土地を売却する際のポイントは、家やマンションなどの建物の場合とは少し異なります。土地を売る時のために、正しい知識を身につけておきましょう。
この記事の目次
土地売却の流れ
①書類等の事前準備
売却を考えている土地に関する書類や本人確認書類は事前に準備しておきましょう。
準備に時間がかかる書類もあるため、なるべく早い段階で用意しておくと売却をスムーズに進めることが出来ます。
不動産の売却に必要な書類は
・身分証明書
・実印
・印鑑証明書
・住民票
・登記権利書or登記識別情報
・固定資産税納税通知書or固定資産税評価証明書
・土地測量図・境界確認書
などです。
それぞれを詳しく解説していると長くなってしまいますので以下の記事にまとめています。
②不動産会社への査定依頼
準備が整ったら、不動産会社に査定依頼をしましょう。
不動産会社によって査定金額に大きな差がつく場合があるので、複数の不動産会社(4~5社以上)に査定依頼して比較することが大切です。
複数の不動産会社に査定依頼をする場合は、インターネットでの一括査定サービスの利用をおすすめします。
また、不動産会社によって得意な物件種別が異なりますので、土地の売却が得意な不動産会社に査定依頼するようにしましょう。
イエイの不動産一括査定サービスでは、ご入力いただいた物件情報・エリアに応じて対応できる不動産会社をご紹介致します。ぜひご活用下さい。
③媒介契約締結
各不動産会社から査定価格が提示されたら、比較した上で納得ができる不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約は「一般媒介契約」「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」の3種類があります。
それぞれの契約でメリット・デメリットがあるのでしっかり確認した上で選択しましょう。
④販売活動
媒介契約締結後、売出し価格を決定した上で、不動産会社による販売活動が開始されます。
不動産ポータルサイトへの情報掲載やチラシのポスティング等を行って購入希望者を募り、見学の案内をします。
売地は建物などもないため、売主は見学に立ち会う必要はなく、不動産会社に任せることがほとんどです。見学が始まる前に、土地の手入れや草木の伐採、ゴミの処理などして見栄えを良くしておきましょう。
⑤売買契約締結
購入希望者が現れ、お互いに価格や条件面などの合意が得られたら、売買契約を締結します。
売主・買主・仲介した不動産会社が集まり、契約内容を確認した上で調印・手付金の支払いを行います。
⑥決済・引き渡し
土地の引き渡しと同時に、手付金を除いた残金の決済を行います。
買主が住宅ローンを利用して購入する場合は金融機関で引き渡し手続きをする場合もあります。
また、土地売却をして利益が出た場合は、譲渡所得税が発生するので確定申告をする必要があります。
不動産仲介業者に依頼するまえに土地についての情報収集を
土地売却の流れを把握した上で、不動産会社に査定を依頼する前に、必ずやっておいた方がいいことがあります。それは
「どのように土地の価格が決まるのかを知っておくこと」
です。
もちろん、自身所有の土地なので何となく相場の想像はできるかもしれません。しかし、実際に売るとなれば話は別です。土地には様々な条件や状態により、価格を左右します。
所有する土地の詳しい情報と、相場観を身につけておきましょう。そうすることで、仲介業者に依頼時や、今後の取り引きの交渉の際強い武器になります。
特に不動産の中でも「土地」というのは、何よりも資産価値が高いのです。
自分でできる情報収集はしっかりと
詳しい情報
土地の「詳しい情報」には
◇接道やその方角、その前面で接する長さ
◇道路の種類や幅員
◇地形
◇勾配やのり面の有無
◇建ぺい率
◇容積率
◇用途地域(都市計画)や高さ制限
◇斜線制限
◇日影規制
◇防火地区
など、たくさんあります。これらが、価格に大きな差を生み出します。ではどのように、「詳しい情報」や「相場観」をつかめばいいのでしょうか?
