不動産を売却する際の選択肢としては、買取と仲介の2つの方法があります。この2つはいずれも不動産会社を通して行う方法ですが、さまざまな違いがあります。そこで、買取と仲介それぞれの特徴を比較しながら、ケースに応じて上手に使い分ける方法を説明します。  

不動産を売却する方法には2種類ある

買取

不動産を売却するには、不動産買取業者に買い取ってもらう方法と、不動産仲介業者に依頼して探してもらった買主に売る方法があります。不動産買取業者に買い取ってもらう方法を「買取」と呼んでいます。

買取は、不動産会社が不動産の直接の買主になります。そのため、買主を探す必要がなく、スピーディに売却を完了できるのが大きな特徴です。購入する不動産会社が価格査定を行って買取金額の提示を行い、売主が納得すれば売主と不動産会社との間で売買契約が締結され、売買代金の決済や物件の引き渡しも素早く行われます。

一般の買主に売却する場合のように、住宅ローンの審査が通らなかったなどの事情で契約が覆される心配もありません。売却が完了するまでの期間の目安は約1カ月で、このスピード感が買取の大きなメリットのひとつです。

売買契約の手続きは買主である不動産会社が整えてくれますが、自社が買主であるため仲介には当たらず、仲介手数料はかかりません。また、買主はプロである不動産会社であるため、一般人に売却する場合と違って瑕疵担保責任が免責されます。売却してしまえば建物の不具合や土地の地中埋蔵物などがあっても、売主は責任を負う必要がないのです。

しかし、買取にもデメリットはあります。買取価格は物件の相場価格よりも安くなってしまうことです。 不動産会社は買い取った不動産を自ら使うわけではなく、転売することで利益を得ています。買い取ったままの状態で転売する場合もありますが、多くの場合は建物をリフォームしたり建て替えを行ったりすることで、不動産価値を上げてから転売するのです。

そのため、転売価格が買取価格とリフォーム等に要した費用、その他の諸経費を下回ってしまったら赤字となってしまうというリスクがあります。このリスクを考えて、買取価格は低めに抑えるしかないのです。したがって、買取価格が相場の2~3割程度安くなってしまうことは覚悟しなければなりません。

買取と仲介どちらがいい?

仲介

次に、不動産仲介業者に依頼して買主を探してもらい、見つかった買主に物件を売却する方法を「仲介」と呼びます。

仲介では、一般人のなかから買主を探し、その買主との契約を成立させることを不動産会社に依頼します。一般市場から買主を探す以上、一定の広告宣伝活動を行う必要があり、期間もそれなりにかかります。物件の人気や売り出し価格設定にもよりますが、3~5カ月程度の売却期間が通常です。

売買契約の手続は買取と同じように不動産会社が整えてくれますが、買主との契約を仲介した報酬として仲介手数料がかかります。また、一般人が相手であるため、売買契約における瑕疵担保責任を負わなければなりません。この責任を追及された場合には、補修や損害賠償などの責任を負う必要が出てしまいます。

売却期間が長いこと、仲介手数料や瑕疵担保責任については、仲介は買取よりも売主に不利に見えます。しかし、これを補って余りあるメリットが仲介にはあります。それは、高い価格での売却が可能であることです。不動産会社が買取する場合とは違って、購入者は自分で使用するために物件を購入するため、価格も相場価格を基準に判断されるのです。  

まずは仲介を検討してみよう

不動産をどうしても早く売りたいという事情がない限り、通常の価格相場で売却ができる仲介の方法を選ぶほうが得策です。そこで、仲介ではどのようなプロセスで売却活動が行われるのか、また仲介手数料はいくらかかるのかについて説明します。

仲介で不動産を売却しようとするときには、まず依頼する不動産会社を選択する必要があります。そのためには、複数の不動産会社に価格査定を依頼して実際に接触してみることです。電話やメールなどで簡単な机上査定を依頼することもできますが、最終的には訪問査定を依頼することになります。

不動産会社は周辺の似通った物件の取引事例なども参考に査定価格を提示し、売出価格のアドバイスもします。この際に、売却価格の希望や売却活動における要望を率直に伝えると、その反応で不動産会社を信頼できるのか、自分と相性が合うのかなどを確かめられるでしょう。

