不動産売買を行う際、不動産仲介業者が売手と買手の間に入り売買業務を行うことが通常です。しかし、仲介手数料が発生するため不動産仲介業者がいない方が節約できるのではないかと考える人もいるのではないでしょうか。
ここでは、不動産売買において不動産仲介業者の役割や、不動産仲介業者に依頼するメリットとデメリット、不動産仲介業者を選ぶ際のポイントについて解説していきます。

不動産仲介業者の役割とは?

不動産業を営む際は、ひとつの事務所において業務に従事する者5人につき1人以上の割合で、専任の宅地建物取引士を設置することが義務付けられています。不動産仲介業者は不動産売買において売主と買主の間に立ち、査定を行うことや売買契約の締結など、契約に至るまでの業務やサポートなどをしてくれます。

リスクや手間を引き受ける

不動産会社が行う査定は原則無料となっており、売主と買主の交渉をサポートし、取引が成立した時点で受け取る仲介手数料が不動産仲介業者の利益です。尚、手数料は成功報酬であるため、取引が不成立になった場合は手数料を受け取らないのが普通です。

不動産仲介業者は必要?通さないのは違法?

それでは、不動産仲介業者に頼まず個人間で取引を行うと仲介手数料がかからず節約できるのではないかと考える方がいるかもしれません。それと同時に、個人間で不動産取引を行うことは違法なのではないかと思う方もいるかもしれません。しかし個人間で不動産取引を行うこと自体は法律上問題ありません。

ただし、不動産売買における法律や税制、契約手続きなどは非常に複雑なうえ、高頻度でルールが細かく修正、改正されているため一般人では把握しきれず、無自覚のまま契約違反を犯してしまいトラブルを招くことにもなりかねません。また不動産売買は金額も高額であるため、個人で条件に合った買主を見つけるには限界があるでしょう。
このような手間やリスクを避けるために、不動産仲介業者がいるのです。

不動産仲介業者の主な仕事内容とは?

売主・買主の間に立って売買業務を行ってくれる不動産仲介業者ですが、主な仕事内容としては次のようなものがあります。

・査定や売出価格の提案

売主の所有している不動産を査定し、適正な売出価格を提案します。査定方法は大きく分けて二種類あり、売主から提供されたデータだけを基に価格を算出する机上査定と実際に不動産会社の担当者が自宅を訪問し、価格を算出する訪問査定があります。

・集客

WEB掲載やポスティングを行い、好条件の買主を見つけるための販売活動を行います。購入検討者から問い合わせや内見の希望があれば対応します。

・物件の紹介

買主の要望をヒアリングし、条件にあった物件をすすめます。気になる物件があれば下見日程を調整し買主を案内します。

・条件の交渉

売主と買主の間に立ち、金額や引き渡しの時期など諸条件の交渉を行います。
双方の条件が纏まれば売買契約の手続きを行います。

・引渡し

物件の引渡しに立ち合い、所有権を売主から買主に移します。

以上の通り、不動産仲介業者は買主と売主との間に入り交渉などを仲介する大切な役割を担っています。ここからは不動産の売買を不動産仲介業者に依頼するメリットについて解説していきます。

仲介を依頼するメリットとは?

不動産仲介業者を利用すれば不動産売買の適正価格がわかる

適正価格がわかる

不動産仲介業者を利用するメリットは、第一に「売買価格の適正価格がわかる点」です。
適正価格を把握していないまま個人で交渉を始めてしまうと、相場よりはるかに安い価格で購入されてしまう恐れがあります。その点、不動産仲介業者は過去の近隣の成約事例などを参考にしながら売出価格を提示するため相場に近い金額で交渉することが可能です。

手間を省ける

不動産売買には売買契約書などの書類は欠かせませんが、契約手続きは非常に複雑であるため知識がないとどこでミスをするか分かりません。十分な知識がない場合契約違反を犯してしまい、トラブルを招いたとしても自分で対応しなければなりません。
専門家である不動産仲介業者に依頼すれば、これらの手間が解消します。

また不動産売買は金額も高額であるため、個人で条件に合った買主を見つけるには限界があります。不動産仲介業者は宣伝力が高いため、多くの買主候補を個人で探すより迅速に見つけてくれます。候補数が増えるということは、好条件の買主と出会える確率も高まるということです。

契約の責任を負ってもらうことができる

不動産の売買契約書と重要事項説明書には、不動産会社が不動産仲介業者として書面に記名と押印を行います。
これは不動産会社が書面を作成し、その内容について調査した証になります。このため書面上の不備から告知義務が漏れていた場合などは、不動産仲介業者にも責任を負ってもらい、売主だけの責任に依らない契約の安全性を担保できます。

仲介を依頼するデメリットとは?

