活用していない土地をただ保有しているだけでは毎年税金が課税され、大きな負担となってしまいます。したがって、使わない土地は売却してしまうのもひとつの手です。ただし、土地を売却する際にも税金はかかってきます。

そこで、土地売却の際には一体いくら課税されるのか、税金を払うときに注意すべきポイントは何かといった問題について解説をしていきます。

土地を所有しているだけで支払わなければならない税金!固有資産税と都市計画税

まず、土地を所有し続けた場合、どの程度税金を払わなければならないかを見ていきましょう。

固定資産税と都市計画税は土地所有だけで払わなければならない

たとえば、1億円の土地を更地で所有していたとします。するとそこに、固定資産税と都市計画税がかかってきます。税率は固定資産税が土地の評価額の1.4%、都市計画税は自治体によっても異なりますが、上限は評価額の0.3%です。

つまり、1億円の土地を何もしないでただ所有し続けていると、毎年最大で170万円の税金をとられ続けることになるのです。ただし、その土地に建物を建てると課税される額は一気に減少します。

自宅やマンションなどを建てて住宅用地として使用すると、住宅一戸につき200平方メートル以内なら固定資産税は更地の6分の1に、都市計画税は3分の1にそれどれ減額されます。

200平方メートルを越えた部分に関しても固定資産税は更地の3分の1、都市計画全は3分の2に減額されます。しかし、目的があって土地を購入したのならよいのですが相続によって突然土地の所有者になったなどといった場合は、自宅を建てる気もマンション経営をする気もなくて困ってしまうといったケースも出てきます。

そういうときには土地売却という選択肢についても検討する必要があります。

【都市計画税についてプロが解説!】

所有している年数によって変わってくる!土地売却時における課税額

活用する予定のない土地を所有していても固定資産税や都市計画税が課税され続けるだけです。そこで売却という選択肢を考えるわけですが、問題はその際にも税金がかかってくるという点です。

土地売却の際にも税金がかかる

土地売却の際にはそれによって得た利益に対して譲渡所得税と住民税が課税されます。そのうえ、2037年までは復興特別税が譲渡所得税に加算されるのです。これらの税率がいくらになるかはその所有していた期間によって異なってきます。

もし、その土地を所有してから5年以内に売却をすると譲渡所得税は30%に、住民税は9%になります。それに対して、5年以上経過してから売却すると、譲渡所得税は15%、住民税は5%です。

ちなみに、復興所得税はいずれの場合も譲渡所得税額の2.1%となります。

これを1億円の土地売却に当てはめてみると

所有してから5年以内の場合
譲渡所得税が3,000万円、住民税が900万円、復興所得税は「3,000万円×2.1%」で61万円

となります。合計課税額は3,961万円です。それに対して

所有して5年が過ぎてから売却
譲渡所得税が1,500万円、住民税が500万円、復興所得税が「1,500万円×2.1%」で31万5,000円

になります。合計課税額は2,031万5,000円です。

こうして比較してみると、所有した土地は短期間で売却すると5年以上所有していた場合に比べて大きな損失になってしまうことがわかります。

課税対象は売却額ではなくて売却によって得た利益!

土地売却に伴う税金について考える際、気をつけなければならないのは税金がかかるのは売却額そのものではなく、あくまでも売却によって得た利益だという点です。

課税対象は売却益

たとえば、9,000万円で購入した土地を1億円で売却しさらに不動産屋に仲介手数料として300万円を支払ったとすると、得られる利益は700万円だけです。この場合はその700万円に譲渡所得税などの税金がかかってくることになります。したがって、売却額よりも購入額のほうが高ければ税金は払わなくてよくなるわけです。

それでは購入ではなく、相続で得た土地はどうでしょうか。この場合は売却した時期が大きなポイントになります。相続税の申告期限から3年以内に土地を売却した場合は相続税が購入費に相当する経費として扱われるのです。

仮に、評価額1億円の土地を相続して相続税が2,000万円だったとします。そして、不動産屋に仲介手数料300万円を払って1億円でその土地を売却すれば7,700万円の利益を得たことになり、その利益に対して税金がかかってくるわけです。

ただし、相続税の申告期限から3年を過ぎると相続税をいくら払っていても譲渡所得の減額対象ではなくなるので注意が必要です。

マイホームや親の家の相続!土地を売却しても税金が控除されるケース

土地を売却すれば生じた利益に対して税金がかかりますが、実はこれにも例外があります。たとえば、マイホームの建っている土地を売却するケースです。その場合は譲渡所得3,000万円までの控除が認められています。

自分の家を売却して4,000万円の利益が出ても課税の対象となるのはそこから3,000万円を引いた1,000万円だけというわけです。そのうえ2016年4月~2019年12月までは、たとえマイホームでなくてもそこに家が建っていれば控除の対象になるという特例が設けられています。したがって、親の家を相続したもののそこに住む予定がないという場合は2020年になる前に売却したほうが支払う税金は少なくて済むという話になります。

ただし、この控除を受けるためには

「2013年1月2日以降に相続が発生」「相続するのは一戸建ての家」「相続直前まで親本人が居住」「旧耐震基準で建てられている家」「相続後、売却まで空き家になっている」

