この記事の概要

  • 不動産を売却するには「不動産買取」「不動産仲介」「個人売買」の3つの方法がある。
  • 不動産を売却するにあたってトラブルを回避するためには、「余裕を持って売却活動を行う」「事前に相場を調べる」などの点を徹底的に取り組む。
  • 不動産会社の選び方のポイントは「宣伝に力を入れていること」「査定額に根拠を示してくれる」などがある。

大切な不動産を売却するのであれば、絶対に後悔や失敗をしたくないと思いますよね。

しかし、不動産売却をするのがはじめてで馴染みがない方にとっては、何から始めたらいいのかわからず戸惑ってしまうでしょう。

不動産売却を成功させるには、まずは正しい知識やトラブル回避のコツを知っておくことが大切です。

本記事では、不動産売却の基礎知識やトラブル回避のコツ、売却理由別の注意点を紹介します。

この記事の目次

不動産売却とは?

不動産売却とは?

不動産売却とは、その名前の通り個人や法人が所有している不動産を売却することです。

しかし、一言で不動産を売却するといっても、そもそもどのような方法でおこなえばいいかわからない方が多いでしょう。

実は、不動産売却には「不動産買取」「不動産仲介」「個人売買」の3つの方法があり、それぞれ以下の特徴を持っています。

  不動産買取

不動産仲介

個人売買
買主 不動産会社

個人の場合が多い

知人や親族であることが多い

(マッチングサービス等を利用して買主を見つけるケースもある)

売却価格 相場価格より2〜3割安くなる

おおむね相場価格で売却可能

自分で価格設定できるが、相場価格に近い金額が望ましい
売却期間 短期間で売却可能

売却完了まで時間がかかる
(売却できない場合もある)

知人や親族であれば短期間で売却できることもある

(売却できない場合もある)

仲介手数料 なし あり なし
内覧対応 なし あり あり

これから不動産売却で失敗しないためにも、まずこれらの不動産売却の方法がどのようなものなのか詳しく紹介します。

不動産買取

不動産買取とは、不動産会社に直接不動産を買い取ってもらうことです。

買取された不動産は、不動産会社側がリフォームを施し、その後再販売されます。

仲介業者に不動産売却を依頼する場合、買主を見つけなくてはならないため売却が完了するまで、時間がかかってしまいます。

しかし買取では、その必要がないため、仲介手数料がかからないうえ、1週間から1ヶ月ほどで売却が完了します。

そのため、「すぐにまとまったお金がほしい。」「確実に売却したい。」という方におすすめの方法だといえます。

ただし、売却価格が相場の価格よりも安くなる傾向があるので、できるだけ高く売りたいと考えている方は、不動産仲介などの別の手段を検討すると良いでしょう。

また、以下の記事は不動産買取によりフォーカスした内容となっているので、不動産買取業者に売却を依頼したいと考えている方は、こちらもお読みください。

不動産買取とは?高く売るコツや失敗しないポイントも解説!

不動産仲介

不動産仲介とは、売主と買主の間に不動産会社が介入して、売買契約を結ぶことです。

不動産仲介は、まず買主を見つけるために内覧等の売却活動をおこなう必要があります。

そのため、購入希望者が現れない場合、希望する期間内に売却が完了しない可能性があります。

売却完了までの期間は、平均で3ヶ月から6ヶ月程度かかるといわれていますが、不動産の状況によっては売れ残ってしまうケースも少なくはありません。

また不動産買取とは違い、買主への交渉などの手続きが伴うため、仲介手数料が発生するという特徴があります。

このように購入希望者への内覧対応などの手間がかかるものの、相場価格で売却できることが多いため、手間と時間をかけてでも高く売却したい人におすすめの方法です。

以下の記事では、不動産仲介業者を利用するメリットとデメリットについて解説しているので、こちらもぜひ参考にしてください。

不動産仲介業者を利用するメリット・デメリットとは?必要性を解説

個人売買

個人売買とは、その名前の通り不動産会社に依頼せずに個人間で不動産の売買をすることです。

前述した2つの方法と比べると用いられることが少ない方法ですが、知人や親族に不動産を売却する際などに用いられることがあります。

個人売買では、自分のペースで売買活動をおこなえるのはもちろんのこと、不動産会社を仲介していないので仲介手数料も発生しません。

しかし、売却する際に相場などを調べずに取引を進めてしまうと、買主とトラブルになってしまうことも考えられるので、手続きをする際は注意が必要です。

また、通常不動産会社が作成してくれる書類等もご自身で作成しなくてはならないので、不動産の知識がない方がおこなうのは難しい方法といえるでしょう。

以下の記事では、個人売買のメリットとデメリットについてより詳しく解説しているので、こちらもぜひ参考にしてください。

不動産の個人売買のメリットとデメリットは?

