この記事の概要
  • 査定の評価額を高くするコツは、見られるポイントを把握し事前の対策をとること
  • 戸建ての査定は、訪問査定で物件調査に詳しい不動産会社を選ぶ
  • マンション査定は複数業者への依頼がおすすめである

戸建ての査定を検討する際、「そもそも戸建ての査定とはどのようなものなのか?」「査定の時にはどのようなところを見られているのか?」「査定額はどのように決まるのか?」など事前に知っておきたい疑問点が多々あるかと思います。

戸建ての査定額を高くするには査定の際に見られているポイントを押さえることが重要になってきます。

こちらの記事では、査定の流れや事前準備、査定額の決まり方ついてもご紹介していくので、しっかりと対策をとったうえで戸建て査定における準備を進めていきましょう。

戸建て査定の流れ

戸建て査定の流れのイメージ

戸建て査定とは、戸建ての売却活動を始める前に売却価格を把握するために行うものです。
売却価格を把握することにより、いくらで売却活動を行うべきか検討することができるので、戸建ての売却においては重要な作業となります。
戸建ての査定方法については、こちらの記事でも取り扱っているので、合わせて参考にしてください。
不動産査定とは?査定方法や査定の流れ、査定額の決定方法などを解説 - イエイ

査定の流れは以下のようになります。

  1. 査定方法を選択する
  2. 不動産会社へ査定を依頼する
  3. 訪問日を決めて、事前準備を行う
  4. 査定当日
  5. 査定結果の受け取り

1.査定方法を選択する

戸建て査定の方法には、「AIによる査定」と「不動産会社による査定」があります。
なかでも「不動産会社による査定」は、さらに「机上査定」と「訪問査定」の2種類に分かれています。
これらの査定方法には、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。

  査定方法 メリット デメリット
AI査定 インターネットで「査定したい物件種別」や「住所」「面積」などを入力するだけで簡易的に査定結果を出せる方法
  • 24時間いつでも利用でき数秒で結果が出る
  • 個人情報を入力しなくていい
  • 不動産会社から営業の電話がこない
時勢などは考慮しないおおまかな価格となる
机上査定 不動産会社の調査により、物件の築年数や立地、間取り、専有面積などの条件をもとに簡易的に査定する方法
  • 不動産会社のホームページから依頼することができる
  • 査定結果を数日で知ることができる
訪問査定よりも査定精度が劣る
訪問査定 不動産会社が実際に訪問し査定する方法 担当者が実際に訪問するため査定精度が高い 査定結果が出るまでに1週間程度かかる

戸建て査定の場合はマンションなどの査定と違い、間取りや内装、劣化状況やリフォーム状況などもそれぞれの物件によって異なるため、より査定精度の高い「訪問査定」が適しています。

2.不動産会社へ査定を依頼する

査定結果は不動産会社によって異なるため、複数社に依頼をし、査定結果が適切であるか判断することがおすすめです。
一括査定サイト」を利用すれば、複数の不動産会社に同時に査定依頼を出すことができます。
また、戸建て査定の場合はマンションなどの査定とは異なり、間口、接道状態、前面道路の種類なども査定のポイントになるため物件調査に慣れた不動産会社を選ぶようにしましょう。
その際、不動産会社のサイトに掲載されている、売却した人の声や顧客満足度なども参考にしてみてください。

3.訪問日を決めて、事前準備を行う

査定を依頼する不動産会社が決まったら、訪問日を決めて事前準備を行います。
訪問日までにしっかりと準備をしておき、査定当日はスムーズに進められるよう心がけましょう。
事前準備は以下のように行います。

①必要書類を準備する

必要書類 内容 入手方法
土地・建物の登記済権利証もしくは登記識別情報
(どちらでも可)
登録名義人がその土地や建物の所有者であることを証明する書類 法務局窓口、もしくは法務局のHPにて入手可能(各種証明書請求手続)
固定資産税・都市計画税納税通知書 不動産にかかる固定資産税や都市計画税の税額や納付時期などが記載された文書 所有する土地・家屋の所在地のある市町村から毎年4~5月に発送される
建築確認通知書・検査済証 法の定める規定に基づいて建築していることを証明する書類
建築確認通知書は建築前に発行され、検査済証は建築完了時の検査後に発行される
建物の建築時に依頼先の建築会社が保管しており、引渡し時に購入者に渡される
測量図・建物図面 測量図は、土地の実測結果を製図したもの
建物図面は建物の位置や形状等を製図したもの
法務局へ行く、もしくは法務局のHPにて入手可能(各種証明書請求手続)
印鑑証明書 印鑑を公的に認める書類 役所や証明サービスコーナーの窓口、もしくはコンビニのマルチコピー機で発行可能
本人確認書類 運転免許証やマイナンバーカードなどの公的な身分証明書  

