土地売買をする際に、必ず発生するといってもいいのが仲介手数料です。不動産会社を通して取引をすることで発生する手数料のことですが、具体的にどのような条件でいくら発生するものなのかがよくわかっていないという人は少なくないのでは?そこで、土地売買にかかる仲介手数料の決まりについてご紹介していきます。
この記事の目次
仲介手数料はどういうときに発生するもの?
すぐに支払わなければならないわけではない
土地売買に限らず、不動産会社を利用するときに付き物なのが仲介手数料です。仲介手数料はその名の通り、取引を仲介した際に発生する手数料のことです。不動産会社の依頼料だと認識する人は多いですが、仲介手数料はあくまでも成功報酬になります。つまり、土地売買の契約が成立するまでは支払う必要はないということです。
仲介手数料が発生するのは不動産の売買契約が成立した時点になります。ただ、売買契約が成立したら即時請求されるというわけではありません。契約が成立した時点では不動産会社側に仲介手数料の請求権ができるというだけなので間違えないようにしましょう。
支払うタイミングは会社によって異なる
土地売買での仲介手数料の支払いをする具体的なタイミングについては不動産会社によって異なると考えるべきです。ただ、売買契約成立時点では不動産を引き渡しているわけではないことを理由に、契約成立のときに仲介手数料を全額支払うケースはあまりありません。
一般的な方法としては
■引き渡しが完了したときに残りの50%を支払う
というスタイルが多くなっています。大抵は予め不動産会社側がルールを定めていますから、それに応じるかきちんと相談したうえで支払うべきです。
土地売買の仲介手数料はいくらになる?
上限を超えた請求は法律違反になる
土地売買にかかる仲介手数料は、土地がいくらで売買されたのかによって大きく左右されます。ただ、どれだけの金額になるにせよ宅地建物取引業法という法律に基づいて、仲介手数料には上限が設けられているので覚えておきましょう。
つまり、不動産会社が法律に基づいた上限額を超えた仲介手数料は受け取れないということです。もし受け取ってしまった場合には法律違反ということになります。法的に規制されていますから、仲介手数料が異常に高額になるという心配はしなくていいでしょう。
仲介手数料の上限は売買価格の3%に6万円プラスした金額になります。つまり、300万円の土地を売買した際には15万円、500万円の土地なら21万円が仲介手数料の上限価格ということです。ただ、あくまでも上限ですから、必ずしもそれだけ多くの金額を請求されるわけではないということは覚えておくといいでしょう。
速算式はあくまで目安
また、仲介手数料の計算式として使われる「売買価格×3%+6万円」は速算式による計算方法です。
本来であれば売買価格が200万円以下なら5%の金額、200万円以上で400万円以下なら4%に2万円を足した金額といったように、売買価格によって計算式は異なります。そのため、簡略化された速算式に基づいて仲介手数料の上限を計算する際には、あくまでも参考程度に留めておくべきだと言えます。
仲介手数料は消費税がかかる!
それから、仲介手数料を支払うときに忘れてはならないのが消費税です。土地の売買そのものは非課税取引となるため、消費税はかかりません。しかし、仲介手数料となれば話は変わってきます。不動産会社からの仲介手数料は消費税も含まれた状態で請求されることを覚えておくといいでしょう。
消費税率が8%の場合、仲介手数料で10万円かかったとすると消費税は8,000円かかるという計算です。土地の売買取引のなかでは、そこまで大きな金額ではないと感じるかもしれません。しかし、消費税を頭に入れていないと計算が狂ってしまいますので忘れないようにしてください。
土地売買にかかる仲介手数料を安くできるのか?
土地売買にかかってくる仲介手数料の金額は上限を超えない限り、不動産会社の任意で決めることができます。そのため、実際には仲介手数料を上限よりもだいぶ安い金額に設定することが可能です。
実際に、仲介手数料をかなりの格安、あるいは0円で取引をする不動産会社も少なくはありません。仲介手数料を安く済ませたいのであれば、あらかじめ仲介手数料の安さを売りにしている不動産会社をあたってみるというのもひとつの手段だと言えるでしょう。
そこまで金額が安くはない仲介手数料を請求する不動産会社であったとしても、交渉によって値引きさせることも可能です。もちろん交渉すれば必ず安くなるという保障があるわけではありません。しかし、売主と買主の両方に仲介手数料を請求するケースの場合では値引き交渉がしやすいでしょう。
仲介手数料を支払わなくてもいい場合って?
土地売買をしたにも関わらず、仲介手数料を支払わなくていいケースというものがいくつかあります。
1. 仲介手数料0円の場合
1つ目は前述したように不動産会社が仲介手数料0円でサービスを提供している場合です。しかし、ほかにもいくつかのケースがあるので覚えておきましょう。仲介手数料が発生しないケースと言えば、不動産自らが売主で土地や建物の売却をする場合が挙げられます。
不動産の売却を依頼するというわけではないので、仲介手数料は発生しません。
2.不動産会社が売主の代理人になる場合
2つ目は不動産会社が売主の代理人になるケースです。この場合は通常であれば仲介手数料が発生しますが、取り決めによっては無料になることもあります。
それから売主と買主の間を仲介する取引も同じく仲介手数料がかからない場合があります。仲介手数料が0円だと打ち出していない限りは無料になるケースは稀です。しかし、不動産会社によっては代理や仲介の依頼でも仲介手数料を支払わなくてもいい場合があることは覚えておくといいでしょう。
無料にして大丈夫?
