「親から相続した実家を売りたいけど、どうすればいいの?」
「今の家も古くなってきたし、住み替えたいけど、この家は売れるのかな?」
年月を重ねた「古い家」の売却を考え始めると、たくさんの疑問や不安が湧いてきますよね。
「本当に買い手が見つかるのか」「どのようにして売るのか」「どんな費用がかかるのか」「売った後にトラブルが起きないか」など、心配事は尽きないかもしれません。
本記事では、そんな「古い家を売る」ことに関するあらゆる疑問や不安に答えるため、基本的な手順から売却にかかる費用、そして知っておくべきリスクとその対策まで、詳しくご紹介します。
さらに、一般的な売却方法以外の選択肢についても、わかりやすく解説していきます。
この記事を読めば、古い家を売るために必要な知識が身につき、ご自身の状況に合った最適な方法を見つけ、後悔のない売却を進めるためのヒントが得られるはずです。
不安を解消し、大切な資産である「古い家」の未来を考えていきましょう。
この記事の目次
「古い家」(古家)の定義について

「古い家」あるいは不動産の用語で「古家(ふるや)」と呼ばれる建物について、じつは法律などで定められた厳密な定義はありません。
しかし、一般的には築年数が相当に経過した戸建て住宅を指す言葉として使われています。
具体的に何年経てば古い家と呼ぶかという明確な線引きはありませんが、築年数が経っていることで、床がたわんだり、戸がスムーズに開閉できなくなったり、外壁が剥がれてきたりといった、老朽化のサインが見られる建物がこれに該当します。
不動産の取引や税金の計算においては、築年数が一つの目安となることがあります。
とくに、木造住宅の法定耐用年数は22年と定められています。
この22年という期間は、税法上の減価償却期間であり、建物の資産価値が低く評価される目安の一つとなるため、この年数を超えると一般的に「古い家」として扱われやすくなります。
古い家の売却相場
上述した、古い家の定義である築年数22年以降の売却相場をまとめてみました。
ただし、相場は地域(特に首都圏と全国平均)・物件の状態・土地の価値によって大きく異なるため、あくまでこちらの表は目安としてご覧ください。
| 築年数 | 平均価格の例 | 建物の価値下落の目安 | 特徴と売却のポイント |
|---|---|---|---|
| 22~25年 | 3,919万円~4,122万円 | 新築時の約15% | 建物の価値はほぼ底値に。リフォームやリノベーションを前提とした買い手や、投資家からの需要も見込める時期。 |
| 26~30年 | 3,419万円~3,496万円 | 新築時の約5% | 売却価格はほぼ土地の価値。建物を解体して更地として売るか、古家付きで売るかの検討が必要。 |
| 31年~35年 | 2,800万円~2,964万円 | 新築時の約5%未満 | 土地の立地と再建築の可否が重要。再建築が難しい場合は大きく価値が下がる。 |
| 36年~ | 2,105万円~2,800万円 | 新築時の約0%~5%未満 | 「古民家」としての魅力や、大規模な修繕履歴の有無がアピールポイントになる場合がある。 |
正確な相場を知るためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、比較することをおすすめします。
当サイトが提供する「イエイ」の一括査定であれば、厳選する複数の不動産会社から査定を受けることができます。
古い家の売却に適した不動産会社を見つけることができるので、ぜひご活用くださいね。
古い家は本当に売ることができる?

