家を売る際には必ずしも空き家にする必要はありません。
売却費用を住み替え費用にできるなど経済的負担が軽減できるため、売却してから引越し先を購入するのは、住み替えにおける選択肢のひとつと言えます。
本記事では、住みながら家を売るメリット・デメリットや流れ、売却を成功させるコツについて解説します。
自分でできる内覧時の生活感を抑える方法を実践して、内覧者へのイメージアップをはかるなど、自分に合った売却を進めましょう。
この記事の目次
住みながら家を売る方法とは
住みながら家を売るとは、現在住んでいる家を売却してから新居を購入する「売却先行の住み替え」を指します。
一方、新居を先に購入してから引越し、空き家の状態で家を売るのを「購入先行の住み替え」と言います。
売却先行の住み替えは、ローンの残債が多い方や引越しまでに余裕がある方に向いている住み替えの方法です。
時間に追われる必要がないため、希望通りの売却価格で家を売れる可能性が高いでしょう。
住みながら家を売る6つのコツ
住みながらに売却を成功させるためのコツは次の通りです。
- 丁寧に掃除をおこない内覧時の印象をアップさせる
- 不動産に関する資料を揃えておく
- 内覧日の調整は臨機応変におこなう
- 内覧当日は誠実な対応を心がける
- 新居探しも同時におこなう
- ハウスクリーニングを活用する
それぞれのコツを把握し、自宅の売却を成功させましょう。
①丁寧に掃除をおこない内覧時の印象をアップさせる
住みながら家を売る際、生活感を最小限にして内覧に備える必要があります。
場所ごとに印象アップする掃除のコツは次の表の通りです。
掃除箇所 |
掃除内容 |
---|---|
玄関 |
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リビング・ダイニング |
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キッチン |
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浴室・トイレ |
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ベランダ |
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居室 |
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庭・駐車場 |
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売却を決意したら早めに掃除に取りかかり、内覧まで余裕があると安心です。
清潔感を大切にしながら、細かなところまで確認しましょう。
②不動産に関する資料を揃えておく
内覧に備え、間取り図やパンフレットなどの資料を準備しておきましょう。
目で見た感覚も大切ですが、家具の搬入時には実際の寸法を把握する必要があるからです。
正式な資料でなくても、希望購入者に伝えておきたいポイントについて自分なりにまとめておくのも、ひとつのアイデアです。
③内覧日の調整は臨機応変におこなう
内覧日の調整は臨機応変に対応しましょう。
売却活動の開始後は購入希望者のスケジュールにあわせて内覧対応できるよう、土日祝日は極力、予定を空けておきます。
内覧率がアップすると、成約につながりやすくなります。
④内覧当日は誠実な対応を心がける
内覧当日は誠実な対応を心がけて印象をよくしましょう。
メリットだけではなく、デメリットもきちんと伝えると信頼感が増し、内覧もスムーズに進みます。
質問されたことに対して、丁寧に答えられるかも重要です。
ほかにも、購入希望者に気持ちよく内覧をしてもらうために、当日準備しておきたいポイントは次の通りです。
- 日中でも照明をつけて部屋を明るくする
- スリッパを用意する
- 対応者は最小限にして内覧に集中してもらう
過度な気配りはかえって緊張感を与えてしまいます。
生活のイメージが湧くように内覧に集中してもらい、購入についてしっかりと検討してもらうために努力しましょう。
⑤新居探しも同時におこなう
売却活動と同時進行で、新居探しもおこないましょう。
売却がスムーズにいっても新居が決まっていなければ、仮住まいが必要になるなど住み替え費用が余分にかかってしまう恐れがあるからです。
売却の成立後から引き渡しまでは、平均で1.5〜3ヶ月かかります。
なかには半年ほどの猶予があるケースもありますが、時間が十分にあるとは言いにくいでしょう。
新年度など引越し会社の繁忙期では、予定通りに引越し作業が進まない恐れもあります。
売却活動と新居探しを並行しておこない、余裕をもって売却を進めましょう。
⑥ハウスクリーニングを活用する
専門業者に依頼してハウスクリーニングをおこない、丁寧に掃除をしてもらうのも家の売却を成功させるコツのひとつです。
プロの目線で掃除すれば購入希望者の好感度があがり、成約につながる確率もあがるでしょう。
ただし、自分で掃除するのとは異なり費用がかかるため、費用効果とのバランスを考えながら掃除を依頼する箇所を絞るのもよいでしょう。
