一度は将来を誓いあった夫婦が、さまざまな理由から別の道を歩むことになった。そんなときに問題になるのは財産分与です。特に、マンションを購入していた場合には、どのように処分すればよいのかと難しい問題になります。ここでは、離婚する場合のマンションの売却について説明します。

離婚の際のマンション処分の重要性

厚生労働省の人口動態統計によると、2015年には1日平均1740人が結婚して620人が離婚しています。2014年は1764人結婚して609人が離婚し、2013年は1810人が結婚して634人が離婚しました。現代は、3人に1人以上が離婚する時代だといえます。

離婚が決まった場合に、一番問題になるのは財産分与です。

総務省の全国消費実態調査によると、2014年の2人以上の世帯の持ち家率は82.4%に達しており、財産分与をする際には持ち家の処分が大きな問題となります。特に、現代ではマンションが大きな資産となっています。

国土交通省の住宅市場動向調査によると、2016年の分譲住宅購入額の平均は、一戸建てが3,810万円であるのに対して、マンション(集合住宅)が4,423万円となっており、マンションのほうが資産価値は高いことがわかります。別の道を歩むことになった夫婦にとっては、マンションの処分が大きな問題になることが数字からもわかるのです。

マンションに暮らし続ける場合のデメリット

せっかく購入したマンションですから、どちらかが暮らし続けるという選択肢もあります。特に、子どもが小さい場合には、マンション所有者の夫が出ていって、残った妻子だけで暮らし続けるというのも、子どもの生活環境をできるだけ変えずにすむという選択となります。

妻と子供が住めば子供の生活環境をあまり変えなくてよい

しかし、マンションが夫名義のままになっている場合や、夫婦の共有名義になっている場合には、夫婦間では話がついていても後々大きな問題となる場合があります。夫婦のどちらかに新しい出会いがあった場合、後からマンションを売却してお金に変えたいと思うようになることもありえます。

その場合に、マンションが夫名義であれば、夫が自由に売却できることになってしまい、妻子は住処を失うことになります。共有名義(持ち分)の場合にも問題があります。法律上は、自分の持ち分は自由に売却できるのですが、一部でも持ち分を持っていればマンションの全部を自由に使う権利があります。

つまり、妻がマンションから引っ越すために自分の持ち分を売却したとしても、夫の持ち分が残っていれば夫は引っ越した後のマンションを自由に使えることになるのです。そうなると、買主にしてみればこわくて手が出せなくなります。持ち分を売却することはとても難しいのです。

さらに、住宅ローンが残っている場合にはその返済の問題が残ります。夫の名義でローンを組んでいた場合、ローンの返済は夫が続けることになります。しかし、マンションから出ていった夫がローンの返済を怠ってしまえば、金融機関がマンションを競売にかけて妻子は強制退去させられてしまうという危険が残ってしまいます。

マンションが妻の所有名義になっていて、ローンの返済も終わっている場合でなければ、妻子がマンションに暮らし続けることにはリスクがあるといえます。

仲介と買取はどう違うの?

離婚をきっかけにマンションを売却して、売却代金を二人で分けることになった場合には、できるだけ高い金額で売却したいのが当然です。いくらで売却できるかを考えたとき、誰に売却するのかが重要になります。売却先として考えられるのは、そのマンションで暮らしたい新オーナーと不動産会社です。

仲介と買取の違い

マンションを新オーナーに売却する場合、新オーナーがどうしてもそのマンションを欲しいと考えていれば、とても高く売ることも可能です。この場合には、不動産会社に対して、マンションの売買の仲介を依頼することになり、仲介報酬が必要となります。マンションの売買では高額のお金が動きますから、きちんと物件の状態を確認したり、後から問題にならないような契約書を作成したり、専門家に依頼しないと難しいのです。

マンションを不動産会社に売却する場合にも、その不動産会社は、後々はマンションを新しいオーナーに売却することになります。これを買取といって、買取の場合には不動産会社は仲介をしないので、仲介報酬は発生しません。しかし、買取の場合は、不動産会社は売買で利益を出す必要があるので、新しいオーナーに売れるだろう価格よりも安い価格でしかマンションを買ってくれません。

一般論ですが、買取価格は仲介で売却する価格の7割程度になるといわれています。それでも、いつ売れるかわからないマンションを早々に売却できますから、仲介ではなく買取を選ぶことにもメリットがあります。マンションがすぐに売れそうならば仲介で高く売却して、なかなか売れそうにないならば買取を選ぶことが堅実でしょう。

住宅ローンが残っていても売却できるの?