売却を考える前に、まず「古い家でも本当に売れるのだろうか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、古い家であっても売却できる可能性は十分にあります。
例えば、古い家の購入を希望する方の中には、「手頃な価格で家を手に入れて、自分好みにリノベーションしたい」と考えている方もいます。
このような方にとっては、古い家にも一定のニーズがあると言えるでしょう。
しかし、古い家の売却が難しい側面があるのも事実です。
具体的には以下のような点が課題となることがあります。
・耐震基準による課題
新耐震基準(※1)を満たしていない場合、買主が住宅ローンを利用する際に金融機関の審査が厳し くなったり、税制優遇制度を受けられなかったりする可能性があります。
・隣地との境界による課題
古い家の場合、隣地との境界が曖昧になっているケースがあります。
境界が不明瞭のままだと、買主が近隣住民とトラブルになるリスクを懸念し、購入をためらう可能性があります。
・再建築不可物件(※2)の場合の課題
再建築不可物件は、利用用途が限られるため、買い手が限定されやすく、売却価格が相場より低くなったり、通常よりも売却期間がかかってしまう恐れがあります。
・建物の老朽化による課題
築年数が経過している家は、雨漏り、シロアリ被害などの問題を抱えている可能性があります。
これらの説明を事前にしていないと、買主とのトラブルに発展するリスクがあります。
このような課題があることから、古い家の売却には特有の難しさがあります。
しかし、物件の状況を正確に把握し、適切な対策をとることで、売却は可能です。
「古いから売れない」と決めつけずに、まずはご自身の家の状況を確認することから始めましょう。
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※1:新耐震基準とは? ※2:再建築不可物件とは? |
古い家を売る6つの方法
こちらでは、具体的に家を売る方法についてご紹介していきます。
家の状態、売却の目的やかけられる期間・費用など、ご自身のケースに適している売却方法を選択しましょう。
仲介でそのまま売りに出す

古い家をそのまま売る方法は、「古家付き土地(ふるやつきとち)」として不動産会社に仲介を依頼し、売り出すのが一般的です。
管理が行き届いている物件や、過去にリフォームを経ている物件は、そのまま売却しても買い手がつきやすい傾向にあるため、このままの状態で販売を進めるのが良いでしょう。
この方法は、売主にとっては手間や費用を抑えることができ、買主にとっては購入後の選択肢(そのまま住む、リフォーム・リノベーションする、解体して新築する)が生まれるため、検討されることの多い方法です。
一方で、買主が解体やリフォームをする費用を負担する分、売却価格の値引き交渉を求められたり、相場より安くなりがちになるというデメリットもあります。
そのままの状態で売却を希望する場合は、一度不動産会社に「古家付き土地」として売却したい旨を相談してみると良いでしょう。
リフォームしてから売る

古い家を売る際、適切なリフォームを行うことでその物件の魅力を向上させ、より有利な条件で売却できる可能性が高まります。
具体的には、築年数の経過により劣化しやすいキッチン、浴室などの水回り設備や、建物の外壁・屋根といった箇所を修繕・刷新することで、購入検討者に与える印象は格段に良くなるでしょう。
しかし、リフォームには多額の費用が必要となる点がネックです。
また、投じたコストが必ずしも売却価格の上昇分として回収できるとは限りません。
そのため、費用対効果(コストパフォーマンス)については、極めて慎重に判断する必要があります。
さらに、古い物件を求める層の中には、「自分の理想に合わせて内装や設備を一新したい」と考えている方もいます。
すでにリフォームが施されていることが、かえって買主の選択肢を狭める要因となり、敬遠されるリスクもあります。
したがって、住宅の現状と市場のニーズを照らし合わせ、「本当にリフォームを行うべきか」という判断を下す際には、不動産会社に相談して検討するのが良いでしょう。
解体してから売る

建物が著しく老朽化している場合、あるいは立地条件が優れており、土地そのものの価値が高いエリアでは、既存の家屋を取り壊して更地(建物がない状態の土地)にしてから売却する方法も有効な選択肢となります。
土地を更地に変えるメリットは、購入希望者が雨漏り、シロアリ被害といった古い建物にまつわる懸念材料を一切考慮せずに安心して取引を進められる点にあります。
また、買主は敷地内で自由に間取りやデザインを計画し、理想とする建物を新築できるようになります。
このため、特に注文住宅の建設を希望している層からの需要は高まりやすいと言えるでしょう。
ただし、家屋の解体作業には高額な費用が伴います。
費用は建物の構造によって変動しますが、例えば一般的な30坪の木造住宅であっても、75万円から150万円程度の費用が発生するケースは少なくありません。
さらに重要な点として、建物を解体し更地にしてしまうと、固定資産税における「住宅用地の特例(軽減措置)」が適用外となり、その結果固定資産税の納税額が大幅に増加してしまいます。
これらのリスクとメリットを考慮し、もし解体後の売却を検討されるのであれば、不動産会社に査定を依頼する初期段階で土地の売却についての相談をしてみると良いでしょう。
不動産会社に買取してもらう