不動産売却の基本的な流れ

不動産売却の基本的な流れのイメージ
不動産売却の基本的な流れとかかる期間の目安は次の通りです。

どのような流れで進めていくのか、売却をする前に把握しておきましょう。

 

かかる期間の目安

①不動産会社へ査定を依頼

2週間〜1ヶ月程度

②媒介契約の締結
③不動産の販売活動

3ヶ月〜売却できるまで

④売買契約の締結 2週間~1ヶ月程度
⑤決済・不動産の引き渡し
⑥確定申告

売却した翌年の2〜3月

査定の依頼から引き渡しまでにかかる期間は、販売活動の期間によって前後するものの、3ヶ月から6ヶ月程度が目安とされています。

ただし、不動産買取の場合は「②媒介契約の締結」「③不動産の販売活動」をおこなわないため、1ヶ月以内に売却が完了するケースが多いです。

不動産売却を検討する際は、いつまでに売却を完了させたいのかを考慮し、逆算して計画を立てるようにしましょう。

詳しい不動産売却の流れについては、以下の記事で紹介しているのでこちらも参考にしてください。

不動産売却の手続き・流れを解説!必要な下準備や注意点とは?

不動産売却に必要な書類

不動産売却に必要な書類のイメージ

不動産を売却する際、売主が用意する必要書類は売却する不動産の種類によって異なります。

直前になって慌てることがないように事前に把握しておきましょう。

売却を依頼するときに必要な書類

売却を依頼する際に必要となる書類は次の通りです。

書類の名称 書類の詳細
登記済権利証または登記識別情報 不動産の所有者であることを明らかにするための書類。
建築図面(間取り図)・測量図 建物の敷地や位置関係について記載された書類。
建築確認済証・検査済証 建築基準法に適合していることが確認された際に交付される書類。
地積測量図・境界確認書 隣接する土地の境界を明確にするための書類。
固定資産税納税通知書・固定資産評価証明書 固定資産税の納税額・評価額が記載された書類。

マンションの利用規約・使用細則・維持費など

(マンションを売却する場合のみ)

マンションを利用する際に定められたルールが記載されているもの。

引き渡しのときに必要な書類

引き渡しをする際に必要となる書類は次の通りです。

書類の名称 書類の詳細
抵当権等抹消書類 住宅ローンを利用する際に定めた抵当権を抹消するための書類。
住民票 居住関係を公証する書類。登記されている住所と売主の現住所が異なる場合に必要。
身分証明書 運転免許証やマイナンバーカードなどの書類。
実印・印鑑証明 印鑑証明は役所に登録されている印鑑を公的に証明する書類。
銀行口座書類・通帳 売買代金を振り込むための銀行口座がわかる書類や通帳。

不動産売却に必要な書類は数が多く、戸建てやマンション、土地など、売却する不動産の種類によっても多少の差はあります。

契約した不動産会社に尋ねればその都度教えてもらえるので、過程ごとに確認しながら書類を用意していきましょう。

関連記事:不動産売却する時の必要書類は?専門家が分かりやすく説明します

不動産売却にかかる費用と税金

不動産売却にかかる費用と税金のイメージ

不動産売却では、売却によって資金が入るだけではなく、手続きへの費用や税金もかかります。

どのような費用や税金がかかってしまうのか、事前に把握しておきましょう。

不動産売却にかかる費用

不動産売却にかかる費用は次の通りです。

  必要になるケース 金額の目安
仲介手数料 不動産仲介の場合

400万円超:(取引額×3%+6万円)+消費税

200万~400万円以下:(取引額×4%+2万円)+消費税

200万円以下:(取引額×5%)+消費税

抵当権抹消費用 ローンが残っている場合

15,000円〜20,000円程度
(司法書士に依頼する場合)

ローン一括返済手数料 ローンが残っている場合

10,000円〜50,000円程度
(金融機関によって異なる)

