「不動産売却をしたら確定申告をしないといけないの?」と不動産を売却した際の確定申告のことで不安を抱いてる方もいるのではないでしょうか。

不動産売却時に確定申告が必要かどうかは、売却した際の状況によって変わります。

本記事では、不動産売却をしてどのようなときに確定申告が必要か、または不要なのかを紹介していきます。

さらに、不動産売却時の確定申告の流れや必要書類についても紹介しますので「確定申告をする必要があるかもしれない」という方は、しっかり理解するようにしましょう。

不動産売却で確定申告は原則必要!

不動産売却で確定申告は原則必要のイメージ


不動産を売却した時に確定申告が必要かどうかは状況によって異なりますが、原則として必要です。

特に、売却により譲渡所得税が発生する場合、確定申告をしないと「延滞税」「無申告加算税」などの罰則を受けるリスクがあるため注意が必要です。

罰則を受けてしまうと余計な負担が増えてしまうため、確定申告は必ず忘れずにおこないましょう。

また、譲渡所得税が発生しない場合でも、税金の特例を受ける際には確定申告が必要です。

このように、不動産売却時に確定申告が不要なケースは少なく、ほとんどの方が確定申告をおこないます。

不動産売却時に確定申告が必要なケースと不要なケース

確定申告が必要なケースと不要なケースのイメージ

不動産売却時は基本的に確定申告が必要ですが、状況によっては確定申告が不要の場合もあります。

では、確定申告が必要なケースと不要なケースにはどのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、各ケースの違いについて解説していきます。

確定申告って必要?不動産売却に関する税制上の注意点

不動産売却時に確定申告が必要になるケース

不動産売却時に確定申告が必要になるケースは、以下の通りです。

  • 不動産を売却し譲渡所得が発生したケース
  • 取得費が不明なケース
  • 税金の特例を利用するケース

まず、譲渡所得とは、不動産などの資産を売却した際に生じる所得(利益)のことを指します。

譲渡所得が発生した場合、確定申告を通して「住民税」と「所得税」を納める必要があります。

不動産を売却する際には、あらかじめ不動産会社に譲渡所得が発生しているかどうか確認しておくと安心できるでしょう。

また、相続した不動産などで取得費が不明な場合も確定申告が必要です。

この場合には「概算取得費」を使用して譲渡所得を計算し、確定申告をおこないます。

さらに、税金の特例を利用する際も確定申告が求められます。

不動産売却時において適用される特例には、次のようなものがあります。

  • 居住用財産の3,000万円特別控除
  • 10年超所有軽減税率
  • 相続空き家の3,000万円特別控除 など

特例を受ける際には、譲渡所得が発生しなくても確定申告が必要となるため、必ず忘れずにおこないましょう。

不動産売却時に確定申告が不要なケース

譲渡所得(利益)が発生せず特例も利用しない場合には、住民税や所得税の課税対象とならないため、確定申告は不要です。

あらかじめ譲渡所得が発生していないか計算してから、申告が必要かどうかを判断しましょう。

特に、一戸建てやマンションなどの建物を売却する際には注意が必要です。

不動産を購入したときよりも安く売却した場合でも、長期間住んでいた建物は減価償却の影響で譲渡所得が発生しているケースも少なくありません。

もし譲渡所得が発生しているのに確定申告をしない場合、「延滞税」や「無申告加算税」などの罰則が課されるリスクがあるので注意が必要です。

また、不動産を売却して損失が発生した場合も基本的に確定申告は不要ですが、一定の条件を満たせば、税負担を軽減する制度を利用できる場合もあります。

こういった制度を利用するには確定申告が必要なので、適用を希望する場合は必ず確定申告をおこないましょう。

不動産売却時の確定申告に必要な書類

不動産売却時の確定申告で必要な書類のイメージ


不動産売却時の確定申告では、多くの書類を提出する必要があります。

そのため、これらの書類を入手するだけでも非常に大変な作業となります。

具体的な書類の内容と入手先については、以下の表にて紹介しますので確定申告をおこなう際にチェックしてみてくださいね。

書類名称 書類概要 入手先

確定申告書第一表・第二表

収入金額や所得金額を申告するための書類 税務署もしくは国税庁ホームページ

確定申告書第三表

(分離課税用)