不動産の売却方法には、先述した「仲介」だけでなく、不動産会社自身に直接物件を買い取ってもらう「買取」という方法もあります。
買取の場合、不動産会社は買主を探さず、自社で買い取るため、広告活動や内覧対応などの売却活動が不要です。
そのため、数週間程度で売却が完了します。
また、仲介業務がないので、当然仲介手数料も発生しません。
しかし、買取を行う不動産会社は、買い取った物件を再販することを目的としているため、買取価格は、仲介で売却した際の相場の6~8割程度になってしまう傾向があります。
こうした特徴があることから、「売却価格が安くなってもいいから、できるだけ早く家を手放したい」という方にはおすすめな手段と言えるでしょう。
買取については、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもご参考ください。
空き家バンクを利用する

古い住宅、特に地方部に所在する空き家の売却方法をお探しの場合は、「空き家バンク」の利用も有力な選択肢となります。
空き家バンクとは、空き家を売却したい所有者と購入を希望する買主、あるいは賃貸したい所有者と賃借したい希望者を結びつけるマッチングシステムのことです。
多くの場合、地方自治体や特定非営利活動法人(NPO法人)などが運営主体となっているため、比較的安心してサービスを利用することが可能です。
このサービスを利用する最大のメリットは、不動産仲介業者を通さない取引が多いため、仲介手数料といったコストをかけずに売買が実現できる点にあります。
ただし、注意点もあります。
仲介業者を挟まないため、売主と買主が直接交渉や契約手続きを進めることになり、その過程で思わぬトラブルに発展するリスクが存在します。
また、登録したからといってすぐに買い手が現れるとは限りません。
設定した売却条件や希望価格によっては、なかなか条件に合う購入希望者とのマッチングが成立しにくいケースもあることを認識しておく必要があります。
賃貸として活用する

古い家を売却せずに、賃貸物件として第三者に貸し出すという活用方法もあります。
賃貸物件として貸し出すことで、入居者から毎月家賃収入を得ることができます。
特に、交通の便が良い立地や、物件自体の状態が良好であれば、安定的な収益を見込むことができるでしょう。
しかし、この選択肢にはいくつか考慮すべき点があります。
まず、必ずしもすぐに入居者が見つかるとは限りません。
空室期間が発生すると、当然ながら家賃収入は途絶え、その間も固定資産税などの維持費や突発的な修繕費などはオーナー自身が負担し続ける必要があります。
また、仮に入居者がいても、家賃の滞納をはじめとする、入居者との間で様々なトラブルが発生するリスクも考慮しなくてはなりません。
そのため、立地条件や建物の状態が良好である、または地域の賃貸需要が見込める場合に限り、賃貸化を検討するのが良いでしょう。
古い家を売るメリットとデメリット

古い家を売ることを考える際は、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。
ここからは、古い家を売る具体的なメリットとデメリットをそれぞれご紹介します。
売却によってどのような利点があるのか、また、どのような点に注意が必要なのかを把握し、後悔のない判断をするために役立てましょう。
古い家を売るメリット
古い家を売ることには、主に以下のようなメリットがあります。
1.維持管理の手間・コストから解放される
古い家を所有し続けると、定期的な修繕や換気、清掃など、維持管理に手間と時間がかかります。
また、管理だけでなく、固定資産税や都市計画税などの金銭的なコストも発生します。
売却することで、これらの負担から解放されます。
2.まとまった現金を得られる
家を売却することで、まとまった現金収入を得ることができます。
得た収入は、現在住んでいる家のローンの返済にあてたり、老後の資金などに活用すると良いでしょう。
3.空き家問題を解決できる
相続した実家などが空き家になっている場合、放置し続けると自治体から「特定空き家(※)」に指定され、場合によっては罰金や勧告の対象となる可能性があります。
また、空き巣に入られたり、放火されたりするリスクも高まります。
売却することで、このような空き家に関する問題やトラブルを未然に防ぐことができます。
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※:特定空き家とは? |
古い家を売るデメリット
一方で、古い家を売ることには以下のようなデメリットも考えられます。
1.売却価格が相場より低くなる可能性がある
一般的に、不動産の価値は築年数とともに下落します。
そのため、古い家は築浅の物件と比較すると売却価格が低くなる傾向があります。
特に建物の状態が良くない場合は、希望通りの価格で売れない可能性が高まります。
2.買い手が見つかりにくい場合がある
家の状態や立地条件によっては、買い手がなかなか見つからないということもあります。
そして、結果的に売却するまで時間がかかってしまうこともあり得る話です。
3.思い出がある場合後悔してしまうこともある
古い家を売るということは、当然その家は手元からなくなるということになります。
そのため、長年住んでいた家や、家族との思い出が詰まった家であれば、寂しく感じたり、後悔したりしてしまうこともあるでしょう。
【6ステップで解説】古い家を売るための基本手順

