この記事でわかること ・空き家を放置してしまうことで起こる3つのリスク |
実家を相続したが、今は空き家になり、「管理が大変で固定資産税も負担に感じる」「売るべきか、貸すべきか・・・どうしたらいいか分からない」そんな風に悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
相続をきっかけに空き家問題に直面される方は、決して少なくありません。
不動産査定と聞くと、「依頼したらしつこく営業されそう」「売ることを前提に話が進んでしまいそう」といったご不安を感じるかもしれません。
しかし、査定は、売却を強制されるものでは全くありません。
"査定"は売却の義務ではなく、最適な未来を選ぶための第一歩です。
この記事では、空き家査定の基本的な知識はもちろんのこと、「査定結果をどう解釈し、次の行動に繋げるか」という判断軸について、専門的かつ丁寧に解説していきます。
記事を読み終える頃には、ご実家に対する漠然とした不安が解消され、「次に何をすべきか」が明確になっているはずですよ。
この記事の目次
なぜ今、空き家の査定が必要なのか?放置による3つのリスク
「もう少し考えてから…」と、行動を先延ばしにされている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、空き家は所有しているだけで、時間と共に様々なリスクが増大していくのが実情です。
まずは、なぜ「今」行動すべきなのか、その理由を3つのリスクから見ていきましょう。
リスク①:固定資産税が最大6倍に「特定空き家」制度
最も大きなリスクは、税金に関するものです。
住宅が建っている土地は、「住宅用地の特例」により固定資産税が最大で1/6に軽減されています。
しかし、管理されずに放置された空き家が、倒壊の危険などがある「特定空き家」に指定されてしまうと、この特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。
「特定空き家」に指定される空き家は以下のような状態を指します。
・今にも倒壊の恐れがある ・建物に落書きや窓が割れている ・動物などが住みついている ・ごみが放置され悪臭や害虫が発生している |
参照:国道交通省
リスク②:資産価値の低下や倒壊・火災など近隣トラブルの危険
空き家は、人が住まないと驚くほど早く劣化が進みます。
・湿気によるカビや腐食
・害虫や害獣の発生
・庭の雑草による景観の悪化
これらの劣化は、当然ながら不動産としての資産価値を下げてしまいます。
さらに、台風による屋根の飛散や、放火、不法侵入といった防犯・防災上のリスクも高まり、万が一近隣に被害が及んだ場合、所有者として損害賠償責任を問われる可能性もゼロではありません。
リスク③:売却したいときにすぐに売れない可能性
「いよいよ売ろう」と決心した時に、すぐに買い手が見つかるとは限りません。
特に地方の物件は、都市部に比べて買い手が見つかりにくい傾向があります。
家の状態が悪化していれば、なおさらです。
問題を先送りにした結果、資産価値が下がりきってしまい、売ることも貸すこともできず、解体費用だけがかさむ…という最悪のケースも考えられます。
これらのリスクを回避するためにも、現状を正確に把握する「査定」が不可欠なのです。
空き家査定の基本【流れ・種類・費用】
では、具体的に空き家の査定はどのように行われるのでしょうか。
ここでは、査定の基本を分かりやすく解説します。
まず査定の流れですが、以下の簡単なステップで進みます。
査定方法は2種類
空き家の査定には、主に「机上査定」と「訪問査定」2つの方法があります。
それぞれの特徴を理解し、ご自身の目的に合わせて選びましょう。
【机上査定と訪問査定の違い】
査定方法 |
特徴 |
メリット |
デメリット |
こんな方におすすめ |
---|---|---|---|---|
机上査定(簡易査定) |
物件情報や周辺の相場データのみで査定額を算出する方法。 |
・スピーディー(最短即日)
|
・査定額の精度は低い
|
・まずはおおよその相場観を知りたい
|
訪問査定(現地調査) |
不動産会社の担当者が実際に現地を訪れ、建物の状態や周辺環境を確認して査定額を算出する方法。 |
・査定額の精度が高い
|
・時間がかかる(結果まで1週間程度)
|
・具体的に売却を検討している
|
まずは判断材料を集めたいという段階であれば、複数の会社に「机上査定」を依頼し、大まかな相場観を掴むのがおすすめです。
その中で信頼できそうな会社が見つかれば、次のステップとして「訪問査定」を依頼するのが効果的です。
また、以下の記事では机上査定の方法や流れをより詳しく説明しています。
机上査定を依頼することを検討している方は、こちらも参考にしてみてください。
地方の空き家を査定したい場合は、オンライン査定もおすすめ
地方にある空き家を査定したい場合、現地に行かなくても、査定は可能です。
机上査定はもちろんオンラインで完結しますし、訪問査定の場合でも、事前に不動産会社に鍵の場所を伝えたり、ご親族に立ち会いを依頼したりすることで対応できます。
遠隔地の空き家査定に慣れている不動産会社も多いので、まずは相談してみましょう。
査定にかかる費用は無料?有料査定との違い
