家や土地・マンションなどを売却する際には、不動産会社への仲介手数料が発生します。ここでは、仲介手数料の仕組みと計算方法を詳しく解説していきます。

不動産売却の仲介手数料とは?

不動産の売買は、個人売買を除き仲介業者(宅地建物取引業者)が、売却主と買主の仲を取り持ち(仲介)することで成約します。この、仲介というサービスへの対価として、業法で定められた上限報酬から売主・買主双方に請求するものが仲介手数料です。

不動産売却の仲介手数料とは?

つまり、仲介手数料は成功報酬であり、基本的に成約しなかった場合は支払う必要はありません。また取り引き中に成約に至っても、契約が締結されるまでは業者の請求権はありません。

仲介手数料の支払条件については事前に仲介業者と話しておきましょう。「契約成立時に50%、物件引渡し完了時に残金の50%を支払うなどの取り決めが一般的です。

言われるがまま、ということにならないためにも、あらかじめ取り決めをしておくことをおすすめ致します。

仲介手数料は消費税抜きで計算される

ここで注意することとして、不動産は総額表示で、土地は非課税・建物は課税されているということです。希に仲介手数料の原資になる売買代金のうち、課税されている建物代金を課税したまま、手数料計算をしている場合があります。

仲介手数料は消費税抜きで計算される?

例えば総額表示5,000万円の建売住宅を購入する場合、チラシには土地が3000万円、建物が1,840万円で税込5,000万円となっていることがあります。

つまりこの場合の手数料は、土地代金3,000万円+消費税の課税されていない建物代金1,840万円の合計4,840万円から計算しなければなりません。この場合、5,000万円で手数料計算を行っている場合、その業者は業法違反ということになります。

また仲介手数料以外の料金を、あたかも仲介手数料に含まれているかの様に請求する業者も希にいますので、明細書をよく確認し不明な項目などがあれば必ず確認し、納得のいく取り引きを行ってください。

よくある事例として

中古マンションの仲介で
『今回はなかなか売れずに苦労した。通常よりも多く広告を出したので広告費として30万円追加請求させて頂きました。』

土地の仲介で
『整地して雑草もきれいに採りました。購入されたお客様も喜んでいらっしゃいます。』などといいながら>50万円上乗せされていた

というような事例もあります。もし売主側の同意無しに行ったものに対し請求してくる場合は、きっぱり「この部分は、事前相談がなかったのでお支払いできません」と断りましょう。

不動産売却の仲介手数料の計算方法

仲介手数料は宅地建物取引業法(宅建業法)で上限が定められており、仲介する業者によって上限の差が出ることはありません。それでは詳しく宅建業法により定められた計算方法を確認していきましょう。

仲介手数料は、売買価格によって3つに区分して計算されます。

売買価格別手数料
■売買価格が200万円以下
5%のみが適用

■売買価格が400万円以下
200万円まで5%
200万円を超える残りの額に4%が適用

■売買価格が400万円超
400万円を超える部分については3%が適用

一般的に不動産の仲介手数料は「3%+6万円」というように言われています。この6万円の説明を簡単にしていきましょう。上記の3つの区分は積み上げ式になっています。 つまり250万円なら、上記の3つの区分のうち2つが対象で

250万のうち

200万円まで×5%=10万円
残り50万円×4%=2万円=12万円

これに+8%(消費税)=129,600円

が仲介手数料となります。そして、200万円での1%の差額分は、実は2万円ちょうどで調整できます。

250万円×4%=10万円
+
調整額2万円=12万円
      ↓
12万円に+8%の消費税=129,600円

となり、上の計算式より簡単になります。この要領で計算した場合、200万から400万までの調整額は4万円になります。

つまり、6万円はこの400万円までの3つの区分を調整するため、速算式として調整するための6万円なのです。

同じ仲介手数料(媒介報酬)を計算するのも何通りかの計算方法がありますが、当然ながら結果としては同じ金額になります。

仲介手数料の計算区分

売買価格(税込)200万円以下
料率:5%
調整額:0円
売買価格(税込)200万円を超える部分~400万円まで
料率:4%
調整額:2万円
売買価格(税込)400万円を超える部分
料率:3%
調整額:6万円

150万から4000万までの仲介手数料早見表

この表は売買価格から支払う仲介手数料が、一目で分かるように作られています。希望する売却物件の予想価格で発生する、仲介手数料の概算を知ることも大事ですので、自身の物件の売却時にかかる手数料を想定してみてください。