とくにキッチンや洗面所、浴室などの水回りは内覧時にチェックされやすいです。
自分で手が回りにくい箇所のみ依頼し、残りは自分で掃除をしていくのもおすすめです。
住みながら家を売る4つのメリット
住みながら家を売る4つのメリットは次の通りです。
- 売却代金を住み替え費用に充てられる
- 購入希望者が入居後をイメージしやすい
- 住みながら手入れもできれば家が劣化しにくい
- ダブルローンになる経済的負担を減らせる
住みながら家を売ると内覧時の生活感など気になることは多いですが、不利なことばかりではありません。
メリットもしっかりと把握し、自分にあった売却方法を見つけましょう。
①売却代金を住み替え費用に充てられる
住みながら家を売るケースでは売却代金を新居購入費用に充てられるため、手元の資金が少ない方でも安心して新居での生活をスタートできます。
新居への引越しには、新居購入費用のほかにも仲介手数料などの諸費用のほか、不動産取得税など多くの資金が必要です。
新居を購入してから売却となると、新居での住宅ローンも先行してしまいます。
預貯金が十分にある場合をのぞき、先に売却をしてからの住み替えのほうが金銭面での不安を抑えられるでしょう。
②購入希望者が入居後をイメージしやすい
住みながら内覧をおこなうケースでは、購入希望者としても入居後をイメージしやすいメリットがあります。
家具がなにもない空き家よりソファやテーブルなどが置いてあるほうが、引越してからの生活をイメージしやすいでしょう。
ただし、清潔感は内覧時のキーポイントです。
物が溢れかえった生活感よりは、暮らしたときの楽しいイメージができるような配慮は必須です。
また、内覧時に周辺情報を共有することで、購入希望者は住んでいる住人のリアルな生活を把握できます。
スーパーなど日常生活に不可欠な施設や、学校、駅までのアクセスなど暮らしやすさのアピールをするとより現実感が増し、前向きに検討してもらえるでしょう。
③住みながら手入れもできれば家が劣化しにくい
売却までの期間に劣化が防げるのも、住みながら家を売るメリットです。
換気をおこなえば湿気からくるカビの繁殖を抑えられるほか、水道の水通しも給排水管の劣化防止に効果的です。
時間の経過は同じでも、空き家にするよりも住みながらに売却したほうが家が傷みにくく、売却もしやすくなるでしょう。
④ダブルローンになる経済的負担を減らせる
住みながら家を売るケースでは、支払い中の住宅ローンを返済できればダブルローンとなる経済的な負担を減らせます。
売却できない期間に返済の負担が増すと、「少し安くてもいいから早く売ってしまおう」という事態にもなりかねません。
経済的な負担を減らすと精神的にも余裕がうまれ、希望した金額に近い売却価格で売却できる可能性が高まるでしょう。
住みながらに家を売る2つのデメリット
住みながら家を売るデメリットは次の通りです。
- 内覧に備えて予定を空けておく必要がある
- 生活感がありすぎると売却しにくい
デメリットの解決策とともに解説します。
①内覧に備えて予定を空けておく必要がある
内覧がはじまると、当日に備えて予定を空けておく必要があります。
内覧希望者は複数の内覧を同時期におこなうケースが多いため、スケジュールにあわせないと売却の機会を逃すことにもなりかねません。
土日祝日のほか平日もできる限り対応できるよう、予定を調節しやすくしておくと安心です。
引越し間際は、購入希望者も売却側も双方が慌ただしくなります。
ほかにもやることがたくさんあるかもしれませんが、ビジネス目線で考え、精神的な負担を軽くするのもおすすめです。
②生活感がありすぎると売却しにくい
室内が物で溢れていたり水回りが汚かったり生活感があると、購入希望者の購買意欲が下がるデメリットがあります。
しかし、ある程度の生活感は新生活のイメージをするのに役立ちます。
適度な生活感を出しながら、未来のよいイメージが湧くように準備しましょう。
住みながら家を売る場合は内覧時に備え、普段から掃除・整理整頓で清潔感を保ちながら生活するのがおすすめです。
住みながら家を売るときの流れ
住みながら家を売るときの流れは次の通りです。
- 不動産査定を依頼する
- 査定を実施する
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 売り出しを開始する
- 買い手と売買契約を締結する
- 引き渡しをする
不動産査定は複数社に依頼し、査定額や担当者との相性などから依頼先を絞りましょう。
媒介契約は、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
複数社への仲介の可否や売却活動の報告期間によって、適切な契約方法を選択します。
売却後の引越しがスムーズにできるよう、売却活動と同時期に住み替え先の新居も探しておきましょう。
買主との条件交渉などが終わると、売買契約を締結します。
当日は不動産会社と売り主、買主の三者が集い、重要事項説明書の確認と署名、捺印などをおこないます。
引き渡しが終わると、新居への住み替え開始です。
引越し先が見つかっていない場合は、短期賃貸マンションを仮住まいとしながら、引き続き新居探しを進めましょう。
>> 不動産売却の流れとは?売買契約の手順や査定前のポイントを解説!