不動産会社が行う査定は、原則として無料です。
これは、査定が将来の売却仲介(=不動産会社の収益)に繋がるための営業活動の一環だからです。
後から費用を請求されることはまずありませんので、安心してご依頼ください。
一方「不動産鑑定士」が行う「不動産鑑定」は有料となります。
こちらは法的な効力を持つ公的な評価書を作成するためのもので、裁判や遺産分割協議で正確な資産価値の証明が必要な場合などに利用されます。
売却を検討するための査定であれば、無料査定で全く問題ありません。
以下の記事では、査定が無料である理由について詳しく紹介していますので、こちらもぜひチェックしてみてください。

空き家の査定は本当に無料?依頼の流れや有料査定との違いを徹底解説
空き家査定を依頼する際に必要な書類
空き家の査定を依頼する際は、書類が必要となる場合があります。
机上査定・訪問査定によって必要となる書類の種類が変わりますので、不動産会社に査定の申し込みをする際は、これから紹介する内容を事前にチェックしましょう。
机上査定(簡易査定)に必要な書類
机上査定は、書類がなくても依頼することが可能です。
しかし、より正確に査定してほしいと考えているのであれば、以下の書類を事前に用意しておくとよいでしょう。
書類の名称 | どんな書類か | 書類の入手先 |
---|---|---|
登記簿謄本 (登記事項証明書) |
不動産の所有者が誰かわかるほか、不動産の広さや所有権以外の権利についても把握することができる書類。 | 法務局またはオンライン申請(※)で取得可能。 |
公図 | 地番や接道状況を把握することができる書類。 | 法務局またはオンライン申請(※)で取得可能。 |
建物図面 | 建物や土地の形状、面積を把握することができる書類。 | 法務局またはオンライン申請(※)で取得可能。 |
所有者の身分証明書 | 本人確認することができる書類。 | 運転免許証やマイナンバーカードなど個人で取得しているもので可能。 |
※:書類のオンライン申請は、法務局ホームページで可能。
身分証以外の書類は、法務局やオンラインで申請することで取得が可能ですが、場合によっては不動産会社側で用意してくれることもあります。
不動産会社に依頼する際に尋ねてみるとよいでしょう。
訪問査定に必要な書類
訪問査定を依頼する際は、上記で紹介した机上査定で必要となる書類と合わせて、以下の書類も必要となります。
書類の名称 | どんな書類か | 書類の入手先 |
---|---|---|
固定資産税の課税明細書 | 固定資産税の課税状況や不動産の現況が把握できる書類。 | 毎年4~6月頃に不動産の所有者宛てに市区町村役場から郵送される。 |
所有者の実印・印鑑証明書 | 査定には直接影響されないが、実際に売却することになった場合に必要な書類。 | 印鑑証明書は役場・コンビニで取得可能。 |
登記識別情報通知または登記識別情報 | 不動産の登記人名義であることを証明することができる書類。 | 不動産購入時に交付済み。 紛失した場合は、法務局や司法書士へ要相談。 |
購入時の売買契約書 | 購入時期や売買代金、土地や建物の権利関係などを把握できる書類。 | 不動産購入時に取得済み。 |
住宅ローン返済予定表・残高証明書 | 不動産の売却代金で住宅ローンの返済が可能か把握できる書類。 | 金融機関のHPや郵送で取得可能。 |
これらの書類も査定の時点では、絶対に必要というわけではありません。
しかし、空き家の売却を本格的に検討しているのであれば、査定を依頼する時点で用意しておくと今後の手続きに余裕が持てるでしょう。
特に購入時に取得済みの売買契約書は、査定額を決める重要な情報が記されているため、依頼する前に探して用意することをおすすめします。
査定結果の見方【空き家の価値を正しく知るポイント】
複数の会社から査定結果が届くと、その金額の違いに驚くかもしれません。
ここでは、査定額を冷静に判断するための重要なポイントをお伝えします。
不動産会社によって査定額が違う理由
査定額に差が出る主な理由は以下の通りです。
・評価する重点ポイントの違い(土地を重視するか、建物を重視するか等)
・販売戦略の違い(高値でも時間をかけて売るか、早期売却を目指すか)
・得意な物件種別やエリアの違い
・契約を取りたいがための、意図的に高い査定額の提示(「囲い込み」と呼ばれる悪質なケースも)
重要なのは、査定額=売却価格ではないということです。
査定額はあくまで「このくらいの価格で売れるでしょう」という不動産会社からの提案に過ぎません。
高い査定額に惑わされずに見るべきは「価格の根拠」です。
最も高い査定額を提示した会社が、必ずしもベストなパートナーとは限りません。
本当に見るべきなのは「なぜ、その査定額になったのか?」という明確な根拠です。
査定結果の説明を求める際に「近隣の〇〇という物件が、最近△△万円で成約したので…」 「このエリアは再開発の計画があり、将来性を見込んで…」 といったように、客観的なデータや専門的な知見に基づいて、論理的に説明してくれる担当者は信頼できます。
逆に、根拠が曖昧なまま高い金額だけをアピールしてくる場合は注意が必要です。
ボロボロで荷物が残っている家、査定額の影響は?
