この記事でわかること

・古い家を売るための基本的な手順や費用・税金
・古い家を売るための最適な選択肢の見つけ方
・古い家を売る前に知っておきたいリスクと対策

「親から相続した実家を売りたいけど、どうすればいいの?」

「今の家も古くなってきたし、住み替えたいけど、この家は売れるのかな?」

年月を重ねた「古い家」の売却を考え始めると、たくさんの疑問や不安が湧いてきますよね。

「本当に買い手が見つかるのか」「どのようにして売るのか」「どんな費用がかかるのか」「売った後にトラブルが起きないか」など、心配事は尽きないかもしれません。

本記事では、そんな「古い家を売る」ことに関するあらゆる疑問や不安に答えるため、基本的な手順から売却にかかる費用、そして知っておくべきリスクとその対策まで、詳しくご紹介します。

さらに、一般的な売却方法以外の選択肢についても、わかりやすく解説していきます。

この記事を読めば、古い家を売るために必要な知識が身につき、ご自身の状況に合った最適な方法を見つけ、後悔のない売却を進めるためのヒントが得られるはずです。

不安を解消し、大切な資産である「古い家」の未来を考えていきましょう。

古い家は本当に売ることができる?

古い家は本当に売ることができる?のイメージ

売却を考える前に、まず「古い家でも本当に売れるのだろうか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

結論から言えば、古い家であっても売却できる可能性は十分にあります。

例えば、古い家の購入を希望する方の中には、「手頃な価格で家を手に入れて、自分好みにリノベーションしたい」と考えている方もいます。

このような方にとっては、古い家にも一定のニーズがあると言えるでしょう。

しかし、古い家の売却が難しい側面があるのも事実です。

具体的には以下のような点が課題となることがあります。

・耐震基準による課題
 新耐震基準(※1)を満たしていない場合、買主が住宅ローンを利用する際に金融機関の審査が厳しくなったり、税制優遇制度を受けられなかったりする可能性があります。
・隣地との境界による課題
 古い家の場合、隣地との境界が曖昧になっているケースがあります。境界が不明瞭のままだと、買主が近隣住民とトラブルになるリスクを懸念し、購入をためらう可能性があります。
・再建築不可物件(※2)の場合の課題
 再建築不可物件は、利用用途が限られるため、買い手が限定されやすく、売却価格が相場より低くなったり、通常よりも売却期間がかかってしまう恐れがあります。
・建物の老朽化による課題
 築年数が経過している家は、雨漏り、シロアリ被害などの問題を抱えている可能性があります。これらの説明を事前にしていないと、買主とのトラブルに発展するリスクがあります。

このような課題があることから、古い家の売却には特有の難しさがあります。

しかし、物件の状況を正確に把握し、適切な対策をとることで、売却は可能です。

「古いから売れない」と決めつけずに、まずはご自身の家の状況を確認することから始めましょう。

※1:新耐震基準とは?
1981年6月1日に施行された耐震基準のこと。
震度5強程度の中規模地震でほとんど損傷せず、震度6強~7程度の大規模地震で倒壊・崩壊しないことを基準として定めている。

※2:再建築不可物件とは?
現在の建物を解体して更地にしても、建築基準法上、新しい建物を建てることができない土地のこと。
市街化調整区域などの指定を受け、接道義務(幅4m以上の道路に2m以上接している)を満たしていない土地がこれに該当する。

古い家を売るメリットとデメリット

古い家を売るメリットとデメリットのイメージ

古い家を売ることを考える際は、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。

ここからは、古い家を売る具体的なメリットとデメリットをそれぞれご紹介します。

売却によってどのような利点があるのか、また、どのような点に注意が必要なのかを把握し、後悔のない判断をするために役立てましょう。

古い家を売るメリット

古い家を売ることには、主に以下のようなメリットがあります。

1.維持管理の手間・コストから解放される
古い家を所有し続けると、定期的な修繕や換気、清掃など、維持管理に手間と時間がかかります。
また、管理だけでなく、固定資産税や都市計画税などの金銭的なコストも発生します。
売却することで、これらの負担から解放されます。

2.まとまった現金を得られる
家を売却することで、まとまった現金収入を得ることができます。
得た収入は、現在住んでいる家のローンの返済にあてたり、老後の資金などに活用すると良いでしょう。