分離課税の対象である所得を申告する際に必要な書類 税務署もしくは国税庁ホームページ
譲渡所得の内訳書 売却した不動産の所在地、費用、売却金額などを記入する書類 税務署もしくは国税庁ホームページ
売却した不動産を購入したときの売買契約書の写し 購入価格を証明できる書類

個人所有

手元になかったら不動産会社に問い合わせる

売却したときの売買契約書の写し 収入を証明できる書類

個人所有

手元になかったら不動産会社に問い合わせる

購入諸費用と売却諸費用の領収書の写し

取得費や譲渡費用を証明できる書類

例:不動産会社に支払った仲介手数料、収入印紙代など

不動産会社
建物・土地の登記事項証明書 建物や土地の所有者、担保、大きさなどが記載された書類 法務局もしくはオンライン請求
源泉徴収票 年内の収入や納付した所得税額が記載された書類 勤務先
戸籍の附票 住民票に記載されていた住所と異なる場合に必要 売却した不動産がある市区町村
本人確認書類 免許証、保険証、住民票などのコピー

個人所有または市区町村役場

※e-TAXでの申告時には不要

これらの書類の中には、提出不要のものもありますが、可能な限り事前にそろえておくことでスムーズに確定申告を進めることができるでしょう。

また、次項で説明しますが、特例を利用する場合については上記以外にも別途書類が必要となる場合があります。

不動産売却時に利用できる5つの特例や控除

不動産売却に利用できる5つの特例や控除のイメージ

不動産を売却する際に一定条件を満たすことで特例を利用できます。

ここでは、不動産売却時によく利用される5つの特例・控除についてご紹介します。

  • 居住用財産の3,000万円特別控除
  • 10年超所有軽減税率の特例
  • 相続空き家の3,000万円特別控除
  • 買い替えの特例
  • 取得費加算の特例

どんな特例が利用できるのかしっかり確認して、節税対策をしましょう。

居住用財産の3,000万円特別控除

マイホーム(居住用財産)を売却した際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度を「居住用財産の3,000万円特別控除」といいます。

この制度は、一定の条件を満たせば、売却時に譲渡所得が発生しても3,000万円まで非課税になるという仕組みです。

この特別控除を利用する場合、確定申告時に上記で紹介した書類に特例の利用を記入するだけで申請が可能です。

ただし、売買契約の前日の住所と自宅の所在地が異なる場合には、戸籍の附票の提出が必須となるので、忘れないようにしましょう。

居住用財産の3,000万円特別控除の詳しい内容や条件については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

こちらもぜひご覧ください。

不動産売却の3000万円特別控除はどんな制度?条件や注意点を解説!

10年超所有軽減税率の特例

10年以上所有していた居住用財産を売却する際、譲渡所得に軽減税率が適用される制度を「10年超所有軽減税率の特例」といいます。

通常、10年以上所有していた不動産を売却した場合、譲渡所得の税率は20.315%です。

しかし、この特例が適用されると、譲渡所得が6,000万円以下の部分に関しては税率が14.21%に抑えられ、譲渡所得税を節税できます。

さらに、前述した「居住用財産の3,000万円特別控除」と併用できるため、2つの特例を組み合わせることで、より大きな節税効果が期待できます。

10年超所有軽減税率の特例を適用するには、確定申告時に上記で紹介した提出書類に特例の利用を記入するだけで申請が可能です。

また、居住用財産の3,000万円特別控除と同様に、自宅の売買契約前日の住所と自宅の所在地が異なる場合には、戸籍の附票の提出が必要となります。

10年超所有軽減率の特例の詳しい内容や条件については、国税庁のホームページ「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」をご確認ください。

相続空き家の3,000万円特別控除

相続や遺贈で取得した被相続人の居住用家屋やその敷地を売却した際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度を「相続空き家の3,000万円特別控除」といいます。

この特例も一定の条件を満たすことで適用されます。

また、相続空き家の3,000万円特別控除を利用する場合には、確定申告書に加え、以下の書類の提出が必須となるので必ず覚えておきましょう。

  1. 譲渡所得の内訳書
  2. 登記事項証明書(次の事項が証明できるもの)
    ・売却した人が被相続人から相続または遺贈で譲り受けたこと
    ・譲り受けた家屋の築年数が昭和56年5月31日以前であること
    ・区分所有建物でないこと
  3. 被相続人居住用家屋等確認書(売却した不動産の所在地を管轄する市区町村長から取得)
  4. 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し
  5. 売却時の売買契約書の写し

