この記事の概要

  • 土地を高く売るコツはスムーズな売却活動がポイント
  • 売却の流れやかかる費用、税金や節税対策について把握することでスムーズな売却に繋がる
  • 隣接地との境界線や契約内容に不適合がないようにするなどトラブルを避けるための注意点をご紹介

土地売却をする際は、なるべく高く売りたいですよね。

また、どのように売却が進んでいくのかや掛かる費用、税金についても疑問点が多いかと思います。

こちらの記事では、土地売却の流れやかかる費用、税金や節税対策、注意点などをふまえて、高く売却するコツについてもご紹介していきます。

土地売却に対する理解を深めて、疑問点を解決していきましょう。

土地売却の流れ

土地売却の流れのイメージ

はじめに、土地売却における流れをしっかりと把握しておきましょう。
手順が分かれば安心して、土地の売却活動を始めることができますよね。

また、こちらの記事では「売主」「買主」別に土地売却の流れについてご紹介しているので、合わせて読むと更に詳しい内容を知ることができておすすめです。
土地売買の流れはこれを見れば完璧!土地売買の費用や注意点について

土地の売却における流れは以下の手順で進めていきます。

①必要書類の確認
②土地の測量と境界線を確定し、相場を調べる
③不動産会社へ査定を依頼する
④売却活動を行い、売買契約を締結する
⑤土地の引き渡しを行う
⑥確定申告を行う

①必要書類の確認

まずは、必要書類の確認を行いましょう。

必要な書類が必ずしも手元にあるとは限りません。その場合は、市役所や金融機関などに赴き事前に準備を整えましょう。

土地の売却に必要な書類は以下の通りです。

  • 身分証明書
  • 実印と印鑑証明書
  • 住民票
  • 権利書または登記識別情報通知書
  • 固定資産税評価証明書、または固定資産税納税通知書
  • 抵当権の抹消に必要な書類(土地を担保にお金を借りている場合のみ)
  • 確定測量図(筆界確認書・越境の覚書もあるとなお良い)

②土地の測量と境界線を確定し、相場を調べる

次に、土地の測量境界線を確定しましょう。
隣地との境界線をはっきりさせておかなければ、後々トラブルになる可能性があります。
また、登記事項証明書に記載されている地積は実際の面積と異なる可能性があるので注意しましょう。
測量方法には、「境界確定測量」と「現況測量」の2種類があります。
「境界確定測量」は隣地所有者の合意の上、立会いで行い、費用の相場は40~50万円になります。
「現況測量」は、現況の面積を測量するもので、費用の相場は10~20万円程度です。
土地の相場を調べることも、売り出し価格を設定する際に重要なポイントとなってきます。
自身の希望価格と照らし合わせて、売り出しやすい価格かどうかを考慮しましょう。
売却したい土地の相場を調べたい場合は、以下のようなサイトで確認することができます。
参考:全国地価マップ(資産評価システム研究センター)

③不動産会社へ査定を依頼する

必要書類等の事前準備が整ったら、不動産会社へ査定の依頼を行います。
査定の方法には、「訪問査定」と「簡易査定」があります。
インターネットを利用し、不動産の情報サイトや国土交通省の土地総合情報システムに必要な情報を入力することで簡単に土地価格を知ることができるのが「簡易査定」のメリットです。
しかし、「簡易査定」は正確性に欠けるためより詳細な価格を知りたい方は、不動産会社が立会いの元行い価格を決める「訪問査定」がおすすめです。
依頼をする不動産会社選びも大事なポイントとなってきます。
真摯に向き合ってくれる不動産会社を見つけることを心がけましょう。

土地査定について詳しく知りたい方は、こちらの記事でも紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
土地査定の方法とは?路線価を使った土地価格の計算方法について

④売却活動を行い、売買契約を締結する

売却価格が決定したら、いよいよ売却活動を始めましょう。
不動産会社が店頭や情報サイトに掲載や、チラシの配布を行ってくれます。
希望者が募り次第売却する土地の見学が始まるため、雑草を抜くなどして土地をなるべくきれいに整備し、売買契約が締結しやすい環境を整えましょう。

購入希望者が決定したら売買契約を結びます。
不動産会社が購入希望者へ提示する重要事項や契約書に不備がないかあらかじめ確認しておきましょう。
買主と売主が契約書に記名と捺印をし、買主から手付金を受け取ることで、売買契約か締結されます。