測量費 土地の売却で隣地との境界が不明瞭な場合

現況測量費:10万〜20万円程度
確定測量費(立ち会いなし):30万〜50万円程度

確定測量費(立ち会いあり):50万~90万円程度

※約100平米の土地に対した費用

解体費 更地にして土地を売却する場合

木造:4万〜5万円/坪
鉄筋コンクリート:7万〜8万円/坪

ハウスクリーニング費用 内覧に向けて必要な場合 クリーニングする箇所や広さによる
引越し費用 居住中の家を売却する場合

エリアや時期による

不動産売却にかかる税金

不動産売却にかかる税金は次の通りです。

  金額の目安
印紙税

200円〜48万円(売却価格によって異なる)

※軽減税率適用

譲渡所得税

保有期間が5年以下:譲渡所得の39.63%
保有期間が5年超:譲渡所得の20.315%

不動産売却にかかる費用や税金はケースによって差はあるものの、不動産売却価格の3〜7%が相場とされています。

売却を決めたからといってすぐに必要になるわけではありませんが、いつでも支払えるように見通しをもっておきましょう。

関連記事:不動産売却時の税金対策・節税方法のポイントを解説!

不動産売却でトラブルを回避するためのポイント

不動産売却相談

初心者でもスムーズに不動産を売却するためには、事前の情報収集が大切です。

ここでは不動産売却でのトラブルを回避するための3つのコツを紹介します。

  1. 余裕を持って売却活動を行う
  2. 売却活動を始める前に相場を調べる
  3. 不動産一括査定サービスを利用してみる

余裕を持って売却活動を行う

不動産を売却するにあたっては、期間に余裕を持って行いましょう。

余裕のある売却スケジュールを立てないと、複数の不動産会社を十分に比較することができず、結果的に安い価格で売却することになってしまう可能性があります。

自分の希望通りの売却価格で売るためにも、売却活動は余裕を持って行いましょう。

売却活動を始める前に相場を調べる

売却の際、不動産会社や購入希望者と価格設定でトラブルにならないよう、事前に自分でも相場を調べておきましょう。

不動産の売却相場を調べる方法は、主に次の2つです。

  • 「レインズ」「不動産情報ライブラリ」などの専門サイトや物件情報サイトで、売却したい不動産と条件が似ているものの価格を調べる
  • 売却したい不動産の固定資産税評価額を0.7で割る

