家の住み替えはスムーズに行いたいですよね。

「資金を用意したいけれど、できるだけ多く用意するにはどうしたらいいかわからない。」という方は多いと思います。ここでは、現在の家を売る時のポイントやローンについてまとめていきます。

まずは不動産の価値がいくらか査定

住み替えに必要な資金の一部になるので、当然できるだけ高く売りたいものです。そんなときは一括査定を活用して、査定額が高い不動産会社を選びたいところです。とはいえ、一括査定サイトで入力した情報のみで、正しい査定はできません。

住み替えというテーマなので、今回は土地は外してマンション・戸建てに限った話で考えていきます。

戸建は、築年数・立地・施工業者・道路付けなどが、値段を大きく左右する要因となります。一括査定では、施工業者まで入力することは稀だと思われます。

実際は、住所などを入力することになるので、その情報を基に道路付けを調べたり、近くであれば現地を見に行った上で近傍の市場取引事例などから、おおよその概算を出します。

不動産の価値を査定

一戸建ては誰が建てたか、が重要

戸建は誰が建てたかによって差が大きいのが特徴です。大きく分けると、

◇中小の建売の戸建 ◇大手ハウスメーカーの注文住宅

この2つはクオリティに大きな差がでます。一言で言えば、建材一つ一つの高級感がハウスメーカーの注文では段違いなのです。

建売の戸建ては、元々の販売時に想定ターゲットをなるべく広く考えるので、ごく一般的な間取りの物件が多いです。なので、購入者は価格さえニーズと合えば購入に至りやすいです。査定も比較的やりやすく、ブレがありません。

注文住宅は施主となる個人の考え、想いによって間取りも一般的ではない場合もあるので、購入検討者のニーズに合わない場合もあります。ただ、良い材料を使って作っているので、建物の価値は高くなります。

もちろん、購入希望者のニーズが元の建主の考えとマッチした時は市場価格より高くても成約に至りやすく、その意味では査定額の差が大きくなりやすいです。

マンションは、同じ建物内での事例がある場合は、市場価格がほぼ形成されていると見ていいでしょう。新築から5年も経てば、必ずと言っていいほど成約事例があります。大規模物件は特に事例が多くあるので、査定はしやすくなります。

査定金額の差は、家の中の使用状況によります。特に水回りを清潔に保っているか、フローリングの張替えが必要かは、次の利用者がリフォームを入れる必要を感じるかどうかに大きく影響を及ぼすので査定額に差が出やすいのです。

いずれの物件も、高く査定してもらうためには、室内をきれいに片付けてなるべく生活感のない状態にし、装飾品や趣味の置物などは必要ありません。できれば、壁紙くらいはきれいに張替えておくことで、室内の印象はガラッと変わり、査定にも大きく影響するでしょう。

戸建であれば外壁や玄関前のアプローチなどもなるべくきれいに掃除しておくことで印象は大きく変えることができます。

査定額では残債に満たない場合、住み替えはできない?

購入時に住宅ローン借入をした場合は、ローンを完済できれば住み替えは可能となります。残債額は、借入時にローンの償還表というものを必ず渡されています。返済までの各月末の予定残額が記入されています。

ただ、変動金利の場合は当初借入金利から変更されることとなります。借入先金融機関からは、年に一度は残債額の載った書面が送られてくるので査定時には用意しておきましょう。

査定額が、住宅ローンの残債額を下回った場合は

貯蓄で充当するか
買い替え住宅ローンを利用するか

のどちらかとなります。

貯蓄で充当する場合

仮に住宅ローンの残債が3,500万円で、査定額が3,000万円だった場合、残債と売却価格の差(担保割れ)が500万となります。貯蓄が500万円あれば足りるかというとそうはいきません。売却には、仲介手数料や、ローンの返済手続きに伴う手数料抵当権抹消登記費用などが必要となります。

3,000万円の物件の仲介手数料で約100万円、その他手数料はそこまで大きくないですが、併せて10万程度見ておけば安心できます。よって、600万円超の貯金が無いと売却ができないということになります。

また、次の物件を購入するには頭金(手付金)が必要となります。物件価格の5%~10%位の現金を用意する必要があるため、次に4,000万円の物件を購入しようとしたら200万円は必要でしょう。