【手付金とは?】
買主から売主へ、どちらかに債務不履行があった場合に備えて事前に支払われるお金のことを指します。

⑤土地の引き渡しを行う

売買契約が締結されたら、土地の引き渡し日当日に売買代金固定資産税などを清算し、決済を行います。
固定資産税は、引き渡し日を基準に日割りで清算金を支払うことになります。
引き渡しが完了したら、その日のうちに土地の名義を買主へ変更しましょう。
これを「所有権移転登記」といいます。
所有権移転登記は買主側も売主側も司法書士が代理で行ってくれます。
司法書士は一般的に依頼した不動産会社が手配してくれることが多いです。
名義変更を提出する際、法務局の窓口が平日の8:30~17:15までとなっているので引き渡しは午前中からなど早めの時間設定になることを覚えておきましょう。

⑥確定申告を行う

土地売却によって売却益が発生した場合は、確定申告を行う必要があります。
確定申告のタイミングは、土地売却をした翌年の2月16日〜3月15日までとなるため、忘れずに行いましょう。
もし期間内に確定申告を行わなかった場合は、追徴課税される可能性もあるため注意が必要です。
うっかり確定申告を忘れてしまいそうな人は、税務署に赴くだけでなく、インターネットを利用したe-Taxでも納付が可能なので利用してみると良いでしょう。

土地売却にかかる費用と税金

土地売却にかかる費用と税金のイメージ

土地売却には、どれくらいの費用と税金がかかるのか事前に把握して不安を解消しておきたいですよね。
まずは、土地売却にかかる費用についてご紹介していきます。

項目 費用 詳細
解体費用 150万円前後 土地に建物が建っており解体の必要がある場合のみ発生
測量費用 40〜50万円 境界確認書面を作成を行う際に土地家屋調査士に支払う費用
仲介手数料 取引額によって支払う金額は異なる 不動産会社に査定を依頼し売買契約が成立した時に発生する費用
繰り上げ返済手数料 5千〜3万円前後 ローンの返済が残っている場合のみ発生

【解体費用】
売却したい土地に建物が建っている場合は、解体する必要があるためその費用がかかります。
解体費用の相場は、建物によっても異なりますが、だいたい150万円前後と見ておくと良いでしょう。

【測量費用】
土地売却の準備をする際には、土地を測量する必要があるため境界確認書面を作成を行う際に土地家屋調査士に支払う費用が必要になります。
測量費用の相場は、40〜50万円になります。

【仲介手数料】
不動産会社に査定を依頼し売買契約が成立した際に発生する費用です。
取引額によって支払う金額は異なりますが、原則として仲介手数料の上限は法律で定められているため、取引額が400万円超の場合は「取引物件価格×3%+ 6万円+消費税」以上の手数料がかかることはないのでご安心ください。

こちらの記事では、仲介手数料にフォーカスしてさらに具体的な解説をしているのでぜひ参考にしてみてください。
また、土地売却にかかるその他の費用についてもまとめてご紹介しているので合わせて読んでみてくださいね。
不動産・土地売買の仲介手数料はいくらかかる?安く抑える方法も解説

【繰り上げ返済手数料】
ローンの返済が残っている場合は、一括返済する際に金融機関に手数料を支払う必要があります。
目安となる金額は、5千〜3万円前後となります。


次に、土地売却にかかる税金についてご紹介していきます。

【印紙税】
売買契約書に貼って納付する税金になります。
印紙税は、土地の売却価格によって異なるため国税庁のこちらの表を参考にしてみてください。

印紙税の軽減措置 10万円を超え50万円以下のもの 200円 50万円を超え100万円以下のもの 500円 100万円を超え500万円以下のもの 1千円 500万円を超え1,000万円以下のもの 5千円 1,000万円を超え5,000万円以下のもの 1万円 5,000万円を超え1億円以下のもの 3万円 1億円を超え5億円以下のもの 6万円 5億円を超え 10億円以下のもの16万円 10億円を超え50億円以下のもの 32万円 50億円を超えるもの 48万円

出典:国税庁ホームページ

【抵当権抹消の登録免許税】
売却したい土地にローンが残っている場合は、返済を済ませて抵当権を抹消する必要があります。
その際に必要となるのが、抵当権抹消の登録免許税です。
支払う金額は、不動産1件につき1000円になります。

【譲渡所得税(所得税・住民税)】
土地の売却により、売却益が発生した場合に支払う税金のことです。
所得税と住民税を合わせたものを譲渡所得税といいます。
支払う金額は、売却益の20〜40%程度となります。