ちなみに固定資産税評価額とは、固定資産税の算出時に基準となる評価額のことです。

この評価額は、毎年4月頃に送られる固定資産税の納税通知書や市区町村の役所で入手することができる「固定資産評価証明書」で確認することができます。

売却したい不動産の相場価格を知ることで適正価格がわかるので、売却活動を始める前に調べておきましょう。

不動産一括査定サービスを利用してみる

信頼できる不動産会社を選ぶ際には、不動産一括査定サービスを利用するのがおすすめです。

複数の不動産会社に査定を依頼する際、1社ずつ依頼するのは時間も手間もかかってしまいます。

当サイトの一括査定サービス「イエイ」では、60秒の入力で全国1,700社の不動産会社の中から最大7社にあなたの物件の見積もり依頼が可能です。

売却したい不動産の適正価格を把握できるほか、「高く売りたい」という目的にあった不動産会社から複数の見積もりが得られます。

不動産売却が初めての人も安心して利用できるので、ぜひ一度お試しください。

不動産一括査定・売却なら【イエイ】

売却を依頼する不動産会社の選び方

不動産会社の選び方のポイントイメージ

不動産売却がうまくいくかどうかは、不動産会社選びにかかっているといっても過言ではありません。

しかし、数多くある不動産会社からどのようにして依頼する不動産会社を選べばいいのでしょうか。

ここでは、不動産会社の選び方のポイントを紹介します。

宣伝に力を入れている

売却したい不動産がいつまでも売れないと困ってしまうものです。

このような事態を避けるには、宣伝に力を入れている不動産会社を選ぶと良いでしょう。

宣伝に力を入れている不動産会社は、その分集客力も高いので、買い手も見つかりやすいことが期待できます。

例えば、インターネットを用いた宣伝の場合、バナー広告やリスティング広告を多く使っていることがわかれば、インターネット上での宣伝に力を入れていると判断できます。

インターネット以外にも、チラシや不動産情報誌など紙媒体への掲載から宣伝に力を入れているかどうかも判断することができるでしょう。

また、近年ではXやInstagram、TikTokなどのSNSを用いて、宣伝をしている不動産会社も存在します。

このようにSNSを積極的に活用している不動産会社を選ぶのも、探し方の一つとして検討してみましょう。

査定額に根拠を示してくれる

査定額に対して、根拠を明確に示してくれる不動産会社を選ぶのもポイントです。

不動産会社は、売主から査定額の根拠を求められた際「こういう理由でこの査定額になった。」などと、説明する必要があります。

どの不動産会社でもおこなわれるものだと思われがちですが、中には契約させるために、あえて根拠を示さない不動産会社も存在しているのが実情です。

このような不動産会社と契約してしまうと、最初は高い査定額で契約したとしても、売却までに時間がかかり、最終的に価格を下げることにつながってしまいます。

不動産会社を選ぶ際は、似たような立地や築年数で売却した事例などを元にしているかなど、査定した根拠について確認すると良いでしょう。

売りたい物件の地域で成約数が多い

売りたい物件の地域での成約数が多い不動産会社から選ぶのも一つのポイントです。

特定の地域での成約数が多いということは、その地域で物件を探している購入者を多く抱えているということです。

そのため、早く買い手を見つけることが出来る可能性が高いのです。

担当者が信頼出来るか

どんなに評判の良い不動産会社でも、実際に対応してくれるのは営業担当者になります。

営業担当者からの連絡が遅かったり、質問になかなか答えてくれなかったりすると、売却活動をスムーズに進めることができないでしょう。

売却活動をスムーズに進めるためにも、連絡の早さや質問した内容の回答、専門的な知識の有無などに着目して、営業担当者を選ぶこともポイントです。

以下の記事では、失敗せずに売却活動を進めるための不動産会社の選び方について、より詳しく解説しています。

売却を依頼する不動産会社を選ぶ際は、こちらもぜひ参考にしてみてください。

関連記事:不動産会社の選び方を徹底解説!不動産売却で失敗しないコツや注意点もご紹介

売却理由別に解説!不動産売却の注意点

不動産売却の注意点・ポイント

不動産を売却する際の注意すべき点は、売却理由によって変わってきます。

ここでは、よくある6つの売却理由について、それぞれの注意点について解説します。

  1. 住み替えの場合
  2. 相続した不動産の場合
  3. 離婚の場合
  4. 転勤の場合
  5. 金銭的な問題の場合
  6. 事故物件を売却したい場合

住み替えの場合

住み替えの場合は自宅の売却に加えて新居を探す必要があります。

そのため、「売却」と「購入」のタイミングを考えることが重要とされています。

住み替えをする際は、以下の3つの方法で売却と購入を進めることが一般的です。

  • 売り先行
  • 買い先行
  • 売り買い同時進行

「売り先行」とは、先に自宅を売却してから新居を購入する方法です。

売却して得た資金をもとに新居を選ぶことができますが、新居が決まるまでは実家に帰ったり、一時的にアパートなどの物件を借りたりなど仮住まいが必要となります。

それに対して「買い先行」は、先に新居を購入して、買主が見つかり次第もともと住んでいた自宅を売却する方法です。

販売活動に時間をかけて高く売ることができますが、買主が見つかるまでは住宅ローンが二重にかかることがあるため金銭面の負担が大きくなってしまいます。

また、「売り買い同時進行」という方法もあります。

売り買い同時進行とはその名前の通り、売却と購入の同時決済を目指す方法のことです。

仮住まいに一時的に住む必要や、二重ローンの支払いの心配がないため、上記2つの方法と比較しても金銭的な負担が少なく済みます。

ただし、売り買いのタイミングを合わせるのが非常に難しいため、売り急いで売却価格を値下げし妥協してしまう人も少なくありません。

どのような流れで住み替えを完了させたいかを考えておき、計画的に売り買いを進めるようにしましょう。

相続した不動産の場合

相続によって取得した不動産を売却する場合、まずは名義人を確認しましょう。

不動産を売却できるのは不動産の所有者で、「不動産登記簿」(登記事項説明書)に記載されている人のみです。

名義が異なっている場合は売却することができないので、相続の場合は事前に名義変更(相続登記)をしておきましょう。

また、相続人が複数いる「共有名義」の場合は、共有者全員に売却の同意を得るか、売主個人の名義に変更する必要があります。

相続した家を空き家の状態で放置してしまうと、維持費用がかかるほか、空き巣に侵入されたり、建物が倒壊したりなど思わぬトラブルにつながりかねません。

さらに、相続した土地が活用されていない場合、固定資産税や相続税評価額が高くなり、負担が増えてしまいます。

相続した不動産にかかる税金や維持費用を抑え、トラブルのリスクを回避するためにも、なるべくスムーズに売却の手続きを済ませるようにしましょう。

以下の記事では、相続した不動産の売却方法についてより詳しく紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてください。

