この記事でわかること

・不動産会社が出す査定額の信頼性を見極める手順
・建物だけでなく、マンションの管理状況が査定に与える影響の深掘り解説
・初めての売却でも失敗しないための不動産会社の選び方

マンションの売却前には、売り出し価格を決めるために不動産会社が物件を訪問し、査定を行います。

「初めての売却で損をしたくない」「提示された査定額が本当に正しいのか知りたい」と疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。

本記事では、マンション査定で不動産会社がチェックする「評価基準」を深掘りし、査定額の信頼性を見極めるための手順、そして失敗しない担当者の選び方を徹底的に解説します。

売却による収益を最大化するためにも、この記事で知識を身につけ、後悔のない査定を進めましょう。

この記事の目次

マンション査定とは?

マンション査定とは?のイメージ画像

マンション査定とは、立地や建物の状況などをもとに、物件の価値となる価格を決めるために不動産会社が行う予想価格の算出です。

マンション査定では、いくつかのチェックポイントをもとに査定額を決めます。

大きく分けると、物件の構造や部屋の状態を見極める「建物状況」と、修繕や共用部分の状態を見極める「管理状況」の2つです。

マンションの売却をする際は、査定依頼することで適切な価格を把握できます。

しかし、査定の真の目的は、単に価格だけを提示する会社を選ぶことではありません。

あなたのマンションを高く、そして確実に売ってくれる優良なパートナー(不動産会社)を見つけることです。

査定額はあくまで「予想価格」であることを肝に銘じ、不動産会社の能力を見極めるための判断材料として活用しましょう。

マンションの査定方法の精度とリスクを比較

マンション査定の方法のイメージ画像

マンションの査定方法には、主に「訪問査定」と「机上査定(簡易査定)」の2種類があります。

近年では「AI査定(匿名査定)」も広く利用されています。

まずは、それぞれ特徴を理解していきましょう。

【マンションの査定方法の比較表】

査定方法 精度 所要期間の目安 営業リスク 目的
AI査定
(匿名査定)

(相場把握のみ)
瞬時~数分
(ほぼなし)
まず概算相場を知りたいとき。
机上査定
(簡易査定)

(物件データなどをもとに分析を行う)
最短当日~3日程度
(メール・電話が主)
優良企業を3~6社に絞るとき。
訪問査定
(最も正確)
1週間程度
(対面での交渉が伴う)
最終的に媒介契約を結ぶ会社を決めるとき。

AI査定(匿名査定)

AI査定は、個人情報の登録なしに、マンション名や専有面積などのデータに基づき、瞬時に概算価格を算出する方法です。

これはあくまで過去の成約データや市場動向をもとにしたシミュレーションであり、あなたの物件固有の状況(室内の傷み、設備のグレード、管理組合の運営状況など)は一切考慮されません。

そのため、査定額の精度は最も低いですが、営業電話のリスクがほぼなく、売却を検討し始めた段階で相場感を掴む目的で活用するには最適です。

机上査定(簡易査定)

机上査定は、不動産会社が訪問することはなく、物件のデータ(築年数や間取り、所在地など)をもとに価格を査定する方法です。

最新の市場環境や競合物件の情報も反映されるため、AI査定よりも精度が高いという特徴があります。

また、査定額を最短当日~3日程度で知ることもできます。

一方で、机上査定は訪問査定に比べると査定額が厳密ではないという注意点もあります。

さらに、不動産会社が査定を担当するため、査定結果後にメールや電話による営業連絡が来るリスクが伴います。

この査定結果をもとに、対応の迅速さや提出資料の論理性を見て、訪問査定を依頼する会社を絞り込むのが賢い活用法です。

訪問査定

訪問査定は、実際に不動産業者が物件を訪問し、見積もりを算出する査定方法です。

訪問時に、内装の維持管理状況、日当たり、風通し、眺望、共用部分の清掃状態といった、机上査定では判断できない物件の「プラス要素」や「マイナス要素」を細かく確認します。

これにより、最も正確な価格を把握することができ、査定額の精度は最も高くなります。

ただし、訪問査定は知らない人が自宅マンションを訪問することに抵抗がある人にはハードルが高く感じるでしょう。

また、複数社に依頼するとその都度立ち合いが必要になり、時間的・精神的な負担が大きくなります。

そのため、最終的に信頼できると判断した2~3社に絞り込んでから依頼することが重要です。

【参考】査定方法の賢い使い分け

知らない人が自宅マンションを訪問することに抵抗がある人、また多数の不動産会社からの営業電話が来ることを気にしている人に、いきなり訪問査定をするのはおすすめしません。

