総会議事録は、単なる共用部の状況だけでなく、マンションの将来のトラブルリスクを測る情報源となります。

不動産会社はこれらの資料をもとに、以下の要素を判断し、購入後の住環境の良し悪しを評価します。

・住民間のトラブル状況
・管理費の使途や滞納率
・大規模修繕などの重要議題への取り組み姿勢

この情報が不透明だと、査定時にマイナス評価となるリスクが高まります。

3.駐車場の有無

車で生活する機会の多いエリアでは、住人の人数に応じた駐車場の有無が重要であり、査定額に影響を与えます。

査定時には、以下の点を特にチェックされます。

・充足率
総戸数に対して駐車場の区画がどれだけあるかを示す割合です。
特に地方や郊外では、充足率が低いと査定額のマイナス要因になることがあります。

・駐車場の種類
平面駐車場、自走式立体駐車場、機械式立体駐車場のどれに当てはまるかがチェックされます。

また、敷地内に駐車場がない場合でも、近隣に月極駐車場があれば評価が良くなることもあるため、査定時に不動産会社に伝えておくと良いでしょう。

4.企画・建築・販売会社名

マンションの名前や、それを建てた会社が有名(ブランド力がある)な場合、中古市場では「人気物件」として扱われ、早く高く売れるケースが多いです。

なぜなら、大手の会社が手掛けたマンションは、買う人にとって「建物がしっかり造られていそう」「もし何かあっても保証がちゃんとしていそう」という安心感に繋がるからです。この「名前からくる信頼」は、買い手が最後に決断するときの大きな後押しになります。

ただし、「有名な会社じゃないから安くなる」とガッカリする必要はありません。
査定で一番大事なのは、あくまで今の建物の状態です。たとえブランド名がなくても、毎日の掃除やお手入れが丁寧に行われていれば、プロはそこを正当に評価してくれます。

「どこの会社が建てたか」という看板だけでなく、「今、どれだけ大切に住まわれているか」という中身とのバランスで、マンションの価値は決まるのです。

失敗しないために!査定額の信頼性を見極める3つの手順

査定額の信頼性を見極める3つの手順のイメージ

マンション査定が終わり査定額を確認した後は、査定額を鵜呑みにせず、その根拠を厳しく検証する必要があります。

査定額と成約価格の間に大きな差が生まれないよう、慎重に確認しましょう。

1.不動産会社に査定額の根拠を聞く

不動産会社によって査定額が異なるため、査定額の根拠を具体的に聞いて、その価格が適正であるかどうかを確認しましょう。

スムーズな売却には、査定額と成約価格との間に差が生まれないように、売却価格を設定する必要があるからです。

納得できる回答が得られるかどうかで、信頼できる不動産会社なのかを見極めることができるでしょう。

信頼できる査定額と「おとり査定」を見抜くチェックリスト

不動産会社の中には、媒介契約を取るためだけに意図的に高い査定額を出す「おとり査定」を行っていることも少なくありません。

こうした査定を行っている業者と契約してしまうと、納得のいく売却活動が進められない恐れがあります。

以下の点を具体的な質問として担当者に問いかけて、信頼できる査定額か、おとり査定なのかを見抜きましょう。

確認事項 担当者への具体的な質問例 信頼できる回答の傾向 おとり査定の可能性が高い回答の傾向
価格の根拠 「提示いただいた査定額について、近隣で直近3ヶ月以内の成約事例を3つ具体的に教えてください。また、この物件がそれより高い(低い)理由は何ですか?」 成約事例の詳細なデータを提示し、この物件固有のプラス・マイナス要因を論理的に説明できる。 「市場の雰囲気」や「地域の平均相場」など、個別の具体的なデータを示さず抽象的な説明に終始する。
売却戦略 「もしこの価格で3ヶ月以内に買い手がつかなかった場合、具体的な値下げ戦略の提案と、次にターゲットとする層への広告媒体は何ですか?」 売れ残り時の具体的な対策(例:値下げ幅、価格見直しのタイミングなど)と、ターゲット層に合わせた広告計画(例:富裕層向けポータル、地域新聞など)を明確に提示できる。 「大丈夫です、当社が全力で売ります」と言うだけで、売れなかった場合の対応策やリスクに言及しない。
顧客情報 「既にこのエリアでこの物件種別を探している見込み客の属性(家族構成、予算)と組数を教えてください」 「既にこのエリアで探している顧客が○組いる」など、具体的な見込み客の情報を提示できる。 「すぐに買主を見つけます」と言うだけで、具体的な顧客の属性や人数の提示を避け、曖昧な言葉でごまかそうとする。