3.空き家問題を解決できる
相続した実家などが空き家になっている場合、放置し続けると自治体から「特定空き家(※)」に指定され、場合によっては罰金や勧告の対象となる可能性があります。
また、空き巣に入られたり、放火されたりするリスクも高まります。
売却することで、このような空き家に関する問題やトラブルを未然に防ぐことができます。

※:特定空き家とは?
以下の状態にあると認められる空き家等のこと。
・放置することで倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態
・放置することで著しく衛生上有害となる恐れのある状態
・適切に管理されていないことから著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態

出典:「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)-国土交通省

古い家を売るデメリット

一方で、古い家を売ることには以下のようなデメリットも考えられます。

1.売却価格が相場より低くなる可能性がある
一般的に、不動産の価値は築年数とともに下落します。
そのため、古い家は築浅の物件と比較すると売却価格が低くなる傾向があります。
特に建物の状態が良くない場合は、希望通りの価格で売れない可能性が高まります。

2.買い手が見つかりにくい場合がある
家の状態や立地条件によっては、買い手がなかなか見つからないということもあります。
そして、結果的に売却するまで時間がかかってしまうこともあり得る話です。

3.思い出がある場合後悔してしまうこともある
古い家を売るということは、当然その家は手元からなくなるということになります。
そのため、長年住んでいた家や、家族との思い出が詰まった家であれば、寂しく感じたり、後悔したりしてしまうこともあるでしょう。

【6ステップで解説】古い家を売るための基本手順

古い家を売るための基本手順のイメージ

古い家の売却を決めたら、どのような手順で進めていけば良いのか、事前に流れを知っておきたいですよね。

ここでは、一般的な不動産会社に仲介を依頼した場合の売却の流れを、6つのステップに分けて解説します。

ステップ1.家の相場を調べる

まず、売却したい家がどれくらいの価格で売れそうなのか、おおよその相場を把握することから始めましょう。

相場を知ることで、今後の資金計画を立てやすくなり、不動産会社が提示する査定価格が妥当かどうかの判断材料にもなります。

家の相場を調べるには、主に以下の方法があります。

・インターネットで調べる
不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME’Sなど)や、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」、不動産流通機構が運営する「REINS Market Information」を利用することで、おおまかな相場を把握することができます。

・不動産会社に査定を依頼する
より正確な価格を知るには、不動産会社に査定を依頼するのが確実です。
その際は、1社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格や担当者の対応などを比較検討することをおすすめします。

効率良く査定依頼をするなら、不動産一括査定サービスのご利用も便利です。

当サイトが提供する「イエイ」では、物件情報などを入力するだけで、最短60秒で複数の不動産会社に一括で査定を申し込むことができます。

古い家の売却をご検討中の方は、ぜひご活用ください。

ステップ2.不動産会社と媒介契約を締結する

査定結果や担当者の対応などを比較検討し、売却を依頼する不動産会社が決まったら、「媒介契約」を締結します。

媒介契約とは、不動産会社に家の売却活動(仲介)を正式に依頼するための契約のことで、主に「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。

それぞれの特徴は以下の通りです。

「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の違い

どの契約を選ぶかは、売主の売却方針によって異なります。

それぞれの特徴を理解したうえで決めましょう。

不動産会社選びのポイント

古い家の売却を成功させるためには、信頼できる不動産会社を選ぶことが非常に重要です。

信頼できる不動産会社を探す際は、以下の点をチェックしましょう。

・売却実績が豊富か
特に、ご自身の物件があるエリアや、古い家の売却実績が豊富か確認すると良いでしょう。

・信頼できる担当者がいるか
親身になって相談に乗ってくれるか、質問に的確に答えてくれるか、連絡はスムーズか、といった点に注目しましょう。

・サービス内容が充実しているか
「広告用写真をプロカメラマンが撮影」「ホームステージングの実施」「買取保証の実施」など、どのようなサービスを提供しているか確認しましょう。

・広告が充実しているか
チラシなどへの掲載はもちろん、近年ではインターネットを利用する人が多いので、インターネット広告に力を入れているかどうか確認してみると良いでしょう。

・査定価格の根拠が明確であるか
なぜその査定額になったのか、周辺相場などを踏まえて、明確な根拠を説明してくれるか、必ず確認しましょう。
根拠なく高い査定額を提示している不動産会社と契約してしまうと、契約後に大幅な値下げを要求される恐れがあります。

