1.第一種低層住居専用地域のメリット

用途地域による街並みの違い

まず最初に「第一種低層住居専用地域」のメリットを

  • どういう土地なのか
  • どんな種類の建物を建てることが出来るのか
  • どんな人が住むのに向いているのか

について解説を通して紹介します。


1-1.第一種低層住居専用地域を簡単に説明

第一種低層住居専用地域とは高さ10m以下の住宅が立ち並ぶ地域です。

高さだけでなく、隣の家との距離も十分にとる必要があるため高級住宅街と呼ばれる事が多い地域です。

第一種低層住居専用地域という区分は都市計画法という法律によって場所が決められています。

関連記事:都市計画法の要:「用途地域」の理解を深めよう


1-2.第一種低層住居専用地域の建物

第一種低層住居専用地域は住居専用とあって住みやすさを重視した特徴があります。

例えば、建てられる建物には以下の表のように制限があります。

建物の種類
建てられるかどうか
住宅

小規模な店舗or事務所兼住宅

幼稚園~高校までの教育施設

図書館

神社、お寺、教会といった宗教施設

老人ホーム

交番

住宅を兼用しない事務所や店舗

ホテルなどの宿泊施設

パチンコ店

ボーリング、スケート場、プール

映画館

工場

駐車場


このように騒音の可能性がある商業施設、安全面に配慮が必要な工場などが建てられないため、住宅地としてはとても過ごしやすい環境になっています。


また、住宅であっても建物の高さなどに制限があります。


制限
高さ
~10m、~12m(※)
敷地の端から住宅までの距離
1m~
封ぺい率
30%~60%(※)
容積率
50~200%(※)

(※地域によって異なります)

これらの制限によって圧迫感のある大きい建物が建ったり、住宅が密集したりしません。

1-3.土地がどの地域に区分されるかの確認方法

地域の特徴がわかったところで気になるのは「これから自分が買おうとしている土地はどの地域に分類されるんだろうか」ということです。

土地がどの用途地域に含まれるかを確認する方法は

  • 不動産業者に聞く
  • 役所が提供しているサービスで確認する

の2通りがあります

1-3-1.不動産業者に聞く

土地を買おうと不動産業者へ足を運んでいる状態ならその業者へ「この土地はどの地域に該当しますか?」と聞いてみましょう。
きちんとした不動産業者であれば丁寧に教えてくれます。

これは宅建業法という法律によって不動産業者は土地の購入時に詳細な説明をすることが義務付けられているからです。

1-3-2.役所で調べる

まだ不動産会社に足を運んではいないけど買おうか悩んでいる土地がある場合はその土地がある役所で確認しましょう。

手軽なのはインターネットで、「〇〇(土地名)+用途地域」と調べて役所が提供している情報を確認する方法です。

もしお住まいの自治体がインターネットでの情報公開を行っていない場合は最寄りの役所にある都市計画を担当している窓口へ確認しに行く必要があります。


1-4.こんな人におすすめ

第一種低層住居専用地域はその特徴からマンションやアパートなどは建てることが出来ません。

反対に平屋の広々とした日当たりのよい一軒家を建てやすいため一人暮らしよりは家族で住むのに向いている地域です。


2.第一種低層住居専用地域のデメリット

あくまでも快適な住環境を目的とした地域

住みやすさという観点から見ると第一種低層住居専用地域はメリットだらけです。

一方で暮らしやすさはどうか?と言うといくつかのデメリットがあります。


2-1.コンビニやスーパーが近くにない

第一種低層住居専用地域はあくまで快適な住環境を目的とした地域であるためスーパーやショッピングモールなどは建設することが出来ません。

同様にコンビニや飲食店なども徒歩圏内には無いと思っておいた方がいいでしょう。

自動車を持っていれば気にならないかも知れませんがちょっとした買い物に手間がかかるのは不便です。

※(追記)居住者の高齢化に伴ってコンビニを求める声は年々大きくなっています。

現状でも建築審査会という行政機関に許可を得ることが出来ればコンビニの建設は可能なのですが、手続きに時間がかかるため企業は積極的に利用していません。

しかし、2019年夏より騒音対策や営業時間の短縮など地域の環境を壊さないように配慮するという条件付きでコンビニや商店を建設することができるようになります。

これにより第一種低層住居専用地域の利便性も向上すると思われますが一方で地域住民の理解を得る必要もあり、簡単に「コンビニが出来て便利になる!」とは言えません。

ですが、これまでに比べて生活しやすくなることは間違いないでしょう。


2-3.他の住居専用地域も検討してみては?

確かに、第一種低層住居専用地域は住みやすさはトップクラスなので高級住宅街として人気のケースが多いです。

一方で買い物を始めとした生活をする上で必要不可欠な活動には少し不便です。

このように住居用地域にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

そのため、「高級住宅街に家を建てたい」という気持ちでよく調べずに土地を選ぶと後悔することがあります。

例えば、多少人通りが多くても近くに商店街やスーパーマーケットがある場所に住みたい!という方は第一種中高層住居専用地域に家を建てるのが良いでしょうし。

閑静な住宅街に住みたいけどコンビニぐらいは無いと困る、という方は第二種低層住居専用地域が最適です。

このように自分の理想の生活に最適な地域はどこかを考えて土地を選ぶのがいい買い物をするコツです


3.3階建ての建物を建てるには

2世帯住宅にしたい、用意できる予算の関係で広い土地が用意できない。

様々な事情で3階建て以上の住宅を建てたい方もいらっしゃると思います。

結論から申し上げるとその場合は第一種、第二種低層住居専用地域で家を建てるのはやめたほうがいいでしょう。

というのも高さ制限をはじめとした規制をくぐり抜けて家を建てるとなるとかなり形が制限されます。

もし3階建て以上の住宅を建てたいなら第一種中高層住居専用地域がオススメです。

この地域はスーパーマーケットや飲食店を建てることは出来ますが、あくまで住居用地域であるためオフィスビルなどの建設は禁止されています。

なので利便性と、快適さをある程度両立出来ています。


4.まとめ、第一種低層住居専用地域のメリットとデメリット

最後に低層住居専用地域のメリットとデメリットをまとめておきます。


4-1.第一種低層住居専用地域のメリット

最大のメリットとして挙げられるのはやはり住環境の良さです。

もともと快適な住環境を目指して作られただけに騒音や光害などとも無縁で、隣接する民家とも距離があるため日光に関するトラブルも起きにくいでしょう。

また、いわゆる高級住宅街と呼ばれるところが多いためご近所トラブルが起こりにくいところも大きなメリットです。


4-2.第一種低層住居専用地域のデメリット

大きなデメリットとして挙げられるのは生活の不便さでしょう。

騒音や、光害を防ぐため地域にはスーパーマーケットやコンビニなどが基本的に建設できません。

また飲食店も基本的にはありません。

そのため何か買い物やレジャーをしようと思えば少し遠出する必要があります。

快適な住環境を守るための高さ、日影規制ですが3階以上の建物を建てよう思う人にとっては大きな障害になってしまいます。