マンション売却時、多くの人は不動産会社に仲介を依頼すると思いますが、買取という売却方法があるのをご存知でしょうか。
もし不動産仲介業者から買取をすすめられた場合、安心して任せて良いものか悩むかもしれません。
今回は、マンションの買取保証や即時買取について、その仕組みやメリット・デメリットなどをみていきましょう。
この記事の目次
そもそも「仲介」と「買取」の違いは?

不動産売却において「仲介」や「買取」という単語をよく耳にすると思いますが、その仕組みは根本から異なります。
まずは、両者の違いを一覧表で比較してみましょう。
| 比較項目 | 仲介(一般売却) | 買取(即時・保証) |
|---|---|---|
| 買主(買い手) | 市場の一般個人 | 不動産会社 |
| 売却価格 | 市場価格 | 相場よりも低い |
| 売却期間 | 3〜5カ月程度 | 約1カ月 |
| 仲介手数料 | 必要(売価の3%+6万円+税) | 不要(0円) |
| リフォーム | 必要に応じて売主が負担 | 不要(現状のまま売却) |
| 契約不適合責任 | 売主が負う(故障の修理等) | 免除されるのが一般的 |
仲介とは
不動産仲介業者に依頼して買主を探してもらい、見つかった買主に物件を売却する方法です。
一般市場から買主を探すため、期間もそれなりにかかります。
物件の人気や売り出し価格設定にもよりますが、3~5カ月程度の売却期間がかかる点がデメリットです。
しかし相場に近い価格での売却が可能であることは大きなメリットと言えるでしょう。
買取とは
不動産会社が不動産の直接の買主になります。
そのため、買主を探す必要がなく、スピーディに売却を完了できるのが大きなメリットです。
購入する不動産会社が価格査定を行い、売主が納得すれば売主と不動産会社との間で売買契約が締結されます。
売却が完了するまでの期間の目安は約1カ月です。
このスピード感が買取の大きなメリットのひとつと言えるでしょう。
しかし買取価格は物件の相場価格よりも安くなってしまうことが大きなデメリットとなります。
マンション買取保証について

買取保証とは?
一般的には、不動産仲介会社が売却にむけ営業活動を行いますが、一定期間内に仲介で買主を見つけられなかった場合に、予め取り決めていた金額で不動産会社が買取ることを保証してくれる制度です。
不動産仲介会社によって買取るマンションの条件は異なり、価格や買取りの基準はさまざまです。
次に買取保証のメリット・デメリットについて解説していきます。
買取保証のメリット
マンションの「買取保証」は、いわば「仲介」と「買取」のいいとこ取りをした売却方法です。
通常の仲介売却では「いつ売れるか分からない」という不安がつきまといますが、買取保証を利用することで、仲介の「高く売れる可能性」を残しつつ、買取の「確実性」を手に入れることができます。
具体的にどのようなメリットがあるのか、3つのポイントで詳しく見ていきましょう。
メリット①売却の予定が立てやすい
買取り保証価格はあらかじめ売主と取り決めを行うため、買手がみつからない場合、最終的に、いつ・どれくらいの価格で売れるのかを確定できます。
そのため、売主にとっては売却予定を立てやすいのがメリットです。
ただし、これは売却までにある程度の時間的余裕がある人に適している方法といえます。
メリット②確実に現金化できる
所有しているマンションの立地や建物の状況などにより、売却に相当な時間がかかることがあります。
何年も売却できずに空室のままで管理費や修繕積立金を支払い続けるのは大変ですし、税金もかかります。
買取が保証されていれば精神的にも安心といえるでしょう。
買主がなかなか見つからないときでも確実に現金化できることは買取保証のメリットと言えます。
メリット③仲介手数料が発生しない
さらに、不動産業者が買取りすると仲介手数料がかからない点もポイントです。
仲介での売買の場合仲介手数料は売買価格によって異なりますが、最大「売買価格の3%+6万円」の手数料が発生します。
しかし買取保証によって不動産会社に買い取ってもらった場合は仲介ではなく買取という扱いになるので仲介手数料がかかりません。
例えば5000万円で売れた不動産には156万円の仲介手数料が発生するので、仲介手数料が発生しないとなるとかなり節約できることになります。
買取保証のデメリット
ここまで買取保証のメリットについて解説してきました。
しかし買取保証をつけてしまったばかりにデメリットのほうが多く、結果的に満足度が低かったという場合も存在します。
次に買取保証のデメリットについて解説していきます。
デメリット①仲介より価格が安くなってしまう
不動産仲介会社によって買取保証による買取価格は異なりますが、一般的に流通している市場価格よりも何割か安くなってしまいます。
また後述する即時買取を希望する場合、さらに安い買取価格になる傾向があるので、買取りしてもらってから損したと感じることもあります。
デメリット②不動産会社選びは慎重に
不動産仲介会社によっては、安く買取りをしたいので買取保証を依頼するとそれほど真剣に買主を探さなくなる場合も考えられるため、不動産会社選びが重要となってきます。
買取保証をつけてしまうと、結果的に不動産仲介会社が希望した価格に落ち着いてしまうことがあるので注意が必要です。
また買取保証はすべての不動産会社で行っているわけではありません。
買取保証を行っていたとしても契約形態に決まりがある場合や物件のエリア・面積等で制限がある場合も多いので確認が必要となります。
マンション即時買取について