このような不安を抱えているのであれば、以下のステップで査定を依頼すると、営業リスクを最小限に抑えながら、効率良く優良な会社を見つけることができます。

査定方法の賢い使い分け

このステップを踏むことで、効率良く、かつリスクを最小限に抑えて売却活動を進めることができます。

マンション査定の流れと費用

マンションの査定の流れ

不動産会社にマンション査定を依頼する際の流れは、次の通りです。

1.査定を依頼する
2.査定を実施する
3.売却の仲介者となる不動産会社と媒介契約を結ぶ
4.売り出し価格を決めて売却活動を開始する
5.売買契約から決済・引き渡し

不動産会社と結ぶ媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、仲介を依頼できる不動産会社が複数社選べるかなどの条件によって契約方法を選択します。

売り出し価格は査定結果をもとに相談して決めます。

これは、不動産会社が出した査定額(予想価格)と現在の市場相場を基準とし、売主様の売却希望を考慮して設定していく重要な工程です。

また、マンション査定の費用は無料のものと有料のものがあります。

個人での売却の場合は無料査定で十分でしょう。

法人間で不動産取引を行う場合や裁判を伴う財産分与などのトラブルがある場合は、不動産鑑定士による有料査定(不動産鑑定)が必要となります。

マンション査定の必要書類

マンション査定の必要書類のイメージ画像

査定に必要な書類を単に用意するだけでなく、「なぜその書類が査定に影響するのか」を理解することが、査定額を上げるための重要な準備となります。

書類の種類 なぜ必要か
登記済証または登記識別情報通知書 マンションの所有権や新築年月日、種類などを証明する書類。売却後の登記手続きに不可欠。
重要事項説明書・間取り図・パンフレット 購入時の仕様や専有面積、設備グレードを確認し、適正な評価を下すために必要。
返済予定表または残高証明書 売却時のローン残債の返済計画を立てるために不可欠。
管理規約 ペット飼育の可否やリフォーム制限など、買い手に影響する重要事項の確認。
大規模修繕の履歴・計画書 建物全体の管理状態の良さを証明する最重要書類。修繕を適期に実施している物件は評価が上がる。
リフォーム履歴のわかる書類(契約書など) あなたの専有部分に適切なメンテナンスを実施していることを示し、内装・設備評価のプラス材料となる。

マンション査定で見る建物状況のチェックポイント7選

マンション査定建物状況のポイントのイメージ

マンション査定時の建物状況で、不動産会社がチェックするポイントは次の通りです。

・立地条件
・築年数
・耐震性能
・床面積や間取り
・日照・通風条件
・内装や住宅設備
・リフォームや修繕の履歴

それぞれのチェック内容について解説します。

1.立地条件

駅から近いか、人気の住宅エリアかどうかを交通の便や周辺環境などをもとにチェックします。

特に通勤・通学で利便性の高い立地だと高評価となり、査定額が高くなります。

ファミリー向けのマンションを査定する際には、保育園、幼稚園、小学校などの教育施設や公園などの公共機関が近隣にあるかどうかもチェックされます。

子育てしやすい環境であるかどうかは、購入者の物件選定で重要なポイントと言えるでしょう。

【プラス評価に繋がる要素】

・駅から徒歩5分以内
・スーパーマーケットや病院が徒歩圏内
・主要駅へのアクセスが良い

【マイナス評価に繋がる要素】

・交通量の多い道路沿いで騒音・振動がある
・ハザードマップで浸水リスクが高いエリア
・周辺に嫌悪施設(工場、墓地など)がある

2.築年数

一般的に、築年数が経過するほどマンションの価値は低くなります。

しかし、築年数相応の建物状況であるかどうかも判断します。

次の図は、2025年度の東京都における、築年数別の成約時の件数や㎡単価をまとめた資料です。

首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2025年4~6月】(公益財団法人 東日本不動産流通機構による資料) 築25年以上の物件でも成約件数が多い
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2025年4~6月】

