「誰も住んでいない実家、このままにしておくわけにもいかないけれど、どうすればいいの……?」
「せめて国が数万円でもいいから買い取ってくれたら、肩の荷が下りるのに」

そんな風に、一人で悩んでいませんか?
大切にしてきた家だからこそ、手放すことへの迷いや、維持管理の負担に心が疲れてしまうのは当然のことです。

残念ながら、現在の日本では国が空き家を「買い取る」という仕組みはまだありません。
しかし、2023年から条件を満たせば土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」という新しい選択肢が加わりました。

この記事では、この制度があなたの助けになるのかどうかを判断できるように、分かりやすく解説します。
また、国に頼る以外にも、あなたの負担を最小限にして空き家を手放す「もっと優しい解決策」も併せてご紹介しますね。

まずは一度、今の不安を整理することから始めてみましょう。

空き家を国が買い取る制度はあるのか?

空き家を国が買い取る制度があるのかのイメージ画像

相続などにより、不要な空き家の処分に困っているという方もいるかもしれません。

実際、日本の空き家問題は深刻化しており、最新の調査(令和5年住宅・土地統計調査)では全国の空き家数は過去最多の約900万戸に達しました。

「これほど空き家が増えているなら、国が買い取ってくれる制度はないのか?」と考える方もいるかもしれませんが、残念ながらそのような制度は現在のところありません。

ご期待に沿えない結果かもしれませんが、国もこの問題を放置しているわけではありません。
現在、国土交通省では空き家の「活用拡大」「管理の確保」「特定空家の除却」といった、放置を防ぐためのさまざまな取り組みを行っています。

詳しい内容は、下記の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

このように、国による空き家の「買取」制度はありませんが、2023年からは、どうしても手放したい土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」が新しく設立されました。

「買い取ってもらう」ことは難しくても、この制度を使えば「国に引き取ってもらう」という形で解決できる可能性があります。
ここからは、その詳しい中身について一緒に見ていきましょう。

相続土地国庫帰属制度とは? 

相続土地国庫帰属制度についてのイメージ画像

相続した土地があるけれど、誰も利用する予定がない。

不要な土地があるけれど、遠方に住んでおり、なかなか管理に行けない。

という方もいるのではないでしょうか?

このように

  • 土地が管理されずに放置されたままになること
  • 将来「所有者の分からない土地」が発生すること

を防ぐために、不要な土地を国が買い取る「相続土地国庫帰属制度」が2023年に新しく設立されました。

ここでは、「相続土地国庫帰属制度」がどのような制度なのか詳しくご紹介していきます。

制度の概要

「相続土地国庫帰属制度」とは、2023年4月27日に新しく設立された制度です。

相続や遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の条件を満たした場合に法務大臣の承認を得て土地を国に「引き取ってもらう」という制度になります。

手続きの流れ

相続土地国庫帰属制度を利用する際の大まかな流れは以下の通りです。
申請先は、「その土地を管轄する都道府県の法務局・地方法務局」の窓口となります。

手続きの流れのイメージ画像

 

  1. 必要な書類の準備・審査手数料納付
    必要な書類を揃え、窓口へ提出します。この際、土地1筆につき14,000円の審査手数料を収入印紙で納付します。
     
  2. 法務局による書類審査
    書類が受理されると、法務局による書面審査が行われます。
    必要に応じて、担当官による現地の合否判定(実地調査)も行われます。
     
  3. 承認されると通知が届く
    無事に審査を通過し承認されると、申請者のもとに「承認通知」が届きます。
     
  4. 負担金の支払いを行う
    通知書に記載された「負担金」を、通知が届いた日の翌日から30日以内に専用の納付書で支払います。
     
  5. 納付後、土地の所有権が国へ
    負担金を納付した時点で、土地の所有権が国に移転します。

国が引き取れない土地

どのような土地でも国が引き取るという訳ではありません。

なかには、そもそも申請ができない土地や、承認を受けられない土地などがあります。

申請が不可な土地

  1. 土地に建物が建っている(※空き家がある場合は、事前に解体して更地にする必要があります。物置や廃屋も含まれます。)
  2. 担保権や使用収益権※が設定されている土地
    (※使用収益:物を直接に活用して利益を得ること)
  3. 他の人への利用が決まっている土地
  4. 土壌汚染されている土地
  5. 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地


承認を受けられない土地の条件

  1. 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
  2. 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
  3. 土地の管理・処分のために、除去しなければならない有体物が地下にある土地
  4. 隣接する土地の所有者などとの争訟によらなければ管理・処分ができない土地
  5. その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

申請に必要な書類

下記の申請内容によって必要な書類は異なります。

  • すべての申請者が必要な書類
  • 遺贈によって土地を取得した相続人が必要な書類
  • 申請者と所有権登記名義人が異なる場合に必要な書類

詳しくは法務省のウェブサイトに詳しく記載してありますので、参考にしてみてください。

ここでは、すべての申請者が必要な書類について、ご紹介します。

すべての申請者が必要な書類

  • 土地の位置及び範囲が分かる図面
  • 土地の形状を明らかにする写真
  • 土地と該当土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
  • 申請者の印鑑証明書


申請にかかる費用は?

