人口減少の影響で、空き家は年々増えつつあり、2013年時点で約820万戸もの空き家があるといわれていました。そのうちきちんと管理されておらず、老朽化した物件は約105万戸あります。空き家等対策の推進に関する特別措置法が制定されたことで、こうした空き家がどうなるのかについてご説明します。

行政代執行ってなに?

行政代執行とは、立ち退き義務や撤去義務など行政上の義務を果たさない人に代わって、行政機関が強制的に執行することです(行政代執行法2条)。たとえば、営業の許されていない場所で店舗を構えた人に対して再三注意したにもかかわらず、一向に立ち退かない場合に、店舗を破壊して店主を退去させることも行政代執行のひとつです。

行政代執行が認められるのは、代替的作為義務の不履行が認められ、行政指導などほかの手段によって履行させることが困難で、その状態を放置することが著しく公益に反する場合です。 代替的作為義務とは、他人が代わってなすことができる行為です。

このため、予防接種を受ける義務のように、特定の人物が果たすことに意味がある場合(非代替的作為義務)、不履行が認められても行政代執行を行うことはできません。同様に、駅前でバンド演奏をしない義務のように「~しない」ことが求められている場合も認められません。

また、行政代執行は公権力が一私人を無理やり従わせる威力のある手段なので、市民が安心して暮らすためにも、適用範囲は制限されていなければなりません。このため、できるだけ行政指導によって任意の協力を求めることが好ましいとされています。

その結果、行政代執行を実施できないまま10年近く経過することも珍しくありません。

行政代執行が適用されたケース

ゴミ屋敷強制撤去

異様な臭いを放ち、近隣住民にも多大なる迷惑をかけるゴミ屋敷。ゴミが道路にまではみ出ていれば万一火事が起きたときにも消防車が駆けつけることができず、取り返しのつかない事態に発展するかもしれません。2015年11月13日に京都市で、ごみ屋敷対策条例に基づき私道など屋外に置かれた物を代執行で強制撤去する事例が発生しました。

公有地ではなく私有地の強制撤去は全国的にも初めてのことでした。この事例において、近隣住民から寄せられた相談で市が問題を把握したのは、行政代執行の6年前の2009年12月のことでした。その6年間にわたって、市はその家を100回以上訪問し、約60回面会を実施しましたが、家主は「これは財産だ」と言い張り、一向にゴミを撤去しようとはしませんでした。

困り果てた近隣住民の声に応えるために市保健福祉局が約2時間かけて行政代執行を行ったところ、軽トラック6台分のゴミが収集されました。

高速道路の立ち退き

そのほかには、高速道路を建設するにあたってミカン園の一部が妨げとなっていたところ、行政代執行で土地を強制収用した事例があります。土地の所有者である男性を抱えて移動させた場面が衝撃的で、記憶に残っている方も多いかもしれません。

このように行政代執行は、公益性が高い一方で、処分を受ける人には重大な影響を与えます。

行政代執行は他人事じゃない!空き家対策特別措置法

2014年11月「空き家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空き家対策特別措置法)が成立しました。その翌年の5月26日に施行されています。
この法律にいう「空き家」とは、長期間人が出入りしておらず、水道や電気も使用していない建築物のことです。

荒れ放題で明らかに管理されていない建築物であっても私有地である以上、所有者の許可なしに立ち入ることはできません。しかし、空き家の状況によっては倒壊のおそれや景観上の影響、害虫の増殖などの衛生上の問題が発生することがあります。

このような問題のある空き家を「特定空き家等」といい、その所有者に対して改善のために必要な措置を命じることができます。より具体的には市町村は、助言・指導・勧告といった行政指導を行い、改善されない場合には改善命令を出します。改善命令に背くと最大50万円の罰金を科されることがあります。

また、命令に反する状態が続くと、行政機関が所有者に代わって代執行を行うこともあるので注意が必要です。
たとえば、樹木が鬱蒼と茂っている場合には伐採できますし、倒壊のおそれのある建物については解体することができます。

助言、指導、勧告、命令の順で処分が重くなっていきますので、助言や指導がなされた段階で従うことが望ましいと言えます。

費用は所有者負担!所有者不明でも執行できる

行政代執行で実行される義務は、本来所有者が担うべきものなので、代執行に要した費用は所有者が負担します(行政代執行法6条)。木造の建築物であれば撤去するために1坪あたり4万円ほど必要なので、その費用は安いとは言えません。そのすべてを行政が担うことは困難です。

この費用は税金ではありませんが、国税滞納処分の例により、徴収されます。支払いを滞納すると、最終的には財産を差し押さえられてしまいます。

空き家の所有者が不明でも行政代執行を行うことはできますが、行政機関は固定資産課税台帳や法務局の登記情報などを用いて所有者を特定しようとします。それでも判明しない場合や所有者が既に亡くなっている場合には、費用が行政負担になります。

2015年5月から2016年10月までに22件の強制撤去が行われました(撤去費約4,802万円)が、所有者側に費用請求したのはわずか7件だけでした。

たとえば2015年3月に神奈川県で実施された行政代執行では、所有者が既に亡くなっており相続人も相続放棄したため、その費用を行政が負担しました。公益性の観点からそのまま放置することはできませんが、行政にとっては重い負担となることが見込まれます。

空き家を持っている人が押さえておくべきこと

たしかに更地よりも空き家が建っている土地のほうが評価は低いため、固定資産税は安くなります。しかし、特定空き家と認定され勧告がされると、固定資産税の軽減特例は解除されます。そうなると、最大6倍の税金を支払う必要が生じます。

このため、いつまでも空き家を残しておけばいいとは言えません。人が住まなくなると家はあっという間に老朽化していきます。雑草が生え、瓦や壁がボロボロになり、見る影がなくなっていきます。ネズミなどの住処となってしまえば近隣住民に迷惑をかけてしまいます。もし倒壊などによって誰かにケガをさせてしまうと、治療費などを請求されてしまいます。

空き家を放置することにメリットは何もありません。

自治体によっては老朽家屋の解体費用について助成金が支払われることがあります。住んでいる自治体で助成金制度があるのかをチェックしてみると良いでしょう。
また、誰かが住めるようにリフォームをして賃貸する手もあります。いくつかの民間企業が中古住宅の「てこ入れサービス」を展開しているので、有効活用する方法を模索してみても良いでしょう。

少なくとも倒壊のおそれがないかどうかは定期的にチェックしたほうが良いと言えます。遠方のため定期的にチェックすることができないなら、不動産を相続によって譲り受けた時点で放棄してしまう選択肢もあります。

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まとめ

行政機関が代わりに義務を果たす行政代執行。
空き家をそのままにしておくと、たとえば撤去義務を代執行されて費用だけを請求されるかもしれません。そうならないために、相続した時点で放棄するか、リフォームして誰かに賃貸するか、少なくとも定期的に状況をチェックしなければなりません。

撤去費用など代執行に要したお金を支払わなければ、財産を差し押さえられる危険性もありますので、空き家の管理には十分に留意しておきましょう。