即時買取とは?
即時買取は、不動産仲介会社は一般の購入希望者向けに売却活動は行いません。
仲介会社があらかじめ設定した価格で即時買取ってくれるのです。
ただし、前述の通り買取価格としては、買取保証よりさらに安い買取価格になる傾向があります。
また立地条件が良くない物件や狭小地、築年数が古い物件などは買取価格がさらに下がる可能性があります。
ただし、このような物件は仲介で売却するのが比較的難しいでしょう。
即時買取であれば、価格は市場より安くなってしまうものの、売りにくい物件でも売れる可能性があります。
次に即時買取のメリット・デメリットについて解説していきます。
即時買取のメリット
即時買取の最大の魅力は、なんといっても「スピード感」と「圧倒的な手軽さ」にあります。
仲介や買取保証のように「いつ売れるか分からない」という不安がなく、ストレスフリーに売却を終えたい方に選ばれています。
具体的にどのようなメリットがあるのか、ポイントを整理して解説します。
メリット①短い期間で売却が完了できる
即時買取では、7日間〜1か月程度で売却を完了することができます。
買取保証の場合は、仲介で売却活動を行ってから買取をするため、即時買取と比べるとどうしても売却完了までにかかる期間が長くなってしまいます。
対して、即時買取では買主は不動産会社と決まっているため短期間で売却することができるのです。
急な転勤や相続などで急いでマンションを売却したいといった事情を抱えている人にとっては、おすすめの売却方法と言えます。
メリット②仲介手数料がかからない
即時買取の場合は、不動産会社に仲介を依頼することがないため仲介手数料が発生しません。
先述で買取保証で最終的に不動産会社に買取された場合、仲介手数料がかからないとご紹介しましたが、もし売却期間中に仲介で売れた場合は手数料が必要となります。
仲介手数料は売却にかかる費用の中でも負担が大きいため、費用をなるべく減らしたい方にとっては即時買取がおすすめの方法と言えます。
メリット③売却活動の手間がかからない
仲介や買取保証では、買主を見つけるために内覧を行う必要があります。
内覧では、事前準備や当日対応などの手間がかかります。
対して、即時買取であれば既に買主は不動産会社と決まっているため、内覧を行わずに売却することが可能です。
そのため、売却活動に時間を取れない方は即時買取がおすすめです。
メリット④契約不適合責任の免除
即時買取の大きなメリットとして見逃せないのが、「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」が免除される点です。
通常の仲介売却では、引き渡し後に雨漏りや配管の故障が見つかった場合、売主が修理費用を負担しなければなりません。
しかし、即時買取の場合はプロが物件の状態を確認した上で買い取るため、一般的に売主の責任はすべて免除されます。
「築年数が古くて設備に自信がない」「売った後にクレームが来るのが怖い」という方にもおすすめです。
即時買取のデメリット
即時買取には多くのメリットがある反面、ビジネス構造上どうしても避けて通れない大きなデメリットが一つあります。
納得感のある取引にするために、その理由と背景を正しく理解しておきましょう。
デメリット:買取価格が安くなってしまう
先述したように、仲介に比べて買取での売却はそもそも市場価格よりも安くなってしまう傾向にあります。
特に即時買取の場合、不動産会社が初めから買主と決まっているため、仲介や買取保証に比べて買取価格が低くなるのが一般的です。
買取価格が低くなる具体的な理由は以下のようなものがあります。
-
リフォーム・クリーニング費用
業者は買い取った後、付加価値をつけて再販するために、壁紙の張り替えや水回りの設備交換など、数百万円単位のリフォームを行うのが一般的です。 -
物件の維持・販売コスト
再販が決まるまでの管理費、修繕積立金、固定資産税などはすべて業者の負担になります。
また、再販時の広告宣伝費や営業人件費もここに含まれます。 -
在庫を抱えるリスクの保証料
不動産は必ず売れる保証がありません。
相場が下落したり、買い手がつかなかったりするリスクを業者がすべて引き受ける「保険料」としての側面が、価格に反映されています。
一方で買取保証では中計で売却活動を行う間に売却できれば、市場価格と同程度の価格で売却できる可能性があります。
この点が即時買取のデメリットと言えます。
買取保証・即時買取を利用する際の注意点

