不動産に関する話をしていると、「坪単価」という言葉をよく耳にします。しかし、「坪」という単位に馴染みがない人も増えてきました。また、坪単価の正確な意味や不動産取引の場面での使い方など、きちんと説明するのは意外と難しいものです。そこで、不動産にかかわる坪単価について詳しく説明します。

土地の価格における坪単価の意味

「坪」というのは尺貫法による面積の単位です。しかし、公的な文書などの表記は「平米(平方メートル)」で統一されており、「坪」という単位を目にすることはなくなりました。実生活上も「平米」を使うことが多いため、若い人などのなかには「坪」と聞いてもピンとこない人も増えています。

不動産に関しても、マンションの専有面積などは「平米」を使って会話されることがほとんどです。しかし、土地については不動産業者だけでなく一般の人も、「坪」を使って会話することが多いという現状があります。「この土地は坪いくらなの?」と言うことはあっても、「この土地は平米いくらなの?」と言うことは少ないのです。

長年にわたって土地の価格の比較には「坪」が使われてきたからです。1坪を3.3平米と覚えている人は多いと思います。しかし、不動産取引の現場では坪と平米を変換する機会が多いため、もう少し細かく1平米=0.3025坪で計算されています。

つまり、

平米数×0.3025=坪数
坪数÷0.3025=平米数

ということです。

たとえば、70平米の土地は70×0.3025=21.175坪ですが、取引の現場では小数点以下第3位は切り捨てることが多く、21.17坪と表示されます。また、50坪の土地は50÷0.3025=約165.289平米で、表示は165.28平米となります。

坪単価と平米数の計算

禁止されている尺貫法

取引や証明に関する文書で「平米」が使われるようになっているのは、計量法という法律が尺貫法の使用を禁止しているからです。そのため、不動産取引に関連する文書においても、面積に関する単位には「平米」が使われています。参考として「坪」表記がされている場合でも、必ず正式な数値として「平米」表記があるのです。 実際、不動産の権利関係を示す登記事項証明書を見てみても面積は「平米」で表示されており、「坪」での表示はありません。

ただ、不動産業者との会話などでは当たり前のように「この辺の土地はだいたい坪50万円ぐらいです」などと言われるのが現実です。土地の坪単価というのは、1坪あたりの土地の価格です。したがって、土地の価格相場が坪単価50万円だと聞けば、単純計算して5坪の土地で250万円、50坪の土地で2500万円、500坪の土地で2億5000万円だと考えるのは無理のないことです。

しかし、実際に取引される価格はこの通りにはなりません。5坪の土地は建物を建築するのは難しく利用価値が下がるため、250万円よりも安くなることがほとんどでしょう。また、500坪の土地は広すぎる点と価格の総額が高いため、購入希望者は限られてしまいます。この場合も価格は2億5000万円よりも安くなりがちです。

もっとも、500坪の土地を仕入れて宅地として売ったり、建売住宅を建てて売ったりする業者が購入を希望することもあるでしょう。しかしその場合は、利益を出すために安い価格で買おうとすることが通常です。また、500坪の中に道路を作るなら実際に売れる土地は少なくなるため、この分を見込んで安く仕入れる必要も出てきます。

このように、坪単価に坪数をかければ実際の価格がわかるとは限りません。実際の価格は、土地の用途や売れやすさによっても大きく左右されるからです。面積だけでなく、土地の形や道路への接道状況などによっても価格は違います。坪単価というのは、価格を決めるものというよりも実際の土地の価格から割り出された目安に過ぎないものだと考えておいたほうがいいでしょう。
また、「この辺の坪単価は50万円です」という場合には、そのエリアにおいて普通に需要がある標準的な土地を念頭においているものだと理解しておくことが大切です。

国が発表する公示価格と路線価

公的価格

土地の単価を知りたいと考えたとき、参考になるのが公示価格と路線価です。これらはいずれも国が公表している公的価格と呼ばれるものです。

公示価格は国土交通省が年に1度公表しています。全国各地に標準地と呼ばれる土地を選び、毎年1月1日時点での土地価格を評価するものです。
標準地というのは、その地域において同じ用途で使われる土地のなかから、周辺環境や面積、土地の形などの点で標準的だと考えられる土地として選ばれた土地のことです。公示価格では1平米当たりの単価のみならず、標準地の評価額についても公表されています。

