この記事でわかること ・解体費用の相場はおよそ100万~300万ほど ・解体費用は家の大きさ・坪数、立地条件や近隣の状況などによって変動する ・家を解体することによって土地の買い手が付きやすくなる |
家を解体したいと思う動機には、新しい家を建てるためや遠方にある誰も住まない実家を取り壊したいなど、人それぞれ事情があることでしょう。
しかし、家を解体することで結果的に損をしてしまう可能性もあります。
今回の記事では、家の解体費用を安く抑えるコツや解体する際の注意点を解説していきます。
この記事の目次
家の解体を検討する方がよいケース
古い家つきの土地を相続した場合、どうしたらいいのかと悩む人は多いのではないでしょうか。
ここでは家の解体を検討する方がいいケースについて述べていきます。
更地で買い手がつきそうな場合
土地の売却の際に更地の場合は買い手がつくケースが多いです。
そのため、家を解体することは思う以上に損にはならないかもしれません。
古い家付きの土地を売り出しても、建物自体に価値はほとんどなく、買い手にとっては解体費用を負担しなくてはならないため、手を出しづらいという気持ちになりやすくなります。
したがって、売り手側で家を解体して売り出したほうが買い手も興味を示しやすくなる可能性も高いです。
倒壊のおそれがある場合
あまりにも家が古すぎて倒壊のおそれがある場合や衛生上問題がある場合などは、すぐに解体したほうが良いでしょう。
自然倒壊によって人やものを傷付ける事態に発展してしまった場合には、損害賠償のリスクが発生します。
家を解体して更地にしたあと、他に有効的な活用手段を選択する場合も解体を検討しなければなりません。
新しく家を建てたり駐車場にしたりする計画があるのであれば、1度更地にする必要があります。
解体費用の相場は?価格が決まる4つのポイント
家の解体費用がいくらくらいか気になる人は多いでしょう。
解体費用はおよそ100万~300万ほどかかると言われており、ここでは解体費用を決める4つのポイントについて解説していきます。
1.家の大きさ・坪数
これは家のサイズが大きくなるほど解体費用がかさむことを意味します。
しかし、家の造りによって坪単価の解体費用は異なるので注意が必要です。一般的な解体費用の坪単価は下記の通りです。
木造家屋 1坪 |
2.5万円~6万円程度 |
鉄骨家屋 1坪 |
3万円~6.5万円程度 |
RC構造家屋 1坪 |
3.5万円~7万円 |
これらの相場に坪数をかけて、その他の工事費用を足したものが解体費用となります。
2.人件費などの工事費用
作業人数が増えたり、作業にかかる期間が長くなるほど人件費は高くなっていきます。
基本的に解体現場には警備員が配置されるため、警備員の人数によっても金額が異なるでしょう。
また、近隣の家や土地とのスペースが狭く足場などを組む場所が確保できないケースでは、作業効率が悪くなり作業日程も伸びやすくなるため解体費用に影響が出ることも多いです。
工事費用には解体業者の利益も絡んでくるため、解体費用のなかでも金額を決める上で大きな要素となっています。
3.廃棄物処理費用
家の解体作業は、発生した廃材を撤去する工程を経て完了します。
しかし、廃材は一般の家庭ごみなどの処理方法とは異なり、適切に処分する必要があります。
金属など廃材の種類によってはリサイクル業者に買い取ってもらうことが可能なため、多少処理費用を浮かせることができますが、多くの廃材は費用を支払って処分をしなくてはなりません。
4.立地条件や近隣の状況
立地条件や近隣状況の作業のしやすさも解体費用に影響します。
隣の家と近接している場合、重機が入りにくく手作業が増えるため解体費用がかさみやすくなります。
また、立地条件によっては騒音や粉塵の飛散への対策などが必要になる場合もあります。
防塵シートや防音パネルで覆うなどの手間や時間がかかるため、解体費用にも影響しやすくなります。
家の解体費用の内訳は?