そして、中古物件を購入するのであればそこにまた諸費用がかかります。諸費用は、購入価格の5~7%が相場であります。よって300万円程度見ておくと安心できますよ。

必要な貯蓄額をまとめると

◇担保割れ500万円売却諸費用
◇110万円購入頭金200万円購入諸費用300万円合計1110万円と、かなりの貯蓄額が必要となってくる

住み替えをしようとしても、担保割れ物件ではかなりハードルが高くなるということがわかる

買い替え住宅ローンを使用する

買い替え住宅ローンは、売却時の担保割れ分を、次の物件購入のための住宅ローンに上乗せして貸してくれるローンです。大手都市銀行でも、中小の銀行でも商品を出しているので、比較サイトなどで比較検討をしてみるのが良でしょう。

現状、住宅ローンの金利がとても低い状況にあるので、借入額が多くできるというのはメリットのようにも感じられますが、結局のところ、担保割れ分も借金をするということなので本当にそこまでして売却や購入をしなければならないのかは慎重に判断すべきです。

家を売却しよう

先ほどから繰り返し出てくる「担保割れ」の場合、家を売るのに必須の条件を満たせないことになります。それは、「抵当権の抹消」です。

住宅ローンを借りたときに、銀行は貸付けた物件を担保とするため、抵当権を付けます。これは、住宅ローンが返済されなくなったときには、この物件を処分してその返済に充てることができるという強い権利です。

そのため、次の所有者にこの権利を引き継ぐわけにはいきません。売却する際にはこの権利を抹消しておかなければならないのですが、それには、ローンの残債を返済することが必須ということです。

住宅ローンが残っていても、家の売却は可能です

そこは認識を間違えないようにご注意ください。あくまで売却したお金で残債処理や、売却に関する諸費用等をまかなう必要があるということです。

売却に関する諸費用等

売却益が出た場合

今まで、売却価額が当初購入価額に追いつかない場合のリスクばかりを説明してきましたが、ここで売却益が出た場合のことについても触れていきます。

売却益が出ると、その利益に所得税がかかることになります。売却益で生じる課税については、さまざまな特例が設けられています。特に3,000万円の特別控除の特例は注目ポイントです。

譲渡所得-3,000万円=課税譲渡所得とされるもので、所有期間に関係なく控除がされます。不動産の転売等による譲渡益の課税を免れるためではなく、あくまでマイホームを売った場合に適用される特例であるので適応条件が定められています。

住宅ローン控除との重複適用はできない等の条件もあります。ただ、一般的に取引の多い価格帯の自己居住用不動産の売買における譲渡所得は、かなり軽減される可能性が高くなるので課税を極端に心配する必要はありません。

また譲渡損失については、一定の繰越控除が受けられる制度もあります。こちらは、所有期間が5年を超えないと適用されませんが、住宅ローン控除と併用もできます。また、所得金額が3,000万円を超えている場合は適用されません。

そこまで収入があれば譲渡損失云々はあまり気にする必要もないかもしれないです。

諸々の控除等に関しては、大手不動産仲介業者のホームページなどに詳しく掲載されているので参考にするのが良いでしょう。法令改正により、都度内容が変わるので、実際の手続きの時は適応期間内かどうかなど、チェックしていきましょう。

家を売ったお金でローンを返そう

家の売却価格が残債より多くなれば、住宅ローンを完済し、余った分は仲介手数料などの諸費用や住み替えの物件頭金などに充てることができます。

まずは、市場に対して適正な価格で情報を公開し、また市場のニーズを正しく把握して不当に安い価格で売却されてしまわないように、売却査定を慎重に行うことが重要です。

よっぽど信頼できる不動産パートナーがいる場合は、第三者的目線で査定価格をチェックできるかもしれませんが、まずは一括査定を利用して、不動産売却価格の適正額を決める上での判断材料とするのが良いでしょう。

ちょうど、物件とニーズのマッチする顧客を抱えていて、直接購入者を紹介できる物件だと思えば高く見積もりをすることもできますが、まずはその物件の情報が自分の所に来なければ何の判断もできません。

不動産は残念ながら情報がクローズで動くことが多いものです。購入者にとっても売却する側にとっても、クローズマーケットでの取引では価格の面ではデメリットが多いです。一括査定という手段は、その解決策として力を発揮する効果的な手段だと言えます。