公示価格

公示価格は、一般の土地の取引の指標となることや、公共事業用地の取得価格の算定規準となることを主な役割としています。そのため、極端に狭い土地や著しく使いにくい形の土地などは標準地にはできません。宅地であれば住宅を建設して使う用途で、商業地であれば商業施設を設ける用途で、通常需要があると思われる土地が選ばれます。

これによって、公示価格は実際に取引されている実勢価格に近いものと理解されており、地価相場を知る目安として有益なものです。また、公示価格の決定には不動産鑑定士が関わることになっており、不動産鑑定評価書も合わせて公開されています。具体的な土地の住所などとともに、その地域における市場の特性や地価の動向についても記載されており、非常に参考になるものです。

公示価格は、国土交通省の土地総合ライブラリのサイト「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」のページで見ることができます。

路線価

国が公表している地価としては、ほかに路線価があります。路線価は道路に面する宅地1平米当たりの評価額で、毎年1度国税庁が公表しています。路線価の公表は相続税や贈与税の課税基準にすることが目的です。

ただ、路線価は公示価格の8割程度とすることが決まっているため、路線価を0.8で割れば公示価格に近づき、土地の価格相場を知ることにも使えます。路線価は公示価格とは異なり、特定の土地の価格を示すものではありません。同じ路線に面している宅地の価格は同じものだと一旦扱い、土地の単価を示すものです。
ただし、路線からの奥行や土地の形状によって価格を補正するために、奥行価格補正率表や不正地補正率表などを使って土地価格を補正計算することになっています。

路線価は一定の距離をもった路線の土地単価が表示されており、市街地などにおいては網羅的なので、土地の価格相場を把握する手段としては役立ちます。ただし、路線価だけで実際の土地の価格がわかると考えるのは早計です。路線価はあくまでも課税基準として使われるものであるため、それぞれの土地の使い勝手などまでは十分に評価できていないからです。道路に対する土地の向きなどによって、実際の価格は大きく変わるため、一定の目安だと割り切って使うことが大切でしょう。

また、公示価格に示されている標準地との違いなどを比較しながら見るのも有益です。

価格査定依頼が近道?実勢価格における坪単価を知る方法

公示価格や路線価は土地価格相場の推測に役立ちます。しかし、土地取引は日々行われ、土地価格は変動しています。実際の取引動向を考えなければ実勢価格を知ることはできません。一般の人が土地の実勢価格を調べるには、まず不動産ポータルサイトなどに掲載されている土地の売出価格を見てみることです。

土地価格を知りたい土地の近隣の売り出し事例を見れば、大まかな目安はわかるはずです。これらのサイトでは、平米単価や坪単価も表示されていることが多いので、参考にしやすくなっています。ただ、不動産ポータルサイトに掲載されている土地の情報には、詳細な住所や写真が載っていないことも多く、サイト上では具体的にどの土地を指しているのかがわからないことが多いのも現実です。

また、価格はあくまでも売出価格であり、その価格で実際に取引されるとは限りません。強気の高値で出ているときも往々にしてあり注意が必要です。それでも多数の売り出しがある地域であれば、比較していくうちに相場観はある程度養われるでしょう。しかし、実際の成約価格や周辺の取引状況を把握している人たちもいます。その地域の不動産会社です。

不動産会社は日々の取引情報に接しているだけでなく、レインズという不動産業者間の情報共有システムによって、土地の成約価格情報にも接しています。したがって、土地がある地域の不動産会社に尋ねれば、「この辺の土地は坪50万円」といった比較的正しい相場価格を教えてもらえるでしょう。

ただ、特定の土地の価格を知りたい場合は、その土地の周辺環境や接道状況、形状や向き、広さなどの条件を加味して評価しなければなりません。そこまで知りたいとなれば、不動産会社の価格査定を依頼するのが最も確実な方法です。不動産会社は、周辺で行われた類似の土地の取引価格や市場の動向、その土地の希少性や売りやすさなども考慮して価格を査定します。

もちろん、不動産会社によって査定価格には差が出ますが、複数の会社に査定を依頼したうえでそれぞれからきちんと説明を受ければ、比較的正確に土地の実勢価格を知ることができるでしょう。