高く売りたいあまり、単純に査定価格の高い会社を選んでしまいがちですが、不動産会社としては他の不動産会社との競争を勝ち抜き、依頼を獲得するために高い価格を出していることもあります。その場合は、後になって結局値引きをして販売することにもなりかねません。そのため、価格だけで比較するのではなく、説明内容や信頼感などで不動産会社を選ぶことが大事です。

選択した不動産会社とは媒介契約を結ぶことになります。不動産会社に買主の探索を依頼するとともに、売買契約が成立するように働いてもらうための契約です。媒介契約の種類は3つに限られており、「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」となっています。

専属専任媒介と専任媒介

他の不動産会社に重ねて媒介を依頼することはできない契約で、専属専任媒介の場合には自分で見つけた買主と契約することも禁じられています。一般媒介は他の不動産会社に重ねて媒介を依頼することも可能な契約で、自分で見つけた買主と契約することも許されています。
どの契約を選ぶのかはケースバイケースですが、一般媒介よりも専属専任媒介や専任媒介のほうが、不動産会社の積極的な販売活動を引き出すのには向いています。専属専任や専任であれば、確実に売主から仲介手数料を得られることが確定しているからです。

一般媒介

これに対し一般媒介の場合には、他の不動産会社が物件を売却してしまうと仲介手数料を得ることができません。それまでの販売活動が全て無駄になってしまうリスクがあるため、自ずと販売活動に力が入らない場合があるのです。売買契約が成立した際に、媒介契約に基づき不動産会社に支払う報酬が仲介手数料です。仲介手数料は、国土交通省の定める報酬規程で上限が決まっています。

たとえば、売買価格が400万円以上の場合は、売買価格の3パーセント+6万円(税別)が仲介手数料の上限です。売買価格が3,000万円の場合は、96万円(税別)が仲介手数料の上限ということになります。 買取を選択することで節約できる仲介手数料はこの程度です。したがって、手元に残る金額を優先するならば買取よりも仲介のほうが有利であることがわかります。

物件を少しでも高く売るためには、不動産会社の努力だけでなく売主自身の協力も多少必要です。居住中の住居に購入希望者が見学に来る際に気持ちの良い対応をするだけでなく、室内をより良く見せるために掃除や整頓をしたほうが気に入ってもらえる可能性は高まります。 また、購入希望者からの要望で妥協できそうなものについては、前向きに検討してみましょう。値引きの交渉についても許容範囲であれば応じたほうが、良い買主を逃さないということもあります。

これらの判断を的確にするためには、物件への問合せ状況や反応などをこまめに聞くなど、不動産会社と情報共有しておくことが大切です。買主が見つかったら売買契約の締結や売買代金の決済、物件の引き渡しなどを行います。この手順は不動産会社がサポートしてくれます。ただし、告知書と呼ばれる物件の状況を確認して買主に交付する書類については十分に注意しましょう。

高く売りたいからといって不具合を隠したりしてはいけません。買主への瑕疵担保責任を負わなければならなくなるからです。物件の状態について買主と正しく認識を共有したうえで契約を締結すれば、瑕疵担保責任について後々トラブルが生じる危険性を減らすことができます。  

どんな場合に不動産の買取を選ぶべき?

買取よりも仲介のほうが不動産を高く売ることができます。しかし、それでも買取を選んだほうが良い場合もあります。まず、早急に現金が必要なため急いで売却したい場合です。

仲介では早くても3カ月程度は売却期間がかかります。半年以上経っても売れないこともあります。売却期間が長いだけでなく、いつ売れるのかがはっきりしないのも厳しいところです。買取であれば1カ月程度、早ければ2週間ほどで代金決済まで終了することもあり、早期現金化のニーズに応えられる方法と言えます。

また、築年数がかなり経っている物件や、立地条件が悪く多くの人が敬遠しそうな物件の場合にも、買取を選んだほうが良いことも多いでしょう。これらの物件は、仲介で売却活動を行っても買い手が現れないことも多く、長期間に渡って売り出し中物件として世間の目にさらされることも多くなります。
そのうちに、何度も価格改定で安くしていかなければならず、それでも売れなければ有名な不人気物件になってしまう可能性まであるのです。

いくら値下げしても売れない物件にならないとも限りません。それよりも、買取をしてもらったほうが、長期間悩まず結果的に良かったということも多いのです。

周囲に知られずに不動産を売却したい場合も、買取が有利です。仲介の場合は買主を探すために広告活動を行うと同時に、物件見学者が周囲を訪問するなどから、近隣住民に不動産売却が知れ渡ってしまう可能性があります。買取であれば、広告活動もなく物件見学をしにくる人もいません。  

買取を断られた!そんなときどうするべき?