上記の通り、相続空き家の3,000万円特別控除の申請には、通常の確定申告に必要な書類に加えて、別途提出が必要な書類があります。

提出漏れがないように注意しましょう。

また、売却した家屋や敷地が特例の対象になるか、あるいは申請の際に不明点がある場合などは、税務署に確認してみることをおすすめします。

相続空き家の3,000万円特別控除の詳しい内容や条件については、国税庁ホームページ内の「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」をご確認ください。

買い替え特例

不動産を売却する方の中には、売却後に新たにマイホームを購入するケースもあるでしょう。

そのような場合に、一定の条件を満たせば、新しい住まいを売却する時までに譲渡所得税の納付を繰り延べることができる制度があります。

この制度を「買い替えの特例」といいます。

ただし、こちらの特例は納税の期間を先送りするものであり、譲渡所得税が非課税になるものではありませんので、その点には注意が必要です。

買い替えの特例を利用する際は、確定申告書に加え、以下の書類が必須となります。

  1. 譲渡所得の内訳書
  2. 売却した家を購入時と売却時の売買契約書
  3. 売却した家の所有期間を証明できる書類(登記事項証明書など)
  4. 買い替えた家の登記事項証明書・売買契約書の写し
  5. 買い替えた家の建築済証・確認済証
  6. 耐震基準適合証明書 ※中古の場合
  7. 住民票や戸籍の附票の写しなど ※住所が異なる場合

また、状況によっては、上記以外にも追加で書類が必要になる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

なお、こちらの特例は「居住用財産の3,000万円特別控除」と併用できません。

適用を検討する際はどちらを利用するか考えたうえで申請しましょう。

買い替えの特例の詳しい内容や条件については、国税庁ホームページ内の「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」のページをご確認ください。

取得費加算の特例

土地や建物など相続や遺贈によって取得し、一定期間内に売却した場合、相続税額の一部を取得費に加算できる制度を「取得費加算の特例」といいます。

取得費に相続税額を加算することで、譲渡所得税を軽減する効果があります。

この特例を利用する際は、確定申告時に「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」という書類が必要です。

この書類は、税務署や国税庁のホームページから入手できるため、適用を検討している方は事前に準備しておきましょう。

また、取得費加算の特例の詳しい内容や条件については、国税庁ホームページ内の「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」のページをご確認ください。

不動産売却をした際の確定申告のやり方

不動産売却をした際の確定申告のやり方のイメージ

不動産を売却した際に必要な確定申告の手順についてご紹介します。

事前に流れを把握して、スムーズな申告を目指しましょう。

STEP1.確定申告に必要な書類を集める

STEP2.譲渡所得税を計算する

STEP3.譲渡所得の内訳書・確定申告書を記入する

STEP4.税務署に確定申告する

STEP5.納税・還付を受ける

また、確定申告は慣れていないと作業に時間がかかってしまうことも多いです。

しっかり準備を整え、期限内に余裕をもって申告を済ませましょう。

STEP1.確定申告に必要な書類を集める

確定申告書に必要事項を書き込むときは、事前に書類を準備しておくとスムーズに記入が進みます。

以下の書類を手元に用意しておきましょう。

  • 売却した土地・建物の登記事項証明書
  • 売却時・購入時の売買契約書
  • 売却時・購入時に払った諸費用の領収書
  • 不動産を売却した年の源泉徴収票
  • 生命保険料控除証明書

これらの書類の情報を参考に、確定申告書や譲渡所得の内訳書に正確に記入を進めていきましょう。

STEP2.譲渡所得税を計算する

譲渡所得の内訳書を記載するときは準備した書類の情報を記入するだけではなく、計算をしなければいけない箇所があります。

主に譲渡所得の内容を記載しなければいけないため、譲渡所得の計算方法を理解しておきましょう。

不動産売却でかかる譲渡所得税とは?計算方法や税率まで解説!