といった条件を満たしていなければなりません。そのため、相続した家の売却を検討する際には本当にこの条件に当てはまるのか、税務署や税理士などの専門家に相談するのが賢明です。

また、土地売却に伴う税金の控除に関してはマイホーム売却以外にも「公共事業のための売却」「特定土地区画整理事業に伴う売却」の特例が定められています。

前者の場合は5,000万円、後者の場合は2,000万円が税金の対象から控除されるため土地売却を検討する際にはこうした特例に当てはまるものがないかをよく確認しておくことも大切です。

ちなみに、土地を売却して利益が出た場合は売却した翌年の3月15日までに確定申告を行う必要があります。その際、特別控除によって税金を払う必要がない場合でも手続きは必要です。なぜなら、確定申告を行って初めて控除が認められるからです。

くれぐれもその点を忘れないようにしましょう。

要注意!うっかり忘れやすい3種類の税金

土地売却に伴う税金は所得税・住民税・復興所得税の3つだと一般的には思われがちです。しかし、実際にはそこに消費税・登録免許税・印紙税の3つが加算される場合があります。

その存在を忘れたまま土地売却を行ってしまうと、当初に想定していたよりも得られる利益が少なかったということになってしまいます。そのため、これらの税金についてもいくら払わなければならないのかあらかじめ検討しておくことが大切です。

消費税・登録免許税・印紙税の存在を忘れて売却しないように注意

消費税

土地売却だけであれば税金はかかりません。消費税は消費されるものに対してかかる税金なので、目減りすることのない土地はその対象にはならないというわけです。

一方、土地に建物が付いている場合はどうかというと、売主が個人として売却する限りにおいてはやはり非課税となりますが、事業者がビジネスとして売却する際には消費税がかかることになります。

登録免許税

これに関しては存在自体を知らないという人も多いのではないでしょうか。

そもそも、登録免許税とは何かというと売買や相続によって名義が変わった際、それを登記申請する場合に発生する税金です。したがって、この税金は土地の売買だけでなく、国家試験の免許の登録・著作権の登録・法人の登記などさまざまな場面で課税されることになります。

土地の売買の場合は売主と買主の両方に納税義務が発生するのですが、実際は利益を得る売主が全額負担するのが一般的です。それではその税額がいくらになるかというと、土地の場合は2019年3月31日までの取引に関しては「登記申請時の固定資産税評価額×1.5%」で求められます。

それ以降、あるいは土地以外の不動産に関しては「登記申請時の固定資産税評価額×2.0%」です。仮に、2018年に固定資産税評価額1億円の土地を売却すると登録免許税は150万円ということになります。

印紙税

これは法的効力を背景にして取引を行った場合に発生する法律使用料のようなものです。

課税額は1万円越え~10万円の取引は200円、100万円越え~5,000万円までが2万円、1億円越え~5億円までが6万円などといった具合に取引額が多くなるほど増えていきます。ちなみに、納税は額面通りの収入印紙を購入し領収書に貼りつけることで行います。もし貼っていないと脱税行為とみなされ、額面の3倍の料金を支払わなくてはならなくなるので注意が必要です。

建物付き土地売却の際の課税額算出には減価償却の加味が必要!

土地売却に伴う必要経費としては「土地の購入費」「土地売却の際に支払った仲介手数料」「売主が負担した印紙税」「土地を売却するために行った建物の取り壊し費用」などといったものが挙げられます。

土地売却にかかわる税額を知るためには、それらすべての必要経費を正確に把握しなければなりません。そのうえで、純粋な利益額を算出して初めて課税額を求めることができるのです。

しかし、建物ごと土地を売却する際にはそれらに加えて減価償却の問題が絡んできます。減価償却とは建物などの資産は時間の経過とともに価値が下がってくるという考えに基づき、現在の価値を割り出すために考案された算出方法です。

課税の際には減価償却費がいくらになるかが問題になるため、3,000万円で購入した家を2,000万円で売却したとしても、赤字だから税金を払わなくてよいとは必ずしもならないのです。

仮に、減価償却によって現在の家の価値が1,000万円と判断されると2,000万円で売却することで1,000万円の利益が出たと見なされます。すると、そのほかの必要経費を差し引いたうえでそこに譲渡所得税や住民税がかかってくるのです。

減価償却費がいくらになるかに関しては家屋の建築方式や使用目的、使用年数などによって変わってきます。計算方法が分からないという人は税務署などで尋ねてみるのがよいでしょう。

土地と税金の関係を理解して賢い土地売却を目指そう!

 土地を売却する際には譲渡所得税や住民税・復興特別税・登録免許税・印紙税といった具合に、何種類もの税金がかかってきます。しかも、同じ土地でも所有期間の年数など売却状況によって課税額は変わってくるのです。

さらに、うっかり税金を支払うのを忘れていると高い追徴金を徴収されることになります。不要な損失を被らないためにも土地と税金の関係をしっかりと理解し、賢い土地売却を目指していきましょう。

【土地売却にかかる税金について】