相続した不動産を売却するにはどうする?売却の流れや減税措置についてもご紹介

離婚の場合

離婚がきっかけで不動産を売却する場合は、所有している不動産が財産分与の対象になるかを事前に調べましょう。

財産分与とは、結婚してから夫婦2人で築いた財産を離婚する際に分配することです。

財産分与の対象になるものは、現金・預貯金といった金銭はもちろんのこと、不動産も対象です。

婚姻後に購入した不動産を売却する場合は、ローンの残債額を上回る金額で売却ができれば、残金は財産分与で分けることができます。

しかし、売却額がローンの残債額を下回る場合は、預貯金などから補填しないと売却できないため注意が必要です。

所有している不動産が財産分与の対象なのか調べるのと合わせて、不動産を売却してローンを完済できるかも査定を依頼して判断するとよいでしょう。

離婚時のローンについて知りたい方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

離婚時の住宅ローンはどうすれば?財産分与や返済方法について

転勤の場合

急な転勤が理由で売却を考える場合は、売却完了まで日程の余裕がないケースが多いでしょう。

このような場合でもスムーズに売却を進めるためには、段取りよく的確に売却をサポートしてくれる不動産会社を選ぶことが大切です。

今後戻ってくる可能性も含め、賃貸にするのか売却するかを判断し、不動産会社と相談しながら今後の方針を決めましょう。

また、どうしても時間がなくできるだけ早く売却をしたいと考えている場合は、買取を検討するのも手です。

買取の場合、売却価格が相場よりも安くなってしまう傾向がありますが、不動産会社が直接不動産を買い取るため、売主が買主を探す手間を省くことができます。

いずれの手段を選択する場合でも、必ず売却を進める前に売却方針をしっかり考えるようにしましょう。

金銭的な問題の場合

「住宅ローンを支払えない」「収入が減って生活が苦しい」など、金銭的な問題が理由で不動産を売却したいケースもあるでしょう。

このような場合は、短期間で売却が完了して現金化できる「不動産買取」を検討しましょう。

不動産買取は、売却価格が相場よりも安くなってしまうものの、短期間で現金化することができます。

そのため、「すぐにまとまったお金がほしい。」というケースには最適な手段です。

ただし、売却価格と自己資金を合わせても住宅ローンを完済できない場合は不動産買取で売却することができません。

その場合、金融機関の合意を得て売却する「任意売却」という方法を選択することが多いです。

また、任意売却が難しい場合や住宅ローンを滞納している状況が続くと、不動産は最終的に競売にかけられてしまいます。

住宅ローンの返済が厳しいと判断したら、なるべく早めに金融機関へ相談するようにしましょう。

事故物件を売却したい場合

事件や事故、孤独死などで事故物件となってしまった物件を売却したいと考えている方もいるでしょう。

このような物件は、亡くなった状況によって事故物件に該当するか決まります。

例えば、病死や老衰の自然死、日常生活での転倒事故などによる不慮の死の場合、売却価格の相場は1割から2割ほど安くなりますが、売却時に買主へ告知する義務はありません。

そのため、このような場合は事故物件に該当しません。

ただし、人が亡くなったことを告げずに売却したことがきっかけでトラブルに発展することもあるので注意が必要です。

また、事件や自殺などで人が亡くなった場合は、通常の価格よりも下がってしまいます。

おおまかな相場としては、自殺で3割前後、他殺など心理的な嫌悪感を与えやすい事件が起きた物件の場合は5割前後と通常の売却価格よりも下がってしまう傾向があります。

こういった物件を売却したい場合は、ハウスクリーニングやリフォームを行ったり、家を取り壊して土地だけで売り出したりするなどの方法もあります。

どのような方法で売却すべきか、一度事故物件の売却が得意な不動産会社に相談してみるとよいでしょう。

関連記事:事故物件の売却方法を解説!告知義務や価格相場は?失敗しないポイントもご紹介

こんな時はどうする?不動産売却のよくある質問

こんな時はどうする?不動産売却のよくある質問のイメージ

不動産売却に関する基礎的な知識を身につけても、不動産を売るタイミングや確定申告などの細かい部分について疑問を抱えている方もいるでしょう。

ここでは、このような細かい疑問点を解消するために5つのよくある質問を紹介します。

疑問点を解消して、安心して不動産売却を進めていきましょう。

不動産を売るタイミングっていつがいいの?