②自分で相場価格を調べておく
不動産会社の査定価格が適切か見極めるために、査定の前に自分でも相場価格を調べておくと良いでしょう。

相場を調べる方法

③家の掃除をする
家の状態を綺麗にしておくことで、高く評価されることに繋がります。
不要なものは処分したり、隅々まで見れるようにすることで物件の状態を確認しやすい状態にしておきましょう。
また、水回りなどが劣化していたり、汚れている状態だと査定価格が下がってしまう原因になるので、できるだけ綺麗な状態で査定に出せるよう心がけましょう。

④住宅ローン残高を確認しておく
住宅ローンの残高を確認し、売却後に手元にどれくらいのお金が残るのかや追加での料金が発生しないか把握しておきましょう。
住宅ローンの残高を確認することは、売却の時期や条件を検討するうえでも役に立ちます。

⑤修繕履歴やアピールポイントをまとめる
修繕した箇所があれば、内容時期費用をまとめておくと良いでしょう。修繕に関する書類領収書があれば保管をしておき、修繕前後の写真を用意するなど比較しやすい工夫をしておきましょう。
物件のアピールポイントをまとめることで不動産会社に売却意欲を伝えることができます。
また、マイナスな面も隠さず伝えることで、後々「契約不適合責任」に問われるようなトラブルを回避することができます。

4.査定当日~5.査定結果の受け取り

査定当日のチェックにかかる時間は1〜2時間程度です。
物件の状態によっては時間がかかってしまう場合もあるため、余裕を持っておくと良いでしょう。
査定時間を短縮したい場合は、上記で説明した事前準備を徹底しておくとスムーズに進めることができます。

また、査定当日は不動産会社の営業担当の方と直接やり取りができる機会です。
疑問点や相談事がある場合はお伝えして担当者が信頼できるか確認しましょう。

戸建ての査定で見られるポイント

戸建ての査定で見られるポイントのイメージ

戸建ての査定では、実際にどのようなポイントを見られるのか気になりますよね。
事前に見られるポイントを把握し対策をしましょう。
戸建ての査定で見られるポイントは以下の通りです。

  • 誰が所有者になっているのか
  • 築年数
  • 境界や越境の確認
  • 外観の様子
  • 室内の様子
  • 日当たり・眺望・風通し
  • 騒音・振動・臭い
  • 雨漏りや傾きがないか
  • 土地の面積や地形、傾斜・擁壁・地中障害物の有無
  • 周辺道路・周辺環境

誰が所有者になっているのか

訪問査定の際、売主と登記事項証明書(登記簿謄本)の所有者が同じ人物かの確認が行われます。
相続などにより登記事項証明書(登記簿謄本)の所有者が異なる場合は、事前に所有権移転登記を行いましょう。

また、2024年4月1日からは相続登記を行うことが義務化されており、取得を知った日から3年以内の申請が必要となっています。
申請を行っていない場合、10万円以下の過料が科される可能性もあるので注意しましょう。

築年数

鉄筋コンクリート造の多いアパートやマンションに比べて、木造の戸建ては築年数が古いほど評価額が下がる傾向にあるため重要視されるポイントです。
戸建ての築年数は以下の基準で評価されます。

築年数 評価
築10年 新築物件の半分程度の評価
築20年 新築物件の1割程度の評価
築22年~築30年 「古家付きの土地」と評価されて、建物自体の価値はほとんどなくなる

築22年を超えると建物自体の価値はなくなってしまうため、マイナスの印象を与えますが、全く需要がなくなるわけではありません。
土地自体は経過年数の影響は受けず価値が残り、築浅の物件に比べて中古戸建ては安く買えるため築25年までは需要が高く売りやすい傾向にあります。

