土地や家を購入、あるいは相続などを行い、不動産の権利が移動した際には不動産登記を行わなければなりません。しかし、その方法についてよくわかっていない人も多く適切な登記がされていない不動産があとになって問題となるケースがあります。

そこで、不動産登記の必要性や手続きの方法などについて解説をしていきます。

不動産登記とは何か?その意味と申請を怠った際の罰則

そもそも不動産登記とは何かというと、土地や建物などの不動産の所在・面積・所有者の氏名・住所などを法務局の登記簿に記載する行為です。

不動産登記を怠ると罰則がある!?

不動産登記の内容は磁気ディスクによって記録され、一般に公開されることになります。所定の請求書を提出することでその概要を記した登記事項証明書の交付を誰でも受けられるようになるのです。そうすることで、不動産の権利が誰にあるのかを明白にし安全かつ円滑な不動産取引が可能となります。

そのため、不動産の所有者が変わったときには登記申請を行わなくてはならないというわけです。

それでは、不動産登記を怠った際には何か罰則があるのでしょうか。結論からいうと特に罰則は定められてはいません。また、いつまでに登録しなくてはならないという期限も存在しないため、たとえば20年前に相続した土地を改めて登記申請しても延滞金などを払う必要はないのです。

ただし、これには例外があります。それは未登記不動産だった場合です。

未登記不動産というのは書類上その不動産がどこにも存在しないことを意味します。土地の場合はそういった事態になることはまずありません。土地は先祖代々引き継がれたものであり、ある日突然新しく誕生することはないからです。したがって、所有者の氏名が間違っていても登録自体は行われているはずです。

ところが、建物の場合は新しく建築した場合に申請登記を忘れているとその建物自体が存在しないことになります。そういったケースでは10万円以下の罰金を科すと不動産登記法に定められているのです。

ただし、実際には罰金を払った例はなく全国には未登録の建物が数多く存在します。したがって、不動産登記を怠って罰せられる可能性はほぼないと言ってよいでしょう。

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売買や融資を受ける際には要注意!不動産登記を行わないデメリット

不動産登記を行わなくても罰せられる可能性はまずありません。しかし、不動産登記をしないために不具合が起きるケースはあるので注意が必要です。特に、売買や融資の担保など不動産が取引に用いられる場合にはさまざまなデメリットが考えられます。

おもなものとして挙げられるのが「不動産の権利が主張できない」「不動産の売却ができない」「不動産を担保にして融資が受けられない」の3点です。

不動産登記をしないとおきるデメリット

不動産の権利が主張できない

まず「不動産の権利が主張できない」という点ですが、たとえば、売主から土地を購入して不動産登記の所有者変更をしていなかったとします。すると、売主が別の人にその土地を売っても文句が言えなくなってしまうのです。

なぜなら、所有者変更をしない限りはたとえ購入費を払っていたとしても法律上その土地は売主のもののままだからです。そうした事態を防ぐには、土地の代金決済と同時に登記申請を行う必要があります。

不動産の売却ができない

自分の不動産を売却しようとしたときには、これと逆のことが起こります。買い手は代金決済の際に不動産登記の所有者変更を求めてきますが、その際に所有者名義が売主の名前になっていなければ名義変更は行えません。

そもそも、登記簿上の名前が売主と別人である不動産などは怪しくて購入する人はいないでしょう。したがって、あらかじめ正しい不動産登記をしていなければ不動産を売却できないということになります。

不動産を担保にして融資が受けられない

さらに、不動産を担保に融資を受ける場合も不動産登記を正しく行っていないと不具合が生じます。

不動産を担保にする際には貸付と同時に抵当権の設定登記の申請をしなければならないのですが、自分名義になっていなければそれは不可能です。そうなると、不動産を担保にはできず融資を断られることになります。

遺産相続後のトラブルを避けるために!相続登記をすぐに行うべき理由

不動産を用いての取引を行うわけではなく、単に不動産を相続しただけならば登記申請をしていなくても不具合は生じないと思うかもしれません。しかし、その場合はよりやっかいな問題が起きる可能性があります。

たとえば、AとBの2人の相続人がいたとします。そして、不動産に関してはすべてAが相続することになったとしましょう。ところがAが相続の際の登記申請つまり相続登記をしていないと、Bが法定相続分を勝手に自分のものとして相続登記してしまうことができるのです。

その場合はAの協力は不要であり、単独での実行が可能です。その上で、Aが気付く前に相続登記した不動産を売ってしまえばBは本来相続するはずではなかった財産を手にすることになります。たとえ、買い手に対して「それは自分の不動産だから返してほしい」と訴えても手続き上は正当な取引なのでどうしようもありません。

また、上記と同じく遺産の不動産をすべてAが相続したときにBが借金をしていてそれが返済できなかったとします。

その際にAが相続した不動産の相続登記を行っていないと、Bの法定相続分を債権者が差し押さえることができるようになってしまうのです。この場合も自分の相続するはずの不動産の一部を失ってしまう結果となります。

さらに、より現実的な問題としては相続登記を後回しにするほど手続きが煩雑になるという点が挙げられます。

相続登記を行う際には相続人全員の戸籍謄本が必要です。ところが、不動産を相続してから数十年後に相続登記をしようとすると世代を重ねることで相続人の数が増えてしまいます。それは同時に、必要な戸籍謄本の数が雪だるま式に増えることを意味します。そうなると、手続きを行うだけでも大変な苦労です。

その他にも、不動産が誰のものかが法律的に明らかになっていないと災害発生時に損害賠償金が受け取れない、倒壊の危険性がある家屋があっても取り壊しに手間がかかるなどといった不具合が生じる可能性がでてきます。

