マンションを売却するときには、いつまでに、どんな準備をすればよいのかを知っておけば、余裕をもって対応することができるでしょう。売却の依頼から、売却期間中に気をつけておきたいポイント、売却後にしなければならないことなど、売却の流れについて紹介します。

マンション売却の流れ

1.前準備

マンションを売却しようと思ったら、事前準備が大切です。なぜ売却するのか、理由を明確にしておきましょう。なぜなら、売却活動をはじめたときに、内覧希望者から売却理由について聞かれることがよくあるからです。

転勤でやむを得ず、家族が増えたことにより手狭になったので広いマンションに住み替え、子どもが独立したので狭いところに住み替える、など明確な売却理由があれば問題ありません。しかし、離婚などが原因で売却をするときには、ネガティブな印象を与えてしまいかねないので、内覧希望者に伝えるべきか迷うこともあるでしょう。

離婚が理由で売却する際は、不動産会社の担当営業に伝える必要がありますが、購入した人に伝える必要はありません。また、住宅ローンが残っている場合には、どれくらいの残債があるか確認しておきましょう。それから、売却を依頼するにあたり、必要になる書類を調べておくことも大切です。近隣のマンション売却価格の相場についてもみておくと参考になります。

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2.仲介業者への依頼

マンションの売却をすすめるためには、不動産仲介業者に依頼する必要があります。まずは、インターネットで不動産一括査定サイトを利用して、複数の不動産仲介会社に簡易査定を依頼してみましょう。査定は無料です。

仲介業者への依頼

規模の大きな不動産仲介業者、地元にある不動産仲介業者などそれぞれの得意分野が違う特徴をもつ会社を選ぶことをおすすめします。不動産一括査定サイトでは、売却するマンションの価格の目安を知るうえでは有効です。しかし、実際に室内をくわしく査定しないとより正確な査定額を出すことができないため、その場合は訪問査定を依頼する必要があります。

不動産仲介業者に売却活動を依頼する際には、媒介契約を締結しなければなりません。媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約があり、その中でどれかひとつの契約を選択します。訪問査定から媒介契約に至るまでには約1~2週間ほどみておくとよいでしょう。

一般媒介契約

一般媒介契約は、複数の不動産仲介業者に売却を依頼できることがメリットです。一方で、依頼された不動産仲介業者にとってはせっかく売却活動を積極的に行っても他の業者で売却されてしまうかもしれないので、業者によってはあまり積極的に売却活動をすすめてくれない可能性があります。一見、複数の業者に依頼すれば売却のチャンスが広がるようにみえるのですが、そうではない場合もあるのです。

専任媒介契約

専任媒介契約は、ひとつの不動産仲介業者に売却を依頼する方法です。依頼する側にとっては担当がひとつの業者に絞れるので、連絡も煩雑にならないというメリットがあります。また、不動産仲介業者にとっても売却をすることができれば確実に仲介手数料を得られます。責任をもって売却活動の進捗状況を報告してもらえるでしょう。

しかし、売主が知人など自ら買主を探してきたときには専任媒介契約を結んでいたとしても業者は、仲介手数料を得られないことがあります。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、専任媒介契約よりも不動産仲介業者に課される仕事が増え、売主に報告する頻度も多くなります。しかし、売主が自ら買主を見つけてきた際に専属専任媒介契約を結んでいる業者であれば、自ら仲介できるので仲介手数料を得ることが可能です

3.売り出し

不動産仲介業者との間で媒介契約を結ぶと、マンションの売り出しが開始します。不動産業者がインターネットや紙媒体などで、マンションの広告や宣伝をしてくれますので、内覧が入ったときの準備をしておく必要があります。掃除や簡単な修繕はしておいたほうがよいでしょう。

売り出しの場合

不動産仲介業者から内覧希望の知らせを受けたら、購入希望者が気にする場所は特に念入りに掃除をすることが大切です。玄関は最初の印象を決定しますし、キッチンやお風呂、洗面の水周り部分は清潔に保っていないと印象が悪くなってしまうでしょう。リビングには余計なものを置かないように、すっきりと広く見せるようにします。購入希望者から直接いろいろな質問をされることもあるので、ていねいな応対を心がけましょう。