詳しい不動産会社の選び方は、以下の記事で解説しているのでこちらもぜひ参考にしてみてください。

ステップ3.売却活動を行う

不動産会社と媒介契約を結んだら、売却活動を開始します。

不動産会社では、自社サイトや不動産ポータルサイトへの掲載、チラシの配布、レインズ(不動産情報ネットワークシステム)への登録などを通じて、購入希望者を探します。

この売却活動期間中、売主の主な役割は、購入希望者が物件を見学に来る「内覧」への対応です。

内覧は、家の印象を大きく左右する重要な機会ですので、実施する前に清掃や整理整頓をしておきましょう。

内覧時の清掃の具体的なポイントは、以下の記事でも詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてくださいね。

ステップ4.売買契約を締結する

購入希望者が見つかり、価格や引き渡し条件などの交渉がまとまったら、「売買契約」を締結します。

契約をする前に、まず不動産会社から買主に対して、「重要事項説明」が行われます。

この際、売主も同席し、不動産会社の説明内容に誤りがないか確認しましょう。

その後、売買契約書に署名・捺印し、契約を正式に締結したら買主から売主へ手付金が支払われます。

また、売買契約書には、売買価格、手付金の額、引き渡し日、契約不適合責任など重要な内容が記載されていますので、不明点を必ず確認したうえで契約しましょう。

ステップ5.決済・引渡しをする

売買契約で定められた決済日に、買主から売買代金の残額を受け取ると同時に、家の鍵や関連書類を買主に引き渡します。

これで物件の引渡し手続きは完了です。

この際、所有権移転登記の手続きも同時に行われるのが一般的です。

所有権移転登記とは、その不動産の所有権が売主から買主に移転したことを、法務局の登記簿に記録することです。

所有権移転登記の流れについては、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてみてください。

ステップ6.確定申告をする

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合や、特例の適用などを受ける場合は、原則として売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。

確定申告によって、納めるべき税額が確定したり、特例の適用が認められたりするので、期限内に忘れずに行いましょう。

確定申告の詳しいやり方については、以下の記事で説明しているので、こちらを参考にしながら進めてみてくださいね。

古い家を売る際にかかる費用と税金

古い家を売る際にかかる費用と税金のイメージ

古い家を売る際には、さまざまな費用や税金がかかります。

「思ったより手元にお金が残らなかった」とならないためにも、どのような費用や税金がかかるのか事前に把握しておくことが大切です。

ここからは、売却時にかかる費用や税金、さらに税制優遇制度についてご紹介します。

売却時にかかる費用・税金一覧

古い家を売る際にかかる費用・税金は以下の通りです。

費用 費用の概要
仲介手数料 不動産会社に仲介を依頼して売却した場合に支払う成功報酬。
売買価格によって上限額が法律で定められている。
印紙税 売買契約書に貼る収入印紙代。
契約金額によって税額が変動する。
譲渡所得税(所得税・住民税) 家を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合にかかる税金。
物件の所有期間によって税率が変動する。
登記費用 不動産の登記手続きにかかる費用。
抵当権抹消登記にかかる登録免許税や、司法書士への報酬が該当する。
測量費用 隣地との境界が確定していない場合に、土地家屋調査士に測量を依頼した際にかかる費用。
解体費用 更地にして売却する場合にかかる建物の解体費用。
ハウスクリーニング・リフォーム費用 家の掃除を業者に依頼する際や、リフォームをする際にかかる費用。

各費用や税金の目安については、以下の記事で紹介しているので、こちらもご参考ください。

古い家を売る際に活用できる税制優遇制度

先述した通り、不動産売却で利益(譲渡所得)が出た場合には、譲渡所得税がかかりますが、特定の要件を満たすことで税金の負担を軽減できる特例制度があります。

ここでは、古い家の売却で利用できる主な税制優遇制度をご紹介します。

税制優遇制度 税制優遇制度の概要
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除 自分が住んでいた家(マイホーム)を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度。
適用要件については、国税庁ホームページ「No.3302 マイホームを売ったときの特例」をご覧ください。
マイホームを売った時の軽減税率の特例 売却した年の1月1日時点で、所有期間が10年超の家を売却した場合、要件を満たせば上記の3,000万円特別控除に加え、譲渡所得の6,000万円以下の部分に軽減税率が適用される特例。
適用要件については、国税庁ホームページ「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」をご覧ください。
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋(空き家)またはその敷地を売却した場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度。
適用要件については、国税庁ホームページ「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」をご覧ください。

