不動産を所有した時、私達は「固定資産税」を必ず国に納めなければなりません。固定資産税を計算する基になっているのが、固定資産評価額です。
今回は、マンションを購入した際の固定資産税について解説していきます。
この記事の目次
固定資産税とは?
土地や家屋を購入する際に発生するのが固定資産税です。
市町村(東京23区は都)に支払う義務があります。
日本(多くの国)では、土地や建物などの不動産を所有すると毎年固定資産税という税金を市町村(東京23区は都)に払わなければならないのです。
このことは、私達が所有する土地が国の物であるためです。
つまり私たちが不動産売買契約を結び得ているのは、土地の独占的使用権に過ぎないのです。
この他にも、様々な不動産が固定資産税の対象となります
- 賃貸用アパート
- ビル
- マンション
- 畑、田んぼ
- 工場や倉庫
- 店舗
固定資産税
■土地・建物・償却資産にかかる税金のこと
◇毎年1月1日の時点で、土地や建物などの不動産あるいは償却資産を持っている人に対して課税される
◇不動産所有者が納税する固定資産税額は、不動産賃貸の家賃より一般的にはずっと安価
償却資産
■土地・家屋以外の、事業用( 法人・個人事業主 )の資産のこと
◇資産台帳を毎年1月31日までに市町村(東京23区は都)に提出し、それを基に、固定資産評価額が算定 ◇毎年少しずつ減価償却され資産価値が低下していく
◇品目、償却する年数などは政令により定められている
◇自動車は含まれていない
固定資産税は不動産所有者だけが払っているわけではなく、賃貸の建物の場合でも貸主を通じて間接的に固定資産税を払っている(家賃に固定資産税が含まれている)ことになるのです。
そしてそれを元に所有地の周辺環境・衛生・治安・上下水道・電気・あるいは小中学校なども含め、国が整備し管理してくれているのです。
マンションの固定資産税
マンションの場合は、土地部分と建物部分、それぞれに固定資産税がかかり、他の不動産に比べ、建物の課税額が高い傾向にあります。
特に新築マンションの場合は、一戸建てに比べると高くなると言われています。
また、固定資産税は、建物部分に関しては、経年劣化により年を重なるごとに、その価値が下がるため、中古マンションと新築マンションを購入した場合、新築マンションの方が固定資産税は高くなる傾向にあります。
しかし、固定資産税にはいくつか軽減措置の対象となる場合もあります。
この軽減措置は、適用期間が定められているため、この適用期間が終了してしまうと、次の年から、固定資産税が上がってしまいます。
その為、一概に中古マンションよりも、新築マンションの方が、固定資産税が高いとは言えません。
この軽減措置については、下記で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さいね。
固定資産税の軽減措置とは?
固定資産税には軽減措置が適用される場合があります。
ここからは、マンションの場合、どの様な軽減措置があるのかをご紹介していきます。
ちなみに、軽減措置は適用期間があるので、適用期間が終わってしまうと、固定資産税が増加してしまう場合もあります。
新築マンションによる軽減措置
新築マンションの場合軽減措置の対象となります。
内容:建物は固定資産税が2分の1となります。
土地は200㎡以下の部分は固定資産税が6分の1
(超える部分は2分の1)
適用期間:5年間
耐震リフォームを行った場合
耐震リフォームを行った場合も、自治体に申告すれば軽減措置の対象となります。
内容:翌年分の建物の固定資産税が2分の1に減額
適用期間1年間
省エネ改修
住宅の断熱性能を取り入れたり、エネルギー効率の高い機械を導入したりするなど、省エネ改修を行った住宅も、軽減措置の対象となります。
内容:固定資産税が3分の1に減額(120㎡相当分まで)
適用期間:1年間
長期優良住宅
新築の長期優良住宅も軽減措置の対象となります。
内容:固定資産税が2分の1
適用期間:マンション7年間、戸建5年間
条件:令和6年3月31日までに建築か購入すること
住宅の延べ床面積が50㎡以上280㎡以下
長期優良住宅通知書を取得している
長期優良住宅とは?