一つの土地に対して14,000円の審査手数料がかかります。

この審査手数料は、申請の際に収入印紙を貼って納付を行います。

なお審査手数料は、申請を取り下げた場合や審査の結果承認されなかった場合でも、返還はできないので注意が必要です。

負担金とは?

「相続土地国庫帰属制度」では、土地の所有者が土地の管理をする必要がない代わりに、管理費用の一部を負担する必要があります。

この負担金は10年分の平均的な費用の額を考慮した金額となっており、土地の種類によって異なります。

注意点として、承認通知が届いた日の翌日から「30日以内」に納付しなければなりません。
この期限を過ぎると承認の効力が失われてしまうため、あらかじめ費用の準備をしておくことが大切です。

負担金の例

宅地

面積にかかわらず20万円

田んぼや畑

面積にかかわらず20万円

森林

面積に応じて算定

その他(雑種地、原野等)

面積にかかわらず20万円

※この負担金ですが、宅地の場合、都市計画法の市街化区域に指定されている場合などは、面積に応じて算定されるなど、一部例外もあります。(下記画像参照)【相続土地国庫帰属制度】負担金の算定式
出典:法務省ウェブサイト

相続土地国庫帰属制度のメリット・デメリット 

相続土地国庫帰属制度のメリット・デメリットのイメージ画像

 

相続土地国庫帰属制度を利用するには、良い面だけでなく注意すべき点も存在します。
ご自身の状況に合うかどうかを判断するためにも、メリットとデメリットの両面をしっかりと把握しておきましょう。

メリット

  • 管理不全による近隣トラブルを回避できる
  • 定期的に管理する必要がない
  • 次の引き受け先を探す手間や費用を抑えられる

誰も使用していない土地であっても、定期的に管理を行っていないと、近隣住民とのトラブルになりかねません。

ですが、国に所有権を返すことで、定期的な管理が不要になったり、トラブルが起きた際も、国が所有者となり元所有者が責任を問われなくなるため精神的な負担がなくなります。

また、不要な土地の引き受け先を探す手間や費用を抑えることができるというメリットもあります。
 

デメリット

  • 負担額が大きい
  • 建物は引き取ってもらえない
  • 手間と時間がかかる

先ほどもご紹介したとおり、負担金として最低でも20万円、さらに審査手数料として14,000円が必要となり、負担額が大きいのがデメリットの一つです。

また土地に建物が残っている場合、引き取ることはできないので、自費で建物の撤去(解体)を行う必要があります。

「解体費用」や「境界を特定するための費用」などを合わせると、最終的な持ち出し額が100万円を超えるケースも少なくありません。

また、申請には多くの書類準備が必要で、審査完了までには8か月ほどの時間がかかります。
「お金を払ってでも、時間をかけて確実に手放したい」という方向けの制度であることを覚えておきましょう。

よくある質問

よくある質問のイメージ画像

ここからは、土地国庫帰属制度に関してのよくある質問をまとめました。

制度に関してもっと詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみて下さいね。
 

制度に関して相談はどこにすればいい?

制度に関する相談は、土地がある都道府県の法務局または地方法務局でおこなうことが可能です。

法務局の不動産登記部門で窓口の面談もできますし、電話やウェブ相談などもできます。

相談する際は事前予約が必要となるため、「法務局手続案内予約サービス」から予約しておきましょう。

制度開始より前に相続している土地でも申請は可能?

はい、可能です。
この制度は、相続や遺贈(遺言による譲渡)によって取得した土地であれば、取得した時期が制度開始前であっても申請の対象となります。
ただし、「売買」や「生前贈与」で取得した土地は、原則として申請できませんので注意が必要です。

相続したのが山林で所在があいまいだが申請は可能?

残念ながら所在や境界があいまいな状態では申請は承認されません。

「土地国庫帰属制度」では、土地の範囲や境界を現地で確認できることが必要です。

そのため所在や境界があいまいな場合は申請は承認されません。

もしあいまいな場合は、申請を行う前に、土地家屋調査士などの専門家に相談しておくことがおすすめです。

しかし、土地家屋調査士などの専門家に依頼して境界を確定させるには数十万円単位の費用がかかることもあります。
費用をかけてまで申請すべきか、慎重に検討しましょう。

その他の空き家を手放す方法 

空き家を手放す方法のイメージ画像

相続土地国庫帰属制度は便利な制度ですが、「建物の解体が必要」「審査が厳しい」といったハードルもあります。
空き家をそのまま手放したい場合、他にも4つの選択肢があります。