解体費用の内訳は、主に建物取壊費用が30%〜40%、廃棄物処理費用が30%〜40%、諸費用が20%〜30%、解体業者の利益が10%〜20%に分類されます。
それぞれ詳しくご紹介していきましょう。
建物取壊費用
「建物取壊費用」とは、家を取り壊すのに必要な費用になります。
内容は、以下の通りです。
|
また、先述したように建物の構造、坪数、立地条件などによっても価格が変動します。
木造 | 鉄骨造 | RC造(鉄筋コンクリート造) | |
---|---|---|---|
20坪 | 60万~100万円 | 80万~140万円 | 120万~200万円 |
30坪 | 90万~150万円 | 120万~210万円 | 160万~280万円 |
40坪 | 120万~200万円 | 150万~240万円 | 200万~320万円 |
上記の表を見て分かる通り、使用されている素材が頑丈になるほど、解体に技術や機材が必要となるため、木造、鉄骨造、RC造(鉄筋コンクリート造)の順に、費用が高くなる傾向にあります。
廃棄物処理費用
建物を取り壊すと、木くずやタイル片、コンクリート塊などの廃棄物が発生します。
その廃棄物を処理するための費用が「廃棄物処理費用」です。
一般的な二階建ての木造住宅(約30坪)を解体した場合、4トントラックで5〜10台分の産業廃棄物が発生します。
木くずの処理費用は比較的安く抑えることが可能ですが、タイル片やコンクリート塊などの重い廃棄物の処理費用は高くなる傾向にあります。
これらの廃棄物は、家庭ごみのように一般のごみ処理場に持ち込むことはできません。
種類によっては、手作業で分別することが決まっている工程もあるため処理費用を値下げすることは困難でしょう。
諸費用
諸費用に該当するものには、建設リサイクル法や道路使用許可などの各種書類の作成や申請費用、近隣へのあいさつ費用、重機の駐車スペースの借地料などがあります。
その他、ブロック塀や樹木や石、井戸があるなどの場合には「付帯工事費用」が加算されます。
解体の流れ
実際に、家の解体はどのような手順で進むのか気になりますよね。
以下の表に手順と内容や注意点をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
手順 | 内容・注意点 |
---|---|
1.見積もり・解体業者を決める | 解体業者選びは複数の業者に見積もりを依頼したうえで、信頼できる会社に依頼しましょう。 |
2.事前準備 | 解体工事を行う期間が決まれば、事前に近隣住民へあいさつを行っておくとトラブルを避けやすくなります。また、電気・ガス・水道といったライフラインの契約停止の連絡をしておきましょう。ただし、解体時に水をまいてホコリを防止する可能性のある水道については業者に確認したうえで手続きを進めます。 |
3.解体作業 | 周辺の解体作業を行ったあと、人力による作業を行い、内装やドアなどを解体していきます。その後重機を使用した作業に移ります。建物を支えていた基礎部分のコンクリートを掘り起こして、解体作業は完了です。 |
4.整地 | 解体が終わった後は地面に激しい凹凸が残るため、土地を整える作業を行います。 |
5.廃棄物の処理 | 古家の解体で発生した廃棄物は法律に従って処分する必要があります。解体業者は、廃棄物の運搬や処理に関する記録を保管しなければならないため、廃材の処分が終わる頃に業者に連絡をとれば、その記録を見せてもらうこともできます。 |
解体のスケジュールや注意点についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
家を解体する際のメリットと注意点
家を解体するか悩んでいる方にとっては、解体におけるメリットと注意点を事前に把握することで判断材料にしたいですよね。
家を解体するメリットと注意点には以下のようなものがあります。
【メリット】
- 土地の買い手が付きやすくなる
【注意点】
- 近隣住民への配慮
- 費用が安いだけで選ばない
- 建物滅失登記を行う
- 更地にすると税金が高くなるケースも
それぞれについて詳しくご紹介していきます。