所有している古い家の売却を決めた際、実際にどのような流れで手続きを進めていくことになるのか、その全体像を事前に把握しておきたいですよね。
ここでは、一般的な不動産仲介会社に売却の依頼(仲介)を行った場合を想定し、古い家の売却活動が完了するまでの流れを6つのステップに分けて詳しくご説明します。
ステップ1.家の相場を調べる
まず、売却したい家がどれくらいの価格で売れそうなのか、おおよその相場を把握することから始めましょう。
相場を知ることで、今後の資金計画を立てやすくなり、不動産会社が提示する査定価格が妥当かどうかの判断材料にもなります。
家の相場を調べるには、主に以下の方法があります。
・インターネットで調べる
不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME’Sなど)や、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」、不動産流通機構が運営する「REINS Market Information」を利用することで、おおまかな相場を把握することができます。
・不動産会社に査定を依頼する
より正確な価格を知るには、不動産会社に査定を依頼するのが確実です。
その際は、1社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格や担当者の対応などを比較検討することをおすすめします。
効率良く査定依頼をするなら、不動産一括査定サービスのご利用も便利です。
当サイトが提供する「イエイ」では、物件情報などを入力するだけで、最短60秒で複数の不動産会社に一括で査定を申し込むことができます。
古い家の売却をご検討中の方は、ぜひご活用ください。
ステップ2.不動産会社と媒介契約を締結する
査定結果や担当者の対応などを比較検討し、売却を依頼する不動産会社が決まったら、「媒介契約」を締結します。
媒介契約とは、不動産会社に家の売却活動(仲介)を正式に依頼するための契約のことで、主に「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
それぞれの特徴は以下の通りです。

