マンション売却は、一生のうち何度も経験することではないでしょう。いざ売却しようとしたときに準備しなければならない書類はたくさんあるので、焦ることのないように事前に知識をつけておくことが大切です。仮に書類に不備があれば、契約が遅延する可能性もあるので注意する必要があります。
売却の際、必要な書類についてくわしくみていきましょう。
この記事の目次
本人を特定する書類
売却するマンションが自らの所有であることを証明するための必要書類は
本人が確認できるもの
◇パスポート
◇基カード
顔写真が入った証明書がないときは、健康保険証で代用できる
実印
印鑑証明書
◇所有者が複数いる場合、迅速な売買を行うためには、全ての所有者の印鑑証明書を早めに準備をしておく必要がある
(所有者全員の印鑑証明書をそろえなければならないため)
住民票
◇住民票記載の住所履歴が不十分な場合は、本籍地の役所に問い合わせをして、戸籍全部事項証明書の発行申請をする必要がある
法務局で交付する書類
マンションを売却するためには、法務局に申請し、交付してもらう必要書類を取り寄せる必要があります。登記簿謄本は、登記されているマンションの情報や権利などが記載されている書類です。最寄りの法務局や出張所に行き申請すれば、直接取得することができます。電子化されていれば、登記事項証明書を申請し、取得します。
登記済権利証または登記識別情報も法務局で交付してもらう必要書類です。登記済権利証は、自分がマンションの所有者であることを証明する書類です。インターネットでも登記関係の申請が可能ですので、法務局の登記所のオンライン窓口で申請すれば登記識別情報を入手することができます。
ちなみに、登記済権利証はオンライン申請が開始される前に発行されていた書類です。登記識別情報はオンライン申請が可能になった後の書類になります。そのため、2種類の書類があるようにみえますが、内容は同じものです。登記済権利証をすでに所持している場合には、登記識別情報を取り寄せる必要はないでしょう。どちらかの書類があれば問題ありません。
マンションを売却したときには、所有者がかわります。そのため、所有権を新しい所有者に移転登記したり、抵当権などを新たに設定したりするために必要になるのが登記済権利証または登記識別情報です。
マンションを売却するときには、本人が所有者であることを証明するのに大切な書類です。しかし、普段は使用することがほとんどないために、登記済権利証または登記識別情報を所持していたとしても、どこに保管したか記憶にない、ということも考えられます。
万が一紛失してしまった場合には、登記情報自体は登記所に記録が残っているので権利がなくなるということはありません。しかし、原則再発行はできないので、司法書士などの専門家に相談して、自らがマンションの所有者であることを証明しなければならない可能性もあります。もし、登記済権利証または登記識別情報を探してみても見当たらない、という場合には早めに対処しておくことが大切です。
その他に、法務局で交付されるものとしては、マンションの近隣を含めた土地の区画が表記されている地図です。マンションの所在地を明確に示すためには、法務局の登記所で保管されている地図が最も信頼がおけるでしょう。しかし、市販の地図を利用しても問題はありません。
売主が所有している書類
マンションを売却するときは、自らが所有している必要書類を早めに準備しておくことも大切です。マンションには管理組合があり、管理規約や使用細則などマンション使用にあたってのルールが冊子になっていることがほとんどです。
たとえば、ペット飼育可能なのか、共用部分の利用ルールなど、実際に生活するときに知っておかなければならない規則が記載されています。マンションの購入を検討している人にとっては必要な情報となるので、必ず用意しておきましょう。
管理費・修繕積立金
次に確認しておきたいのは、管理費や修繕積立金に関する書類です。
マンションを管理するためには、管理人の人件費、建物の修繕や共用部分の定期的な清掃などの維持費がかかります。毎月一定額を支払う必要があるので、購入者が気になる部分でもあります。そのため、金額がわかる書類を用意しましょう。
固定資産税納税通知書・課税明細書
固定資産税納税通知書と課税明細書は、毎年5月くらいからマンションの所有者に送られてくる書類です。毎年納めなければならない固定資産税や都市計画税の金額が記載されています。土地や建物の評価額も記載されているので、マンションを売却するときに不動産業者が物件の価格査定をするときに必要です。売却後に移転登記する際の登録免許税や、その他の税金の計算の根拠にもなります。
さらに、マンション所有者に固定資産税の滞納がないか確認のために必要になることがあります。固定資産税や都市計画税などの税金は1月1日時点の所有者に1年分まとめて納税通知がいくことになっています。そのため、年度の途中でマンションを売却した場合には、前の所有者と新しい所有者の間で固定資産税と都市計画税の精算をする必要があるでしょう。
マンションに関する情報書類
また、必須ではありませんがマンション分譲時の間取り図、パンフレット、広告などが手元にあれば用意しておきましょう。付帯設備など、より詳しい情報を提供することで、売却の際、アピールできる部分もあります。
不動産取得時の契約書と重要事項説明書も必要書類です。マンションを購入したときに、不動産会社と取り交わした売買契約書と重要事項説明書を用意しましょう。売買契約書には契約した日、引き渡し日などの日付、手付金の金額や売買代金などが明記されていると共に、物件の状態や付帯する設備などについての記載があります。重要事項説明書は売買契約書と共に取り交わす書類です。
マンションを購入したときに、マンションの取引の内容、マンションが幹線道路や線路などに近いことで騒音や振動など日常生活において懸念されるような場合など、告知事項があれば記載されています。売買契約にあたり、買主が知っておくべき重要な情報が記載されているでしょう。
住宅ローンの残債があるときは、残額がどれくらいあるかを把握しておくことが望ましいです。ローン残高証明書や、ローン返済予定表などを借入している金融機関で発行してもらいましょう。
その他の建物に関する書類
中古マンションを売却するときは、建物に関する書類があればそろえておくことをおすすめします。もし、売却するマンションが耐震診断を受けている場合には、耐震診断報告書を不動産業者に提出しておきましょう。特に、新耐震基準が導入される前のマンションであれば、耐震診断報告書があるとよいでしょう。
さらに、築年数が経過しているマンションはアスベストが使用されていることがあります。アスベストの調査が完了しているマンションであれば、アスベスト使用調査報告書がありますので、こちらも提出しておくことをおすすめします。
まとめ
マンションを売却するときは、役所から取り寄せたり、自分で準備したり、さまざまな必要書類があります。それぞれのマンションの築年数や、所有者の状況によって準備しなければならない必要書類がかわってきます。すべての書類をそろえるまでに時間がかかる可能性もあるので、事前に余裕をもって準備を始めることが大切です。
書類が揃ったら、しっかりチェックして、分からないことは不動産業者や役所に質問して解決しておきましょう。