住みながら家を売るときによくある疑問点を解決!
住みながら家を売るときのよくある疑問点を解説します。
いざとなったときに慌てないよう、売却前に知っておきましょう。
家を売却後も住み続ける方法はあるのか
リースバックを専門に扱う不動産会社であれば、家を売却後も新居が見つかるまでの期間に仮住まいを見つけなくとも、家賃を支払う形にして家に住み続けられます。
資金を手元に残しながら、ゆっくりと引越し先を決めたい方におすすめです。
しかし、一般的な仲介による売却とは異なり不動産会社に売却するため、相場よりも売却価格が30%ほど低くなるなどのデメリットがあります。
リースバックと似たような資金の調達方法として「リバースモーゲージ」があります。
リバースモーゲージは自宅を担保として金融機関などから融資をうけるため、所有権はそのままです。
したがって、家賃は支払わなくてよいものの、固定資産税などの税金の支払いは継続しなければいけません。
【売却するなら】住みながらと空き家どちらがよいのか
住みながら売却するか、空き家にしてから売却するかはケースバイケースです。どちらの方法が自分にあっているのか、次の表で確認してみましょう。
住みながらに家を売るのにおすすめな方 |
空き家にしてから売るのにおすすめな方 |
---|---|
|
|
自己資金が少ないまたは、引越しが迫っている場合は自ずと選択肢が絞られるでしょう。
ほかにも、内覧対応は必須となるためスケジュール調整ができるのかも重要な判断基準です。
>> 家を売って住み替えるときの基礎知識|買い替えまでの流れを解説
売却価格で住宅ローンの残債が支払えないときはどうするのか
住宅ローンの残債がある場合でも、自己資金で一括返済せずに住み替えが可能な方法は次の通りです。
- 住み替えローン
- ダブルローン
本来、住宅ローンの残債には抵当権(ローン貸出の担保)が設定されているため、売却時には一括返済をして抵当権を解除する必要があります。
しかし、「住宅ローンの残債+新居の住宅ローン」をまとめられる住み替えローンや、ダブルローンとして支払いを続ける方法もあります。
ただし、ダブルローンは高収入の方や、現在の残債が少額であったりする場合にのみ利用可能です。
したがって、一般的には住み替えローンを活用するケースが多いでしょう。
>> 【2024年】不動産価格の推移は今後どうなる?2024年の動向をデータから解説
住みながら家を売りたいなら不動産会社に相談しよう
住み替え費用の負担を軽減したいときは、住みながら家を売るのがおすすめです。
内覧日のスケジュールを調整できるように休日は予定を詰め込まこまず、当日に向けて丁寧に掃除をし、印象アップをはかりましょう。
自分で難しい方は、ハウスクリーニングなどでプロに任せるのもひとつの手です。
希望の売却価格に近づけて成約するためには、不動産会社選びが重要です。
査定時には、売却実績が豊富か、疑問点や不安点について相談しやすく親身になって聞いてくれる担当者であるのかを見極める必要があります。
イエイでは、不動産の売却一括査定をおこなっています。
売り出し価格を決める査定価格は不動産会社によって差があるため、複数社で比較検討できるイエイなら、スムーズな売却が叶うでしょう。