建物買取請求権とは、土地を賃借しているような場合に出てくる権利のひとつです。ただし、注意点があり、無条件で行使できるというわけではありません。建物買取請求権とは、どのような権利のことか、そして行使するために必要なことについて解説していきます。

借地権が更新されないときに行使できる権利

賃借した土地の借地権が契約満了を迎え土地を返還するときには、そこに建設した建物は解体し、更地にしてから地主に返還するというのが一般的です。これに対して買取請求権とは、賃借した土地にあった建物を解体するのではなく、地主に買取してもらう権利のことをいいます。つまり、解体費用がかからないばかりか、さらに建物を買取してもらうことで利益が生じると考えればいいでしょう。

賃借した土地の契約満了時に土地を返還する建物は解体し更地にしてから返還するというのが一般的ですが。。。

建物に予算を投じているような場合や新しい場合には、使えるものをわざわざ壊さずに済むという点でも常識的ですし、行使したほうがいい権利です。借地でも地主の承諾があれば建て替えは可能なので、住宅ローンが残っているような場合でも買取してもらえれば返済に充てられます。

ただし、地主に建物を買取してもらう額は、時価が原則です。賃借人が勝手に言い値を付けるということではありません。そのため、建設した時点より下がるのが通常であると考えるのが一般的です。しかし、地主側も価値を決める権利は持っていません。建物買取請求権を行使して地主に建物を買取してもらうときには、正しい時価を調査して書類を作成しておきましょう。

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これは重要!借地権の種類を確認しておこう

借地権とは?簡単に解説します。

借地権とは建物の所有を目的として、賃借した土地を使用する権利となります。

借地権にはいくつか種類があり、旧借地権・普通借地権・定期借地権の3つに大きく分類されます。種類によって契約期間や契約方法、契約満了時の対応が異なります。

借地権に関する法令は、旧法と新法では異なる部分があります。旧法では建物買取請求権を行使できるケースが多く見受けられるものの、新法では借地権によってその内容は異なるのが特徴です。

内容によっては建物買取請求権があるものとないものがあるので注意しましょう。

 

・旧借地権

契約期間の最低年数は木造が20年、鉄筋・コンクリート造が30年となり、契約期間は決まっていますが、更新して期間を延長することが可能です。

・普通借地権

契約期間は建物の構造に関わらず30年となり、契約期間は初回更新が20年、それ以降は10年となっています。地主の合意があれば長期間で設定することも可能です。

・定期借地権

1.一般定期借地権

存続期間を50年以上として借地権の設定をした場合には、地主側は建物買取請求権をつけないという選択ができます。この場合、賃借人は土地の返還をする際、建物を解体しなければなりません。

2.建物譲渡特約付借地権

存続期間が30年以上とするもので、契約満了後は借地にある建物を地主が買取することが決められている契約です。契約は口頭でも有効とされています。契約期間満了後、借地権はなくなりますが、建物を買取してもらったあと、賃貸物件としてそのまま居住することが可能です。

3.事業用定期借地権

存続期間を30年以上50年未満の契約で、事業専用の建物が対象です。契約期間満了後、建物は解体してから返還するのが原則になっています。事業用として使うのが条件なので、居住用の建物は建設できません。

注意!建物買取請求権を行使できないケースとは?

借地を返還するときに行使できる建物買取請求権ですが、行使できないケースもあるので注意しましょう。

1.借地権が定期借地権であった場合

定期借地権には種類があり、そのなかの「一般定期借地権」「事業用定期借地権」の場合、更地にして返還するのが約束となっているので建物買取請求権は適応されません。定期借地権は1992年に施工されたものなので、それ以降に土地を借りている場合は一般定期借地権で契約しているかもしれません。旧借地権・普通借地権であれば、契約が満了し、さらに契約更新がされないときに建物買取請求権を行使することができます。

