この記事の目次
仮換地とは
仮換地をわかりやすく解説
仮換地(かりかんち)とは土地区画整理事業が終了するまでの間に与えられた換地のことです。
と言われてもピンときませんよね。
安心してください、順を追って説明します。
まず、以下の図を見てください。
曲がりくねった道、不揃いな形の土地・・・このままでは住宅地として使うには不便ですよね?
そこで土地を使いやすくするための工事が行われます。
この工事のことを「土地区画整理事業」と呼びます。
区画整理が行われる前の土地は「従前地」といいます。
土地区画整理事業によって土地はこのように整備されました。
道路もキレイになり、土地も整理されました。
こうして新しく割当てられた土地のことを「換地」と呼びます。
しかし、工事というのは土地A~Dが同時に整備されるわけではありません。
土地Aが工事完了した時にはまだ土地Dは工事前、みたいなこともありえます。
その間土地Aが使えないのはもったいないですよね?
そこで工事が完了したところから順に「仮換地」として指定し、工事が終わったら正式な「換地」として割り振りを行うわけです。
仮換地には使用収益権といって建物を建てて住んだり、貸し出しを行って利益を上げる権利が存在します。
保留地とは
ところで新しく「保留地」となっている区画が出来ていますね。
区画整理によって土地の形が整理されると、元の土地に応じて換地が割り振られるのですが誰のものでもない土地が生まれることがあります。
この土地のことを保留地と呼び、区画整理を行う組合が所有し売却して得た利益を工事費に充てるのが一般的な流れです。
この保留地は区画整理されたあとの便利な土地であるにもかかわらず、比較的安く販売されるため抽選で購入者を選ぶこともあります。
関連記事:土地売却検討者必見!土地区画整理事業で生まれる保留地とは?
また、工事が終わるまで登記を行えないので所有権や抵当権を設定することが出来ません。
そういった理由で保留地の購入には住宅ローンが使えないことが多いです。
関連記事:あらかじめ知っておきたい!不動産登記の必要性と手続きの方法
仮換地指定されたことを証明する「仮換地証明書」は各地方自治体の窓口で発行してもらうことが出来ます。
仮換地の登記について
仮換地の登記については次の3つのパターンが考えられます。
- 仮換地に建てた建物の登記
- 土地の使用目的を変える地目変更登記
- 仮換地を売買した時の所有権移転登記
それぞれのパターンについて登記は出来るのかを解説していきます。
仮換地に建てた建物の登記
仮換地に建てた建物の登記は問題なく行えます。
その際は、「仮換地」と仮換地が行われる前の「底地」と2つの地番を併記して登記を行います。
仮換地の地目変更登記
仮換地の地目変更登記は原則出来ません。
というのも実際に地目変更を行うのは従前地に対してであるからです。
例えば仮換地を住宅を建てるための宅地にしたいと考えたとします。
しかし、地目変更は従前地に対して行われます。
殆どの場合で区画整理が行われると従前地の一部は道路として利用されます。
そうすると宅地として利用するのは不可能になります。
このような事情で仮換地の地目変更登記は原則不可能となっています。
仮換地の所有者移転登記
仮換地の所有者移転登記は可能です。
厳密に言うと仮換地には所有権が存在しないため、従前地の所有権移転登記を行うことになります。
従前地の所有権を得ることによって、仮換地の使用収益権と換地を受け取る事ができます。
仮換地と税金
仮換地について多くの人が気になるのは以下の2つの税金についてです。
- 固定資産税
- 相続税
区画整理が行われると土地の評価額が上昇するため、支払う税金は増える傾向にあります。
一方で区画整理の形態によっては減免が受けられる場合もあるので確認しましょう。
固定資産税
仮換地への固定資産税は「みなし課税」または「みなす課税」と呼ばれる制度が適用される事が多いです。
従前地の所有者として登記されている人を仮換地の所有者と「みなす」ことからこう呼ばれています。
固定資産税は国ではなく、各地方自治体に納めるものなので具体的な金額や疑問点は各地方自治体へとお問い合わせください。
ちなみに区画整理後の換地については固定資産税は増額される場合が多いようです。
固定資産税は土地の評価額に一定の倍率を掛け合わせて算出されます。
そのため、土地の価格が高ければ高いほど納税額が大きくなります。
例えば、市街化調整区域になっている住宅向けでない場所が区画整理によって住宅地へと整備される場合は土地の価値が上がることが予測されます。
また、都市計画税などの税金が新たに加算されることもあります。
相続税
区画整理前は農地だったが、整理後は住宅地になる。このような土地を相続する場合の相続税はどうなるのでしょうか?