空き家の査定なので、中には状態が悪かったり、また実家の荷物がそのまま残っているケースもあるかも知れません。
しかし、どのような状態でも査定は可能なので、安心です。
もちろん、建物の状態が良ければ査定額は高くなりますが、築年数が古い空き家の場合、不動産会社は「古家付き土地」として、主に土地の価値を評価します。
そのため、「建物がボロボロだから価値がない」と諦める必要はありません。
また、家の中に荷物が残っている状態でも査定はできます。
ただし、訪問査定の際には、担当者が室内を確認できるよう、ある程度片付けておくと良い印象を与え、査定がスムーズに進みます。
不動産の査定時に見られるポイントについては、以下の記事で詳しく紹介しているのでこちらもよく確認してみてくださいね。

【完全版】一戸建ての査定はズバリここが見られる!11個のポイントを徹底紹介!
査定額が出たら考えるべき3つの選択肢【売却・賃貸・解体】
さて、ご実家の客観的な価値が分かったら、いよいよ今後の方向性を具体的に検討するフェーズです。
ここでは「売却」「賃貸」「解体」の3つの選択肢を、様々な角度から比較検討します。
どの選択肢が最適かは、何を最も重視するかによって変わります。
これらの判断軸を持ちながら、以下の比較を見ていきましょう。
【選択肢①:売却】メリット・デメリット
メリット |
・まとまった現金が一度に手に入る ・管理の手間や固定資産税の負担から完全に解放される ・将来的な価値下落のリスクがなくなる |
---|---|
デメリット |
・大切な実家が人の手に渡る ・売却益がでると譲渡所得税がかかる |
【売却が向いている方】
・今後、その空き家を利用する予定が全くない方
・管理の負担からすぐに解放されたい方
・まとまった資金を必要としている方
【選択肢2:賃貸】メリット・デメリット
メリット |
・毎月安定した家賃収入が期待できる(不労所得) ・資産として持ち続けられる ・将来、自分や家族が住むという選択肢も残せる |
---|---|
デメリット |
・貸し出す前にリフォーム費用がかかる場合が多い ・空室リスクや家賃滞納リスクがある ・入居トラブルなど、管理の手間がかかる(管理会社への委託も可能) |
【賃貸が向いている方】
・物件の立地がよく、賃貸需要が見込める方
・初期費用(リフォーム費用など)をかけられる方
・継続的な収入源を確保したい方
【選択肢3:解体して更地にする】メリット・デメリット
メリット |
・倒壊など建物が原因のトラブルのリスクがなくなる ・買い手の利用用途が広がるため、売りやすくなる場合がある ・土地の管理が楽になる |
---|---|
デメリット |
・高額な解体費用※がかかる ・更地にすると固定資産税の軽減措置がなくなり、税額が上がる ・解体費用を売却価格で回収できない可能性がある |
【※解体費用の相場】
木造で1坪あたり3~5万円程度
【解体して更地にするのが向いている方】
・建物が著しく老朽化し、倒壊の危険がある方
・買い手がなかなか見つからないが、土地の需要は見込める方
一目でわかる!3つの選択肢の比較表
項目 |
売却 |
賃貸 |
解体して更地売却 |
---|---|---|---|
収益性 |
◎ |
〇 |
△ |
スピード |
〇 |
△ |
△ |
手間 |
◎ |
△ |
〇 |
初期費用 |
△ |
✕ |
✕ |
税金 |
△ |
〇 |
△ |
また、古家付き土地の場合は買取という選択肢もあります。
下記の記事では、古家付きの買取がおすすめの理由を解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

古家付き土地の売却は買取がおすすめ!買取に適している古家や買取手順を解説
信頼できる不動産会社の選び方
どの選択肢を選ぶにせよ、良い不動産会社をパートナーにすることが成功のカギです。
ここでは、営業への不安を解消し、信頼できる会社を見つけるための実践的な方法をお伝えします。
大手と地元密着型どちらの不動産会社がいい?