もし、頻繁に内覧希望者がいるにもかかわらず、なかなか購入に至らないのであれば、室内に問題があるのか、価格なのか、なにかしらの購入を見送る理由が考えられます。内覧が多くても決まらないのはストレスになりかねませんので、不動産仲介業者に見送りになった理由を確認して対策することが大切です。

内覧した人がマンションを購入する意思を示したときは、購入申込書(買付証明書)を不動産仲介業者に提出します。購入申込書には、購入希望価格が記載されています。実際に売り出している価格よりも安い価格を提示されることもあるので、どこまで値引きが可能かを事前に考えて交渉そなえておくとよいでしょう。

マンションの売り出しの準備から、購入希望者があらわれて、購入申込書を受取るまでには約2カ月~1年くらいかかります。もし1年以上売却がすすまないようであれば、原因をつきとめて、対策を考える必要があるでしょう。

4.契約売買から引き渡しまで

購入希望者と最終的に売却価格が折り合えば、買主との間で売買契約を取り交わします。マンション売却にあたりさまざまな書類が必要になりますので、不動産仲介業者に準備が必要な書類を確認しておきましょう。

不動産仲介業者が売買契約書を作成しますので、決済の前に契約書の内容を確認します。不明な点があれば、遠慮なく聞きましょう。また、決済時には買主から一定の手付金を受領します。残りの金額はマンションを引き渡す日に受領することになります。買主が現金のみで購入するときは、決済は契約した日から1カ月くらいをみておきましょう。

一方、買主が住宅ローンを利用するときには、もう少し時間がかかることもあります。決済は銀行ですることが多いです。売主、買主、不動産仲介業者の担当者、登記に関わる司法書士が同席します。もし、売却したマンションに住宅ローンが残っているときには、ローンの契約や抵当権の抹消を行う必要がありますので、早めに段取りをきめて準備しておきましょう。
通常は決済に立ち会った司法書士に同時に依頼することが可能です。

最後に、鍵や必要な書類などを買主に渡して売却が完了します。売買契約を取り交わしてから、マンションを引き渡すまで1カ月くらいはみておいたほうがよいでしょう。

5.確定申告

マンションを売却し、無事買主に引渡しが完了すると一安心です。しかし、マンションを売却した翌年には、不動産の売却益や売却損に対して確定申告が必要になります。もし購入したときの価格よりも売却した価格が低かったら、利益が出ていないため確定申告は義務ではありません。

しかし、利益が出ていない場合でも、給与所得などと損益通算が可能になるので税金が還付される可能性があります。そのため、売却した価格が低くても確定申告をしたほうがよいでしょう。一方、売却した価格が購入時よりも高く売却できたときには、売却益となるので譲渡所得の申告が必要です。しかし、自宅として所有していたマンションは税制上の優遇措置があります。

したがって、よほどの売却益がでない限り税金を納付する可能性は低いでしょう。

マンションがなかなか売れない理由は?

マンションがなかなか売れないのはなぜ?

マンション売却には多くのことを準備しなければならず、時間もそれなりに使います。もしなかなか売却がすすまないときには、理由について確認しておくことが大切です。

なかなか売れない理由としては、内覧時に室内の掃除が十分でなかったためによい印象を残すことができなかった可能性があります。また、忙しくて内覧自体対応しなかったという場合も売れない理由につながります。なぜなら、マンションは大きな買い物になるために、購入希望者は内覧して決めたいと考えるものです。内覧対応をしないことで、売却のチャンスを逃している可能性があります。

もし、購入希望者がいままでに複数いたとしても、毎回価格交渉が入る場合は、近隣相場よりも高めの価格である可能性が考えられるでしょう。価格交渉はあるものと認識して、できるだけ柔軟に応じることが大切です。

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まとめ

 マンションを売却するためには、売却理由を明確にしてから不動産仲介業者を選定し、内覧から契約に至るまでさまざまなことを的確にすすめていく必要があります。事前にマンション売却について大まかな流れを知っておくことで、売却したいときから逆算して計画的に準備することが可能です。この機会に売却の流れについてぜひ勉強してみましょう。