どの契約を選ぶかは、売主の売却方針によって異なります。
それぞれの特徴を理解したうえで決めましょう。
不動産会社選びのポイント
古い家の売却を成功させるためには、頼りになる優良な不動産会社を選び抜くことが極めて重要です。
信頼のおけるパートナーを見つけるために、以下の項目を重点的に確認しましょう。
・豊富な売却実績があるか
特に、売却予定の物件がある地域、あるいは古い家屋の取引において実績が多数あるかどうかを確かめると良いでしょう。
・信頼できる専任の担当者がいるか
親身になって相談に乗ってくれるか、質問に対して的確な回答が得られるか、そして連絡体制が円滑であるかといった点に着目して評価しましょう。
・提供サービスの内容が充実しているか
例えば、「広告用の写真をプロのカメラマンが撮影してくれる」「ホームステージング(物件の演出)を実施している」「一定期間内に売れない場合の買取保証制度がある」など、どのようなサービスが利用できるかを確認してください。
・広告・宣伝活動に力を入れているか
新聞折り込みチラシなどへの掲載はもちろん大切ですが、近年はインターネットで情報を探す購入希望者が大半です。
そのため、オンライン広告やウェブ上での集客活動に積極的に取り組んでいるかを確認すると良いでしょう。
・査定価格の根拠が明確に示されているか
提示された査定額が、周辺の市場相場などを踏まえて、なぜその金額になったのかという明確な根拠をきちんと説明してもらえるかを必ず確認してください。
根拠が曖昧なまま、相場よりも著しく高い査定額を提示する業者と契約してしまうと、契約後に大幅な値下げ交渉を強いられるリスクが高まります。
さらに詳しい不動産会社の選び方や失敗しないためのノウハウについては、以下の関連記事もぜひ参考にしてください。
ステップ3.売却活動を行う
不動産会社と媒介契約を結んだら、売却活動を開始します。
不動産会社では、自社サイトや不動産ポータルサイトへの掲載、チラシの配布、レインズ(不動産情報ネットワークシステム)への登録などを通じて、購入希望者を探します。
この売却活動期間中、売主の主な役割は、購入希望者が物件を見学に来る「内覧」への対応です。
内覧は、家の印象を大きく左右する重要な機会ですので、実施する前に清掃や整理整頓をしておきましょう。
内覧時の清掃の具体的なポイントは、以下の記事でも詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてくださいね。
ステップ4.売買契約を締結する
購入を希望する方が見つかり、売買価格や物件の引き渡し条件など、すべての交渉が合意に至った段階で、いよいよ「不動産売買契約」を結びます。
契約手続きに入る前に、まず不動産会社から買主へ向けて、物件に関する「重要事項説明」が行われます。
この説明の場には、売主も立ち会うことになります。
売主は、不動産会社の説明内容に誤りや事実と異なる点がないか、細部にわたり確認するようにしてください。
その重要事項説明が完了した後、売買契約書への署名・捺印を行い、契約が正式に成立します。
契約締結後、買主から売主に対して手付金が支払われるのが一般的な流れです。
売買契約書には、売買代金、手付金の金額、物件の引き渡し期日、そして契約不適合責任など、取引に関する重要な事柄が記載されています。
後日のトラブルを避けるためにも、記載内容に不明な点や疑問点がないかを必ず確認した上で契約を交わしましょう。
ステップ5.決済・引渡しをする
売買契約書であらかじめ定められた決済の日に、買主から売買代金の残金を受け取ると同時に、売主は住宅の鍵や関連する重要書類をすべて買主に手渡します。
この手続きをもって、物件の引渡しは完了となります。
この決済の場では、同時に所有権移転登記の手続きも実施されるのが通常です。
所有権移転登記とは、その不動産の所有権が正式に売主から買主へ移行したことを、管轄の法務局にある登記簿へ公的に記録する作業を指します。
所有権移転登記の詳細な流れについては、以下の関連記事で詳しく解説しておりますので、こちらもぜひご参照ください。
ステップ6.確定申告をする
不動産の売却によって利益(譲渡所得)が発生したケースや、税制上の特別控除(特例)の適用を受けたい場合は、原則として物件を売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に、税務署へ確定申告を行う義務が生じます。
確定申告を行うことにより、最終的に納税すべき正確な税額が決定したり、あるいは特例の適用が正式に認められたりします。
したがって、定められた期限内に手続きを完了させるよう、忘れないように注意しましょう。
確定申告の詳細な手続き方法や必要事項については、以下の関連記事にて説明しております。
こちらの情報を参考にしながら、手続きを進めてくださいね。
古い家を売る際にかかる費用と税金

古い家を売る際には、さまざまな費用や税金がかかります。
「思ったより手元にお金が残らなかった」とならないためにも、どのような費用や税金がかかるのか事前に把握しておくことが大切です。
古い家を売る際にかかる費用・税金は以下の通りです。
| 費用 | 費用の概要 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社に仲介を依頼して売却した場合に支払う成功報酬。 売買価格によって上限額が法律で定められている。 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼る収入印紙代。 契約金額によって税額が変動する。 |
| 譲渡所得税(所得税・住民税) | 家を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合にかかる税金。 物件の所有期間によって税率が変動する。 |
| 登記費用 | 不動産の登記手続きにかかる費用。 抵当権抹消登記にかかる登録免許税や、司法書士への報酬が該当する。 |
| 測量費用 | 隣地との境界が確定していない場合に、土地家屋調査士に測量を依頼した際にかかる費用。 |
| 解体費用 | 更地にして売却する場合にかかる建物の解体費用。 |
| ハウスクリーニング・リフォーム費用 | 家の掃除を業者に依頼する際や、リフォームをする際にかかる費用。 |
各費用や税金の目安については、以下の記事で紹介しているので、こちらもご参考ください。
古い家を売る際に活用できる税制優遇制度