ただし、契約書に建物買取請求権の記載が無い場合は、請求権そのものを争うことになります。また、建物買取請求権は買取の請求を行える権利であって、地主への買取の義務を規定するものでありません。あくまで納得する価格があっての権利となります。義務ではありませんが建物買取請求権の行使が正当なものである場合、地主は拒否することができません。

一方で、一般定期借地権の場合は借地権利が異なるので、こちらの場合も契約書を確認しておきましょう。

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2.契約満了前に解約する場合には建物買取請求権は使えません。

本来は建物買取請求権を行使できる契約であっても、契約満了前に解約する場合には建物買取請求権は使えません。この場合の解約とは、賃借人の事情によって中途解約をする場合を指します。たとえば、転勤や家庭内の事情などで移住が必要になった場合などです。親の介護による引っ越しなど、やむを得ない事情であっても、契約には関係ありません。

契約の途中解除では、建物買取請求権の行使はできないと覚えておきましょう。もちろん、契約書を保管しておくことも重要です。

契約書がなくても買取請求できるケースもある?

借地に何代にも渡って住んでいる場合、なかには借地権に関する契約書がないという人もいます。

契約書がなくても買取請求権できる?

1992年より前であれば定期借地権は施行されていませんから、建物買取請求権は行使できる場合があります。地代の領収書や銀行の振込記録、登記簿謄本に家計簿など、土地を借り続けてきたという証拠があれば、賃借の立証はできるでしょう。住み続けることを地主が承諾していれば、実際には契約書は存在しなくても大きな問題にはなりません。

しかし、契約書が存在していないと困るのは正確な内容を把握できないことです。いざ、地主とのあいだにトラブルが起こったとき、基準にすべき取り決めが何もわからないということになります。土地を賃借したのが何代か前で契約書自体が存在していない場合は、万が一のことを考えて取り交わしておいたほうが安心です。

契約書が存在していない場合は、地主側から作成を促してくることもあります。そのときに応じておくことをおすすめします。その場合は、土地を使い始めた時点の法令に沿った契約書を締結してもらいましょう。

建物買取請求権を行使できるのはどんなとき?

建物買取請求権を行使できる条件
◇借地権の契約が満了を迎えていること
◇更新されないこと
◇土地に建物があること

上記が条件になっています。この場合、建物の状態によっては「本当に買取してもらえるのだろうか」と疑問を持つ人もいるでしょう。土地を借りたときから使い続けているような古い物件や、老朽化がひどい物件になると不安になるのは仕方ありません。

ここでポイントになるのが、建物が建っていることが建物買取請求権の条件に含まれているという点です。つまり、実際には買取請求することは可能と判断されます。買取は時価になるので、その時点での建物の価値を専門家に出してもらいましょう。築年数の長い建物であれば相応に値は下がるかもしれませんが、それでも立派な財産です。

建物買取請求権の対象になる建物の条件に関しては、使える家であることを挙げている人もいます。しかし、使えるかどうかの判断は主観が含まれやすく、明確な基準がありません。仮に建物の老朽化を指摘されて地主に解体を要求された場合でも、安易に応じないほうが賢明です。

地主が借地権の更新を拒否することはできる?

定期借地権には契約期間満了後の借地権の更新はありませんが、旧借地権・普通借地権において地主が更新を拒否する場合には正当事由が必要となります。

更新拒否が認められるのはどんな場合?

前述の通り、地主が更新を拒否する場合は正当事由が必要となり、正当事由がなければ認められません。

正当事由の主な考慮要素は以下のとおりです。

・地主が土地の使用を必要とする事情

・賃借人が土地の使用を必要とする事情

・借地権の契約を結んだときの状況と現在の使用状況で明らかに変化がある場合

・立ち退き料の支払い

このように具体的な主張がない場合は、更新拒否の効果は生じません。

建物の時価とは?過去の判例にみる考え方

借地法の10条では、建物買取請求権を行使した場合の金額は時価と定められています。

通常、時価といえばその時々の相場であり価値という考え方をするのが一般的です。しかし、実際にはどこまでを建物の価値として含むべきか悩む人は多いでしょう。法令を読んでもさまざまな解釈ができるものも多く、今ひとつ解決につながりにくいものです。そこで、過去の裁判の判例からヒントを探ってみましょう。