土地だけに限らず、不動産売買取引の際は必ず重要事項説明書という契約書類がありますが、この中に「詳しい情報」が記載されています。もし過去の契約書類があるようであれば、ぜひ目を通しておきましょう。
1.地目
これは、土地利用目的をいいます。一般的に、居住する土地は「宅地」です。他にも、「田」「畑」「山林」「墓地」「原野」「雑種地」などがあります。
2.接道・前面道路
とても大事な項目です。接道によっては、建物が建てられないことがあるためです。
土地が道路に面していない土地は袋地【ふくろち】といい、その周りにある建物を囲繞地【いにょうち】と言います。都市計画区域内のものであれば、幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければ建築はできないという決まりがあります。
また、接道していても最低2メートル以上の幅員の通路を確保できていないと建築できず、その単体の土地の価値としてはとても低くなります。
3.建ぺい率と容積率
これも、重要です。土地の面積に対して建てられる広さ(建ぺい率)高さ・延床面積(容積率)が決められたものです。
同じ面積の土地でも、この建ぺい率と容積率が違えば建てられる建物の大きさは、かなり違ってきます。2階建てを建てられるのか?3階建てが建てられるのか?これらは、建築基準法に基づく制限です。
4. 用途地域(都市計画)と付随事項
用途地域とは「この地域は住宅街」、「商業地域」などと、取り決めのある地域の事です。これに付随して、高さ・斜線・日影規制があります。
用途には住居系と商工業系があります。
広く、高く建築できる用途地域は資産性が高いですが、一方で市街地に近く落ち着いた環境で住みたい人にはマッチしないため居住用の戸建てには合わないなど、用途地域ごとに土地の最適な利用方法は異なります。
相場観
次は「相場観」です。先述の、土地の詳しい情報をもとに、相場を確認します。
まず「公示地価」と呼ばれる「不動産売買の指標になる価格」を調べてみます。
公示地価の調べ方
調べ方はとっても簡単です。ネットで『公示地価』と検索してください。「標準地・基準地検索システム、国土交通省地価公示・都道府県地価調査」という国土交通省のページが出ます。知りたい場所に近いところまで進み、確認してみてください。ここで、詳しい情報が役に立ちます。
土地の、前面道路の事や都市計画(用途地域)、建ぺい率・容積率が掲載されています。これらを照らし合わせることで、知りたい情報により近づけるのです。
近隣の相場
次に、近隣で取引されている土地の価格の調べ方ですが、これもネットで検索するのが一番早いかもしれません。 住所と売地と検索してみてください。
すると、大手の販売サイトが掲載している売地の情報が、検索結果にたくさん出ます。それらから、売りたい土地により近い物件が、参考になります。また、地元密着型の不動産会社では、地元密着型ならではの物件も掲載されているので、チェックしてみましょう。
通常、このような販売を目的とする土地の情報の価格は総額と「坪単価」で出ています。公示地価、路線価等の公的な情報の場合は、不動産の単価は「平米単価」で表されます。この坪単価が、相場観の根本です。
市場価格の平米単価を「坪単価に直す」場合
で計算され、逆に
市場価格の坪単価を「1平米の単価に戻す」場合
で、計算されます。「坪」という日本特有の単位を、メートル基準に直すために、小数点以下2桁までの正確な値を出せる計算根拠を使用しています。
例:平米単価が30万円の坪単価
この土地が28坪なら
28坪×991,740円(坪単価)=27,768,720円(土地価格)
坪単価が100万円の平米単価は
1,000,000円(坪単価)×0.3025=302,500円(平米単価)
となる
念のため、この計算方法で元に戻してみると
302,500円(平米単価)×3.3058=1,000,004.5円(坪単価)
となり、誤差は100万円で4.5円という事になる
これからの売却に役立ちますので、しっかり理解しておきましょう。
但し、同じ土地面積でも土地だけの販売価格と戸建て付き売地では建物価格も含まれてしまうので、あくまで売地だけでの比較をするようにしてください。
単に面積だけではない!土地の価格を左右する土地の形状
土地の価格は、坪単価×面積で、簡単に相場を計算できない理由があります。なぜなら、その土地の条件は唯一無二だからです。よく似ていてるものはあっても、全く同じものというのは土地以外に存在しません。そのため、条件が少しでも違えば価格が変わってくるのです。
全く同じ内容の建物
この図の道路とは、建築基準法上の道路をいいます。図の2つの土地は、面積、方角、前面道路の幅員、用途地域、建ぺい率、容積率も全く同じです。また、A・Bどちらも2階建ての住宅に囲まれて存在しているとします。
この2つ、何が違うのでしょうか?