先述した通り、不動産売却で利益(譲渡所得)が出た場合には、譲渡所得税がかかりますが、特定の要件を満たすことで税金の負担を軽減できる特例制度があります。
ここでは、古い家の売却で利用できる主な税制優遇制度をご紹介します。
| 税制優遇制度 | 税制優遇制度の概要 |
|---|---|
| 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除 | 自分が住んでいた家(マイホーム)を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度。 適用要件については、国税庁ホームページ「No.3302 マイホームを売ったときの特例」をご覧ください。 |
| マイホームを売った時の軽減税率の特例 | 売却した年の1月1日時点で、所有期間が10年超の家を売却した場合、要件を満たせば上記の3,000万円特別控除に加え、譲渡所得の6,000万円以下の部分に軽減税率が適用される特例。 適用要件については、国税庁ホームページ「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」をご覧ください。 |
| 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除 | 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋(空き家)またはその敷地を売却した場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度。 適用要件については、国税庁ホームページ「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」をご覧ください。 |
これらの税制優遇制度の詳しい内容については、以下の記事で紹介しています。
具体的な適用要件や必要書類等について知りたい方は、ぜひお読みください。
【売却前必見】古い家を売る際の注意点と具体的な対策

古い家を売却する際には、特有のリスクが伴います。
では、具体的にどんなリスクが生じる可能性があるのでしょうか?
ここでは、注意点と対策について詳しくご紹介します。
事前に注意点を理解し、適切な対策を講じて、安心して取引を進めましょう。
注意点1.家財は原則として事前に撤去する
古い家を売却する場合、建物自体に価値があるというよりも、土地の価値が重視されるケースが多くあります。
買主が物件を購入後、リフォームや建て替えを検討している可能性も高いため、売主は原則として、家財道具をすべて撤去した状態で引き渡すことが求められます。
また、買主が内覧する際にも、家財がない方が物件本来の状態(広さや傷み具合など)を正確に把握しやすくなります。
売却後に残置物があると、買主側で処分費用や手間が発生し、トラブルの原因になりかねません。
家財の分類と処分方法
家財処分する際は、以下の3種類に分類しそれぞれ対応するようにしましょう。
| 分類 | 概要 | 処分方法の例 |
|---|---|---|
| ① 売却または譲渡するもの | 比較的新しい、または価値のある家具や家電、衣類など | リサイクルショップ、フリマアプリ、知人への譲渡 |
| ② 粗大ごみとして処分するもの | 自治体の指定する方法で回収が可能な大型ごみ | 自治体の粗大ごみ回収(事前予約・シール購入が必要) |
| ③ 産業廃棄物や専門業者に依頼するもの | 大量のごみ、リサイクル家電(テレビ、冷蔵庫など)、処理困難物 | 不用品回収業者、家電量販店(リサイクル料金が必要) |
一部の家具やエアコン、照明器具などを残すことを買主が希望し、売主・買主間で合意が成立した場合は、「残置物」として契約書に明記します。
契約書に記載のない家財は、すべて売主が撤去する義務があると認識しておきましょう。
標準的な一世帯の家財廃棄量は、おおよそ4トントラック1台から2台分の積載量に相当します。
この規模の不用品処分にかかる費用は、多くの場合15万円から25万円の範囲が目安となります。
注意点2.解体する際はタイミングに気を付ける
先述したように、古い家を解体し更地にして売却する場合は、固定資産税の負担が増大するリスクがあるため、タイミングを理解しておくことが非常に重要です。
固定資産税は、毎年1月1日時点の土地や建物の状況に基づいて、その年度の税額が決定されます。
通常、住宅が建っている土地(住宅用地)には、国による「住宅用地の特例」が適用されます。
この特例により、土地にかかる固定資産税の評価額が大幅に軽減されています。
しかし、家屋を解体し、1月1日時点でその土地が更地(建物がない状態)になると、この特例措置が解除されます。
その結果、土地の固定資産税の課税標準額が元の水準に戻り、税額が3倍から最大6倍に跳ね上がるリスクがあるのです。
解体に適しているタイミング
特例による軽減税率を適用させたい年の1月2日以降に解体工事を開始し、その年のうちに土地の売却を完了させるのが最も適しているタイミングになります。