2.ローンの残債を確認し、売却後の資金計画を立てる

マンションを売るための絶対条件は、「引き渡しまでに住宅ローンを全額返すこと」です。
ローンが残っていると、銀行が設定している「抵当権(家を担保にする権利)」を外すことができず、実質的に売却ができません。

まずは「ローンの残り(残債)」と「売却で手に入るお金」を比べましょう。
もし売却価格よりもローンの残りが多い「オーバーローン」状態になった場合は、以下のような対策が必要になります。

・自分の貯金で足りない分を補う
・新居のローンに今の残債を上乗せする「住み替えローン」を使う
・どうしても返済が難しい場合に「任意売却」を行う


なお、任意売却はローンの支払いが止まった際に行う特殊な手続きです。ブラックリスト(信用情報)に載ってしまうリスクがあるため、あくまで最終手段と考えましょう。

「売ってもローンが返せない……」という事態を防ぐためにも、査定を受けたらすぐに金融機関のマイページなどで残高を確認し、不動産会社に相談しておくことが大切です。

3.相場の範囲内で売り出し価格を決める

査定後には、売り出し価格を決めます。

売り出し価格を高くしすぎると買い手があらわれにくくなるため、慎重に考える必要があります。

次の表は、公益財団法人 東日本不動産流通機構が発表した「首都圏 中古マンション ㎡単価の推移」です。

首都圏 中古マンション ㎡単価の推移

出典:「月例速報 Market Watchサマリーレポート 2026 年 3 月度」-公益財団法人 東日本不動産流通機構

グラフから読み取れる通り、近年は「売り出し価格(新規登録㎡単価)」の上昇に対し、「実際の成約価格」が追いついていない状況が続いています。
2026年3月時点のデータでは、両者の差は約20万〜25万円/㎡にまで広がっています。

「高く売りたいから」といって相場を大きく超える強気な価格設定をしてしまうと、問い合わせすら入らずに長期化するリスクが高まっています。
早く、かつ納得感のある価格で売却するためには、担当者とリアルな市場相場に基づいた売り出し価格を協議することが大切です。

マンション査定の相場の調べ方については、こちらの記事で詳しく説明しているのでぜひ参考にしてみてください。

査定額に期待値を加える際の具体的な判断基準

売り出し価格は、査定額(予想価格)に期待値を上乗せして設定することが多いです。

上乗せ幅は一般的に5~8%が目安ですが、この期待値を設定する判断基準は、「売却にかけられる期間」です。

・早く売りたい場合
期待値を最小限に抑え、相場に近い価格に設定する。

・時間をかけても高く売りたい場合
期待値を高め(査定額の8%程度)に設定し、市場の様子を見ながら値下げする戦略を事前に担当者と決めておく。

媒介契約前に!信頼できる担当者を見抜くポイント

信頼できる担当者を見抜くポイントのイメージ画像

マンション査定で、査定額と同じくらい重要なのが、売却活動を任せる担当者の能力と誠実さです。

ここからは、媒介契約を締結する前に知っておきたい、信頼できる担当者を見抜くためのポイントについてご紹介します。

担当者の対応は良いか

担当者は、売主であるあなただけでなく、今後買主との価格交渉や条件調整を担う人物です。

そのため、対応の良さは非常に重要になります。

周辺エリアの知識や競合物件の情報をしっかりと把握しているか、あなたの売却の要望を丁寧に確認してくれるか、レスポンスの早さはどうかなど、直接関わった際にプロとして信頼がおけるかどうかを判断しましょう。