道路に面している距離が違うのです。そして、Aの方が接道距離の長い分メリットが多いのです。住宅を建てるには、Aの土地の方が設計しやすく採光面を広く取れます。また、同じサイズの家を建てても、Aの家の方が大きく見えます。逆に距離が短くなると、デメリットが増していきます。接道距離が2m以下になれば、建物を建てることさえ難しくなります。
A・Bでは、10〜20%ほどAの土地が高くなる可能性があります。このように土地の価格は、状況・条件で違ってきます。
旗竿地
さらに住宅街、特に密集した人気の場所では「旗竿地」という形の地形がよく見受けられます。
この形状は、縦長の土地の形状をもとに分割して、2棟の建物が建てられるようにした土地で、「旗竿地」と呼びます。
これは縦長の土地を2つに分けて分譲販売する場合に取る手法ですが、こうすることによって、奥の黄色い土地にも接道を確保し、建築基準法を満たした住宅用地を確保できるのです。この場合も条件の違いで価格に差が出ます。
このような黄色の土地の場合、敷地を延長している竿の部分の幅は2m以上になっています。青い土地より、この延長部分の土地面積が多い黄色の土地でも総額は青い土地と同じだったり、むしろ安かったりします。坪単価が安いのです。
売る側と同じく、買う側にも色々な状況や条件があります。どちらの土地が良いかは、需給バランスです。売れない・買えないということではありません。むしろ旗竿地は、最近人気が高まっています。わざわざ、旗竿地を探す人も少なくありません。
次に三角形の土地についてです。
三角形の建物
もし所有している土地が、三角形なら厄介かもしれないと思われがちです。三角形の土地は、一般的に住宅を建てにくいとされているためです。しかし最近、こちらも旗竿地同様、人気が出てきています。
特に小さな建築事務所などは、このような変形地にカッコいい家を建てた、という実績が欲しいのです。もし所有の土地が、三角地かつ面積も小さい場合は「三角形 狭小住宅」と検索してみてください。思いがけず、楽しい情報を得られるかもしれません。
だだし、不動産業者の一般的見解では、やはり三角形の土地は不利な点もあります。
それは、嫌がる人が多いためです。理由は「家相」や「風水」に由来しています。気のバランスが崩れ、その方角の運気が下がり衰退を招き、場合によっては「凶相」といわれたりしています。日本人の多くは気にする人が多いです。そこで生活するとなれば当然のことかもしれません。そのため、取引価格に影響する可能性は大いにあります。
日当たりの角度でも土地の価格は大きく変わる
日当たりによっても、売却価格は大きく変わります。日中ほとんど日が当たらず苔むしているような、ジメジメした土地などは、住む家の土地として不向きだと考えられています。
日本では、理由がある場合以外、多くは土地の南側に空間を空け北側に住宅を建てています。これは建物自体に少しでも日当たりと採光を確保するためです。
四季を通じて日当たりを確保できる土地は、都市部ではとても人気があり、需要の多い土地といえるでしょう。高さ制限・斜線規制・日影規制などはこのような日当たり確保に重要な、建築基準法上の制限です。安全で健康に暮らすために、法律で規制されているのです。
土地の環境は
◇線路が高架になる
◇新しい道路や高速道路の建設
◇墓地の新設
◇農地の開発
など、近隣や周辺の変動で変わることがあります。これは、日当たりに影響する身近な出来事として、多々問題になります。
また今現在、そのような状況の変化がなくても、「数年後には決定している」ことがあります。民間の事業(大規模マンションの建築等)は、開始されるまでわかりませんが、私鉄道を含む公共交通の計画などは、既に決定している場合があるのです。このことは、取引にも大きく影響を及ぼす可能性があります。
そのため「詳しい情報」の収集時に、あわせて確認しておきましょう。
土地の売却にかかる費用や税金
土地の売却を行うと以下の税金が必要になります。