反対に、避けるべきタイミングは、年をまたぐ直前の12月31日までに解体を完了させることです。
この場合、翌年1月1日時点で更地と判断され、翌年度から税金が大幅に上がってしまいます。
注意点3.契約不適合責任を負う可能性がある
売却を終えた住宅に、契約時に定めた内容と異なる何らかの欠陥や不具合が発見された場合、売主は買主に対して損害賠償の請求や契約解除などの責任を負う可能性があります。
この売主が負うべき責任を、法的に「契約不適合責任」と呼びます。
特に、築年数の古い住宅では、雨漏り、シロアリの被害、給排水管の破損などといった潜在的な欠陥が後から見つかりやすい傾向があります。
こうした責任の追及を回避するためには、売却活動を開始する前に物件の現在の状態を正確に把握し、それを買主に正確に伝えることが非常に重要になります。
契約不適合責任を負わないための対策
契約不適合責任によるリスクを未然に防ぎ、安心して売買を成立させるためには以下のような対策が効果的です。
対策1:物件情報を誠実に開示する
売却予定の住宅に何らかの不具合や欠陥が存在する場合は、売買契約を締結する前にその情報を買主へ正確かつ正直に伝えることが必須です。
情報を開示する際には、「物件状況報告書(告知書)」や「付帯設備表」といった所定の書面に記載するのが一般的な方法です。
事前にこれらの情報を開示しておくことで、買主側も状況を納得した上で契約へ進むことが可能になります。
対策2:ホームインスペクション(住宅診断)の実施を検討する
ホームインスペクションとは、専門知識を持つ住宅診断士(ホームインスペクター)が外壁、屋根、室内、床下など建物の状態を専門的な視点から詳細にチェックするサービスです。
この診断を実施することで、物件に潜む不具合を事前に把握でき、その正確な情報を買主へ提供できるようになります。
結果として、互いに不安なく取引を進めるための大きな要素となります。費用の目安は、おおよそ5万円程度です。
ホームインスペクションについては、こちらの記事でも詳しく紹介しているので、参考にしてみてくださいね。
対策3.既存住宅売買瑕疵保険の加入を検討する
既存住宅売買瑕疵保険は、住宅の引き渡しが完了した後に、万が一物件に重大な欠陥が発見された場合の修繕費用などをカバーしてくれる保険制度です。
この保険に加入するには、事前の専門的な検査が必要となりますが、保険が付帯されていることで買主に安心感を与えるため、売却活動を有利に進める効果が期待できます。
なお、保険料は保険期間や建物の床面積などによって変動します。
注意点4.売れない可能性がある
古い家の売却は、その建物の状態や立地条件次第では購入を希望する買い手がすぐに見つからないケースがあり、売却活動が長期化するリスクがあります。
物件が長期間売れ残ってしまうと、その間の固定資産税やメンテナンス費用といった維持費が継続的に発生するだけでなく、売れないことによる精神的な負担も大きくなる可能性があります。
売れないときの対策
古い家の売却活動が思うように進まない、あるいは買い手がなかなか見つからない場合は以下のような具体的な対策が有効です。
対策1:売り出し価格の再検討
設定している売り出し価格が、近隣の相場と比較して高すぎる場合は購入希望者が現れにくくなる大きな原因となります。
売主自身も、対象物件の市場相場を改めて正確に把握し、現在の価格設定が妥当であるかどうかを徹底的に見直す必要があります。
対策2.仲介を依頼する不動産会社の変更
現在、仲介を依頼している不動産会社自体を変更することも一つの方法です。
特に、物件を市場に出してから半年以上が経過しても買主が見つからない場合、依頼先の不動産会社がその物件の種類や当該エリアでの売却を得意としていない可能性も考えられます。
対策3.不動産会社による買取の検討
通常の仲介による売却が難しい状況にある場合は、不動産会社による直接買取を検討しましょう。
仲介で売却する場合と比較して売却価格は低くなる傾向にありますが、交渉成立後、早期に物件を現金化できる可能性が高まります。
【まとめ】リスク対策をして最適な方法で古い家を売ろう

古い家の売却は、課題が多く難しいと思われがちですが、「手頃な価格で家を手に入れたい」「自分好みにリフォームしたい」と考える買い手もおり、一定のニーズがあります。
そのため、「古い家だから売れない」と最初からあきらめる必要はありません。
売却にあたっては、一般的な仲介だけでなく、状況に応じて解体してから土地として売ったり、不動産会社に買取してもらったりなど、さまざまな選択肢があります。
物件の状況やご自身の希望に合わせて、最適な方法を選ぶことが納得のいく売却につながります。
さらに、売却方法を考えるだけでなく、契約不適合責任や売れない可能性などのリスクへの対策を講じておくことも非常に重要です。
これから古い家の売却をお考えの方は、改めて本記事の内容を参考に、しっかりとリスク対策を行い、ご自身の状況に合った最適な方法で、後悔のない売却活動を進めてくださいね。
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