不動産会社は主に「大手」と「地元密着型」の2種類があります。
まずは、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
【大手不動産会社】
メリット |
・広告力があり、広いネットワークで買い手を探せる。 ・教育体制が整っており、担当者の対応が安定している。 |
---|---|
デメリット |
・地方のニッチな情報には疎い場合がある。 |
【地域密着型の不動産会社】
メリット |
・その地域の情報や相場に精通している。 ・地元の顧客を抱えていることがある。 |
---|---|
デメリット |
・広告力や販売網は限定的 |
どちらの不動産会社に依頼するか迷う際は、まずは両方のタイプの会社から話を聞いてみることをおすすめします。
特に地方の物件の場合、地元の情報に強い会社が思わぬ買い手を見つけてくれることもあります。
査定時に要チェック!信頼できる担当者を見極める5つの質問
良い会社かどうかの判断は、最終的には「担当者」で決まります。
査定を依頼した際には、以下の質問を投げかけてみてください。
①「この査定額の根拠を、具体的に教えていただけますか?」
②「もし売却をお願いする場合、どのような販売活動を計画されますか?」
③「このエリアで、最近売れた似たような物件の事例はありますか?」
④「御社の強みや、他の会社との違いは何ですか?」
➄「売却以外に、賃貸や他の活用方法についても相談に乗っていただけますか?」
これらの質問に対し、誠実に、そしてプロとして的確に答えられる担当者は信頼できる可能性が高いです。
しつこい営業の上手な断り方とコミュニケーションのコツ
万が一、しつこい営業にあった場合でも、毅然とした態度で断れば問題ありません。
【断る際のポイント】
・理由を明確に伝える ・感謝を伝える ・メールで断る |
大切なのは、「今は情報収集の段階である」というこちらのスタンスを最初に伝えておくことです。
そうすれば、ほとんどの優良な会社は、こちらのペースを尊重してくれます。
また、それでも営業が止まらない場合や、自分で断るのが苦手な方には、不動産一括査定サービス「イエイ」の「お断り代行サービス」の利用をおすすめします。
イエイの加盟店以外に対しても連絡を代行することができるので、しつこい営業にお困りの方はお気軽にご相談ください。
空き家を高額査定してもらうためにやるべき3つつのポイント
先述の通り、空き家の査定では不動産会社選びが非常に重要ですが、それに加えて適正な金額でかつ高額で査定してもらえるようにすることも大切です。
空き家を高額査定してもらうためには、以下3つのポイントを押さえましょう。
①査定の依頼前に相場を調べる
査定を依頼する前に空き家の相場を調べることで、所有している空き家がどれくらいの価値なのか把握することができます。
空き家を査定することを検討している方の中には、自分の空き家の価値がわからない方が多いでしょう。
事前に相場を把握しておくことで、査定額が妥当か判断しやすくなります。
相場を調べる方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
②複数の会社に査定を依頼する
空き家の査定を依頼する際は、1社だけではなく複数の不動産会社に申し込みましょう。
空き家の査定額は、不動産会社によって大幅に異なることもあります。
そのため、3〜5社程の複数の不動産会社に依頼して、査定額を比較することをおすすめします。
また、査定額だけではなく、不動産会社の担当者の人柄や対応、サポート内容も比較して、信頼できる不動産会社を見つけましょう。
以下の記事では、相見積もりをおこなうべき理由や重要さについて紹介しているので、査定を依頼する際はぜひこちらもお読みください。
③空き家の状態を事前に詳しく伝える
空き家を高額で査定してもらいたいと考えているのであれば、査定前に不動産会社に空き家の状態を詳しく伝えるようにしましょう。
特に机上査定は、直接物件を確認して査定が進められるわけではないので、その分詳しい情報を伝えることでより正確な査定額を算出してもらえる可能性が高まります。
また、査定する空き家に良い部分があれば、その部分をアピールすることで高額査定につながる可能性があります。
細かく伝えるのは面倒かもしれませんが、できるだけ精度の高い査定をしてもらうためにも詳細な状態を伝えましょう。
知らないと損する事も!空き家に関わる税金の知識
不動産、特に相続が絡むと税金の話は避けて通れません。
税金と聞くと難しいと感じる方も多いかも知れませんが、知らないと損をしてしまう可能性もあります。
ここでは、最低限知っておきたい税金のポイントを分かりやすく解説します。
売却時にかかる「譲渡所得税」の基本と計算方法
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税と住民税がかかります。
計算式:譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用) |
・取得費: その不動産を購入したときにかかった費用。不明な場合は、売却価格の5%で計算できます。
・譲渡費用: 売却のためにかかった費用(仲介手数料など)
この譲渡所得に対して、所有期間に応じた税率がかけられます。
詳しい計算方法は下記で解説していますので、参考にしてみてくださいね。
【節税の要】空き家特例は使える?
