不動産取引には、法律で定められた細かなルールがあります。知らないうちに、違反をしてしまうと、あとから予期せぬトラブルを招いてしまいます。

たとえば、建物ごとに振り分けられた「家屋番号」には注意しましょう。

家屋番号とは?どのような意味があるのか

不動産取引が行われた場合、不動産の所有者や権利を正式に登録しておく必要があります。この行為を「登記」と呼びます。

登記のない不動産に対して買主は権利を行使できない

不動産登記のなかで、大切な情報のひとつが

「家屋番号」あるいは「建物家屋番号」と呼ばれる数字

です。家屋番号は、登記所が建物を特定するために割り振られます。家屋番号は家の所有者が、正当な権利を行使するために求められるので、必ず把握しておかなくてはいけません。家屋番号は登記の際、登記所から与えられます。

原則として建物家屋番号は建物の敷地の地番と同じ

住所が「10番地」であれば、建物番号も「10」となります。

ただし、マンションやアパートだと同じ地番に複数の家が並びます。その場合は、地番の後に他の数字を付け加えて家屋番とするのが一般的です。つまり、同じマンション内に「10-1」「10-2」「10-3」といった家が存在する状態です。

家屋番号は同じ町内で、同じ数字が割り振られることはありません。つまり「町内で固有の識別番号」といえます。

基本的に家屋番号は「地番と同じ」と認識しておけば問題ないので、番号を聞かれたときは地番を答えておけば大丈夫です。ただし、同じ地番に複数の家があるときは「10-2」のように、支号が求められます。支号は、必ずしも地番と一致しているとは限らないため、確認しなくてはいけません。

正確な家屋番号は、あらかじめ調べておき、いざというときにも忘れないようにしましょう。

家屋番号はどうやって調べる?電話以外の方法はあるか

先述のように、地番がそのまま家屋番号に使われている可能性は高いのですが、憶測で番号を登記してしまうと手続きを遅らせてしまう可能性があります。

不動産取引を開始した時点で、家屋番号は問い合わせておきましょう。家屋番号を問い合わせるには、まず「電話で聞く」方法があります。

屋号番号を電話以外で調べる方法

不動産登記を仕切っているのは法務省であり、専門の窓口に聞けばすぐに家屋番号を教えてもらえます。

「家屋の名前」「地番」「マンションなどの場合は部屋番号」

など、家屋の情報を担当者に伝えましょう。

問い合わせ窓口は「東京管内」「名古屋管内」「大阪管内」など地域によって分かれています。不動産のある地域で、登記を管理している窓口に電話をかけるようにしましょう。

インターネット検索による家屋番号検索も実施しているので、時間がないときなどはパソコンやスマホから、手軽に検索するのもひとつの方法です。しかし、法務省の検索サイトには問題が多く、間違った家屋番号が出てきたりエラーがかかったりする場合があります。万が一、間違った情報に基づいて登記をしてしまうと、面倒を招いてしまいます。

電話での問い合わせは、決して時間がかかりません。特別な理由がなければ電話で済ませるのがおすすめです。

住居番号や部屋名番号と家屋番号は違うのか?

家屋番号と同じく、不動産登記で必要となる数字に

「住居番号」や「部屋番号」

があります。これらと、家屋番号を混同している人もいますが、類似していても別物なので気をつけましょう。それぞれに、数字の用途や意味が異なるので特徴をしっかり理解すると、登記上のミスを回避できます。

住居番号
住居表示を指導する市町村によって割り振られる
市町村が住居を把握し整理するために用いられる番号
家屋番号
法務省の登記官が割り振る数字
部屋番号
同一の建物内にある部屋を管理するために所有者が中心となって付けた数字

住居番号は、法務省が管理している家屋番号との関連性はなく、法務省は住居番号を把握していません。結果的に、家屋番号と住居番号が一緒だったとしても両者は別々の項目です。そのため、住居番号を「家屋番号」だと思い込んで不動産登記を行うと、重大な過ちになります。また、部屋番号も家屋番号・住居番号との関連性はありません。