不動産仲介業者を利用することはメリットが大きい一方でデメリットも生じます。ここでは不動産仲介業者に依頼することのデメリットについて解説していきます。

仲介手数料が発生する

不動産仲介業者に依頼すると仲介手数料が発生します。買主が見つかると、売却額に応じて手数料が差し引かれます。そのため、売主の利益は個人間の売買よりも少なくなります。尚、仲介手数料の上限は物件価格の3%+6万+消費税と決まっています。(売買価格が400万円超の場合)

ただし、不動産売買は金額も高額であるため、仲介手数料を支払ってでも不動産仲介業者に依頼するほうが売主・買主ともに安心して取引を進めることができるでしょう。

仲介手数料はあくまで不動産会社への報酬

複数の会社に頼めない場合がある

不動産仲介業者との契約は、大きく分けて一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。中でも専属専任媒介契約は1社にしか仲介を頼めず、他の業者を介するのはもちろん、個人での売買交渉もできなくなります。しかし専属専任媒介契約では不動産仲介業者が週に一度、売主に売却活動を報告する義務があるため積極的な販売活動を行ってくれることが予想できます。

それぞれの契約形態によってメリット・デメリットは存在するため契約前によく相談することが重要です。

悪徳業者に出会う場合がある

たまに悪徳業者と出会ってしまい、トラブルに巻き込まれる可能性があるのも、デメリットの一つです。法外な手数料を要求したり、成功報酬以外の報酬を設定していたりする業者には注意しましょう。

不動産売却を完了するには3~6ヶ月程度はかかるため、この間に何度も不動産会社とやりとりをすることになります。ただ、単なる人柄だけではなく、あくまでも売却という目的において信頼できるかどうかを判断しましょう。

業者によっては仲介手数料が無料なのはなぜ?

前述の通り仲介手数料の上限額は決まっていますが、不動産仲介業者の中には「仲介手数料無料」を押し出して宣伝している場合不動産もあります。手数料がないなら、利益が出ないのではと疑問に思うかもしれませんが、手数料無料の理由は「両手取引」と呼ばれる取引形態にあります。
ここでは「両手取引」と「片手取引」という二つの取引形態について解説していきます。

両手取引について

1社の不動産仲介業者が、売主・買主両方の仲介をする契約形態を両手取引と呼び、両手取引の場合売主・買主双方から仲介手数料を受け取ることができます。

そして「仲介手数料無料」とはあくまでも両手取引において「売主か買主のどちらか一方の仲介手数料が無料になる」という意味です。買主からの手数料を無料にしても、売主から手数料を受け取っているので、不動産仲介業者は損をしないからです。

また仲介手数料が気になる場合、価格交渉は可能ですが、その際は不動産仲介業者と契約をする前に行うのがコツです。不動産仲介業者は、広告・宣伝、書類作成、日程調整などさまざまな業務をするため、その最中に無理な価格交渉をするのは良い印象を与えません。

片手取引について

一方、一つの契約に対して売主側に1社、買主側に1社の2社が不動産仲介業者として間に入る取引形態を片手取引と呼びます。

不動産仲介業者の立場から考えた場合、一つの契約で売主・買主の両方から仲介手数料が貰える両手取引のほうが収益が上がります。よって両手取引に持ち込もうとされる場合があり、これを囲い込みと呼びます。囲い込みは売主にとってデメリットしかないため、囲い込みを行わないでほしいことを担当者に伝えるなど、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。

信頼できる不動産仲介業者を見極めるポイント

不動産売買においては、信頼できる不動産仲介業者に出会えるかどうかが成否を左右するポイントです。そこで信頼できる不動産仲介業者を見極める際のポイントについて解説していきます。

価格の根拠が合理的か

机上査定や訪問査定時に不動産会社とやり取りをする中で、信頼できる不動産仲介業者であるかどうか、ある程度見極めることができるでしょう。

査定価格は数値を載せているだけで、営業文句がほとんどを占めるような場合は注意が必要です。特に、査定価格が他の会社と比べて相当高いにもかかわらず根拠を明示していない会社は、単に依頼者を喜ばせて売却依頼につなげようとしているだけかも知れないので注意が必要です。契約後に簡単に価格を下げるよう提案してくる可能性があり、結果的に満足した金額で売却できない可能性があります。

しかし、他社と異なる結果であっても、明確で合理的な根拠を提示しており、納得できる場合には売主の意志を尊重して動いてくれている業者であると考えられます。

約束や期限を守っているか

また、連絡をメールだけに限定しているのにしつこく電話をしてきたり、約束もなく訪問してきたりするような会社は避けたほうが無難です。
そのような会社は、表面的な対応は丁寧でも、繰り返し顧客の要望を無視した仕事を行う可能性があります。契約後にトラブルに巻き込まれて後悔することがないよう、対応に違和感がある場合は注意が必要です。

不動産仲介業者を選ぶ際はこれらに注意し、担当者としっかりとコミュニケーションを取りながら、疑問や要望をぶつけましょう。それに対する応答で信頼できる不動産仲介業者かどうか判断することに役立つでしょう。

まとめ

スムーズな売却には業者選びが重要

仲介手数料が勿体無いと考えるなら、個人間でも不動産売買は行うことは可能です。ただし、十分な知識がないまま個人間で売買を行うとトラブルになりかねません。個人間の売買では、起こりうるトラブルや手間もすべて個人で対処しなければなりません。

不動産仲介業者はそれらすべてを対処してくれるので、売主・買主ともに安心して不動産売買を行うことが可能です。不動産売買は金額も高額であるため、リスクを考えると手数料を払ってでも、不動産仲介業者を利用する方が懸命だと言えるでしょう。

信頼できる不動産仲介業者を選べば、不動産売買の初期段階から心強いパートナーになってくれます。分からないことは気軽に質問できますし、依頼者の要望に応じてより良い提案を届けてくれます。仲介手数料も物件価格に応じて上限が設定されているので、大きな不利益にはなりません。

信頼できる仲介業者を選択できれば、売却成功の可能性は大きく高まるのです。

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