土地売却における税金は、それぞれ納税の時期も異なります。
こちらの記事では、納税のタイミングや節税方法についても詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてしっかり把握しておくと、事前に対策をとることができるでしょう。
土地売却に税金はかかる?税金の種類や納税時期・節税方法についてもご紹介

土地売却にかかる税金の節税対策

土地売却にかかる税金の節税対策のイメージ

土地の売却にかかる税金に対して節税の方法があるのなら、なるべく利用して出費を抑えたいですよね。
土地売却における節税対策には、以下のようなものがあります。

【3000万円の特別控除】
土地売却の際に、住んでいた建物を取り壊した場合に適用できる税制上の特例です。
以下の条件を満たしている場合は、譲渡所得から最高で3000万円が控除されます。
ただし、土地のみの売却の場合は適用されないので注意しましょう。

(注)住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件すべてに当てはまることが必要です。  イ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。  ロ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

出典:国税庁ホームページ

【10年超所有軽減税率の特例】
土地と建物の所有が10年を超える場合は、上記の「3000万円の特別控除」と併用して「10年超所有軽減税率の特例」を適用することができます。

【相続空き家の3000万円特別控除】
相続した空き家を取り壊してから土地の売却を行う場合は、「相続空き家の3000万円特別控除」が適用できます。
適用の要件を満たしていれば、譲渡所得から最高3000万円が控除されます。
適用要件は、国税庁ホームページを参考にしてみてください。
参考:「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(国税庁)

土地売却における注意点

注意点のイメージ

土地売却においてどのようなことに注意しておけば良いのか、事前に把握しておけばしっかりと対策を打つことができますよね。
以下のようなことに気を付けて売却を行いましょう。

【隣接地との境界をはっきりさせておく】
隣接地との境界がはっきりしていない場合は、後々トラブルに繋がってしまう可能性があるのでしっかりと対象しておきましょう。
隣接地との境界には、「境界確定図」の取得と「境界標」の設置が必要になります。
「境界標」は、土地家屋調査士に依頼することで設置できます。

【契約内容に不適合がないか確認する】
土地の売却が完了した後に、契約内容とは異なる点が見つかった場合は契約不適合として責任を問われる可能性があるので注意しましょう。
売買契約後に発生しそうな具体的な例としては、「売買契約で定めた面積より実際の面積が小さかった」「土壌汚染されていることが判明した」「心理的瑕疵となる事件や事故があったのに説明を怠った」「地中に埋設物があり撤去しなければならなくなった」などが挙げられます。
契約不適合な点が見つかると、損害賠償や代金減額を請求される恐れもあるため事前にしっかりと確認しておきましょう。

【ローンが残っていないかの確認をする】
ローンが残っている場合でも土地の売却自体は可能になります。
しかし、土地の売却価格よりも住宅ローンの返済金額が上回る場合は完済のために自己の資金から支払いをしなければなりません。
土地の売却価格で住宅ローンの返済が完済できるかしっかりと計画を立てましょう。

【余裕を持った売却活動を行う】
土地の売却活動には平均しておおよそ3ヶ月ほどの期間が必要になると言われています。
焦って売却活動を行い、希望の金額よりも安く売ってしまっては損をしてしまいますよね。
そうならないためにも、余裕を持った売却活動を行うことが大切になります。
しっかりと計画を立てて行動しましょう。

土地を高く売却するコツ

土地を高く売却するコツのイメージ

土地を売却するならなるべく高い金額で売りたいですよね。
こちらでは、より高い金額で土地を売却するコツをご紹介していきます。

【より良い不動産会社に依頼する】
査定を依頼する際は、複数の不動産会社に依頼するのがおすすめです。
不動産会社によって査定金額は異なります。そのため、より良い条件で売却を行ってくれる不動産会社を見極めましょう。
判断材料として、自身で相場を調べておくことも重要です。自分の希望する販売額が相場よりも高いのか安いのか判断しましょう。
また、不動産会社によって得意な分野が異なるため、土地売却が得意な不動産会社を探して依頼をすることも大切です。

【売却に有利なタイミングを見計らう】
不動産市場は、新生活が始まる少し前の1〜3月に活性化する傾向があります。
なるべく買い手が見つかりやすいタイミングを見計らって売却活動を行うことで、より売却までの期間を短縮し、売れ残りによる値下げのリスクを回避することができます。
また、売却を考えている土地が更地の場合は、物件を建設する期間も含めて売り出し時期を見計らうとなお良いでしょう。