不動産投資をするなら1種単価が重要

多くの場合、土地は建物を建てて利用されますが、同じ面積の土地であっても建築できる建物の床面積は異なります。それは、それぞれの土地に容積率と呼ばれる制限がかけられているからです。

容積率

容積率とは、土地面積に対して建築できる延床面積の割合の上限を決めるもので、建築基準法や都市計画法に基づき自治体によって決められています。

たとえば、100坪の土地の容積率が100パーセントであれば、床面積100坪までの建物が建てられるということです。宅地として利用する場合でも容積率は問題になりますが、マンションやアパートを建築して賃貸経営をしようと考えている人にとっての重要性は一層大きなものになります。 容積率の上限でマンションなどを建築し、少しでも賃貸に利用できる部屋数や広さを確保しようとするからです。

同じ100坪の土地でも容積率が500パーセントであれば、建築できる床面積は500坪となります。不動産投資をする人にとっては、容積率100パーセントの土地と500パーセントの土地の価値は大きく異なるのです。したがって、不動産投資をする際には、単純な坪単価で土地の価格を比較することはできません。建築可能な床面積当たりの土地価格を計算して、適正な投資効率が得られるのかを判断しなければならないのです。

その際に使われるのが「1種単価」と呼ばれる土地単価です。

1種単価

1種単価は、容積率100パーセント当たりの土地単価を意味し、坪単価を容積率で割って計算します。

たとえば、100坪の土地の価格が1億円だった場合、坪単価は100万円です。この土地の容積率が100パーセントの場合、1種単価は100万円÷1=100万円となります。容積率が500パーセントの場合の1種単価は、100万円÷5=20万円です。投資効率を考えた1種単価でみると、同じ100坪の土地でも容積率500パーセントの土地は、100パーセントの土地よりも、投資効率が5倍良いということになります。

もちろん、実際の投資効率はコストなども関わるため、1種単価だけでわかるわけではありません。しかし、不動産投資の対象となるかどうかの目安を簡易に判断できるため、不動産投資家や不動産業者の間ではよく使われる単価計算です。

注文住宅の建築費における坪単価とは?

注文住宅の建築費についても坪単価という言葉は使われます。この場合の坪単価は1坪あたりの建築費を指し、建築坪単価とも呼ばれます。注文住宅の仕様による建築費の比較や、ハウスメーカー間での建築費の比較に使われているものです。ただし、土地の坪単価とは異なり、建築費の坪単価は単純比較しにくいものです。 それは、建築坪単価計算の基礎とする数値の考え方に、ハウスメーカーごとの違いがあるからです。

建築坪単価は「本体価格÷延床面積」で計算されます。しかし、ハウスメーカーによってどこまでを建物本体と呼ぶのかに違いがあります。本体工事の範囲や付帯工事の範囲の境界について明確な基準がなく、ハウスメーカーによって考え方が異なるのです。また、延床面積も建物部分だけを指すのか、バルコニーやポーチなど施工した面積全体を指すのかなどの違いがあります。

これではハウスメーカー間の建築坪単価の違いをうまく比較することはできません。正しく比較するためには、どこまでを計算の基礎にしているのか明確に説明を求める必要があるでしょう。また、建築坪単価は延床面積が広いほど安くなる傾向があります。建築費のなかで費用が大きくかかるのは水回りを中心とした設備ですが、広い家でも狭い家でも必要とされる設備の数や大きさはあまり変わりません。

したがって、広い家の場合は費用のかからない建築をする比率が高くなるわけです。広さや仕様によって、同じ単価を適用できる範囲は限られているということも知っておく必要があります。

まとめ

坪単価には、土地の価格単価を示す場合と、建物の建築費単価を示す場合があります。そして、土地の価格相場における坪単価は公示価格や路線価などから推測をすることが可能です。さらに、不動産会社の価格査定を受ければより精度の高い価格を知ることができるでしょう。また、投資判断を行うためには、1種単価で土地価格を見るのが有効です。

一方の建築坪単価は、計算方法の明確な基準がないことに留意して接する必要のあるものです。場面に応じた坪単価の意味を正しく理解することで、土地単価や建築費単価についての的確な判断ができるようになるでしょう。