こちらの資料から読み取れるように、築25年以上の物件でも成約件数は多く、適切な価格設定であれば売却は可能です。

中古マンションの購入を検討している方の多くは、予算内での購入が叶うかどうかに重点を置いているため、築古だからといって売れないわけではありません。

3.耐震性能

マンションの構造の良し悪しは耐震性能ではかれます。

建築確認申請が受け入れられた日によって、耐震基準は次の2種類に分けられます。

耐震基準 建築確認申請を受けられた日 予測される強度(目安)
旧耐震基準 1981年6月より以前 震度5で崩壊しない程度
新耐震基準 1981年6月以降 震度6~7で倒壊しない程度

新耐震基準に適合してるマンションであれば、査定額が高く売れやすい傾向にあります。

旧耐震基準の物件でも、管理組合で作成される資料で耐震診断の有無を確認し、耐震補強の履歴があればプラス評価になります。

査定時には、これらの資料を準備し、建物の安全対策が適切に行われている点をアピールすることが重要です。

4.床面積や間取り

ファミリー向けに人気のあるエリアのマンションの場合、床面積が広い物件であると購入希望者が集まりやすいです。

生活しやすい動線のある間取りか、収納スペースが充実しているかも大切なポイントとなるでしょう。

【プラス評価に繋がる要素】

・LDKから各部屋へのプライバシーが確保されている間取り
・家事動線がスムーズな間取り(キッチンと洗面所・ベランダが近いなど)

【マイナス評価に繋がる要素】

・デッドスペースが多く、家具の配置がしにくい間取り
・玄関を開けたらすぐにリビングが見える(プライバシー性が低い)間取り

5.日照・通風条件

南向きの物件は日当たりが良く人気があるため、売却価格が高くなる傾向です。

マンションが密接して建つエリアの場合、通風の確保も重視されます。

湿気がこもりやすい物件は、カビが発生していないかどうかも査定対象となります。

【プラス評価に繋がる要素】

・角部屋や二面採光で通風が確保されている
・上層階からの眺望が抜けており、日照が遮られない
・窓やバルコニーの配置が工夫され、効率よく換気ができる

【マイナス評価に繋がる要素】

・北向きや一室採光(窓が一つのみ)の部屋
・隣接する建物と密接しており、日照や眺望が遮られている
・湿気がこもりやすく、カビや結露の跡が目立つ

6.内装や住宅設備

床のキズや汚れ、水回りの不具合箇所や劣化状況を調べます。

正確に査定額を算出するためには、経年劣化以外の故意や不注意でできてしまった瑕疵(欠陥)があれば隠さずに伝えましょう。

瑕疵を隠した場合、売却後のトラブルや価格交渉で不利になるリスクがあります。

【プラス評価に繋がる要素】

・キッチン、浴室などの水回り設備を直近5~10年以内に交換している
・内装のグレードが高く(例:食洗機、床暖房、ハイスペックな浴室乾燥機など)、高級感がある
・室内に目立つ傷や汚れがなく、管理が行き届いている

【マイナス評価に繋がる要素】

・給湯器など、ライフライン設備に故障や不具合がある
・壁や床に原状回復が難しい大きな傷や汚れ、穴がある
・水回りのカビや臭いがひどく、清潔感に欠ける

7.リフォームや修繕の履歴

室内のリフォームや修繕を行っていれば、査定時にプラスに働きますが、査定額に大きく影響するとは言えない点を把握しておきましょう。

施工会社に依頼した場合は、施工見積もりなどの控えの書類を用意しておくと、査定時に内容の確認がスムーズになり、適切なメンテナンスを行ってきたことをアピールできます。

マンション査定で見る管理状況のチェックポイント4選

マンション査定で見る管理状況のイメージ

マンション査定時の管理状況は、戸建てにはない最重要チェックポイントです。

建物の寿命や資産価値に直結するため、査定では厳しく見られます。

ここでは、査定時に特に重要となる4つのチェックポイントを解説します。

・大規模修繕の履歴と積立金の適正度
・管理体制と管理組合の状況
・駐車場の有無
・企画・建築・販売会社名

1.大規模修繕の履歴と積立金の適正度

大規模修繕の履歴は、建物の劣化具合と管理組合の運営能力を示します。

外壁や屋上などの目に見える部分だけでなく、貯水槽や給排水管などの目に見えない重要部分についても修繕が行われているかがチェックされます。

【補足】修繕積立金の「残高不足」が査定額に与える具体的な影響

修繕積立金の残高が長期修繕計画に対して不足している場合、将来的に一時金徴収や積立金の値上げが発生する可能性が高いため、購入希望者にとって大きなマイナス要因となります。