スピードや確実性が魅力の買取制度ですが、契約前に必ず確認しておくべきポイントがあります。
「買取保証」と「即時買取」それぞれで注意すべき点を整理しました。
買取保証を利用する際の注意点
媒介契約の「3ヶ月縛り」に注意する
買取保証を依頼する場合、一般的に「専属専任媒介契約」を結ぶことになります。
この契約を結ぶと、その後3ヶ月間は他の不動産会社に乗り換えることができません。
「対応が悪いから別の会社に変えたい」と思っても、期間内は身動きが取れなくなるため、最初の会社選びが運命を左右します。
買取に切り替わる「条件」を明確にする
「3ヶ月経ったら自動的に買取」なのか、価格変更のタイミングはどうなるのかなど、スケジュールを事前に書面で確認してください。
なぜこれを確認すべきかというと、仲介期間中に「価格を下げなければ買取に応じない」といった不当な条件を後出しされるトラブルを防ぐためです。
例えば、売却活動の途中で「今の価格では売れないので、保証額も下げさせてほしい」と交渉されたり、いつまでも買取が実行されず現金化が遅れたりするリスクがあります。
「何ヶ月目にいくらに価格を下げるのか」「どの時点で買取が確定するのか」という詳細なスケジュールを事前に書面(媒介契約書等)で取り交わしておくことが、自分の資産を守るための絶対条件となります。
即時買取を利用する際の注意点
「買取不可」となるケースがあることを知っておく
即時買取は、仲介では売れにくい築古物件や訳あり物件(事故物件など)でも対応可能なのが強みです。
しかし、すべての物件が必ず買い取ってもらえるわけではありません。
先述したように、不動産業者は買い取った物件にリフォームを施して「再販」することで利益を得るビジネスモデルです。
そのため、以下のようなケースでは断られる可能性があります。
- 修繕コストが販売想定価格を上回る(老朽化が激しすぎる)
- 再販しても買い手がつかないほど立地条件が悪い
「利益が出ない」と判断された物件を買い取ることは、業者にとって赤字リスクとなるため、シビアに判断されます。
自分の物件が買取対象になるかどうかは、まず複数の業者に打診し、プロの目線で判定してもらうのが一番の近道です。
契約後の「クーリングオフ」は原則できない
即時買取では、不動産会社(宅地建物取引業者)が買主となります。
この場合、一般的な消費者保護のための「クーリングオフ(8日以内の無条件解約)」は原則として適用されません。
クーリングオフは本来、不慣れな個人が強引な勧誘で契約してしまった際を守るための制度ですが、買主がプロである法人取引などの場合には、契約の法的安定性が優先されます。
つまり、一度実印をついて契約書を交わすと「やっぱりやめた」という安易なキャンセルは通用せず、違約金が発生するリスクがあります。
トラブルを引き起こさないためにも、契約書の内容に納得できるまで不明な点はすべて質問して解消しておきましょう。
【診断】あなたに最適なのはどれ?状況別・売却方法の選び方