以上の点を考えると、不動産を相続した場合もやはり即座に不動産登記の手続きを行った方が賢明だと言えるでしょう。

不動産登記を専門家に依頼しなければならないケース

不動産の登記申請には自分自身で行うか、司法書士や土地家屋調査士などの専門家に依頼するかの2つの選択肢が存在します。もし専門家へ支払う報酬を節約したいと考えるならば自分自身で行う方が安上がりですし、不動産登記法にも原則として登記は売主や買主などの当事者が行うものだと定めています。

しかし、実際には本人による登記申請が認められないケースがあるので注意が必要です。たとえば、住宅ローンを借りる際の抵当権設定登記です。

この場合、不動産所有者本人が登記申請を行おうとしてもお金を貸す側である金融機関はまずそれを認めないでしょう。

登記申請は法務局で行うのですが、その際に手続きの方法を間違うと担保が無効になりかねないからです。「書類は本当に全部揃っているのか」「書類の内容に間違いはないのか」「書類を改竄される心配はないのか」といった具合に、当人にまかせると金融機関側は大きな不安を抱えることになります。

不動産登記は自分でもできるけれど。。。

一方、専門家なら間違う可能性は極めて低いですし万が一間違いがあっても損害賠償保険に加入しているので金融機関側が損害を被ることはありません。

そういった理由から住宅ローンの場合は大抵、金融機関が指定する専門家に登記申請をしてもらうようにと指示があるはずです。ただ、住宅ローンを組む当人が登記に熟知しているあるいは、知り合いの司法書士などに登記申請を手伝ってもらうといったケースでは、本人が手続きを行うことを認めてくれる金融機関もあるようです。

以上のように、手続きのミスによって相手が損害を被る可能性がある場合は専門家による手続きが求められることになるでしょう。逆に言えば、ミスがあっても自分以外は誰も困らないといったケースでは自身で登記申請を行っても何の問題もないはずです。

不動産登記の主な種類と自分自身で登記申請ができるケース

不動産登記といっても手続きは1つだけではありません。さまざまな種類があり、目的に応じた手続きを行う必要があるのです。

たとえば、土地を購入した場合は「売買による所有権移転登記」を行い売主から買主へと名義を変更します。また、住宅ローンなどのために不動産を担保に入れる場合は「抵当権設定登記」が必須となります。さらに、家を新築した場合は「建物表題登記」をして誰が建てた建物なのかを明らかにしなければなりません。

問題はその手続きを誰が行うかですが、金融機関を通すと専門家に依頼するように求められるのは先に説明した通りです。したがって、自分自身で不動産登記ができるのは土地や家をローンなしで一括購入した場合だということになります。

そのため「売買による所有権移転登記」や「建物表題登記」は金融機関を通さなければ独力での登記申請は可能です。同じように、不動産を相続する際の「所有権移転登記申請」の場合も金融機関などの利害は絡まないので独力で行っても問題はないという話になります。

見落としに注意!不動産登記の際に必要な書類

独力で登記申請を行う場合はまず必要な書類を揃えなければなりません。

たとえば、「売買による所有権移転登記」の場合、必要な書類は

  • 登記申請書
  • 登記識別情報
  • 印鑑証明書
  • 住民票の写し
  • 固定資産評価証明書

などです。

この内、登記申請書は法務局のホームページで書式のダウンロードが可能で、オンラインや郵送で申請書を取り寄せることもできます。登記識別情報も同じように、法務局から取り寄せることになります。

印鑑証明書は市区町村の役所で取得できる他、住基カードを持っていればコンビニなどでも自動交付が可能です。住民票の写しは住民登録をしてある市区町村の役所で取得できますが、郵便や電子申請での取り寄せも行えます。最後の固定資産評価証明書は市区町村の市民税課・都税事務所で交付を受けるか、郵送で取り寄せるかの二択です。

一方、「建物表題登記」を行う場合は

  • 登記申請書
  • 住民票の写しの他に建築確認通知書
  • 検査済証
  • 工事完了引渡証明書
  • 業者の印鑑証明書

などが必要になります。

登記申請書と住民票の写し以外は家を建てたハウスメーカーや工務店・設計事務所などに依頼をすれば入手できるのですが、問題なのは建物図面・各階平面図を自分で書かなければならない点です。これはかなりの難関ですが、参考書類を見ながら根気よく行えば独力でも不可能ではないでしょう。

また、不動産の相続で「所有権移転登記申請」を行う際は

  • 登記申請書
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本及び除籍謄本
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本及び住民票の写し

などが必要となります。

この内戸籍謄本、除籍謄本は市区町村役場で取得します。さらに、法定相続ではなく遺産分割協議によって相続した場合はそれらに加えて相続人全員の印鑑証明書を伴った遺産分割協議書の添付が必須です。

なお、不動産登記の種類は他にも数多くあり必要な書類は登記の種類によって異なります。書類を揃える際にはくれぐれも間違いがないように気をつけましょう。

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不動産登記についての理解を深めて不要なトラブルを回避しよう!

不動産登記を行なうのを忘れても罰せられることはありません。

不要なトラブル回避のために理解を深めましょう

しかし、その一方で、知らないあいだに不動産を売却されたり、融資を受けたいときに担保にできなかったりと思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。そのため、不動産の名義が移動すると同時に登記申請を行うのが賢明です。

また、その際は司法書士や土地家屋調査士などの専門家に依頼するのが無難ですが、依頼料を節約しようと思えば自分で登記申請に挑戦するのもひとつの手です。ただ、不動産登記の種類は多く必要な書類も登記ごとに異なるので注意が必要となります。

不動産登記についての理解を深めて不要なトラブルを回避できるようにしていきましょう。