担当者の知識・熱意を測る「売主からの逆質問リスト」

査定時や面談時に、売主側から以下の質問を投げかけ、担当者の能力と熱意を見極めましょう。

・「もし3ヶ月で売れなかった場合、具体的な値下げ戦略と広告戦略は?」
→売却活動の計画性や売却力を知ることができます。

・「近隣の競合物件で、今、売れ残っている物件のマイナス要因は何だと思いますか?」
→市場分析力があるか、また、客観性があるかどうかを知ることができます。

・「このマンションの修繕積立金の状況について、どう評価しますか?」
→マンション売却の専門知識があるかどうかを知ることができます。

・「あなたの仲介成功事例で、この物件と最も似ている物件の売却価格と成約期間を教えてください」
→実績と正直さがあるかどうかを知ることができます。

・「あなたの会社は、売主と買主の双方を仲介する『両手仲介』を積極的に行いますか?」
→囲い込みリスクへの意識をしているかどうかがわかります(後述の項目で解説します)。

具体的な販売戦略と仲介実績はあるか

不動産会社を選ぶ際は、どのような売却活動を行ってくれるかが重要になります。

中古マンションの売却を得意とする企業であれば、ライバル物件の需給動向や最新の価格動向を把握しており、売り出しのタイミングやリフォーム・修繕の要不要、内覧に向けた対策などについてアドバイスしてくれます。

また、どのような販売手法で買い手の獲得をするのか、既に見込み客がいるのかは、その後の売却活動に大きく影響してきます。

そのため、契約前に広告手法とその手法を使う理由、同エリアの中で同じような物件を探している方がいるかを確認しておきましょう。

「囲い込み」リスクの有無を確認するのも重要

不動産業界には、売主と買主の両方から仲介手数料をもらうために、他社からの問い合わせを勝手に断ってしまう「囲い込み」という悪い慣習があります。
これをされると、「本当はもっと早く、高く買ってくれる人がいたはずなのに、そのチャンスを隠されてしまう」ことになり、売却期間が延びたり、不必要な値下げを強いられたりする原因になります。

こうしたリスクを避けるために、契約前に以下のポイントをチェックしましょう。

  • レインズ(不動産指定流通機構)への登録
    自分の物件を全国の不動産会社に正しく公開してくれるか確認する。
  • 契約形態の相談
    特定の1社に任せる「専任媒介」だけでなく、複数社に頼める「一般媒介」も選べるか聞いてみる。
  • 会社のスタイル
    片方の味方だけをする「片手仲介」を基本としている会社を選ぶ。

「自分の物件が他社からも見られる状態か」をハッキリさせておくことが、納得のいく売却への近道です。

マンションの売却を得意としているか

不動産会社にはそれぞれ得意分野があり、「戸建てに強い」「土地活用が専門」など特色が分かれています。
マンションの売却をスムーズに進めるためには、何よりも中古マンションの取引経験が豊富なパートナーを選ぶことが重要です。

その会社が本当にマンション売却の実力を持っているか判断するために、面談時には以下の具体的な実績を聞き出してみましょう。

・ここ1〜2年の間に、このマンション内や近隣の類似物件で成約させた実績があるか
・あなたの物件と同じような広さ・築年数のマンションを、過去にどれくらい扱ってきたか
・それらの物件が、売り出しから平均してどのくらいの期間で成約に至っているか


単に「任せてください」という言葉を信じるのではなく、こうした具体的な数字や事例を根拠として示してくれる担当者こそ、安心して任せられるプロといえます。

査定を有利に進めるための査定前の準備

マンション査定前やるべきこと のイメージ

マンション査定前には、次の2つの準備を必ず行うようにしましょう。

これらの行動は、査定を有利に進めるだけでなく、失敗のリスクを大きく減らすことに繋がります。

・最低限の掃除や整理整頓を行う
・複数の不動産会社に査定を依頼する

それぞれについて解説します。

最低限の掃除や整理整頓を行う

訪問査定において、室内の整理整頓は単なるマナーではありません。
担当者は「この部屋なら、広告用の写真が綺麗に撮れるか」「買主が内覧に来た際に好印象を与えられるか」という視点でチェックしています。