仲介や買取保証や即時買取は、メリットもあればもちろんデメリットも存在します。
どれを選ぶべきかは、「売却のスピード」と「手元に残したい金額」の優先順位で決まります。
まずはそれぞれの違いを一覧表で比較してみましょう。
【比較表】仲介・買取保証・即時買取の違い
| 比較項目 | 仲介 | 買取保証 | 即時買取 |
|---|---|---|---|
| 売却完了までの期間 | 3〜5カ月程度 | 3ヶ月〜半年程度 | 7日間〜1か月程度 |
| 売却価格の目安 | 相場の100% | 相場の80%〜90%程度 | 相場の60%〜80%程度 |
| 仲介手数料 | 必要 | 買取移行時は不要 | 一切不要 |
| 契約不適合責任 | 売主が負う | 買取移行時は免除 | 免除 |
「仲介」が向いている人
築年数が浅く、立地が良いマンションであれば、時間はかかっても一般市場で高く売れる可能性が十分にあります。
売却まで3〜5ヶ月程度の余裕があり、内覧対応などの手間を惜しんでも「1円でも高く売りたい」という方は、まずは仲介をメインに検討しましょう。
「買取保証」が向いている人
「住み替え先が決まっていて、売却期限がある」という方に最適です。
仲介で高値を目指しつつ、万が一の際に「買取」という選択肢を確保しておくことで、資金計画の失敗を防げます。
「即時買取」が向いている人
離婚、相続、急な転勤など「即座に現金化したい」事情がある方や、築古・事故物件などで仲介での売却が難しい場合に強力な選択肢となります。
また、「内覧で他人に家を見せたくない」「近所に売却を知られたくない」というプライバシー重視の方にも、最短数日で完結する即時買取が最もメリットが大きいと言えるでしょう。
後悔しないための選び方のポイント
上述したように、売却したいマンションの状況や、どれくらい売却を急いでいるかによって、最適な売却方法は異なります。
できれば、無事売却が完了し冷静になったとき、もう少し高く売れたのではないだろうかと、後悔だけはしないようにしたいものです。
後悔しないためには、ある程度時間をかけて自分のマンションの売却価格相場を知っておくことがとても大切です。
マンションの売却価格は時期によっても異なりますし、部屋はすべて同じ間取りではありませんので、確実な売却価格を算出するのは難しいことです。
しかし、不動産を査定してくれる便利なサイトが数多く存在していますので、利用しない手はありません。
自宅にいても外出中でも、手軽にチェックすることができるのでおすすめです。
サイトによっては簡易査定をすぐに表示してくれる場合もあれば、詳細を知りたいときにはサイト経由で複数の不動産仲介会社に査定を依頼することができます。
できるだけ多くの査定を依頼して結果を知っておくことで、相場を把握しましょう。
これらより、できるだけ高く売りたい・売却をそれほど急いでいないけれど買取制度を利用してみたい場合には、買取保証と即時買取でどれ程の価格の違いがあるのかを、不動産仲介会社に確認してみるといいでしょう。
買取完了までの流れと期間

「買取保証」と「即時買取」では、現金化までの流れと期間が大きく異なります。
ご自身の希望するスケジュールに合わせて、どちらが適しているか確認しましょう。
買取保証の流れ(3ヶ月〜半年程度)

①保証価格の決定と媒介契約
「もし売れなかったら○○円で買い取る」という保証額を決め、まずは仲介での売却活動を開始します。
②仲介による売却活動(通常3ヶ月)
一般の買主を探すために広告や内覧を行います。
ここで売れれば、市場価格(高値)で売却成立です。
③買取への切り替え(売れなかった場合)
あらかじめ決めた期限(3ヶ月など)までに買主が見つからなければ、不動産会社の買取に切り替わります。
④決済・引き渡し
最終的に不動産会社が買い取り、現金化して終了です。
即時買取の流れ(7日間〜1か月程度)

①査定依頼(当日〜翌日)
複数の買取業者に査定を依頼し、現在の「即金価格」を出してもらいます。
②現地調査・価格提示(1〜3日)
業者が物件を確認し、最終的な買取金額を提示します。
③売買契約(即日〜1週間)
価格に納得すれば契約を交わします。
この時点で手付金を受け取れるケースが多いです。
④決済・引き渡し(最短3日〜)
残代金を受け取り、鍵を渡して完了です。
仲介で必要な「買主のローン審査待ち」がないため圧倒的に早いです。
自分に合った売却方法で、後悔のないマンション売却を

マンションの「買取保証」や「即時買取」は、売却予定が立てやすく、早期の現金化が叶う非常に便利な制度です。
売却にかかる時間と手間を大幅に節約でき、精神的な安心感が得られるため、急ぎの方や確実性を求める方には最適な選択肢と言えるでしょう。
ただし、仲介に比べれば買取価格は安くなる傾向にあります。「1円でも高く売りたい」のか「1日でも早く、確実に売りたい」のか、ご自身の置かれた状況に合わせて最適な方法を見極めることが大切です。
納得のいく売却を叶えるためのポイントは、必ず複数の不動産会社を比較することにあります。
買取価格や保証の条件は会社によって大きく異なります。
まずは、仲介・買取の両方に対応している会社や、買取専門の会社など、タイプの異なる数社に査定を依頼してみましょう。
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