マンションの売買には1年のうちでベストなタイミングとそうでない時期があります。売買時期を見誤ると、本来付くはずの値段が付かないばかりかいつまで経っても売れないことになりかねません。マンションを早く、そして高く売るためには、いくつか知っておくべき知識があります。

そこで、今回はマンションを売るベストな時期やタイミングについて詳しく解説します。

マンションを売却しやすい時期とは?

マンションなどの不動産売買が積極的に行われる1つのタイミングは、入学式シーズンである4月です。4月は子供の入学式や会社での1つの区切りとなる時期になります。それにともなって、新生活に向けて3月ごろから新しい住居への引っ越しやマンションの購入が増えてくるからです。特に、マンションであれば4月に入る前に購入したいという人が増えるため、売却する場合は事前に準備をしておきましょう。

マンションを売却しやすい時期は4月

2~3月の売却に合わせるのであれば、12月ごろから売却活動を進めておくのがおすすめです。また、9月以降の秋頃も不動産の売買が活発になります。9月~11月は仕事での転勤や異動が多くなる時期です。したがって、9月頃もマンションを売却する絶好のタイミングとなります。9月~11月に売却を予定するならば、夏前の6月頃から売却活動をしておきましょう。
シーズンの直前になって活動を始めても、他の物件に取られてしまう可能性が高くなります。事前の準備は怠らないのが大前提です。

事前の準備

マンションを早く売るためには、事前の準備と人が行動を起こす時期を見極めるのが大切になります。4月や9月は多くの人が転勤や引っ越しをするタイミングなので、売却を考えている場合は見逃さないようにしましょう。

築年数で考えるマンション売却のタイミング

マンションの売却には築年数も深く関わっています。基本的に、マンションが新築なのは最初だけで、所有年数が増えるごとに資産価値は減るものです。当然、築浅よりも築古のほうが価格は安くなります。

売るなら築15年以内を目安に!

築年数と資産価値の減少割合の関係は、築15年を経過しているかどうかで大きく変わります。一般的に、築10年~11年までは下落幅は1割程度です。しかし、築15年を超えた時点で資産価値はガクンと下落します。せっかく売却を考えるのであれば高く売れるに越したことはないので、売却する場合は築15年以内を目安にしましょう。

もっとも、これはあくまでも一般的な指標です。地域柄や土地建物の状態によって付く値段は変わってきます。また、これから先にその土地で何があるかによっても資産価値は変動します。電車の駅が新しく敷設される場合やオリンピックなどのイベントがある場合です。特殊な例ではありますが、こういった事情や状況とマンションの築年数を踏まえて、売却するタイミングを検討しましょう。

築年数が古くても修繕済み物件なら価格は下がらない?

マンションの資産価値は築15年を境に大幅に下落します。もっとも、築15年以上でもきちんと修繕やリフォームを行っていればそこまで価格は下がりません。もし、所有しているマンションが築10年以上経過しているのであれば、一度リフォームや修繕を行うべきでしょう。築10年であれば、まだそれほど大掛かりなリフォームや修繕が必要な場合は少ないので、今のうちに行っておくと良いです。

古いなら修繕や手入れが行き渡っているかが大事

手入れを行っているマンションとそうでないマンションでは売れる可能性が大きく変わります。修繕も何もしていない物件は買主がマンション購入後に自費で修繕しなければいけません。ただでさえ高いお金を出して購入したマンションをさらにお金を出して修繕しようと思う買主は少ないでしょう。したがって、築古の物件でも普段からこまめに手入れをして、必要があればリフォームしておくのがおすすめです。

税制で考えるマンション売却のタイミング

マンションを売却する際には、所有年数に応じた税制の変化にも注目しておきましょう。マンションを売却すると、譲渡所得にともなって所得税を納めなければなりません。このとき、築年数が浅い物件ほど税金を高く取られる仕組みになっています。

所有期間が5年以下の物件は一番高い30%もの税金が取られます。5年越えの場合は15%です。また、居住用財産のみ10年越えの物件で、課税譲渡所得税のうち6000万円以下の部分は10%、6000万円超えの部分は15%になっています。築浅物件は人気があり、売却価格も高くなりますが、取られる税金の高さを考えると築5年以内に売却するのは得策ではないでしょう。

もっとも、居住用財産なら特別控除の特例が適用されるので心配ありません。特別控除の特例とは、居住用財産を売却した場合、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から3000万円まで控除できる特例措置です。したがって、居住用財産であれば築年数による制限を受けません。

売れないときの売却価格値引きのタイミング

物件の売却と値引きのタイミングは事前に計画しておくのがベストです。つまり、「いつまでに売りたいのか」「いくらで売りたいのか」をあらかじめ決めておきます。そして、初めに出した価格で売れない場合は値引きを検討しましょう。

3か月単位で

値引きは、売り出してから3カ月が1つの目処となります。これは、不動産会社と結ぶ契約が3カ月単位が多いのと、購入までの期間がおよそ3カ月といわれているからです。売却活動をして3カ月たっても売れない場合は、それ以上待っていても売れる可能性は低いでしょう。そうして待っているうちに適切な売却時期を逃してしまいます。

世の中の変わり目がタイミング

値引きのタイミングとして効果的なのは1月と9月です。1月は4月までにマンションを購入して住みたい人向けに、9月は秋の転勤に備えてマンションを購入したい人に効果があります。もし、値引きを行ってもマンションが売れない場合は他に原因があるかもしれません。

例えば、不動産会社が販売活動を怠っている・競合マンションが値引きをしているなどです。このような原因によって売れない場合もあるので、しっかりと調査をやり直してみましょう。

◇売り出してから3カ月
◇1月と9月

狙った時期に売却できるコツが知りたい!

マンションを自分の狙った時期に売却するには、買主の思考や行動パターンを理解する必要があります。つまり、買主の年齢や職業、子供の数などを具体的に想像して買主のイメージを膨らませます。

例えば、30歳で月の手取りは約28万円、年2回のボーナスを加えて年収400万の世帯の場合、毎月の家賃に充てられるのは7万~10万です。25年で住宅ローンを組んだとしても、2000万~2500万程度が限界になります。そして、秋に転勤が決まり、都市部から近いベッドタウンにマンションを買うとなれば9月頃から物件を探し始めるでしょう。

狙った時期に売却したいなら

こうしたタイミングに合わせて自分の物件を売り出しておけば売却できる可能性があがります。もし、売れない場合でも1割ほど値引きすれば貸主の食いつきはよくなるでしょう。これはあくまでも一例ですが「自分の物件を買ってくれる人はどんな人か」を具体的にイメージするのが大切です。そのためには、物件の立地や状態、築年数に周囲の環境、競合マンションの有無などさまざまな情報を把握する必要があります。

入念な調査の上で、買主をイメージできれば狙ったタイミングで売却できる可能性も高くなるでしょう。

まとめ

マンションの売却にベストな時期というのはありますが、これはあくまでも「他の時期に比べて多い」というだけです。4月や9月以外の月でもマンションの売買は活発に行われています。マンションを売る場合に大切なのは徹底した事前調査と売却計画です。

いつまでに・いくらで売るのかを明確に決めて、計画に基づいて売却活動をすすめましょう。そうすることで、「売れないかもしれない」という心配もなくなります。こうした計画をもとに売れやすいタイミングを見計らえば、自分が希望する条件で物件を売却できるでしょう。