また、リフォームやリノベーションを考える方もいるかと思いますが、中古住宅の購入を検討している買手にとっては「自分好みにカスタマイズしていきたい」という点にニーズがあるため、そのまま査定を行い売り出した方が早く買手が見つかる場合もあるでしょう。

境界や越境の確認

訪問査定の際は、境界が確定されているか越境の状態を確認されます。
境界とは、自分の所有する土地と隣接する他人の土地や道路などの境目を指します。
戸建てを取引する場合は、この境目がどこなのかをはっきりさせる必要があります。
境界が確定されている場合は、「地積測量図」が発行されるため、こちらの写しを不動産会社に提出し証明しましょう。
また、隣地所有者との間で境界について合意をとった「筆界確認書」がある場合や境界が未確定の場合は不動産会社に伝えるようにしましょう。

越境とは、自分や隣人の所有地内に、木の枝やブロック塀などが侵入してきている状態を指します。
こちらを事前に知らせていない場合、売買契約の成立後に契約不適合責任に問われる可能性もあるので注意が必要です。
樹木などの対処可能な越境に関しては事前に解消しておき、ブロック塀や擁壁などの対処が難しい越境に関しては事前に所有権をはっきりさせておきましょう。

外観の様子

屋根や瓦に破損がないか、外壁や基礎にヒビが生じていないか、塗装が剝がれていないかなどを目視で確認します。
また、ドアや窓・雨戸がスムーズに開閉できるかのチェックも行います。
雨漏りやシロアリ被害が生じている場合などは、マイナス評価を受けるため注意しましょう。

室内の様子

室内では、キッチン・浴室・洗面台・トイレ・給湯設備・冷暖房設備(床暖房など)・収納設備・押し入れの中が確認されるポイントとなります。
こちらの箇所の壁や床、住宅設備の元々の品質と劣化具合、修繕が必要ではないか、ビー玉や水平器を使って傾きが生じていないかのチェックを行います。
間取りに関しては、個性的な間取りよりも生活上の導線が良いかなどの住みやすさを重視して評価されます。

日当たり・眺望・風通し

日当たりは、道路に面している向きがポイントです。
南、東、西、北の順番に評価が高く、角地の場合は南東の角が一番高い評価を得ることができます。
日当たり・眺望に関しては、将来的に損なわれないかどうかも加味され評価することとなります。
また、風通しの良い構造や立地の物件は評価が高くなります。

騒音・振動・臭い

騒音や振動、臭いに関しては、「快適に生活できるかどうか」に関わるため、査定額に大きく影響します。
線路や道路に面している場合は、騒音や振動の影響があり、近くに工場などがある場合は臭いの影響を受けやすいと言えるでしょう。
窓ガラスやサッシの性能が高く、防音性に優れているなどのアピールポイントがあればマイナスの評価を覆すことができる可能性があります。

雨漏りや傾きがないか

雨漏りや傾きがある場合は、「瑕疵(かし)」に該当するため、売主は買主に対してこういった欠陥があることを伝える義務があります。
雨漏りや傾きがあることを隠してしまった場合は、契約不適合責任に問われるので必ず伝えるようにしましょう。
また、瑕疵は評価額を大きく下げる原因ともなってしまうので、査定に出す前に修繕をしておきましょう。

土地の面積や地形、傾斜・擁壁・地中障害物の有無

土地の面積は広いほど評価額が上がり、地形も正方形や長方形に近いほど評価額が高くなります。
三角地、台形地、旗竿地、1辺が長すぎる細長い土地などは建物を建てる際に難易度が増すため評価額が下がりやすい傾向にあります。

擁壁とは、土砂が崩れるのを防ぐために設けるコンクリートやブロックからなる壁のことをいいます。
設置状況が法律を満たしているかや、十分な強度があるかなどの状態も事前に確認しておきましょう。

また、昔の建物の地下室や貯水槽などの地中障害物がないかの確認もあります。
地中障害物も瑕疵に該当するため、隠して売却してしまうと契約不適合責任に問われる危険性があります。
地中障害物がある場合は、不動産会社にしっかり伝えましょう。