取得費や譲渡費用を確認する

譲渡所得を計算する前に、まず「取得費」「譲渡費用」の内容を確認しましょう。

取得費や譲渡費用として認められる項目は決まっているため、どのような費用が該当するのかあらためて理解しておくことが大切です。

【取得費と認められる費用】

・売却した土地の代金や建物の購入代金

・建築にかかった代金

・購入手数料

・設備費、改良費

・登録免許税、不動産取得税、印紙税

・借主を立ち退かせるために支払った立退料

・取り壊し費用や取り壊した建物の損失額

・埋め立て・地ならしのための造成費用

・土地の測量費

・所有権等の確保にかかった訴訟費用

・購入資金を借りた際の利子の一部  など

出典:「No.3252 取得費となるもの」国税庁ホームページ

【譲渡費用として認められる費用】

・土地や建物の売却にかかった仲介手数料

・売主が負担した印紙税

・貸家などの明け渡しに伴う立退料

・売却する土地の建物にかかる取り壊し費用や損失額

・すでに契約済みの資産にかかる違約金

・名義書換料  など

出典:「No.3255 譲渡費用となるもの」国税庁ホームページ

上記の費用を不動産売買時に支払っているのであれば、譲渡所得から費用を差し引くことができます。

また、確定申告時にはそれぞれの費用に応じた領収書が必要になるため、あらかじめ準備しておくとスムーズです。

なお、売却した土地が相続したもので取得費が不明な場合や、購入した時期が古く取得費がわからない場合は、売却金額の5%を取得費として計算することができます。

この一定措置のことを「概算取得費」といいます。

概算取得費の詳しい内容については、国税庁ホームページ内の「No.3258 取得費が分からないとき」のページをご確認ください。

譲渡所得を計算する

譲渡所得の計算に必要な書類を準備したら、次は「譲渡所得」を計算します。

譲渡所得は、次の計算式で求めることができます。

譲渡所得 = 譲渡金額 -(取得費 + 譲渡費用)

取得費とは、不動産を購入した際の購入代金と購入諸費用を足した金額です。

それに対して譲渡費用とは、不動産を売却した際に支払った費用のことを示します。

この計算式を用いて、次の条件の土地を売却した際の譲渡所得を求めてみましょう。

  • 譲渡金額:5,000万円
  • 取得費:3,200万円
  • 譲渡費用:200万円

計算式を当てはめてみると

5,000万円 -(3,200万円 + 200万円)= 1,600万円(譲渡所得)

上記の計算例の場合、譲渡所得が発生しているので確定申告が必要となります。

また、上記の計算式は土地の譲渡所得を求めたものですが、建物がある場合は取得費から減価償却費も差し引かなければいけません。

減価償却費とは、固定資産を購入した際の費用を耐用年数に応じて計上する経費のことです。

減価償却については、以下の記事で詳しく紹介しているのでこちらを参考にしてみてください。

建物の減価償却とは?耐用年数や計算方法について解説

譲渡所得に税率を乗じて譲渡所得税を算出する

譲渡所得が計算できたら「譲渡所得税」を算出します。

譲渡所得税の計算式は、以下の通りです。

譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率

譲渡所得税の税率は、次の表の通りで売却した不動産の所有期間によって変わります。

短期譲渡所得

(所有期間:5年以下)

39.63%

【内訳】

所得税:30.63%

住民税:9%

長期譲渡所得

(所有期間:5年超)

20.315%

【内訳】

所得税:15.315%

住民税:5%

 

譲渡所得が発生すると住民税の納税も必要になるため、譲渡所得税の計算のときにあわせて税額を確認しておきましょう。

STEP3.譲渡所得の内訳書・確定申告書を記入する

譲渡所得と譲渡所得税の計算方法を理解したら、「譲渡所得の内訳書」「確定申告書」に記入をしていきます。

まずは、譲渡所得の内訳書の記入手順を見ていきましょう。

譲渡所得の内訳書には1面~5面あり、それぞれの記入内容を説明します。

【譲渡所得の内訳書 1面】

譲渡所得の内訳書 1面のイメージ

出典:「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】」国税庁

1面には、申請者の氏名・住所・電話番号・職業などを記入します。

【譲渡所得の内訳書 2面】

譲渡所得の内訳書 2面のイメージ

出典:「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】」国税庁

2面では、売買契約書の内容をもとに以下の情報を記入します。

  • 売却した不動産の所在地
  • 土地や建物の種類・面積
  • 土地や建物の利用状況
  • 売買契約日や引き渡し日
  • 持分割合 ※共有の場合
  • 買主の氏名・住所・職業
  • 譲渡価格
  • 代金の受領状況
  • 売却した理由