住宅ローンが残るマンション売却の場合はマンションが売れるだろう金額と住宅ローンの残額との大小関係が重要

結婚中にマンションを買うときには、住宅ローンを組むことが通常です。そして、離婚しようとするときにも、ローンがまだ残っている場合があります。

住宅ローンが残っているマンションを売却するときには、そのマンションが売れるだろう金額と住宅ローンの残額との大小関係がとても重要になります。マンションが売れるだろう金額が住宅ローンの残額よりも大きい状態をアンダーローンといいます。マンションを購入する際には頭金を入れるのが通常ですし、マンションで暮らしている間にはローンの返済をしているのですから、アンダーローンが通常の状態といえます。

この場合には、マンションは問題なく売却することができ、売却代金からローンを返済して、その残額を夫婦で分けることになります。問題となるのは、マンションが売れるだろう金額が住宅ローンの残額を下回る場合です。この状態をオーバーローンといいます。

頭金も入れて返済もしてきたとしても、それでもマンションの価格が購入時よりも大きく下落しているとオーバーローンになってしまうのです。特に、新築マンションを購入した場合には、人が住んだ瞬間に中古マンションになってしまうので、オーバーローンが発生しやすくなります。オーバーローンの場合には、マンションを売却しても住宅ローンが残ってしまいます。

ここで問題になるのが抵当権です。抵当権とは、金融機関が、住宅ローンの返済が滞った場合の担保として、強制的にマンションを売却してその売却代金を回収できるという権利です。

住宅ローンを返し続けている場合には問題とならないのですが、返済が滞るとマンションを競売にかけられてしまうのです。そして、この抵当権はマンションが売却されても消えることがありません。マンションを売却した代金からローンを返済して、初めて抵当権が消えるのです。抵抗権がついたままのマンションは売れなくなります。

せっかくマンションを購入しても、売主が住宅ローンの返済を怠れば金融機関が競売にかけてしまうのですから、こわくて購入できないのです。ですから、マンションは住宅ローンの残額を超える金額でしか売却できないことが原則となります。

オーバーローンへの対処方法

オーバーローンへの対処方法は大きく2つあります。

1つは、貯金や住替えローンによって不足額を充填することです。手元にお金は残らなくなりますが、抵当権を消すことができれば、マンションを手放すことができます。マンションを手放せればローンの返済も終わりますし、固定資産税などもかからなくなるので、すっきりと新しい生活のスタートを切れます。

もう1つの方法は、任意売却です。任意売却は、金融機関にマンションを売却した後に住宅ローンが残っていても、抵当権を消すことを承諾してもらうことをいいます。この場合は、金融機関は残った住宅ローンについての担保を失うことになってしまいます。ですから、それでも納得してもらえるように交渉する必要があります。

交渉材料としては、任意売却のほうが競売するよりも高くマンションを売れるので、金融機関にとっても回収できる金額が大きくなることと、マンションという担保がなくなっても返済を続けると約束することがあげられますが、交渉は難しいので不動産会社や弁護士などの専門家に相談しながら行なうことが通常です。

まとめ

高く売却するためには時間が必要

 離婚してマンションを売却する場合には、できるだけ高く売りたいものです。高く売ることができれば、オーバーローンを避けられる可能性も高くなります。できるだけ高くマンションを売却するには、買取ではなく仲介が望ましいのですが、買主となる新しいオーナーを見つけるには時間がかかります。

離婚すると決めたらできるだけ早くに距離をおきたいものですが、それでも、お互いに良い条件で新しい生活をスタートさせるためにも、マンションの売却には時間をかけて取り組むことが得策といえます。