大切な土地の境界線がどこにあるのかを明確をするのは、とても重要なことです。仮に、境界が10cmずれただけでも、全体の面積で考えると大きな損失になってしまいます。そのため、土地と土地との境界を明確にするためにも「境界標」を設置する必要があるのです。今回は、境界標を設置するメリットや、設置の方法について紹介していきます。

境界標は土地の境界を表す目印

境界標は土地の境界を表す目印

土地には境界線がありますが、実際に地面の上に線が引かれているわけではないので、図面や登記だけでは管理が難しくなる場合があります。そのため、どこからどこまでが自分の土地なのかを明瞭にする目印が必要です。境界標とは、土地の境界の折れ点に設置する目印のことで、境界標と境界標を結ぶと境界線がわかります。民法第223条では、境界標の設置として「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で境界線を設けることができる」と定められています。

なお、境界標にはいくつかの種類と特徴があるので確認しておきましょう。たとえば、境界標として最も多く使用されているのが、永続性のあるコンクリート杭です。大きさや長さは場所によって使い分けられています。

プラスチック杭も市場に多く出回っている境界標で、加工しやすく軽いため設置が簡単ですが、コンクリート杭のような永続性は期待できません。また、真鍮やステンレス、アルミでできた金属標もあります。あらゆる場所に設置できるよう、さまざまな金属標が開発されており、堅くて丈夫なのが特徴です。

ほかにも、最も優れた永続性があるものの高価な石杭、一時的な杭として使用される木杭などがあります。

境界標に求められる条件

境界標を設置する場合、求められる6つの条件があります。

1.「不動性」

境界標は押したり車に踏まれたりしても移動しない、堅牢なものでなければいけません。また、境界標を垂直に設置することも大切です。斜めに設置してしまうと、設置した時点からその状態だったのか、意図的に移動したのかがわからなくなるからです。

2.「永続性」

100年程度は風雪に耐えられる堅固さが求められます。木杭や中が空洞のプラスチック杭は数年で破損してしまうため、コンクリート杭や金属杭、石杭などが望ましい種類です。さらに、頭部につける境界点の目印をペンキにすると、いつの間にか消えてしまうことがあるので注意しましょう。

3.ひと目で境界点だとわかる「視認性」

境界標であることがわからなければ、工事などで無くなったり移動されたりする可能性があります。なるべく目立つような工夫が必要です。

4.「特定性」

境界標の位置を特定できるようにしておきます。設置状況の写真撮影や、近くにある堅牢なブロック塀や門柱からの距離を記録しておくことが有効です。

5.「証拠性」

境界標を設置する際は、設置した事実や経緯がわかるように日付を入れた写真撮影をしたり、関係者同士で境界確認書などを保管したりします。

6.は境界標を自ら管理する「管理性」

地目や地積など現地の状況と登記を一致させ、境界標を設置したら現地の正確な測量図を作成しておくなど、きちんと管理しましょう。

境界標を設置するメリット

境界線を設置するメリットはさまざまです。

たとえば、境界紛争がなくなります。境界線があいまいだと、隣接する土地の所有者同士が自分に有利な主張をして紛争に発展する可能性があります。明確な境界線がわかる境界標を設置することで、境界紛争はほとんどおこりません。境界標は、財産の侵害防止にもなります。誰が見ても土地の境界線がわかるようにしておけば、越境を未然に防ぐことができるのです。

また、土地の管理をしやすくなるというメリットもあります。実は、図面はあるのに境界線がわからないというケースが少なくありません。境界線がわからないと、隣接する土地の所有者の合意を得なければいけないので、境界点の復元が難しくなります。境界線を明確にしておくことは、あらゆる面で土地の管理がしやすくなるのです。

それから、土地の取引や相続が迅速に行えることも大きなメリットといえます。不動産の売買や土地を相続することになった場合、境界を明示しなければいけません。しかし、境界標がなければ、時間と費用をかけて境界標の復元をする必要があります。スムーズな処理ができるようにしておくためにも、境界標の設置は重要です。

境界標を設置するためには

境界標を自分で勝手に設置することはできません。なぜなら、自分だけの判断で設置をすることで、隣接する土地の所有者とトラブルに発展する可能性があるからです。そこで、境界標を設置する前に、隣接する土地の所有者と境界線を確定させておくことが大切です。

なお、境界線を確定させる際は、トラブルを防ぐためにも土地家屋調査士などに依頼しましょう。土地家屋調査士は法務局や市町村役場で公図、地積測量図といった境界に関する資料や、道路、公共物との関係を調査して現地の測量をします。それから、収集した資料と測量結果などを精査し、仮の境界点を明示します。次に、隣接する土地の所有者や公共物の管理者など、その土地の関係者と境界点の確認です。関係者が納得できれば境界標を設置し、境界確認書を取り交わします。

ちなみに、境界標がなくなったり移動したりしてしまう原因は、境界標付近で行われる工事だけではありません。斜面地であれば土砂崩れでなくなることや移動することがありますし、経年による腐食もあります。もし、境界標付近で工事が行われる場合は、境界標の存在を事前に工事責任者へ報告しておきましょう。また、土砂崩れや腐食でいつの間にかなくなっていたということを防ぐためにも、境界標の存在を定期的に確認しておくことが大切です。

隣地所有者と境界で争いがある場合は

筆界特定制度」を利用すれば境界を特定させることが可能

土地を売買する場合などは境界線を明確にしておく必要があるため、境界線について争いがある場合、話し合いで解決できなければ裁判という方法があります。しかし、裁判をしなくても「筆界特定制度」を利用すれば、境界を特定させることが可能です。

そもそも、土地の境界には「筆界」と「所有権界」の2つの種類があります。

筆界とはその土地がはじめて法務局に登記されたとき、区画するために定められた境界のことです。所有権界は土地の所有者が自由に移動させられる境界で、土地の一部を譲渡したり所有権を取得したりしてできた境界のことを指します。基本的に、筆界と所有権界は一致していますが、売買などで一致しなくなっていることがあります。

この筆界を明確にして、境界の争いを解決するのが筆界特定制度というわけです。この制度では、土地の所有者が申請すると筆界特定登記官が筆界調査委員の意見を踏まえながら土地の筆界を特定します。とはいえ、新たに筆界を定めるのではなく、実地調査や測量で正しい筆界を特定するという制度です。

裁判をするとなると、まとまった費用がかかるだけでなく、結論がでるまでに時間もかかります。しかし、筆界特定制度なら各法務局によって差はあるものの、6カ月~1年で結論がでるよう努力することとされているのです。そのため、裁判で争うよりも負担が少なくなります。

設置した境界標はしっかり管理しよう

境界標は自分の財産を保全するための大切な目印です。境界標を設置したら写真を撮っておき、測量図と一緒に保管しておくことが望ましいといえます。いくつかある種類のなかから不動性や永続性がある境界標を選ぶこともポイントです。また、動いたりなくなったりしていないか、定期的にチェックすることも忘れてはいけません。

それから、新たに境界標を設置する際は、隣接する土地の所有者立ち合いのもと、境界線を明らかにすることでトラブルを防ぐことができます。万が一、境界に関するトラブルがある場合は裁判に持ち込むよりも、筆界特定制度を利用したほうが負担は少なく済みます。境界紛争を防ぐためにも、境界標の設置を検討してみましょう。