不動産の売買を行った際にかかる仲介手数料は、「売却価格✕3%+6万円」です。 この3%というのは法律で定められている上限ですので、3%以上の仲介手数料を取るということは違法にあたります。そして、それはあくまでも上限ですので2%や1%、極端に言えば0%も法律的には可能です。事実最近では0%、つまり仲介手数料が無料の不動産会社も増えてきました。
ではそのような会社は、どのように成り立っているのでしょうか。
この記事の目次
仲介ではなく買い取ってもらった場合
不動産会社に直接買い取ってもらう場合であれば、仲介手数料がかからないことはイメージしやすいと思います。
メリット
◇周囲に知られずに不動産売却を行えること
◇仲介での取引とは違い、売却後の瑕疵担保責任が免除になり手離れがよいこと
などが挙げられます。急ぎの場合や時間をかけたくない・スムーズに売却を行いたい時にお勧めの売却方法です。
仲介による不動産売却とは違い不動産会社に直接売却する方法では、数日から数週間で売却し現金化することが可能です。不動産会社に直接買い取ってもらうので、仲介手数料が無料になることや売却後にトラブルが起こらないことがほとんどですので、順調に早く売却を行えることは想像しやすいかと思います。
メリットばかりではない
買取の場合は仲介とは違い、基本的に不動産会社による仕入れ・転売することが目的ですので仲介手数料は不要ですが、売却希望額より低くなってしまう可能性もあります。一般的には、直接買い取ってもらう場合の買取価格の相場は市場で出回っている価格の60%前後と言われています。
例えば市場価格が1800万円程度の物件の場合ですと、不動産屋は1080万円の価格で直接買い取ることになります。 人気エリア物件の売却を考えている場合は、少し高めの価格交渉をしてみるのもいいかもしれません。
仲介手数料無料の落とし穴
不動産を売却するにあたって不動産会社に仲介してもらう場合には、基本的に仲介手数料がかかります。
もし「仲介手数料無料」という表記を見つけた場合であってもこれは買手の手数料が無料になるだけであり、売手側の仲介手数料が無料になるということは基本出来にはありません。注意が必要です。
もし売り手側の仲介手数料まで無料にしてしまえば、不動産会社は収入が無い状態で不動産の売却活動をしなければならず、これでは不動産会社は成り立ちません。ですので、「仲介手数料無料」という表記を見つけても注意しましょう。
こうした理由から、買い手側の仲介手数料を無料とした場合でも、売り手側から仲介手数料をしっかり貰うことによって不動産会社は収入を得ているのです。
結果、「仲介手数料無料」を謳っている不動産会社は、あくまで買い手側の手数料が無料であり、売主からはしっかりと手数料を貰っているということを覚えておくと良いでしょう。
本当は仲介手数料無料の不動産会社は存在しないのか
そんなことはありません。現在、仲介手数料無料を実施している不動産会社では、以下のような企業努力が行われています。
1.広告費の大幅な削減
連日のように入る、土地やマンションなどの広告。そのような広告費だけでも相当な金額になりますが、インターネット広告に特化することによって、膨大な広告費の削減を実施している不動産会社も少なくありません。
2.人経費削減
3. 業務の見直し
営業スタイルを見直すことで業務のスリム化を図り、仲介手数料無料を実施している。
このようにして経費削減をすることによって「仲介手数料無料」、または「割引」を実施しているのです。
「仲介手数料半額」とは?
買い手側も売り手側も仲介手数料を無料にしてしまうと、不動産会社の収入がなくなり不動産会社は損をします。
先程も述べましたが、基本的に「仲介手数料無料」と謳っている不動産会社は、買い手側の仲介手数料が無料になるだけで売り手側からは仲介手数料をしっかり貰うことが多いのです。
このようにして不動産売買の際に、片方側(売り手、もしくは買い手)からのみ仲介手数料を取ることを「片手」と言います。
しかしもし売り主側が仲介手数料を安くしたい場合には、「仲介手数料半額」という手段を活用することになるでしょう。 では、この半額とは何を基準にしているのでしょう。
実は仲介手数料には上限というものが存在する
仲介手数料の上限
200万円以下
200万以上~400万以下
400万円以上
が手数料の上限となります。この仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法第46条で定められています。
一般的には上限いっぱいで設定されていますが、それを超えない範囲内で不動産会社が自由に決められます。半額というのは、このパーセンテージ分の手数料に対して半額になるということです。
仲介手数料は、本来話し合いによって法律の定める限度額内で決めるものですので交渉次第で値引きも可能となるでしょう。
両手とは?
仲介手数料無料を実施している不動産会社も中にはありますが、やはりできることなら不動産会社は売り手と買い手両方から手数料を取りたいと考えます。
不動産を売りたいと思っている売り手と不動産を買いたいと思っている買い手、この両者の間を取り持ち仲介するのが不動産会社の役割です。そして無事に不動産が売却できたら、売手と買手の両方から仲介手数料をもらえる場合もあります。この両方から仲介手数料をもらうことが出来る取引を「両手」と言います。
不動産会社としては、仲介手数料を多くもらえるためモチベーションも上がります。結果、売却も順調に進みます。仲介手数料を強引に値引きしてもらうことで不動産会のモチベーションが下がり、物件が売れなくなってしまっては元も子もありません。
本当に大事なのは業者選び
仲介手数料が安くなったり無料なことは、誰でも嬉しいものです。しかし、そのことに固執するあまり本来の売却という目的が満足のいく結果で果たせない可能性があります。
そのため何より大切なことは、仲介手数料を払ってでも誠実に確実に仕事をしてくれる業者を選ぶことです