ポイントになるのはその仮換地が使用収益が開始されているかどうかです。
もし建物などが建てられ、使用されているなら仮換地で評価されます。
まだ仮換地指定がされていなかったり、工事中で使用できないといった場合には従前地である農地として評価します。
しかし、現実問題として工事中で従前地の原型もとどめておらず仮換地として評価せざるを得ないケースもあります。
その場合の判断は税務署長に委ねられるため個別評価に関する申請をして判断を仰ぎましょう。
土地区画整理事業中の土地の売却
土地区画整理事業の予定地となった土地を所有している人は、そのまま土地を所有して換地と交換するか、売却するかの決断を迫られることになります。売却する場合は様々なケースが考えられます。
土地区画整理事業期間中に売却するケース
まず、土地区画整理事業中の売却のケースについてポイントを理解しておきましょう。
土地区画整理事業が開始されると、仮換地が指定されます。
従前の土地所有者は、仮換地の使用収益権を得る代わりに従前の土地に関する使用収益権がなくなる仕組みです。しかし、従前の土地を売却はできます。
土地区画整理事業が完了したあとで換地の価値が上昇すると考えたり、換地が使用収益に適していると判断したりする土地購入予定者がいる場合は、売却先を見つけることは可能です。
従前の土地所有者は、土地活用の形態や目的によっては、換地が従前に比べて使いにくくなることはありえます。その場合は、売却を選択するでしょう。
売却においてまず注意すべき点は、売買契約によって取得者が手にする権利について誤解がないようにしたうえで契約をすることです。
土地区画整理事業が完了するまでは、土地購入者は仮換地の使用収益権を取得し、完了後は換地の所有権を手に入れることになります。そのため、仮換地や換地の位置や敷地面積などを明確にしたうえで契約することがポイントです。
ただし、整理事業が完了するまで正確な位置や面積が確定しないこともあります。
その場合は、契約後に確定する敷地面積などが、契約時に想定した面積などと相違する分について事後清算するかどうかまで契約時に明確にしておくことが大切です。
また、売却価格においては清算金の存在を考慮することもポイントです。
従前の土地面積よりも換地の面積が小さくなる場合は清算金を受け取ります。その分も考慮して売却価格を決めるようにしましょう。
さらに、従前の土地の売買に関して制限がかかるケースがあることも知っておきましょう。
土地区画整理事業の特約で、工事期間中の売買を禁止していることがあります。工事期間中の権利移転は、工事完了後の移転登記時に混乱する可能性があり、それを避けるなどの理由でそういった特約が付されている場合がありますので注費が必要です。
土地区画整理事業予定地の売却戦略
土地区画整理事業の予定地となった場合、事業開始前に売却するという選択肢もあります。
土地区画整理事業開始の公告前に売却を実行するケース
事業開始の決定前には、対象地域の土地所有者に対して同意が求められます。その段階で、対象予定地になっていることが認識可能です。同意できない場合は売却を決めることになりますが、まず計画の内容を確認してみることが大切でしょう。
土地区画整理事業後に割り当てられる予定の換地の位置や面積を確認することはもちろん、事業期間中に使用することになる仮換地の位置や面積も重要です。
計画策定段階となると確定していないのが一般的ですが、概要を知ることはできるでしょう。仮換地や換地について問題がなく、事業完了後に利用価値が高まると判断できれば売却せずに済みます。
事業完了後の地域の経済価値上昇に疑問があったり、仮換地や換地が土地の利用目的に適さなかったりすると判断した場合、売却を決断することになります。その場合は、できるだけ有利な価格で売却できるように交渉をしましょう。土
地区画整理後の地域や換地などが購入予定者にとって適したものであれば、相場よりも高い価格で売却できる可能性があります。
土地区画整理事業後に土地を売却する注意点
土地区画整理事業の対象予定地となった土地の売却に関しては、事業開始前の売却と事業期間中の売却以外にも選択肢があります。もうひとつの選択肢は、事業完了後に手に入れた換地の売却です。
事業完了後に手に入れた換地を売却するケース
土地区画整理事業が完了して手に入れた土地が不要になった場合、売却することになるケースもあるでしょう。その場合、土地区画整理事業は終わっているのだから自由に売買できると考えがちです。しかし、自由に売買できない場合もありますので注意しましょう。
土地区画整理事業では、区画整理を行うにあたって対象地域のまちづくり設計が行われます。
そのため、換地の使用方法について一定の制限をかける可能性があるのです。制限に抵触する使用を目的とした購入者に対して売却を行うと、規定違反になってしまうリスクがあります。
事完了後に売却を行う場合は、土地区画整理事業の施行規則をよく確認したうえで、購入予定者にも理解をしてもらって契約することが大切です。
また、整理事業完了後、一定期間内に換地を売却する場合は、組合などの施工者の承認や許可が必要なこともあります。
必要な手続きを行ったうえで売却を実行することも忘れないようにしましょう。
土地区画整理事業後の土地売却は慎重に判断することも大切です。
装い新たになった地域からどのような経済価値上昇が生まれるかをある程度の期間にわたって観察することも重要でしょう。事業完了直後から経済活動が活発になるとは限りません。対象地域が発展するまでにはある程度の時間が必要となります。
換地の売却は、対象地域がどのように発展するかを見届けてから判断するというのも選択肢のひとつです。
土地区画整理事業対象地売却においては仮換地の理解が大切
土地区画整理事業の対象予定地となった土地を売却するにあたっては、仮換地や換地の条件はもちろん、土地区画整理事業の施行規則などについてもよく理解して売却を決める必要があります。
特に、売買される使用収益権や所有権は、通常の土地売買よりも複雑になります。
そのため、売買契約において誤解が生じてトラブルにならないように注意することが大切です。
土地区画整理事業において、仮換地の仕組みを理解することは欠かせません。通常の土地取引では生じない権利関係が含まれている仕組みです。しっかり理解したうえで土地の売却戦略を立てるようにしましょう。そして、土地売却のプロ選びも重要です。
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