周辺道路・周辺環境

周辺道路の状況では、土地が接している道路が法律上の規制を満たしているかを確認していきます。
法律では「幅員4m以上の道路に対して間口が2m以上接していなければならない」という決まりがあり、幅員4m未満の場合は建て替えの際に道路との境界線を敷地側に後退させる「セットバック」が必要になります。
また、間口が2m未満の場合は、今建っている建物を取り壊してしまうとその土地に建物を再建築できなくなる可能性もあります。

周辺環境については、生活に必要となる施設が近くにあるほど高い評価を得られます。
具体的には、最寄駅やバス停、役所や郵便局、学校、銀行、医療・福祉施設、商店街、スーパー、コンビニなどが挙げられます。
こういった施設との距離や位置を調査し査定を行います。

査定額の決まり方

査定額の決まり方のイメージ

戸建ての査定額を算出する際は、「建物」と「土地」の評価額を別々に算出したものを合算し、地域の特性や需要を踏まえて調整を行い査定額を確定します。
こちらは、国土交通省による調査で中古住宅の市場価値が経年によりどれくらい下がるかを表したグラフになります。

「中古住宅流通、リフォーム 市場 の現状」(国土交通省)中古戸建住宅の価格査定の例 中古マンション(ヘドニック方による分析)中古マンション減価償却年数(47年)による 木造戸建て住宅(財)不動産流通近代化センターのマニュアルに基づく試算 木造戸建て住宅 減価償却年数(22年)による

出典:「中古住宅流通、リフォーム 市場 の現状」(国土交通省)

こちらのグラフから分かるように、建物の価値は築年数が古くなるほど下がる傾向にあります。
建物の評価額を決める際は、上記グラフの築年数をベースに計算された金額に、訪問査定の結果を加えて算出します。

次に、土地の評価額を周辺相場をもとに算出し、建物の評価額と合算します。
その後、地域的な需要や市況を踏まえて調整を行い「戸建ての査定額」が決定します。

その際、価格の調整や評価に関しては、査定を担当する方の経験や勘によって行われるため依頼をする不動産会社によって差が出る原因となります。
そのため、戸建ての査定を依頼する際は、複数社に依頼をし価格を見極めたりそのエリアの戸建ての査定や売却に詳しい不動産会社を選ぶことが大切です。

また、戸建ての査定価格を計算する際は、土地の評価額は「取引事例比較法」、建物の評価額は「原価法」で算出されます。
「取引事例比較法」や「原価法」について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
どうやって算出する?不動産価格の査定方法

よくある質問

よくある質問のイメージ

ここからは、戸建ての査定におけるよくある質問についてご紹介していきます。

戸建ての査定は無料でできる?有料査定との違いは?

戸建ての査定は無料で依頼できます。
一般的に個人で不動産売買を考えている場合は、無料査定で十分です。
有料査定との違いは、国家資格を持つ「不動産鑑定士」が行っているかになります。
法人間で不動産取引を行う場合や裁判を伴うようなトラブルがある場合は、有料査定を選択するほうが良いでしょう。
戸建ての無料査定について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
不動産査定は無料でできる!有料査定との違いや流れ、注意点を解説

戸建ての買取査定って?

不動産の売却を行う際は、不動産会社に物件を買い取ってもらう「買取」と、不動産会社を通して個人で物件を欲しがっている人を探し売却を行う「仲介」という2種類の方法があります。
古い物件やなるべく早く現金が手元にほしい時、事故物件など物件そのものに大きな問題がある場合は、不動産会社に買取査定を依頼したほうが良いでしょう。
戸建ての買取査定について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
住宅買取の手順やメリット、注意点などを解説!

事前の対策をとって戸建て査定を依頼しよう

家の模型と相談をする人々

戸建ての査定を依頼する際は、事前に査定の流れや見られるポイントを把握し対策をとることで評価額アップへと繋がります。
また、査定をスムーズに進めるうえでも事前準備は大切です。

戸建ての査定は、それぞれの物件ごとに状態や間取り、環境なども違うため物件調査に慣れた不動産会社を選ぶようにしましょう。
最終的な価格の調整や評価は、査定を担当する人の経験や勘が作用するため、複数の不動産会社に依頼をし見極めることも肝心です。

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