不動産はどのタイミングでも売ることが可能ですが、時期や築年数、税金を考慮することで、スムーズに売れたり、節税できたりします。

どのような状況が売却する際の最適なタイミングなのか、「時期」「築年数」「税金」の3つの要素別に解説していきます。

スムーズに売却したいなら時期を考慮しよう

企業の新年度、学校の入学式が始まる前の1月から3月頃の時期は、新生活に伴い新しく家を購入する人も多いです。

そのため、1月から3月の時期に不動産を売却するとスムーズに売れやすい傾向があります。

よりスムーズに取引を進めやすくするためにも、12月頃までに不動産会社と媒介契約を結び、売却するための準備をしておきましょう。

高く売却したいなら築年数を考慮しよう

不動産は、築年数が浅ければ浅いほど高く売れやすい傾向があります。

国土交通省が公表した「中古住宅流通、リフォーム市場の現状市場の現状」によると、築後20年前後で木造の戸建住宅の査定価格が0円近くになってしまうということがわかります。

国土交通省公表「中古住宅流通、リフォーム市場の現状市場の現状」。中古戸建て住宅の価格査定の推移のグラフ。木造の戸建住宅は築後20年経つと0円近くの価値になってしまう。マンションについても築年数が古くなればなるほど価値が下がっている。

出典:「中古住宅流通、リフォーム市場の現状市場の現状」(国土交通省) (https://www.mlit.go.jp/common/000135252.pdf

また、マンションについても築年数が古くなればなるほど、価値が下がります。

この結果から読み取れるように、不動産の売却を検討しているのであれば、できるだけ早めに売却に向けた行動に移したほうがよいでしょう。

節税したいなら税金を考慮しよう

不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税が課せられます。

譲渡所得税とは、建物や土地、株式などの資産を譲渡した際に発生する税金のことです。

所得税(復興特別所得税含む)+住民税の合計で構成されていて、不動産の所有期間によって税率が大幅に変動します。

譲渡所得税の税率については、以下の通りです。

区分 不動産の所有期間 所得税(復興特別所得税含む) 住民税 合計
短期譲渡所得 5年以下 30.63% 9% 39.63%
長期譲渡所得 5年以上 15.315% 5% 20.315%

この結果から、所有期間が5年以下の不動産を売却する場合と5年以上の不動産を売却する場合で、譲渡所得税の差が15%以上もあることがわかります。

もしも不動産の売却を急いでいないのであれば、節税するためにも5年以上所有してから売却するとよいでしょう。

しかし、所有期間が5年以下でも税金を控除できる「3000万円の特別控除」が適用できる場合もあります。

特例については、以下の記事で詳しく解説しているのでこちらを参考にしてください。

不動産売却の3000万円特別控除はどんな制度?条件や注意点を解説!

不動産の査定にお金はかかるの?

不動産の査定は、不動産会社がおこなう無料の査定不動産鑑定士がおこなう有料の査定の2種類がありますが、個人で不動産を売却するのであれば、不動産会社がおこなう査定で十分です。

不動産会社がおこなう査定は、自社と媒介契約をしてもらうための営業手段の一つです。

そのため費用が一切かからず、無料で受けることができます。

ちなみに有料の査定は、法人間で不動産取引をする際や裁判所に提出するための証拠が必要な際におこなわれることが多いです。

無料査定と有料査定の違いや査定の詳しい流れについては、以下の記事で解説しているのでこちらも参考にしてみてください。

不動産査定は無料でできる!有料査定との違いや流れ、注意点を解説

不動産売却を依頼する会社は大手のほうがいいの?