査定では、この不足分を補うために将来的な負担を考慮し、査定額から減額される具体的な影響を事前に理解しておく必要があります。

管理組合の報告書で修繕積立金の状況と今後の計画を把握しておきましょう。

2.管理体制と管理組合の状況

マンション査定では、エントランス、廊下、エレベーターなどの共用部がメンテナンスされているか、管理体制も調べます。

たとえば、ゴミが落ちていないか汚れが放置されていないか、整理整頓されているかがチェック対象です。

また、管理人が常駐しているか、監視カメラの有無なども査定に影響します。

【補足】管理組合の報告書からマンションの将来性が読み取れる

共用部の清掃状況や管理人の常駐有無だけでなく、管理組合の活動状況が特に重要です。

管理組合からもらう報告書や総会議事録は、単なる共用部の状況だけでなく、マンションの将来のトラブルリスクを測る情報源となります。

不動産会社はこれらの資料をもとに、以下の要素を判断し、購入後の住環境の良し悪しを評価します。

・住民間のトラブル状況
・管理費の使途や滞納率
・大規模修繕などの重要議題への取り組み姿勢

この情報が不透明だと、査定時にマイナス評価となるリスクが高まります。

3.駐車場の有無

車で生活する機会の多いエリアでは、住人の人数に応じた駐車場の有無が重要であり、査定額に影響を与えます。

査定時には、以下の点を特にチェックされます。

・充足率
総戸数に対して駐車場の区画がどれだけあるかを示す割合です。
特に地方や郊外では、充足率が低いと査定額のマイナス要因になることがあります。

・駐車場の種類
平面駐車場、自走式立体駐車場、機械式立体駐車場のどれに当てはまるかがチェックされます。

また、敷地内に駐車場がない場合でも、近隣に月極駐車場があれば評価が良くなることもあるため、査定時に不動産会社に伝えておくと良いでしょう。

4.企画・建築・販売会社名

ブランド力のある企業が企画・建設・販売を手掛けたマンションの場合、市場で高い人気を得やすく、売却がスムーズに進む傾向にあります。

なぜなら、企業のブランド力は、購入希望者にとって、「建物の品質」や「売却後のトラブルに対する保証体制」の信頼性に直結し、大きな購入決定要因となるからです。

ただし、仮にブランド力がなくても、日々の管理体制がしっかりしていれば問題ありません。

査定額を判断する際は、ブランド名を唯一の指標とするのではなく、実際の建物状況や管理のバランスを見て判断することが重要です。

失敗しないために!査定額の信頼性を見極める3つの手順

査定額の信頼性を見極める3つの手順のイメージ

マンション査定が終わり査定額を確認した後は、査定額を鵜呑みにせず、その根拠を厳しく検証する必要があります。

査定額と成約価格の間に大きな差が生まれないよう、慎重に確認しましょう。

1.不動産会社に査定額の根拠を聞く

不動産会社によって査定額が異なるため、査定額の根拠を具体的に聞いて、その価格が適正であるかどうかを確認しましょう。

スムーズな売却には、査定額と成約価格との間に差が生まれないように、売却価格を設定する必要があるからです。

納得する答えが返ってくる不動産会社であるかで、信頼できる不動産会社かどうかの見極めもできるでしょう。

信頼できる査定額と「おとり査定」を見抜くチェックリスト

不動産会社の中には、媒介契約を取るためだけに意図的に高い査定額を出す「おとり査定」を行っていることも少なくありません。

こうした査定を行っている業者と契約してしまうと、納得のいく売却活動が進められない恐れがあります。

以下の点を具体的な質問として担当者に問いかけて、信頼できる査定額か、おとり査定なのかを見抜きましょう。

確認事項 担当者への具体的な質問例 信頼できる回答の傾向 おとり査定の可能性が高い回答の傾向
価格の根拠 「提示いただいた査定額について、近隣で直近3ヶ月以内の成約事例を3つ具体的に教えてください。また、この物件がそれより高い(低い)理由は何ですか?」 成約事例の詳細なデータを提示し、この物件固有のプラス・マイナス要因を論理的に説明できる。 「市場の雰囲気」や「地域の平均相場」など、個別の具体的なデータを示さず抽象的な説明に終始する。