これらの税制優遇制度の詳しい内容については、以下の記事で紹介しています。

具体的な適用要件や必要書類等について知りたい方は、ぜひお読みください。

古い家の売り方はいろいろある!最適な選択肢の見つけ方

古い家を手放す方法は、一般的な不動産会社に「仲介」を依頼して売却する以外にもあります。

家の状態、売却の目的やかけられる期間・費用などによって、他の選択肢が適している場合もあります。

ここでは、一般的な仲介以外の売却・活用方法とその特徴についてご紹介します。

リフォームしてから売る

リフォームしてから売るのイメージ

古い家でも、適切なリフォームを施すことで物件の魅力を高め、良い条件で家が売れる可能性があります。

例えば、老朽化しやすい水回りや、外壁、屋根などをリフォームすることで、購入希望者からの印象が向上します。

しかし、リフォームには高額な費用がかかります。

そして、かけた費用以上に売却価格が上がるとは限らず、費用対効果を慎重に見極める必要があります。

また、古い家の購入希望者の中には「自分好みにリフォームしたい」と考えている人もいるため、リフォームしたことがかえって敬遠されるリスクも考慮しなくてはなりません。

そのため、本当にリフォームすべきなのかどうかは、不動産会社に相談したうえで決めると良いでしょう。

解体してから売る

解体してから売るのイメージ

建物が老朽化している場合や、土地としての価値が高い立地の場合は、家を解体して、更地として売るのもおすすめです。

更地にすることで、買主は雨漏りやシロアリ被害などといった古い建物に関する不安要素を気にせずに、土地を購入することができます。

また、買主は自分好みの家を建てることができるので、特に注文住宅を希望する人からのニーズは高いと言えるでしょう。

しかし、家の解体には高額な費用がかかります。

家の作りによって変動しますが、例えば30坪の木造住宅の場合、75万~150万円程度の費用がかかることも珍しくありません。

さらに、解体して更地にすると、固定資産税の軽減制度が適用されなくなり、税額が大幅に上がってしまいます。

もし解体して売却したい場合は、不動産会社に査定を依頼する段階で、土地の売却についての相談をしてみると良いでしょう。

不動産会社に買取してもらう

不動産会社に買取してもらうのイメージ

不動産の売却方法には、先述した「仲介」だけでなく、不動産会社自身に直接物件を買い取ってもらう「買取」という方法もあります。

買取の場合、不動産会社は買主を探さず、自社で買い取るため、広告活動や内覧対応などの売却活動が不要です。

そのため、数週間程度で売却が完了します。

また、仲介業務がないので、当然仲介手数料も発生しません。

しかし、買取を行う不動産会社は、買い取った物件を再販することを目的としているため、買取価格は、仲介で売却した際の相場の6~8割程度になってしまう傾向があります。

こうした特徴があることから、「売却価格が安くなってもいいから、できるだけ早く家を手放したい」という方にはおすすめな手段と言えるでしょう。

買取については、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもご参考ください。

空き家バンクを利用する

空き家バンクを利用するのイメージ

古い家、特に地方にある空き家の売却を検討しているのであれば、空き家バンクを利用するのも有効です。

空き家バンクとは、空き家を売りたい人と買いたい人、貸したい人と借りたい人をつなぐマッチングサービスです。

自治体やNPO法人が運営しているので安心して利用することができます。

多くの場合、不動産会社を介さないため、仲介手数料をかけずに取引が可能です。

しかし、この場合は売主と買主が直接取引をすることになるため、交渉や契約をする際にトラブルが起きてしまう恐れがあります。

また、登録をしてもすぐに買主が見つかるとは限らず、希望条件でのマッチングが難しい場合もあります。

賃貸として活用する

賃貸として活用するのイメージ

家を売却せずに、賃貸物件として貸し出す活用方法もあります。

賃貸に出すことで、入居者から家賃収入を得られます。

特に、立地や物件の状態が良ければ、安定した収入が期待できるでしょう。

しかし、必ずしも入居者が見つかるとは限りません。

空室になると家賃収入が得られず、ご自身で維持費や修繕費を負担し続けることになります。

また、入居者がいても、家賃滞納など、入居者とのトラブルが発生する可能性も考えられます。

立地や物件の状態が良い、あるいは需要が見込める場合は、賃貸として活用することも選択肢の一つとして検討するのも良いでしょう。

【売却前必見】古い家を売るリスクと具体的な対策

古い家を売るリスクと具体的な対策のイメージ

古い家を売却する際には、特有のリスクが伴います。

では、具体的にどんなリスクが生じる可能性があるのでしょうか?