【売却したい土地を綺麗に整備しておく】
売却活動が始まると購入希望者が見学に訪れることになります。
その際に、雑草やゴミが放置された荒れた環境だと印象を悪くしてしまい売却活動に支障をきたす可能性があります。
もし購入に繋がったとしても、減額交渉をされてしまう場合もあるので、損をしないためにも自分で出来ることはなるべくしておきたいですよね。
売却したい土地は綺麗に整備し、買い手に良い印象を与えられる状態に保っておきましょう。

よくある質問

よくある質問のイメージ

ここからは、土地売却に起こりがちなケースをふまえて、よくある質問に対する答えをご紹介していきます。

古家が建っている土地を売却するにはどうする?

売却したい土地に家屋が建っている状態を「古家付き土地」といいます。
こういったケースで対応できる売却方法はこちらです。

  • 古家付き土地として売却する
  • 更地にした状態で売却する

それぞれのメリット・デメリットを表にしたのでチェックしてみてください。

  メリット デメリット
古家付き土地として売却する
  • 固定資産税を抑えられる
  • 解体費用がかからない
  • 売却までの期間が長引く
  • 空き家の管理費がかかる
更地にした状態で売却する
  • 買い手が見つかりやすい
  • 駐車場として運用することもできる
  • 解体費用がかかる

古家付き土地のまま売却活動を行うと、買い手側が新しい家を建てたい場合は解体費用が買い手側の負担になってしまうため、なかなか買い手が見つからず売却までの期間が長引いてしまう可能性があります。しかし、古家が建っていることにより減税措置が適用されるため、土地分の固定資産税を抑えたまま売却できるというメリットもあります。

更地にして売却活動を行う場合は、事前に解体費用がかかるというデメリットはありますが、古家付き土地のまま売却するよりも買い手が見つかりやすくなるというメリットもあります。

自身のケースに合わせてどちらの方法が良いか考えてみましょう。

また、空き家の解体費用がなく困っている方は、こちらの記事で対処法をご紹介しているので参考にしてみてくださいね。
空き家の解体費用がないときの対処法は?相場や注意点もご紹介

古家付き土地を更地にしてから売却するか迷っている方は、こちらの記事でも具体的な解体費用や注意点についてもご紹介しているので、合わせて参考にしてみてください。
古家つきの土地は更地にして売却すべき?解体費用や税金について解説

相続した土地を売却するにはどうする?

相続した土地を売却する場合、相続人が誰であるかを明らかにする必要があります。
そのため、被相続人から相続人への名義変更を行い、「登記事項証明書」にその記載が必要になります。
手続きに必要な書類は以下の通りです。

  • 戸籍謄本
  • 除籍謄本
  • 住民票

手続きを自分で行おうとすると、時間と手間がかかるため司法書士に依頼するのがおすすめです。依頼費の相場は、5〜10万円前後になります。

こちらの記事では、相続した土地の売却における税金や節税対策、いつ売却するのがお得なのかについても詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
相続した土地を売却したい!かかる税金や節税対策を分かりやすく解説

共有名義の土地を売却するにはどうする?

土地を複数の名義人で所有していることを「共有名義」といい、売却時には名義人全員の同意が必要になるので注意が必要です。
また、売却することになった際は全員が同席したうえで実印の押印が必要になります。
そのほかに「持分割合」の土地のみを売却するという方法もあります。
持分割合とは、土地の所有権の割合を指します。
割合は土地の登記事項証明書に記載されているので確認してみると良いでしょう。
また、全員の同意があり売却活動を行った場合の利益は、土地の登記事項証明書に記載されている持分割合に応じて受け取ることになります。

スムーズな売却活動が高く売るコツに繋がる

スムーズな売却活動のイメージ

土地売却の流れやかかる費用・税金についてご紹介してきました。

事前に知識を深めておくことで不安を解消しスムーズな売却活動へと繋がります。
そのためには、節税対策や注意点についてもしっかりと把握し、後になってトラブルや後悔に繋がらないよう心がけましょう。

スムーズに土地売却が完了すれば、価格を下げなければならないなどのリスクを回避し、自分の希望する売却価格へと近づけることができます。

以上の点をふまえ、有意義に土地の売却活動ができるように努めていきましょう。