部屋が整理されていると、不動産会社が室内状況を確認しやすく、査定がスムーズに進みます。

特に、水回りと玄関は重点的に行い、物件を大切に扱っている姿勢を見せましょう。

きれいな状態は、物件の維持管理が適切であるという良い印象を査定担当者に与えます。

査定額を「1円でも高くする」ための直前チェックリスト

訪問査定は、いわば「お見合い」のようなものです。
じつは、不動産会社が価格を算出する際、物件の「売りやすさ」を「流通性比率」という指標で点数化しています。
以下のポイントを整えて「この家ならすぐ買い手が見つかる」と担当者に確信させることで、査定額のポジティブな加点を引き出すことが可能になります。

査定額を高くするためのチェックリストのイメージ画像

複数の不動産会社に査定を依頼する

マンションの査定価格は、依頼する会社によって驚くほど差が出るのが一般的です。
そのため、1社の結果だけを見て判断するのではなく、最低でも3社以上のプロに見積もりを依頼することが失敗を防ぐポイントとなります。
各社の提示額を並べて比べることで、「自分の物件の本当の価値」が客観的に見えてくるからです。

実際、弊社が実施した売却経験者への調査でも、不動産会社によって査定額が700万円も異なったという事例が報告されています。
もし高い方の査定額を知らなければ、数百万円単位の損をしてしまう可能性もあったわけです。

複数の会社に1軒ずつ連絡するのは手間がかかりますが、「不動産一括査定サイト」を利用すれば、一度の入力で効率よく複数の回答を集められます。

当サイトが提供する「イエイ」では、物件情報等を一度入力するだけで、複数の会社の査定結果を簡単に比較することができます。

ぜひ、イエイの無料査定を活用し、あなたの物件の査定額が妥当か見極めましょう。

不動産一括査定・売却なら【イエイ】

マンション査定の注意点

マンション査定の注意点のイメージ

マンション査定には注意点があり、把握していないとスムーズな売却ができずに後悔する恐れもあります。

査定前には、次の3点に気を付けましょう。

・売却前に勝手なリフォームをしない
・瑕疵(欠陥)を隠してしまう
・査定は早めに受ける

売却前に勝手なリフォームをしない

「物件を高く売りたい」という気持ちから、査定前に自己判断でリフォームを行うのはやめましょう。

なぜなら、リフォームにかかった費用が売却価格に全額上乗せされるとは限らないからです。

また、購入後に買主が自分の好みにあわせてリフォームするケースも多いため、売主側の好みが敬遠されるリスクもあります。

売却を検討する際は、必ずリフォーム前に不動産会社に相談し、その費用対効果が本当にあるのかを冷静に判断しましょう。

瑕疵(欠陥)を隠してしまう

正確に査定額を算出するため、経年劣化以外の故意や不注意でできてしまったキズや、雨漏り、過去のトラブルなどがあれば、必ず隠さずに不動産会社に伝えましょう。

これを隠した場合、売却後の契約不適合責任を追及され、損害賠償請求や契約解除に至る可能性があります。

これは、裁判沙汰になるなど、精神的にも金銭的にも大きな苦痛を強いられるリスクがあるため、自己判断で隠蔽することは絶対に避けましょう。

このようなトラブルを未然に防ぐには、査定時にすべての不具合を正直に記した「物件状況報告書」を作成すると良いでしょう。
また、最近では第三者の専門家による「ホームインスペクション(建物状況調査)」を査定とセットで行うケースが増えています。
事前にプロの診断を受けることで、自分でも気づかなかった瑕疵を把握でき、あらかじめ告知した上で価格設定ができます。
これにより、売却後のトラブルを法的に防ぎつつ、買主に対しても「安心な物件」として自信を持ってアピールできるようになります。