ここでは、そのリスクと対策について詳しくご紹介します。

事前にリスクを理解し、適切な対策を講じて、安心して取引を進めましょう。

リスク1.契約不適合責任を負う可能性がある

売却した家に、契約内容と異なる欠陥が見つかった場合、売主は買主に対して損害賠償や契約解除などの責任を負う可能性があります。

これを「契約不適合責任」といいます。

築年数が経過している古い家では、雨漏りやシロアリ被害、給排水管の故障などの欠陥が見つかりやすい傾向があります。

この責任を問われないようにするためには、売却前に家の状態を正確に把握しておくことが重要です。

契約不適合責任を負わないための対策

契約不適合責任のリスクを回避するためには、以下の対策が有効です。

対策1:物件の情報を正直に告知する
売却する家に不具合がある場合は、契約前に必ず買主に正直に伝えましょう。
告知する際は、「物件状況報告書(告知書)」「付帯設備表」といった書類に記載するのが一般的です。
このように事前に伝えておくことで、買主も納得したうえで契約に進むことができます。

対策2:ホームインスペクションを検討する
ホームインスペクションとは住宅診断のことで、住宅診断士(ホームインスペクター)が外壁や屋根、室内、床下などの状態を専門的な視点から細かく調査します。
この調査をすることで、事前に物件の不具合を把握し、買主に正確な情報を伝えることができ、安心して取引を進めることができます。
費用の目安は5万円前後です。
ホームインスペクションについては、こちらの記事でも詳しく紹介しているので、参考にしてみてくださいね。

対策3.既存住宅売買瑕疵保険の加入を検討する
既存住宅売買瑕疵保険(瑕疵保険)とは、引き渡し後に物件の欠陥が見つかった場合、その修繕費用などをカバーしてくれる保険です。
加入には事前に検査が必要ですが、保険が付いていることで買主に安心感を与え、売却を有利に進めることが期待できます。
なお、保険料は保険期間や建物の面積などによって異なります。

リスク2.売れない可能性がある

古い家は、状態や立地によってはなかなか買い手が見つからず、売却活動が長期化するリスクがあります。

長期間売れない場合、その間の維持費がかかり続けるだけでなく、精神的な負担も大きくなる可能性があります。

売れないときの対策

古い家がなかなか売れない場合は、以下の対策を講じると良いでしょう。

対策1:売り出し価格を見直す
売り出し価格が周辺相場と比べて高い場合、買主が現れないことがあります。
売主自身も、売却する家の相場を改めて把握し、価格設定が適正か見直しましょう。

対策2.不動産会社を変える
仲介を依頼している場合、不動産会社を変えるのも一つの方法です。
特に、家を売り出して半年以上経っても買主が見つからない場合は、依頼先の不動産会社がその物件種別やエリアの売却を得意としていない可能性も考えられます。

対策3.買取を検討する
仲介での売却が難しい場合は、買取を検討しましょう。
売却価格は下がってしまいますが、早期に売却できる可能性が高まります。

【まとめ】リスク対策をして最適な方法で古い家を売ろう

リスク対策をして最適な方法で古い家を売ろうのイメージ

古い家の売却は、課題が多く難しいと思われがちですが、「手頃な価格で家を手に入れたい」「自分好みにリフォームしたい」と考える買い手もおり、一定のニーズがあります。

そのため、「古い家だから売れない」と最初からあきらめる必要はありません。

売却にあたっては、一般的な仲介だけでなく、状況に応じて解体してから土地として売ったり、不動産会社に買取してもらったりなど、さまざまな選択肢があります。

物件の状況やご自身の希望に合わせて、最適な方法を選ぶことが納得のいく売却につながります。

さらに、売却方法を考えるだけでなく、契約不適合責任や売れない可能性などのリスクへの対策を講じておくことも非常に重要です。

これから古い家の売却をお考えの方は、改めて本記事の内容を参考に、しっかりとリスク対策を行い、ご自身の状況に合った最適な方法で、後悔のない売却活動を進めてくださいね。

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