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる非常に有利な特例があります。
つまり、売却益が3,000万円以下であれば、譲渡所得税はかかりません。
【あなたのケースで使えるか?簡単チェックリスト】
□ 相続で取得した家である
□ 相続開始の直前まで、亡くなった親が一人で住んでいた
□ 昭和56年5月31日以前に建築された家ではない(または耐震リフォーム済み)
□ 売却代金が1億円以下である
□ 家を解体して売るか、そのまま(耐震基準を満たした状態で)売る
これらの要件は複雑なため、最終的には不動産会社や税務署への確認が必要ですが、ご自身の状況が当てはまるか、ぜひ一度ご確認ください。
参照:国税庁(被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)
相続税を払い過ぎていませんか?取得費加算の特例とは
たとえば、相続で空き家を受け継いだあとに売却した場合、支払った相続税の一部を不動産の「取得費」に上乗せできる制度があります。
これが、「取得費加算の特例」と呼ばれるものです。
この制度を活用すると、売却益(譲渡所得)を抑えることができるため、結果的に納める税金を軽くできる可能性があります。
税務のルールは一見わかりにくいですが、こうした特例を正しく使うことで、無駄な納税を防げるかもしれません。
ご自身のケースが該当するかどうか、不動産会社や税理士などに確認してみると安心です。
【あなたのケースで使えるか?簡単チェックリスト】
□相続や遺贈で財産を受け継いでいる
□相続税の申告期限から3年以内にその不動産を売却した
□相続を受け取った人が実際に相続税を支払っている
参照:国税庁(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
空き家査定を依頼する際の注意点
空き家の査定を依頼する際は、以下の点に注意しなくてはなりません。
・名義が違う場合は必ず変更する
・物件の不具合等は隠蔽しない
・査定する前にむやみにリフォームをしない
名義が違う場合は必ず変更する
空き家の名義が違う場合は、必ず変更しましょう。
特に相続した空き家の場合は、名義が親のままだったということもよくあります。
名義が違うままだと、空き家の購入希望者が見つかっても売却手続きを進めることができなくなるので、査定を依頼する段階で変更することをおすすめします。
また、2024年4月から相続登記が義務化され、相続で不動産を取得した場合はこれをおこなう必要があります。
もし申請を怠ってしまうと、10万円以下の罰金が科される可能性がありますので忘れずに申請しましょう。
以下の記事では相続登記の流れについて解説しているので、申請する際はぜひ参考にしてみてください。
物件の不具合等は隠蔽しない
できるだけ高額で査定してもらいたいがために、空き家の不具合を報告しない方も少なくはありません。
しかし、査定する空き家の不具合を隠蔽してしまうのはNGです。
具体的な不具合として以下のものが挙げられます。
・外装・内装の状態が修復できないくらい悪い ・シロアリなど害虫の被害がある ・雨漏りしている ・給排水管が壊れている ・物件内で事件や事故が起きたことがある など |
これらの不具合を意図的に隠蔽したことが売却後に発覚すると、損害賠償を請求されるなどトラブルに発展してしまうリスクがあります。(契約不適合責任)
査定の段階で必ずこれらの不具合を明確に伝えるようにしましょう。
査定する前にむやみにリフォームをしない
少しでも空き家の印象を良くしたいと思い、査定前にリフォームを検討する方もいるでしょう。
しかし査定前にリフォームをしてしまうと、逆に売れにくくなってしまうこともあります。
空き家の購入希望者の中には、あえて古い物件を購入して、後ほど自分好みにリフォームをしたいと考えている方もいます。
また、空き家が建っていた場所を更地にすることで、新築を建てたいと考えている方がその土地の購入を検討することもあります。
このようなケースの場合、リフォームをすることでかえって空き家が売れにくくなってしまうほか、リフォーム費用などの無駄なコストもかかってしまいます。
コストをかけず売れやすくするためにも査定前にむやみにリフォームをするのは避け、もしリフォームをしたい場合は、不動産会社の担当者に相談すると良いでしょう。
空き家査定に関するよくあるご質問
最後に、多くの方が疑問に思われる点をQ&A形式でまとめました。
【空き家査定に関するよくある質問】
Q.査定をしたら、必ずその会社と契約しなければいけませんか?