その他の空き家を手放す方法

  • 相続放棄
  • 空き家バンク
  • 売却する
  • 不動産買取

相続放棄

相続放棄とは、相続したすべての財産を相続しないための手続きのことです。

すべての財産なので、借金などのマイナスの財産はもちろんのこと、不動産や預貯金、現金などプラスの財産もすべて放棄しなければなりません。

また、相続放棄をしても、その空き家を“現に占有している”場合は、次の管理者(相続財産清算人など)が決まるまで管理義務が残る点に注意が必要です。

そのため、相続放棄をして次の相続人が管理を始めるまでに、空き家の倒壊や衛生面で問題が発生した場合は、責任を負う必要があります。

相続放棄に必要な手続き

相続放棄を行うには、相続発生から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。

提出書類
・相続放棄の申述書
・相続される人の住民票か戸籍の附票※
・相続放棄する人の戸籍謄本

※戸籍の附票とは?

新しく戸籍を作った時以降の住民票の移り変わりを記録したもの。
戸籍簿と一緒に本籍地の市区町村で管理してある。

期限:相続発生から3ヶ月以内に相続放棄の申請を行う必要がある
(ただし相続放棄の期間延長を家庭裁判所へ申し立てる事も可能)

空き家バンク

自治体が空き家バンクを行っている場合もあります。

空き家バンクとは、自治体が提供するサービスで、空き家の物件情報を地方公共団体のホームページなどで掲載し、移住や地域交流の場として活用できるよう情報を提供する仕組みです。

空き家を購入したい人や借りたい人がいる場合、不動産と同じように購入や賃貸をすることができます。

ただし、空き家バンクを行っていない自治体もありますし、すぐに買主や借り手が見つかるわけではない点に注意が必要です。

売却する

空き家を売却するという方法もあります。

この場合、不動産会社に仲介してもらい、売却活動を行うことが一般的です。

ですが、相続の場合、建物自体が古い事も多いので思うような価格で売却できるとは限りません。

また、利便性の悪い立地だと、売却までに時間がかかってしまう事も多いです。

不動産買取

不動産買取とは、不動産業者に直接、空き家を買い取ってもらう方法です。

直接買取をしてもらえるので、売却までに時間がかかる事もありません。

また、売却の場合、なかなか売れないとリフォームや立て直しを検討しなければならず、費用が発生する恐れがあります。

一方で、買取の場合はそのままの状態で買い取ってもらえるため、追加の費用はかかりません。

無駄な費用をかけずに売ることができるのもメリットの一つです。

【比較表】あなたに合う空き家を手放すための方法は?

【比較表】あなたに合う空き家を手放すための方法は?のイメージ画像

これまで、空き家を手放す方法についてご紹介してきましたが、「結局、どの方法が一番自分に合っているの?」と迷ったときは、こちらの比較表を参考にしてください。
それぞれの費用の負担や、手放せるまでのスピードを一覧にまとめました。

手法 費用 スピード 状態 特徴
不動産買取 なし(0円) 最短数日 そのままOK 手間なく即現金化できる
不動産売却(仲介) 仲介手数料など 数ヶ月〜 相談による 立地や状態により売却に時間がかかる
相続土地国庫帰属 負担が大きい(解体費+負担金) 遅い(8か月〜) 更地のみ 国が引き取ってくれる安心感
空き家バンク 自治体による 不定期 相談による 自治体が運営するが、買主がすぐ見つかるとは限らない
相続放棄 ほぼなし 3ヶ月以内 そのまま プラスの財産も全て失う。管理責任が残るリスクあり

ご覧いただいた通り、それぞれの方法にはメリット・デメリットがあります。
しかし、「費用をかけたくない」「今すぐ管理の負担から解放されたい」と願う多くの方にとって、じつは最も現実的でメリットが大きいのが「不動産買取」です。

国庫帰属制度のように「お金を払って引き取ってもらう」のではなく、「お金を受け取って手放せる」という点は、大きな違いと言えるでしょう。

国庫帰属制度は、あくまで「お金を払ってでも手放したい」方のための最終手段となります。
まずは、あなたの大切な資産をお金に変えられる可能性を検討してみませんか?

空き家を手放すなら不動産買取がおすすめ

空き家を手放すなら不動産買取がおすすめのイメージ画像

「相続土地国庫帰属制度」や「相続放棄」はどちらもご紹介した通り、必要な書類を準備する必要があり時間がかかります。

また、適用条件などもあるので、誰でも利用できるわけではありません。

空き家バンクや売却なども、利用者が現れたり売却したりするまでに時間がかかる事も多くその間定期的な管理を行う必要があります。

では、不要な空き家を手放すにはどのような方法が一番おすすめなのでしょうか?

おすすめの方法は、不動産買取です。

不動産買取の場合、売却代金も入りすぐに買い取ってもらえるので、定期的な空き家の管理や面倒な手続き等も必要ありません。

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