買取での不動産売却を考えていたのに、不動産会社から買取を断られる場合があります。たとえば、築年数が古すぎて建物の状況がひどい場合などです。しかし、立地が僻地すぎて買取しても再販の余地がないような場合を除き、建て替えて再販することができるため、他の業者にあたってみれば買取してくれることは多いでしょう。

買取業者によって利益の上げ方は違うので、得意分野に合っていれば買取してくれる場合は多いのです。また、接道要件の問題で建築基準法によって新しい建物への建て替えができない再建築不可物件は、買取してもらえない可能性が高いものです。建物を建てられなければ土地の利用価値は乏しいため、買取業者も買うことができません。

しかし、既存の建物がある場合には建物をリフォームして再販することが可能な場合もあるため、他の業者に当たってみれば買取してもらえる可能性もなくはありません。なかには、再建築不可物件の再販を得意にしている業者もいます。
また、隣地の一部を購入して接道要件を満たすなど、再建築を可能にするような交渉をしてくれる業者が現れないとも限りません。根気強く業者にあたってみましょう。

買取してくれる不動産会社が見つからない場合は、改めて仲介による売却を検討してみるのもひとつの方法です。不動産会社は再販による利益を出せなければ買取はできませんが、個人が自己使用のために購入する場合、ニーズは千差万別だからです。仲介での売却はたったひとりの買主を見つけることができれば成立します。長い期間がかかっても良いと割り切るのであれば、そのひとりをじっくり待つというのも方法です。
また、買取でも仲介でも売却できない場合は、発想を変えて不動産の活用方法を考えてみるのもひとつの手です。賃貸物件として使用したり駐車場に変えたりするなど、放置しておくよりは有益な方法を検討してみましょう。  

売却価格の相場を知ることから始めよう

買取と仲介のどちらで不動産を売却すべきかに悩んだら、まずはその不動産の相場価格を調べてみましょう。価格の予想がつけば、仲介であればどれくらいで売れるかがわかります。また、その価格から3割程度安くすれば買取価格の予測もつくでしょう。これによって、買取での金額を許容できるのか、時間がかかっても仲介で売却したほうが良いのかなどの判断がつきます。

自分で価格相場を調べる方法にはいくつかあります。例えば、土地については国土交通省の土地総合情報システムのサイトで、実際の取引価格の一部や公示地価を調べることができます。公示地価は国土交通省が各地域の標準的な土地の価格を評価して年に一度公表しているもので、実際の相場価格に近いものです。

また、国税庁が公表している路線価も地価相場を知るのには有効です。課税基準に使用するため、土地が路面にどう接しているのかに応じた地価単価を年に一度公表しており、この価格は公示地価の約8割とされています。これらを目安にすれば地価相場は把握できるでしょう。

インターネットで売出し物件をチェック

また、マンションなどはインターネットで売り出されている物件をチェックしていれば、だいたいの相場はわかるようになります。同じ地域に似通った条件の物件が多いため、比較がしやすいからです。ただ、戸建ては物件ごとの違いが大きく、築年数が経つことによる価格の変化も大きいため、相場をつかむのが難しいのは事実です。 そもそも、価格がつかないような場合もあります。売却したい不動産の価格を知りたければ、不動産会社に価格査定に来てもらうのが一番確実です。

複数の会社に依頼をして査定価格を見比べたり、査定の根拠の説明を受けたりすれば、精度の高い価格把握が可能になるでしょう。買取をしている不動産会社にも査定依頼をしてみれば、買取金額の見込みも知ることができます。その場合も、事前に自分で相場を知っておけば査定価格が妥当なものなのかどうか冷静に判断することができるはずです。

一番高く不動産が売れる!
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まとめ

買取は負担も少なくスピーディに不動産を売却できる方法です。唯一の難点は価格が市場価格よりも大幅に安くなってしまう点ですが、価格について妥協できるなら便利な方法だと言えるでしょう。一方、高い売却価格にこだわるなら仲介を選ぶことになります。買取に比べて時間がかかりますが、価格相場程度での売却が可能です。

買取にも仲介にも一長一短があり、一概にどちらが良いとは言えません。それぞれの特徴を比較しながら、物件の相場価格とも照らし合わせて最適な方法を選びましょう。