売却戦略 「もしこの価格で3ヶ月以内に買い手がつかなかった場合、具体的な値下げ戦略の提案と、次にターゲットとする層への広告媒体は何ですか?」 売れ残り時の具体的な対策(例:値下げ幅、価格見直しのタイミングなど)と、ターゲット層に合わせた広告計画(例:富裕層向けポータル、地域新聞など)を明確に提示できる。 「大丈夫です、当社が全力で売ります」と言うだけで、売れなかった場合の対応策やリスクに言及しない。
顧客情報 「既にこのエリアでこの物件種別を探している見込み客の属性(家族構成、予算)と組数を教えてください」 「既にこのエリアで探している顧客が○組いる」など、具体的な見込み客の情報を提示できる。 「すぐに買主を見つけます」と言うだけで、具体的な顧客の属性や人数の提示を避け、曖昧な言葉でごまかそうとする。

2.ローンの残債を確認し、売却後の資金計画を立てる

不動産の売却時、原則として住宅ローンを一括完済しなければ、マンションに設定された抵当権を抹消できません。

そのため、ローン残債がある場合は、残債金額と売却代金の差を確認する必要があります。

ローン残債の方が多い「オーバーローン」のケースでは、次の解決策があります。

・預貯金でローンを返済する
・住み替えローンを利用する
・任意売却を行う

新居の購入費用として新しくローンを組む場合は住み替えローンを、どの解決策も難しい場合は任意売却を検討することになります。

ただし、任意売却は住宅ローンを滞納してから行う最終手段であり、信用情報に影響が出るリスクがある点に注意が必要です。

資金計画を狂わせないよう、査定の早い段階で不動産会社や金融機関に相談しましょう。

3.相場の範囲内で売り出し価格を決める

査定後には、売り出し価格を決めます。

売り出し価格を高くしすぎると買い手があらわれにくくなるため、慎重に考える必要があります。

次の表は、公益財団法人 東日本不動産流通機構が発表した「首都圏 中古マンション ㎡単位の推移」です。

「首都圏 中古マンション ㎡単位の推移」(公益財団法人 東日本不動産流通機構より) 売り出し価格(新規登録価格)と成約価格に平均10万円/㎡の差があることが読み取れる。

出典:「季報 Market Watch  サマリーレポート 2025年4~6月期」-公益財団法人 東日本不動産流通機構

㎡単価での売り出し価格(新規登録価格)と成約価格に差があり、平均すると10万円/㎡となりました。

早く売却するためには、この差を把握し、相場の範囲内での売り出し価格を設定する必要があると言えるでしょう。

マンション査定の相場の調べ方については、こちらの記事で詳しく説明しているのでぜひ参考にしてみてください。

査定額に期待値を加える際の具体的な判断基準

売り出し価格は、査定額(予想価格)に期待値を上乗せして設定することが多いです。

上乗せ幅は一般的に5~8%が目安ですが、この期待値を設定する判断基準は、「売却にかけられる期間」です。

・早く売りたい場合
期待値を最小限に抑え、相場に近い価格に設定する。

・時間をかけても高く売りたい場合
期待値を高め(査定額の8%程度)に設定し、市場の様子を見ながら値下げする戦略を事前に担当者と決めておく。

媒介契約前に!信頼できる担当者を見抜くポイント

信頼できる担当者を見抜くポイントのイメージ画像

マンション査定で、査定額と同じくらい重要なのが、売却活動を任せる担当者の能力と誠実さです。

ここからは、媒介契約を締結する前に知っておきたい、信頼できる担当者を見抜くためのポイントについてご紹介します。

担当者の対応は良いか

担当者は、売主であるあなただけでなく、今後買主との価格交渉や条件調整を担う人物です。

そのため、対応の良さは非常に重要になります。

周辺エリアの知識や競合物件の情報をしっかりと把握しているか、あなたの売却の要望を丁寧に確認してくれるか、レスポンスの早さはどうかなど、直接関わった際にプロとして信頼がおけるかどうかを判断しましょう。