【譲渡所得の内訳書 3面】

譲渡所得の内訳書 3面のイメージ

出典:「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】」国税庁

3面には、以下の内容を記入します。

  • 譲渡された土地、建物の購入代金
  • 不動産の購入先、支払先、購入・建築年月日・購入・建築代金
  • 減価償却費
  • 取得費
  • 譲渡費用
  • 譲渡所得金額の計算

譲渡所得税額は、こちらの書類に記入した計算結果によって決まるため、不備がないように気をつけましょう。

【譲渡所得の内訳書 4面】

譲渡所得の内訳書 4面のイメージ

 

出典:「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】」国税庁

4面は「買い替え特例」の適用を受ける場合に使用します。

買い替えたマイホームの所在地や種類、面積などを記入していきます。

また、買い替え特例を利用した場合は、譲渡所得金額の計算もこちらの書類に記入します。

【譲渡所得の内訳書 5面】

譲渡所得の内訳書 5面のイメージ

出典:「譲渡所得の内訳書(5面)」国税庁

5面は「相続空き家の3,000万円特別控除」の適用を受ける場合に使用します。

被相続人の居住用家屋や敷地の情報、被相続人の氏名や死亡年月日などを記入していきます。

【確定申告書への記入】

譲渡所得の内訳書への記入が終わったら、次は確定申告書の記入をおこないましょう。

内訳書の3面や4面に記入した譲渡所得金額は、確定申告書第三表(分離課税用)の以下項目にも記入します。

  • A 収入金額(①):収入金額欄シ・セ・タに記入
  • E 譲渡所得金額(C-D):所得金額66~70に記入

これら以外の項目は、源泉徴収票や生命保険料控除証明書などの書類を確認しながら、確定申告書の指示に従って記入を進めてください。

STEP4.税務署に確定申告する

必要書類の準備が整い、譲渡所得の内訳書と確定申告書の記入が完了したら、税務署に提出しましょう。

不動産を売却した場合、確定申告の提出期間は売却した年の翌年にあたる2月16日~3月15日までと決まっています。

この期間内に申告を忘れずにおこないましょう。

また、確定申告は以下3つの方法で申告が可能です。

  • 税務署の窓口に直接書類を持参する
  • 書類を郵送する
  • e-Taxで電子申請をおこなう

確定申告に慣れていない方は、税務署の窓口に書類を持っていくと安心です。

窓口の担当者によっては、必要書類が揃っているか確認してくれる場合もあります。

ただし、詳しい記載内容まではチェックしてもらえないので、記載ミスには十分に注意しましょう。

STEP5.納税・還付を受ける

確定申告の結果、納税が必要となった場合は、2月16日~3月15日の期間内に税務署や金融機関で税金を支払う必要があります。

もし振替納税を希望しているのであれば、手続き済みの口座から自動引き落としも可能です。

また、会社員など給与所得者の場合、勤務先で住民税が天引きされますが、個人事業主や自営業の人は、5月以降に住民税の納付書が届くので、これを利用して納税する形になります。

還付金がある場合、4月上旬~5月上旬ごろの時期に申告書に記載した口座宛てに振り込まれます。

還付が振り込まれる前に還付金についてのお知らせがはがきで届きますので、振り込まれる前に確認しておきましょう。

不動産売却時の確定申告についてよくある質問

不動産売却時の確定申告でよくある質問


こちらでは、不動産売却時の確定申告について、よくある質問とその回答をまとめました。

疑問点を解消し、スムーズに確定申告に取り組みましょう。

  • 不動産売却に確定申告をしないとバレますか?
  • 不動産売却の確定申告を税理士に依頼したときの費用目安は?
  • 不動産売却で確定申告をしないとどうなる?
  • 確定申告の期日が過ぎてしまった際の対処法ってある?

不動産売却時に確定申告をしないとバレますか?