仲介
手数

(税別
消費
税額

(8%)
支払仲介手数料
(税込)
手数料
計算
根拠
150万円 5% ¥75,000 ¥6,000 ¥81,000 150万円×5%
+消費税(8%)
200万円 5% ¥100,000 ¥8,000 ¥108,000 200万円×5%
+消費税(8%)
250万円 5%+4% ¥120,000 ¥9,600 ¥129,600 (200万円×5%)
+(50万円×4%)
+消費税(8%)
300万円 5%+4% ¥140,000 ¥11,200 ¥151,200 (200万円×5%)
+(100万円×4%)
+消費税(8%)
350万円 5%+4% ¥160,000 ¥12,800 ¥172,800 (200万円×5%)
+(150万円×4%)
+消費税(8%)
400万円 5%+4% ¥180,000 ¥14,400 ¥194,400 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+消費税(8%)
450万円 5%+4%+3% ¥195,000 ¥15,600 ¥210,600 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(50万円×3%)
+消費税(8%)
500万円 5%+4%+3% ¥210,000 ¥16,800 ¥226,800 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(100万円×3%)
+消費税(8%)
600万円 5%+4%+3% ¥240,000 ¥19,200 ¥259,200 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(200万円×3%)
+消費税(8%)
700万円 5%+4%+3% ¥270,000 ¥21,600 ¥291,600 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(300万円×3%)
+消費税(8%)
800万円 5%+4%+3% ¥300,000 ¥24,000 ¥324,000 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(400万円×3%)
+消費税(8%)
900万円 5%+4%+3% ¥330,000 ¥26,400 ¥356,400 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(500万円×3%)
+消費税(8%)
1000万円 5%+4%+3% ¥360,000 ¥28,800 ¥388,800 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(600万円×3%)
+消費税(8%)
1500万円 5%+4%+3% ¥510,000< ¥40,800 ¥550,800 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(1100万円×3%)
+消費税(8%)
2000万円 5%+4%+3%> ¥660,000 ¥52,800 ¥712,800 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(1600万円×3%)
+消費税(8%)
2500万円 5%+4%+3% ¥810,000 ¥64,800 ¥874,800 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(2100万円×3%)
+消費税(8%)
3000万円 5%+4%+3% ¥960,000 ¥76,800 ¥1,036,800 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(2600万円×3%)
+消費税(8%)
3500万円 5%+4%+3% ¥1,110,000 ¥88,800 ¥1,198,800 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(3100万円×3%)
+消費税(8%)
4000万円 5%+4%+3% ¥1,260,000 ¥100,800 ¥1,360,800 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(3600万円×3%)
+消費税(8%)
4500万円 5%+4%+3% ¥1,410,000 ¥112,800 ¥1,522,800 (200万円×5%)
+(200万円×4%)
+(4100万円×3%)
+消費税(8%)

仲介手数料を値引きする不動産業者っているの?

ここに示している仲介手数料(媒介報酬)はあくまでも上限であり、逆に言えば必ず上限でなくてもいいのです。

仲介手数料は売買価格に対して料率で定められているため、同じ売買でも物件価格が高ければ手数料は高額になります。

不動産仲介は物件価格が、高ければ高いほど手数料収入が増えていきます。しかし、業務内容にはさほど違いがない場合があります。

例えば、同じ100万の土地の売買でも地価の高い場所にある物件は当然高い金額で取り引きされ、安い場所であれば売買価格も安くなります。しかし仲介業者が行う業務に、この物件価格程の差はありません。ただし販促には地価により費用の差が出る場合もあります。

つまり、高額になれば手数料は自ずと上がるため、業者側も早く売りたい場合には、仲介手数料を値引きする可能性が十分にあります。また、周辺相場よりも高い物件にも同じことが言えます。

どうしても手数料を安く上げたい場合は、仲介業者に依頼せずに、購入は売主物件購入し、売却では買取業者へ直接買ってもらうという選択もあります。

しかし、購入の場合であれば、新築や建築条件付きなどで選択の範囲が狭くなり、中古物件が欲しい場合などは、物件が見つからないということがしばしばあります。

買取業者に買ってもらう場合は、物件が良ければ手早い取り引きができるかもしれませんが、それでも売却価格は仲介での価格と比べると低くなってしまう可能性があります。なぜなら、業者が買い取り再販するには、市場価格以下でなければ利益が出ないためです。

結果的に、仲介手数料を値切る・払わなくても良いという目先のメリットよりも、親身に相談に乗ってくれ、きちんとした説明してくれる信頼できる業者に依頼することのほうが、メリットがあるのです。

不動産仲介業者の「片手」「両手」「あんこ」ってどういうこと?

これらは、不動産仲介における手数料配分の業界用語です。

不動産仲介業者の「片手」「両手」「あんこ」

両手
■支払う側(売主・買主)2者;もらう側(仲介業者)1社

※売主も買主も1社の顧客なので、両方の依頼主から手数料を独占もらえる
片手
■支払う側(売主・買主)2者;もらう側(売主側仲介業者と買主側仲介業者)2社

※売主には売主の仲介業者が、買主には買主の仲介業者がいるのでそれぞれ片方の依頼主から手数料をもらう
あんこ
■支払う側(売主・買主)2者;もらう側(仲介業者)複数社

※売主に売主の仲介業者が数社、買主に買主の仲介業者が数社いるので合計した手数料すべての仲介業者で案分する、若しくは任意で分けてもらう

売主や買主には全く関係の無い話ですが、実はこの手数料配分が不動産仲介業者の仕事のモチベーションに大きく関わっているのです。

たとえば、【両手】の案件であれば当然モチベーションは高くなり、仕事も順調に進むのではないでしょうか。

逆に【あんこ】であれば、モチベーションは下がり、仲介業者の数が多くなればなるほど時間もかかり、思う様に進まないことがあります。

仲介手数料の値引きより、不動産を高く売れる優秀な業者と付き合おう

不動産業者というと悪いイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。

高額商品を扱う業種のため、悪い部分が強調されていることも多々あるのですが、依頼主の大事な財産に誠心誠意対応してくれる業者がほとんどです。

ただ、仲介手数料で数万から数十万円の値引きを強引にせまられ、手を抜くことを考えてしまう不動産業者がいないとは言い切れません。

そのため、依頼主も手数料値引きよりも、適正な手数料を支払う価値があると思える業者に出会うことが大切なのです。そのためには、実は依頼主の努力も必要になるのです。信頼できる不動産業者を探すことです。

インターネットがない時代、不動産屋は足で回らなくてはいけませんでした。しかし、現代社会においては、インターネットを使い探せる便利な時代になりました。

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