Q. 近所に知られずに査定することは可能ですか?
Q.査定額に納得いかない場合はどうすれば良いですか?
Q.築年数が古すぎて査定で値がつかない. どうすればいい?
Q.事故物件でも売却できる可能性はあるの?
Q.査定をしたら、必ずその会社と契約しなければいけませんか?
A. いいえ、その必要は全くありません。
査定はあくまで提案です。
複数の会社の提案を比較検討し、ご自身が納得できる会社が見つかるまで契約する必要はありません。
Q. 近所に知られずに査定することは可能ですか?
A. はい、可能です。
机上査定であれば、誰にも知られることはありません。
訪問査定の場合でも、事前に不動産会社にその旨を伝えておけば、社名のない車で訪問するなど、最大限配慮してくれます。
Q.査定額に納得いかない場合はどうすれば良いですか?
A.査定額の根拠を詳しく聞いてみましょう。
それでも納得できない場合は、別の不動産会社にセカンドオピニオンを求めることをおすすめします。
一括査定サイトなどを利用して、複数の視点から評価してもらうことが重要です。
Q.築年数が古すぎて査定で値がつかない、どうすればいい?
A.以下の方法で対処するのが一般的です。
・相続放棄をして手放す
・相続したうえで解体し処分する
空き家を放置してしまうと、固定資産税が高くなったり、近隣トラブルに発展したりするリスクが生じる可能性があります。
こうしたリスクを避けるためにも、相続放棄や解体処分をして速やかに空き家を手放すことをおすすめします。
Q.事故物件でも売却できる可能性はあるの?
A.売却できる可能性はあります。
一般的な不動産会社で取り扱ってくれる可能性は低いですが、訳あり物件専門の業者に依頼することで買取をしてくれる場合があります。
事故物件だけでなく、老朽化した空き家やゴミ屋敷、再建築不可物件なども対応してくれる場合があるので、こうした空き家を所有していても諦めずに査定の依頼をしてみましょう。
査定で価値を知り、後悔のない第一歩を踏み出しましょう
ここまで、空き家査定の基本から、査定後の選択肢、信頼できる不動産会社の選び方まで、詳しく解説してきました。
改めて、この記事の重要なポイントを振り返ります。
・空き家の放置はリスク大。 まずは現状把握のための「査定」から始めましょう。 ・査定は「売るため」ではなく「知るため」の手段。 ・査定額の高さだけでなく「価格の根拠」を説明してくれる会社が信頼できます。 ・査定後は「売却」「賃貸」「解体」の選択肢を、ご自身の判断軸で比較検討しましょう。 ・税金の特例を知らないと損をする可能性も。特に「3,000万円特別控除」は要チェックです。 |
相続されたご実家は、単なる不動産ではなく、ご家族との思い出が詰まったかけがえのない場所だと思います。
だからこそ、その未来をどうするかは、焦らず、しかし着実に、そして何よりご自身が納得できる形で決めることが大切です。
そのための、後悔のない第一歩は、ご実家が持つ客観的な価値を正確に知ることです。
まずは、複数の不動産会社に無料で査定を依頼できる「一括査定サイト」などを活用して、ご実家の「現在地」を把握してみてはいかがでしょうか。
そこから、きっと最善の道筋が見えてくるはずです。