不動産仲介会社の売上の一つとして、仲介手数料があります。

仲介手数料は大きく分けると、 「売買の仲介手数料」「賃貸の仲介手数料」に分かれます。それぞれの相場は、法律で決められた制限などの中で、よりニーズにあった形で仲介手数料を決定づけられています。

当記事では賃貸の仲介手数料について詳しく確認していきます。

不動産売買の仲介手数料については下記にて解説しておりますので、併せて是非ご確認ください。

土地売買の仲介手数料について
マンション売買の仲介手数料について

不動産賃貸の仲介手数料

居住用建物の場合

居住用建物の賃貸借の場合、仲介業者が受領できる報酬(仲介手数料)は宅地建物取引業法(宅建業法)第46条において賃料の1カ月分+消費税が上限と定められています。

貸主または借主の一方から受け取る場合の上限は、依頼者の承諾がある場合を除き「賃料の0.5カ月分+消費税」とされているので、本来は貸主と借主それぞれが「家賃1カ月分を折半+消費税」を仲介手数料として支払うことになります。
しかし、依頼者の承諾を得ている場合は、いずれか一方だけから「賃料の1カ月以内の額を限度として」受け取ることも認められているため、実際は借主が全額支払うパターンが多いです。

最近ではインターネットの普及もあり、広告費削減などの企業努力によって借主の仲介手数料無料などをうたい文句に宣伝している業者もあります。

もちろん、仲介業者にしてみれば売上を無しにするわけにはいかないので、その場合は経費節約の他に貸主から仲介手数料や広告料をもらう場合もあるようです。

住居用建物の仲介手数料

なお、不動産仲介業者が受け取れる報酬は、どちらの受け取り方でも合計「賃料の1カ月分以内+消費税」が上限です。

その他の物件

賃貸の場合は、「居住用の建物」とは別に「その他の物件」について、法律上の報酬上限を別途定めています。

それ以外の不動産賃貸仲介手数料

例えば事務所や店舗(テナント)の賃貸などが、それにあたります。

上限額は、居住用建物と同様「賃料の1カ月分+消費税」です。ただし、合計金額が賃料の1カ月以内であれば、依頼者の同意がなくても貸主・借主のいずれからいくら報酬をもらっても問題はありません。

また、テナントの賃貸契約は居住用建物と比べて仲介手数料以外にかかる初期費用が大きいです。契約時に担保として必要な保証金が賃料の10カ月分かかる場合もあるため、費用を計算するときにはしっかり確認しましょう。

駐車場

注意したいのが、駐車場の仲介手数料です。
実は、この駐車場の契約については宅建業法の適用を除外しているため

明確な報酬規定等の上限はなく、仲介手数料は当事者間の話し合いによる契約

となります。

駐車場の仲介手数料には明確な報酬規定等の上限がない

一般的には「賃料1カ月分+消費税」が多いようですが、上限の規定はないので1カ月分以上の金額を提示することも違法ではありません。

また、建物と同じ貸主から同じ敷地内の駐車場を借りたとしても、別々の契約としてそれぞれに仲介手数料が発生することがあります。

「建物の仲介手数料は賃料1カ月分、駐車場の仲介手数料は賃料2カ月分」といった請求になることもあるので、提示された金額を確認して、納得のいく金額かどうか確認することが大切です。

賃貸の仲介手数料として不動産会社が受け取ることができる上限金額

物件種別 仲介手数料の上限(税抜※)
貸主 借主
居住用建物 賃料の0.5カ月分以内 賃料の0.5カ月分以内
依頼者の承諾がある場合は、いずれか一方だけから賃料の1カ月分以内の金額を受け取ることができる。この場合も貸主と貸主から受け取る仲介手数料の合計金額は賃料の1カ月分以内でなければならない。
その他の物件
(テナント)
賃料の1カ月分以内
依頼者の同意がなくても、合計金額が賃料の1カ月分以内であれば貸主・借主それぞれから受け取る仲介手数料の金額に制限はない。
駐車場 明確な上限の規定がなく、当事者間の話し合いによる。

※仲介手数料には消費税がかかります。

定期借家契約について

通常の賃貸借契約ではなく「定期借家契約」で借りた物件に関しては、更新時に再度仲介手数料が発生する場合があります。

この契約は契約で定めた期間の終了によって借家契約が終了するため、そのまま借り続けたいという場合は契約更新ではなく「再契約」が必要となります。そのため、「再契約による仲介手数料」が発生するのです。通常の賃貸借契約では、更新時に「更新手数料」がかかることはありますが「仲介手数料」が発生することはありません。

しかし、「定期借家契約」で募集している物件は「所有者が家を離れている(転勤など)間だけ賃貸に出したい」「取り壊す予定がある」といった事情で再契約を想定していないこともあるので、その場合は借主が再契約を希望したとしても契約期間満了時に退去しなくてはいけません。

注意点

仲介手数料とは別になりますが、依頼者が気をつけるべきことがあります。

例えば広告費です。

一般的に行われる、広告費用や入居希望者の案内にかかる費用は、賃貸借契約成立時に発生する仲介手数料に含まれるものです。

例外的に

◇依頼者の希望で実施した通常の販売活動で行わない広告宣伝の費用
◇依頼者の希望で行った遠隔地の入居希望者との交渉のための出張旅費

などについては、不動産会社は仲介手数料とは別に請求することができます。ただし、あくまでも

◇依頼者の依頼に基づいて発生したものであること
◇通常の仲介業務では発生しない費用であること
◇実費であること

の条件が満たされている場合に限定した、例外的な取り扱いです。根拠のない広告費等を請求されることがないよう、注意しましょう。

仲介手数料は成功報酬

売買にしても賃貸にしても、仲介手数料は「成功報酬」です。契約が成立して初めて支払うものです。そのため、契約が成立する前に報酬が発生することはありません。もし成立前の時点で請求されたら不審に思いましょう。

売主や貸主と直接交渉すれば仲介手数料は発生しませんし、新築マンションの売買であれば、仲介手数料はまずかかりません。

仲介手数料がかかる取引なのか、必ず取引態様を確認しましょう。