査定は早めに受ける

マンション売却は、売り出してすぐに現金化できるわけではありません。
査定の結果を受けてから、物件を売り出し、契約を交わして実際に家を受け渡すまでには、短くても3ヶ月、長いと1年近い期間が必要になります。

そのため、「いつか売ろうかな」と少しでも考え始めたタイミングで、早めに査定を受けておくことが成功への近道です。
マンション査定で損をしないための細かな注意点や、1円でも高く売るための具体的なテクニックについて知りたい方は、以下の関連記事も必読です。あわせて一読することをおすすめします。

【FAQ】マンション査定時のよくある疑問と解決策

マンション査定時によくある質問のイメージ

実際にマンション査定を行った方や、売却する方に多い疑問点について解説します。

マンションが売却できないときの対処法はあるのか

マンションの立地や条件によって売却までに時間がかかるケースでは、次の対処法を試すと良いでしょう。

・売却価格を見直す
売却価格が高い、またはニーズの低い地域である可能性が高いです。
不動産会社に相談して周辺相場より価格を下げたり、売り出し価格に期待値を乗せすぎていないか確認しましょう。

・不動産会社に買取してもらう
不動産会社が営業活動をしても売却できない場合は、不動産会社への買取を検討するのもひとつの手段です。
仲介よりは売却価格は安くなりますが、最短で現金化できます。

・不動産会社の見直し
価格見直しや買取以外に、「不動産会社の見直し」も有効な手段です。
3ヶ月以上反響がない場合、今の会社がそのエリアや物件種別を得意としていない、あるいは「囲い込み」が発生している可能性があります。
一括査定サイトを再度活用し、別の視点から戦略を立て直してくれる他社を探すことも検討しましょう。

離婚時にマンション査定は必要なのか

離婚時には、マンションを売却するかしないかに関わらず、財産分与のために不動産の価値を確定する必要があります。

その際、確定する価格はマンションを購入した時の金額ではなく、現時点で売却に出した場合に売れる見込みの評価額になります。

そのため、正確な査定が必要となります。

離婚におけるマンション査定について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。

投資用マンションの査定は必要なのか

現在賃貸に出している「投資用マンション」を売却する場合も、当然ながら事前の査定は欠かせません。

ただし、自分が住むためのマンションとは価格の決まり方が根本的に異なります。
投資物件では、その部屋が「将来的にどれだけの利益を生むか」を重視する「収益還元法」という計算ルールが適用されるからです。

この査定方法では、毎月の家賃設定や管理にかかる諸経費のバランスが、評価額を左右する大きなポイントとなります。

そのため、一般的な居住用物件をメインに扱う会社ではなく、投資マンションの売買実績が豊富な専門会社に依頼することが、適正価格を知るための絶対条件です。
投資市場の動向を熟知したプロに任せることで、収益性を最大限に評価してもらえる可能性が高まります。

「収益還元法」の具体的な仕組みや利回りの考え方については、以下の関連記事で分かりやすく解説しています。

【まとめ】失敗を避けるなら「イエイ」で賢く査定を!

失敗を避けるなら「イエイ」で賢く査定をのイメージ

マンションの売却査定を成功させるためには、査定額の妥当性を自分で検証する知識と、信頼できる担当者を選ぶ能力が不可欠です。

査定時には、築年数や立地などの建物の基本情報の他、室内状況、管理体制などが細かくチェックされます。

複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な査定額かどうか、そして安心して売却を任せられる会社かを客観的な根拠に基づいて見極めましょう。

マンション査定を依頼予定の方は、全国1,700社以上の優良業者を簡単に比較することができる「イエイ」にお任せください。

「イエイ」では、優良業者厳選の仕組みによって悪質な会社を排除し、サポート体制も充実しているため、初めて売却する方でも安心して査定を比較できます。

長年培われたノウハウと実績のあるイエイなら、高く売りたい方も早く売りたい方のどちらのニーズにも対応しています。

売却への一歩を踏み出すお手伝いなら、不動産売却一括査定の「イエイ」をぜひご活用ください。

この記事の監修者
檜垣知宏
檜垣 知宏

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。
保有資格:宅地建物取引士