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税
また、税金以外にも手数料として以下が必要になることがあります。
- 仲介手数料
- 測量費用
- 解体費用
印紙税
不動産売買の書類に印紙を張るのですが、その代金が印紙税となります。
印紙税額は契約金額によって異なり、令和4年3月31日までは印紙税額が減税されており、以下の表のように定められています。
契約金額 |
税額 |
軽減時の税額 |
10万円を超え50万円以下 |
400円 |
200円 |
50万円を超え100万円以下 |
1千円 |
500円 |
100万円を超え500万円以下 |
2千円 |
1千円 |
500万円を超え1千万円以下 |
1万円 |
5千円 |
1千万円を超え5千万円以下 |
2万円 |
1万円 |
5千万円以下を超え1億円以下 |
6万円 |
3万円 |
登録免許税
土地にローンが残っている場合は抵当権抹消登記の登録免許税、というものが必要になります。
不動産一件につき1,000円が必要になります。
譲渡所得税
土地の売買によって利益が出た場合は所得税がかかります。
これは確定申告の際に忘れずに申請を行いましょう。
所得税率は土地の所有期間によって異なり、以下の表のように定められています。
住民税 |
所得税 |
復興特別所得税 |
合計 |
|
短期譲渡所得(5年以下) |
9% |
30% |
0.63% |
39.63% |
長期譲渡所得(5年超) |
5% |
15% |
0.315% |
20.315% |
※復興特別所得税は所得税額の2.1%
仲介手数料
不動産会社に売却を依頼した際に必要になります。
上限額は売却価格によって異なり、以下のように宅地建物取引業法で決まっています。
売却価格(税別) |
仲介手数料の上限 |
200万円以下 |
売却価格×5%(税別) |
200万年超から400万円以下 |
売却価格×4%+2万円(税別) |
400万年超 |
売却価格×3%+6万円(税別) |
測量費用
土地の正確な広さの計測にかかる費用です。
土地売却の際に測量は必須ではありませんが、トラブル防止や正確な売買価格を設定するために必要となることがほとんどです。但し、費用負担は契約時の条件次第です。
解体費用
もし土地に家が建っているなら、取り壊しにも費用が必要です。こちらも買主が行うこともあります。
解体費用は建材や広さ、建造物の状況によって金額が変わります。
情報収集できたら、一括査定を受けましょう
土地の価値をある程度把握したら、土地売却を有利に進めるために一括査定を受けましょう。一括査定は、一度に複数社の価格査定をまとめて受けられる、便利なツールです。複数の売却査定額を比較することで、売却価格の大凡の相場を知ることができます。
何故、複数社の査定を受ける必要があるのかですが、不動産会社によって査定額が100万円以上異なることが多々あるためです。一社の不動産会社に依頼し、提示された査定額が適正か判断できずに取引を進めた結果、相場価格よりも低い金額で土地を手放すことにもなりかねません。
では、数多ある査定サイトですが、どこを利用するのが良いのでしょうか。
判断材料としては、悪徳不動産会社が絡んでないこと、多くの不動産会社が参画していること、自身で査定依頼したい不動産会社を指名選択できること、不動産会社の競争力が高いこと、売買仲介だけではなく買取もしてくれるなどがあげられます。
イエイでは、悪徳不動産会社は排除され、優良不動産会社しか参画していません。また、中小から大手まで全国にある、ほとんどの優良不動産会社が網羅されています。その中から、最大6社まで依頼したい不動産会社を選択して、売却査定を申込むことができます。そしてその中で、一番有利な条件で土地売却を進めてくれる不動産会社と、話を進めていきましょう。
一括査定サービスを賢く利用して、1円でも高く売却しましょう。