仲介手数料は不動産業者にとっての成功報酬であるにも関わらず、無料になるのはおかしいと思う人もいるかもしれません。しかし、売主と買主の両方から仲介手数料を受け取ることができる取引の場合、どちらか一方の仲介手数料を無料にしても十分に利益を得ることができます。
ほかの不動産会社に勝ち、顧客を獲得するために積極的に仲介手数料の減額をする姿勢の会社も多いですから、無料や半額といった場合でも安心して利用して問題はありません。
仲介手数料は安いほうがいいものなのか?
安ければいいというものではない!
コストをかけないようにするという点では、仲介手数料は安いほうがいいに越したことはありません。仲介手数料0円で土地売買を進めてくれる不動産会社を利用する価値は大いにあると言えるでしょう。ただ、仲介手数料が安ければ安いほどいいものなのかというと決してそういうわけでもありません。重要なのはあくまでも土地売買の取引です。
仲介手数料が安く済んだとしても、肝心の取引がおざなりになってしまっては元も子もありません。不動産会社を頼って土地売買をする際には、仕事をしっかりとこなしてくれるような業者かどうかをきちんと判断する必要があるでしょう。
サービスや質の良さを重視しよう
仲介手数料が半額や0円というとお得感があり、つい依頼したくなってしまうものではあります。しかし、肝心なサービスの質が悪いと満足のいく土地売買はできないと考えるべきです。仮に仲介手数料が高額であったとしても、その分サービスの質がよく、有利な価格で土地の売買ができたとなれば、その分だけ満足度は高くなります。
仲介手数料はあくまでも依頼する不動産会社を選ぶ際の検討材料のひとつに過ぎません。仲介手数料を含め、評判の良さやサービスの質などを総合的に判断した上で、仲介してくれる不動産業者を選ぶようにするといいでしょう。
手数料面で気を付けるべき不動産会社の特徴
不動産会社の中には悪質な方法で仲介手数料を請求するというところもないわけではありません。一部に限られた話ではありますが、不動産会社選びをする際には引っ掛かってしまう可能性がありますから十分に気をつけるべきだと言えるでしょう。
請求額が高すぎる
まず、仲介手数料の請求額が高額過ぎるケースです。法律で定められた上限の範囲内なら例え高額であったとしても問題はありません。しかし、上限額を超えた手数料条件を提示するような不動産会社は悪徳業者であると判断すべきです。
また、上限額を超えていない場合であったとしても、上限額ギリギリに設定して「この金額は法律で一律に決められた仲介手数料である」という説明をするケースもあります。金額そのものは違法ではないものの、虚偽の説明をしているため、信用には値しないと考えるべきでしょう。
手数料以外の費用の請求がある
それから、仲介手数料以外にかかる費用を請求してくるケースもあるので注意が必要です。例えば、広告費や交通費などが挙げられるでしょう。不動産会社に支払うのは基本的に仲介手数料のみですから、ほかにも不動産会社に請求される場合には怪しんだほうがいいです。
不動産売買の素人だと思われると上手く言いくるめてお金を騙し取ろうとする業者もいますから、十分に警戒したうえで不動産会社を選定するようにしてください。
仲介手数料以外にかかる土地売買の費用
土地売買をする際、仲介手数料に目がいきがちかもしれませんが、諸経費がかかる部分がたくさんあります。不動産会社への支払いとしては仲介手数料のみですが、購入する場合には登記費用や測量費、ローンの手数料などがかかってきます。
農地を宅地にするためには届出を出すために行政書士に依頼することになるため、その費用として10万円~20万円はかかると思っておいたほうがいいでしょう。
それから忘れてはならないのが税金です。土地を売買すると固定資産税を精算することになります。不動産を取得した場合には不動産所得税がかかります。
ほかにも、仲介手数料をはじめ、司法書士や土地家屋調査士への報酬に消費税を支払わなければならないので頭に入れておいてください。土地を購入したあとは、上下水道やガスなどのインフラ整備のための費用がかかります。
購入した土地に古家がある場合には解体工事がかかるので莫大な費用がかかると考えるべきでしょう。
このように、不動産会社に支払う仲介手数料以外にも、さまざまな点でお金がかかってきます。土地売買をする際にはどんな部分でどれだけのお金がかかるのかをしっかりとシミュレーションした上で契約を進めるようにしてみてください。
■主な費用まとめ
・測量費
・ローンの手数料
・行政書士への依頼費
・税金(固定資産税や不動産所得税など)
・司法書士や土地家屋調査士への報酬費への消費税
・インフラ整備費
・家が古い場合は解体工事費
仲介手数料の目安を把握した上で土地売買を!
土地売買をする際にはただ不動産会社に指示されるがまま仲介手数料などのお金を支払うのではなく、上限や相場を把握したうえで支払うことが重要です。本当なら安く済ませられたはずなのに、お金を無駄にしてしまう可能性があります。何より、悪徳業者に引っ掛かってしまい、支払わなくてもよかった大きなお金を取られてしまうことにもなりかねません。
お得に土地の売買をするためにも、仲介手数料の上限金額を計算し、金額の目安を理解したうえで契約を進めていきましょう。