大手の不動産会社に不動産売却を依頼すると、手厚いサポートを受けられるイメージを抱いている方もいるでしょう。

しかし大手だからといって、必ずしもサポート体制が充実していたり、高値で売却を成功させたりすることができるという訳ではありません。

大手の不動産会社に依頼しても、担当者との相性が合わない場合やスムーズに手続きを進めることができない場合もあります。

逆に、地域に特化している個人経営の不動産会社に依頼して、高値で売却を成功させたというケースもあります。

不動産会社に依頼する際は、会社の評判で選ぶのも良いですが、担当者の対応や人柄などもしっかり確認したうえで選ぶと良いでしょう。

また、以下の表にてそれぞれの不動産会社のメリット・デメリットについてまとめました。

不動産会社選びの参考としてぜひご活用ください。

  メリット デメリット
大手の不動産会社
  • 買主となる顧客を多く抱えている
  • 広告宣伝に力を入れている
  • サポート内容が充実していることがある(売却前の点検やハウスクリーニングなど)
  • 買主・売主から仲介手数料を受け取る「両手仲介」になることが多い
  • 顧客が多いため細かい対応をしてくれないこともある
  • 地域の情報に詳しくない場合がある
地域特化の不動産会社
  • 地域の情報に詳しい(学校・病院・スーパーなどの場所、地域のイベントなど)
  • 顧客一人ひとりと親身になって対応してくれる
  • 抱えてる顧客の数が少ない
  • 会社の認知度が低いと広告宣伝に力をかけにくい
  • 不得意な分野がある場合もある

不動産を売却したけど全く売れる気配がない…

不動産の売却完了までにかかる期間は、一般的に3ヶ月から6ヶ月程と言われています。

しかし、6ヶ月を経過しても全く売れる気配がない場合は、不動産会社の販売活動に問題があるかもしれません。

例えば、不動産仲介会社が物件情報を検索する「レインズ」や不動産会社のHPなどに物件情報が掲載されていなかったり、掲載内容が充実していなかったりなどが考えられます。

このような問題があった場合、不動産会社に「もっと情報を掲載してほしい。」などと、あなたの意見を伝えてみることをおすすめします。

また、売却を依頼している不動産会社の担当者と考えが合わない場合は、別の担当者に変えてもらうことも検討してみましょう。

確定申告って必ず必要なの?

不動産売却で確定申告が必要になるのは、「不動産を売却して利益が出た場合」です。

不動産を売却した翌年の2〜3月に確定申告をして、利益額に応じた税金を納めなければなりません。

また、「不動産を売却して損失が発生した場合」は確定申告の義務はないものの、確定申告をすることで次の減税措置を特例で利用できます。

特例の内容

特例の適用要件と必要書類は以下の通りになります。
【特例の適用要件】
特例の適用要件 新たにマイホームを買い替える場合の特例:売ったマイホームの住宅ローンの残高は不要 新しいマイホームの取得と住宅ローンの残高は必要 新たにマイホームを買い替えない場合の特例:売ったマイホームの住宅ローンの残高は必要 新しいマイホームの住宅ローン残高は不要

出典:国税庁ホームページ

【特例を受ける際の必要書類】
(イ)の特例に必要な書類

  • 売却したマイホームの登記事項証明書
  • 取得したマイホームの登記事項証明書
  • 取得したマイホームの住宅借入金等の残高証明書

(ロ)の特例に必要な書類

  • 売却したマイホームの登記事項証明書
  • 売却したマイホームの住宅借入金等の残高証明書(譲渡契約締切日の前日のもの)

(イ)(ロ)どちらにおいても、登記事項証明書は特例対象である不動産の不動産番号の明細書などを提出することにより省略することもできます。
出典:「土地や建物を売ったとき」(国税庁)を加工して作成

不動産売却で損失が発生した場合でも、税金の特例を利用したい人は確定申告をしましょう。

不動産売却の確定申告は必要?不要なケースと必要書類も解説!

不動産売却の正しい知識を身につけてスムーズな売却を目指そう

不動産売却のポイント

不動産売却でトラブルや後悔を避け、スムーズな売却を目指すには、不動産売却の基礎知識や注意点を正しく理解しておくことが大切です。

信頼できる不動産会社を選び、大切な不動産を納得のいく形で売却できるようにしましょう。

大切な不動産を高値で売却するには、パートナーとして販売活動を展開してくれる不動産会社を慎重に検討し、「ここなら信頼できる」という1社を選定することが重要です。

当サイトが提供する不動産一括査定サービス「イエイ」をぜひご利用ください。