長期にわたって良好な状態を保てるように、様々な配慮がされている物件のこと。
この長期優良住宅の認定基準は、一戸建てかマンションかによって内容が異なります。
マンションの場合
- 劣化対策
- 耐震性
- 維持管理・更新のし易さ
- バリアフリー性
- 可変性
- 省エネルギー性
- 居住面積
- 災害配慮
- 維持保全計画
- 居住環境
などの条件があります。
マンションの固定資産税の計算方法
ここからは、マンションの固定資産税の計算方法をご紹介していきます。
マンションの場合は先ほどお伝えした通り、土地と建物、それぞれで計算をした分を合算します。
計算方法としては、下記の通りです。
固定資産税=固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)
この固定資産税評価額は、固定資産税を計算する際に基となる評価額のことで、3年に1度見直されています。
固定資産税の評価基準は総務省によって定められています。
新築マンションの固定資産税
建物:2,000万(固定資産評価額)
土地:3,000万(固定資産評価額)
専有床面積:100㎡
新築マンションの場合、先ほどの軽減措置が適用出来るので、
- 建物は2分の1
- 土地は6分の1
の固定資産税が軽減されます。
固定資産税額
建物:2,000万×1.4%×1/2=14,000円
土地:3,000万×1.4%×1/6=70,000円
建物(14,000円)+土地(70,000円)=210,000円
よってこの新築マンションの場合の固定資産税額は210,000円となります。
築6年目以降のマンションの固定資産税
新築マンションの場合の建物の軽減措置の適用期間は5年間となっています。
そこで、築6年目以降の場合固定資産税はどうなるのか、計算していきます。
建物:2,000万(固定資産評価額)
土地:3,000万(固定資産評価額)
築年数:6年
専有床面積:100㎡
年数が経っているマンションの場合「経年減価補正率表」というのを参考にして再計算します。
ここでは、東京都を例に見ていきます。
6年が経過した場合「0.8335」という減価補正率が定められています。
そのため、固定資産税額は
建物:2,000万×0.8335×1.4%=233,380円
土地:3,000万×1.4%×1/6=70,000円
建物(233,380円)+土地(70,000円)=303,380円
よって築6年目以降のマンションの場合、固定資産税額は303,380円となります。
出典:東京都法務省ウェブサイト
経年減価補正率表とは?
建物の場合、築年後の年数の経過によって、建物自体が劣化してしまいます。
それにより資産価値も低下します。
この資産価値の低下も課税上にも反映する必要があるのです。
この損耗状況による減価をあらわしたものが、「経年減価補正率表」になります。
中古のマンションの固定資産税
中古のマンションを購入する場合の固定資産税を知りたい場合は、不動産の仲介業者から、前の所有者が納税した固定資産税額を教えてもらうのが、一番簡単です。
また、市区町村の役所で、固定資産税台帳を閲覧すれば、自分で購入したい物件の固定資産税評価額を知る事が出来ます。
よくある質問
ここからは、マンションの固定資産税に関してよくある質問をご紹介していきます。
固定資産税はいつ納めればいいのか?
固定資産税は1年に1回納める必要があります。
毎年春頃に、市町村から納税通知書が届いたら、その案内にしたがって支払いを行います。
また、納税方法は自治体によりますが、全額一括で納付するか、4回に分けて納付するかを選ぶ事が出来ます。
分割の場合納付期限は、4月7月12月、翌年2月となります。
固定資産税を滞納したらどうなるのか?
固定資産税を滞納してしまった場合、まずは市区町村から督促状が届きます。
督促状が届いた場合は、早急に支払いを行いましょう。
それでも、支払いを行わなかった場合、今度は文書や訪問などによって支払いを行う様に催告されます。
最終的には、不動産を差し押さえられてしまう事になるので、忘れずに、必ず期日までに支払いを済ませるようにしましょう。
固定資産税を払う際に都市計画税を支払う必要もあるのか?
固定資産税を支払う際に、都市計画税を支払う必要がある場合もあります。
この都市計画税とは、都市計画事業や、土地区画事業の費用に充てる事を目的にした市町村税の事です。
所有している物件が市街化区域内にある場合は、都市計画税を支払う必要があります。
マンションは土地と建物に固定資産税がかかる
今回は、マンションの固定資産税について詳しく解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
マンションの特徴としては、土地部分と建物部分、それぞれに固定資産税がかかるという事です。
また、新築の場合や、築年数が経過している場合でも、固定資産税は異なります。
今回ご紹介した様に、それぞれの計算方法を知っているだけで、自分の所有しているマンションの固定資産税はいくらになるのか、大体の目安を知る事が出来るので、ぜひ今回の内容を参考にしてみて下さいね。