家屋番号が何番か聞かれたら、部屋番号から推測せずしっかり法務省に問い合わせるようにしましょう。

家屋番号をめぐるトラブル!不動産取引では慎重に

不動産登記の際に登記官から、すぐに答えが分からないような家屋番号についての質問をされることがあります。登記官は、正しい言葉の定義を知っていますが、一般人に不動産の知識が伴っていると限りません。理解できていない質問には、曖昧に答えずにその場で確認しましょう。

たとえば、家屋番号と地番は一致しているかと聞かれ、当然だと思う人がいるかもしれませんが、古い建物になれば、地番が変わっている可能性もあり、必ずしも家屋番号と一致しているとは言えません。そのようなときに、法務省は家屋番号が管理しにくくなるため、地番を確かめて家屋番号を修正しようとします。

家屋番号と地番を、照らし合わせて同じかどうかを答えましょう。家屋番号の数字は、原則として「地番」から付けられていますが、全く関連性のない数字を付けられているケースも珍しくありません。

不動産取引を行うときには、どうせ地番と同じだろうと決めてかからないように注意しましょう。

なお、家屋番号が未登記になっている物件もあります。登記がなされていないということは、そもそも取引自体が成立しません。登記官に、申し入れましょう。

法務省

家屋番号は、登記官が割り振る数字であるため、家屋の所有者であっても勝手に変更はできません。まして、個人で番号を決められる権利もないのです。

家屋番号が、割り振られる過程を知らない人は個人決めていいのだろうと思いこみ、適当な家屋番号をつけてしまいます。そのまま、家を売却すると聞いていた家屋番号と登録されている番号が違うため、買主はパニックに陥ってしまいます。

家屋番号は「法務省しか管理できない」と肝に銘じておきましょう。

家屋番号を管理するには?おすすめの工夫やサービス

法務省に問い合わせれば、家屋番号は簡単に教えてもらえますが、何かあるたび法務省に電話するのは大きな手間になります。家屋番号は、身近に数字なので十分覚えられますが、それでも忘れする可能性は否定できません。

同居人がいる家庭で、1人だけが家屋番号を把握しているという状態も危険です。家屋番号を管理するには、家族全員がすぐに確かめられることを意識しましょう。すぐできるのは

「登記事項のコピーを取っておく」「メモを残しておく」など書面で管理する方法

です。ただし、自宅に書面を置いておくとリスクも生まれます。もしも窃盗被害に遭ったとき、重要情報まで盗まれてしまうこともありえるからです。また、家を訪れた人物の目に入らないとも限りません。住人にとって楽な管理方法は、悪意のある相手からも特定しやすい方法です。

そこで、法律事務所や不動産会社などで管理をお願いするのも、現実的な手段です。家屋番号のほか、登記事項を厳密に保管してくれているので、セキュリティ面は安全です。不動産会社の場合なら、データベース化した登記情報をパソコン画面から検索できるようにもしてくれます。

不動産取引の前など、家屋番号を確かめたいときに手軽に閲覧できるのは、大きなメリットです。

注意を重ねて間違いのない不動産取引を行おう

不動産登記で、大切な情報のひとつである家屋番号ですが、しばしば住居番号や部屋番号と混同されがちです。憶測で番号を登記してしまうと、手続きを遅らせてしまう可能性があるため、不動産取引を開始した時点で、正確な家屋番号を法務省に確認しておきましょう。

もしも不安がある人は、法律事務所や不動産会社に管理してもらうことも一つです。とくに、不動産会社は、確かめたい時に手軽に閲覧できるシステムがあります。

家屋番号をはじめとする、複雑な登記などに手を焼かされることがないよう、あらかじめ信頼できるプロの助けを借りましょう。ただし、プロであればどのような業者に任せても同じではありません。

多くの人は、大切な不動産は信頼できる業者に任せたい場合が殆どです。数多ある不動産会社から、信頼できる業者を見つけるために、おすすめなのが不動産査定サイトの「イエイ」です。

イエイの業者登録数は1000社以上です。一から自身で、不動産業者を探すよりも容易に見つけられます。また、独自のサポート体制がしっかりしていることも魅力です。

少しでも、安全性を高める工夫をして、安心して不動産取引を行えるようにしましょう。