担当者の知識・熱意を測る「売主からの逆質問リスト」

査定時や面談時に、売主側から以下の質問を投げかけ、担当者の能力と熱意を見極めましょう。

・「もし3ヶ月で売れなかった場合、具体的な値下げ戦略と広告戦略は?」
→売買活動の計画性や売却力を知ることができます。

・「近隣の競合物件で、今、売れ残っている物件のマイナス要因は何だと思いますか?」
→市場分析力があるか、また、客観性があるかどうかを知ることができます。

・「このマンションの修繕積立金の状況について、どう評価しますか?」
→マンション売却の専門知識があるかどうかを知ることができます。

・「あなたの仲介成功事例で、この物件と最も似ている物件の売却価格と成約期間を教えてください」
→実績と正直さがあるかどうかを知ることができます。

・「あなたの会社は、売主と買主の双方を仲介する『両手仲介』を積極的に行いますか?」
→囲い込みリスクへの意識をしているかどうかがわかります(後述の項目で解説します)。

具体的な販売戦略と仲介実績はあるか

不動産会社を選ぶ際は、どのような売却活動を行ってくれるかが重要になります。

中古マンションの売却を得意とする企業であれば、ライバル物件の需給動向や最新の価格動向を把握しており、売り出しのタイミングやリフォーム・修繕の要不要、内覧に向けた対策などについてアドバイスしてくれます。