不動産売却をし、譲渡所得があるにも関わらず確定申告をしない場合、税務署に把握される可能性が非常に高いです。

不動産売却すると、所有権移転登記がおこなわれますが、その際の情報は法務局から税務署にも共有されます。

この情報をもとに、税務署から不動産を売却した人宛てに「お尋ね」が送付されることがあります。

お尋ねとは、確定申告の内容を確認するためにおこなわれる税務署からの問い合わせのことで、受け取った場合は必要事項を記載して返送する必要があります。

このようなことから、税務署は確定申告をしているかどうかを簡単に把握することができるため、忘れずに申告をしましょう。

不動産売却時の確定申告を税理士に依頼したときの費用目安は?

確定申告は自分でおこなうことも可能ですが、税理士に依頼すると効率良く手続きを進められます。

不動産売却時の確定申告を税理士に依頼する場合、費用は不動産の売却価格によって異なります。

以下に相場の目安をまとめましたので、依頼することを検討している方は参考にしてみてください。

不動産の売却価格 相場の目安
1,000万円以下 5万~9万円
1,000万円以上3,000万円以下 9万~12万円
3,000万円以上5,000万円以下 12万~15万円
5,000万円以上8,000万円以下 15万~18万円
1億円以下 18万~20万円

上記の費用はあくまで目安であり、依頼する税理士によっても費用が大きく異なります。

税理士に確定申告を依頼する際には、事前にどれくらいの費用がかかるのか確認すると良いでしょう。

不動産売却で確定申告をしないとどうなる?

不動産売却時に確定申告をおこなわないと、罰則の対象となるため注意が必要です。

不動産売却による譲渡所得が発生した場合、所得税法に基づき、確定申告が義務付けられています。

申告を怠ってしまうと「延滞税」「無申告加算税」などのペナルティが課されることがあります。

それぞれのペナルティについての詳細は以下の通りです。

延滞税

期日までの税金が納付されない場合に課される。

【課税率】

・納期限翌日から2ヶ月を経過する日までの翌日:原則年7.3%

・納期限翌日から2ヶ月を経過した日以後:原則14.6%と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い方

無申告加算税

期日までに確定申告をしなかった場合に課される。

【課税率】

・納付すべき税額が50万円までの部分:15%

・納付すべき税額が50万円以上300万円までの部分:20%

・納付すべき税額が300万円以上の部分:30%

譲渡所得税が高額な場合、これらの罰則によってさらに多額の納付が必要となるリスクがあるため、忘れずに確定申告をおこなうことが大切です。

確定申告の期日が過ぎてしまった際の対処法ってある?

確定申告の期日を過ぎてしまった場合も、できるだけ早く期限後申告をおこないましょう。

少しでも期限が過ぎると、上記で紹介した「延滞税」や「無申告加算税」などのペナルティが課されますが、早めに申告すればペナルティを軽減できる可能性があります。

特に税務署の調査が始まる前に自主的に期限後申告をおこなうと、無申告加算税の税率が軽減されることがあります。

また、以下の要件を満たせば無申告加算税が免除される場合もあります。

  • 法定申告期限の1ヶ月以内に自主的に期限後申告をおこなっている
  • 納付すべき税額を期限前に納付済みである
  • 過去5年間に無申告加算税や重加算税のペナルティを受けたことがない
  • 過去5年間に期限内申告しようとする意思が認められる場合の無申告加算税の不適用を受けたことがない

期限が過ぎたからといって諦めず、少しでもペナルティを軽くするためにも早めの対応を心がけましょう。

【まとめ】不動産売却後は確定申告を忘れずに!

不動産売却後の確定申告は忘れずに行う必要があるというイメージ

不動産を売却した場合、確定申告は原則として必要です。

特に譲渡所得が発生したり、税金の特例を申請したりする際は必ず申告をおこないましょう。

確定申告には確定申告書をはじめとした多くの書類の準備が必要で、それぞれの書類の記入方法も理解しておかなければいけません。

準備不足だと、必要書類が揃わなかったり、書類の記入に時間がかかり、期日までに申告を終えられないリスクもあります。

こうしたトラブルを避けるためにも、確定申告前の準備をしっかりおこなってくださいね。

本記事で紹介した内容を参考に、申告手順や書類をもう一度確認し、スムーズに確定申告を完了させましょう。