東京台東区の建物買取請求権の時価における最高裁判所(1960年12月20日判決民集14巻14号3130頁)での判決です。この裁判の判決によれば、建物の時価とは現存するままの価値であり「該建物の存在する場所的環境については参酌すべき」と書かれています。つまり、周辺環境の利点や交通などの利便性に関しても時価として含まれるということです。

もちろん、借地権は時価に含まれるものではありません。しかし、暮らすうえでのメリットまでがすべて家の時価であるという考え方ができます。

建物買取請求権に関して不明な点や問題点が出てきたときには、同じような過去の判例を参考にしてみましょう。実際に裁判をするとなると、資料の準備や判決までの期間には時間がかかります。できれば避けたいものですが、地主ともめてしまい、一向に和解できない場合は裁判をするというのも解決策です。

もしも買取を拒否されたときには?

建物買取請求権を行使されたら、基本的に地主側は請求を拒否できないことになっています。

建物買取請求権とは、賃借側の財産を守るものであり、特に旧法ではその傾向が見られます。そのため、建物の買取を請求して万が一拒否されたらという心配は要りません。建物買取請求権を行使できる条件が揃ったら、あとは専門家に建物の時価を出してもらい、地主に請求書を発行しましょう。

買取を拒否されたら不動産鑑定士に依頼

より正確できちんと出してもらうためには、不動産鑑定士へ依頼するのが妥当です。費用はかかりますが、万が一金額で訴訟に発展したときでも、正確な資料として採用してもらえます。建物買取請求権を行使する場合は、請求書が地主に渡った時点で自動的に売買契約が成立します。

ただし、普通郵便や手渡しなどの場合、あとで受け取っていないなどトラブルになると面倒です。請求書は必ず書面にし、さらに配達記録を利用するなど、相手が受け取ったことが分かる手段で送りましょう。地主が請求書を受け取れば売買契約は成立になるので、あとは請求金額が渡されれば完了です。

建物があれば建物買取請求権は行使できる

新法による一般定期借地権と事業用定期借地権でなければ、基本的には建物買取請求権を行使することはできます。

それには、契約期間が満了していること、契約更新がされないことが前提です。もちろん、借地に建物が建っていなければなりません。この条件が揃っていれば、賃借人は地主に対して建物の買取を請求できます。何代も前から長く住んでいる場合は、契約書が存在していないこともあるでしょう。そんな場合でも、さまざまな資料や書類から賃借の証明は可能です。

また、建物が古い場合、解体を迫られれば納得してしまうかもしれません。しかし、建物の築年数に関係なく建物買取請求権は行使できるものとされています。仮に更地での返還を要求された場合でも、良く調べて適切な判断をしましょう。

 建物は大切な財産です。建物買取請求権を知っておけば、借地に建設した財産を守り、できるだけ損をせずに済みます。実際に借地の契約満了が迫り建物をどうするか迷っているような場合には、まず契約書がどのような種類になっているか確認してみることです。

建物買取請求権があるなら、実際の建物の時価を調査してみましょう。そして、様々なトラブル回避のために信頼できる不動産業者をみつけておきましょう。ですが不動産会社に直接赴くのも大変なことです。そこで、不動産売却査定サイト「イエイ」を活用してみてはいかがでしょう。自宅にいながらにして最短60秒で最大6社の不動産会社の査定価格を比較できます。「イエイ」では、大手有力不動産会社はもとより地元に強い不動産会社との取引も1000社以上あるので、自身にあう不動産業者をつけることはそう難しくないのではないでしょうか。

いずれにせよ、後に慌てないためにも土地の契約満了までの早い段階で信頼できる不動産会社をしっかり選び、建物の時価を知っておき、大切な財産を守りましょう。