また、どのような販売手法で買い手の獲得をするのか既に見込み客がいるのかは、その後の売却活動に大きく影響してきます。

そのため、契約前に広告手法とその手法を使う理由、同エリアの中で同じような物件を探している方がいるかを確認しておきましょう。

「囲い込み」リスクの有無を確認するのも重要

不動産会社の中には、売主・買主の双方から手数料を得るために、他社からの客付けを意図的に拒否する「囲い込み」を行う業者も存在します。

これは売却期間が長期化し、値下げに繋がるリスクがあります。

囲い込みをしない業者か見抜くためには、契約前にREINS(レインズ)への登録の有無と、一般媒介契約の選択肢の有無を確認しましょう。

また、両手仲介をしない「片手仲介専門」の会社を選ぶことも一つのリスク回避策です。

マンションの売却を得意としているか

不動産会社によって、戸建てや土地など得意とする物件の種類は異なります。

マンション売却を成功させるには、中古マンションの取り扱いに精通した会社を選ぶことが重要です。

あなたの物件を任せるに足るか確認するために、以下の点を担当者に質問し、実績を参考にすることが重要です。

・過去2年ほどの間に、同じマンションや近隣エリアでの販売実績があるか
・あなたの物件と類似した物件の過去の取引実績数
・その物件が売れるまでに要した期間の目安

査定を有利に進めるための査定前の準備

マンション査定前やるべきこと のイメージ

マンション査定前には、次の2つの準備を必ず行うようにしましょう。

これらの行動は、査定を有利に進めるだけでなく、失敗のリスクを大きく減らすことに繋がります。

・最低限の掃除や整理整頓を行う
・複数の不動産会社に査定を依頼する

それぞれについて解説します。

最低限の掃除や整理整頓を行う

査定前に室内をきれいにしたところで査定額に直接響くわけではありませんが、第一印象が重要です。

部屋が整理されていると、不動産会社が室内状況を確認しやすく、査定がスムーズに進みます。

特に、水回りと玄関は重点的に行い、物件を大切に扱っている姿勢を見せましょう。

きれいな状態は、物件の維持管理が適切であるという良い印象を査定担当者に与えます。

複数の不動産会社に査定を依頼する

不動産の査定額にはバラつきがあるため、査定時には必ず3社以上に依頼しましょう。

複数の査定額を比較することで、「査定額が高すぎないか低すぎないか、妥当な査定額かどうか」を判断できます。

複数の不動産会社に効率良く査定を依頼する際は、一括査定サイトなどの活用がおすすめです。

当サイトが提供する「イエイ」では、物件情報等を一度入力するだけで、複数の会社の査定結果を簡単に比較することができます。

ぜひ、イエイの無料査定を活用し、あなたの物件の査定額が妥当か見極めましょう。

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マンション査定の注意点

マンション査定の注意点のイメージ

マンション査定には注意点があり、把握していないとスムーズな売却ができずに後悔する恐れもあります。

査定前には、次の3点に気を付けましょう。

・売却前に勝手なリフォームをしない
・瑕疵(欠陥)を隠してしまう
・査定は早めに受ける

売却前に勝手なリフォームをしない

「物件を高く売りたい」という気持ちから、査定前に自己判断でリフォームを行うのはやめましょう。

なぜなら、リフォームにかかった費用が売却価格に全額上乗せされるとは限らないからです。

また、購入後に買主が自分の好みにあわせてリフォームするケースも多いため、売主側の好みが敬遠されるリスクもあります。

売却を検討する際は、必ずリフォーム前に不動産会社に相談し、その費用対効果が本当にあるのかを冷静に判断しましょう。

瑕疵(欠陥)を隠してしまう

正確に査定額を算出するため、経年劣化以外の故意や不注意でできてしまったキズや、雨漏り、過去のトラブルなどがあれば、必ず隠さずに不動産会社に伝えましょう。

これを隠した場合、売却後の契約不適合責任を追及され、損害賠償請求や契約解除に至る可能性があります。

これは、裁判沙汰になるなど、精神的にも金銭的にも大きな苦痛を強いられるリスクがあるため、自己判断で隠蔽することは絶対に避けましょう。

査定は早めに受ける

マンションの売却を考えてから査定、成約できるまでには3ヶ月〜1年ほどの時間がかかります。

そのため、売却へのファーストステップとなる査定は早めに依頼しておくことが重要です。

早めに査定を受けておくことで、売却のタイミングを検討する余裕が生まれます。

また、以下の記事ではその他のマンション査定における注意点や少しでも高く売るコツについても詳しく解説しているので合わせて読んでみてください。

【FAQ】マンション査定時のよくある疑問と解決策

マンション査定時によくある質問のイメージ

実際にマンション査定を行った方や、売却する方に多い疑問点について解説します。

マンションが売却できないときの対処法はあるのか

マンションの立地や条件によって売却までに時間がかかるケースでは、次の対処法を試すと良いでしょう。

・売却価格を見直す
売却価格が高い、またはニーズの低い地域である可能性が高いです。
不動産会社に相談して周辺相場より価格を下げたり、売り出し価格に期待値を乗せすぎていないか確認しましょう。

・不動産会社に買取してもらう
不動産会社が営業活動をしても売却できない場合は、不動産会社への買取を検討するのもひとつの手段です。
仲介よりは売却価格は安くなりますが、最短で現金化できます。

離婚時にマンション査定は必要なのか

離婚時には、マンションを売却するかしないかに関わらず、財産分与のために不動産の価値を確定する必要があります。

その際、確定する価格はマンションを購入した時の金額ではなく、現時点で売却に出した場合に売れる見込みの評価額になります。

そのため、正確な査定が必要となります。

離婚におけるマンション査定について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。

投資用マンションの査定は必要なのか

投資用マンション(賃貸中の物件)も、査定が必要です。

この場合、通常の居住用マンションとは評価基準が異なり、「収益還元法」という手法が用いられます。

これは家賃収入や経費が査定に大きく影響する計算方法です。

正確な査定額を得るためには、通常の仲介会社ではなく、投資物件の取り扱いを得意とする不動産会社に査定を依頼しましょう。

収益還元法の詳しい内容については、以下の記事で紹介しているのでこちらも参考にしてください。

【まとめ】失敗を避けるなら「イエイ」で賢く査定を!

失敗を避けるなら「イエイ」で賢く査定をのイメージ

マンションの売却査定を成功させるためには、査定額の妥当性を自分で検証する知識と、信頼できる担当者を選ぶ能力が不可欠です。

査定時には、築年数や立地などの建物の基本情報の他、室内状況、管理体制などが細かくチェックされます。

複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な査定額かどうか、そして安心して売却を任せられる会社かを客観的な根拠に基づいて見極めましょう。

マンション査定を依頼予定の方は、全国1,700社以上の優良業者を簡単に比較することができる「イエイ」にお任せください。

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この記事の監修者
檜垣知宏
檜垣 知宏

株式会社ライフアドバンス代表取締役の檜垣知宏です。 2014年8月に設立し、恵比寿不動産という屋号で賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理を行う不動産業者です。不動産業界歴15年の経験を生かし、 運営しているサービスサイトである「不動産の相談窓口」の運営者も務めております。
保有資格:宅地建物取引士