【メリット】土地の買い手が付きやすくなる
家を解体して売却することで、土地のイメージが付きやすくなり、高値で売りやすくなったり、買い手が付きやすくなります。
古い家が建ったままの土地は「古家付き土地」として売却することも可能ですが、古い家の価値は低く、土地の値段だけで売りに出すことになってしまいます。
買主にとっては購入後に自分で建物を解体する必要があり、手間やコストがかかってしまうため、古家付き土地は敬遠されがちです。
解体してから売却を行えば、買主側に解体費用はかからず、購入後に買主がその土地を自由に使えるため需要が高くなります。
【注意点】近隣住民への配慮
解体工事には少なからず音や振動が発生するため、近所と騒音トラブルにならないように配慮する必要があります。
完全に騒音をゼロにすることは難しいですが、防音に努めることはトラブルを避けるためには重要な要素です。
また、隣との距離が近い場合は養生にも努めて、隣の土地や家屋を傷つけないよう配慮しましょう。特に隣家の境目には気を遣う必要があります。
塀にヒビが入ったなどというトラブルは、家の解体でよく聞かれるものです。
また、家の解体では粉塵などのホコリも多く出ます。
近隣とのトラブルを避けるためには、解体工事前に挨拶へ行き工事の日程などを説明しておくことが大切です。
【注意点】費用が安いだけで選ばない
建設リサイクル法によると、80平方メートル以上を持つ延べ床面積の建物は、許可証がある業者でしか行えません。
あまりにも見積もり金額が安い場合は、許可証のない業者かもしれないので注意が必要です。
業者選びの際は必要な許可証があるか、マニフェスト(産業廃棄物管理票)をきちんと持っているかなど、書類の確認をしっかりと行いましょう。
業者のなかには利益を第一優先して廃材を不法投棄する業者もいます。
もしも頼んだ業者がそのような不法行為を犯した場合、依頼主も罰せられたり事情聴取を受けたりする可能性があります。
※平成22年の廃棄物処理法改正により、産業廃棄物処理の責任は完全に解体業者責任と明記されました。
このため責任を問われるようなことがないですが、万が一解体業者が逮捕などになってしまうと、解体業務の停止や解体業者の余罪の確認のための任意事情聴取など時間がかかりますので、安かろうは悪かろうだと思って判断したほうがよいでしょう。
業者選びは解体費用の安さだけで判断しないようにすることが重要です。
【注意点】建物滅失登記を行う
家を解体したあとは1カ月以内に法務局での建物減失登記が義務付けられています。
建物滅失登記を行わない場合、土地の売却ができないことや、解体した建物に固定資産税がかかり続けることなどのデメリットが生じます。
さらに、手続きを怠ると10万円以下の過料が課せられる場合があるため忘れないようにしましょう。
【注意点】更地にすると税金が高くなるケースも
土地に家が建っている場合と建っていない場合では、固定資産税の額が大きく違ってきます。
固定資産税は住宅用の土地に対して3分の1〜6分の1まで額を低く設定しています。
住宅用地とは、家屋が立っている土地のことを指します。
古家も家として認められているため、むやみに解体してしまうと最大で固定資産税が6倍にもなってしまう可能性があります。
ただし、古い家を取り壊して新たに家を建てる場合は、解体しても固定資産税は高くならずに済みます。
しかし、ここで気をつけるべきなのは、固定資産税の額は毎年1月1日時点の状態で決定されるということです。
1月1日に家が建っていればその年の固定資産税は住宅用地のままになります。
そのため、家を解体しても翌年1月1日までの間に、その土地に新築が建っていれば、無駄に高い税金を払わずに家の解体が行えます。
もし、古家を解体して更地になったところを駐車場にしたいと考えている場合は、その土地は住宅用地としては認められず、固定資産税は高くなるため注意が必要です。
家を解体したあとの使い道についても、固定資産税の知識は生かすことができるでしょう。
解体費用を安く抑える方法
解体費用は、なるべく安く抑えたいですよね。
解体費用を安くする方法には、以下のようなものがあります。
- 事前に片付けをしておく
- 補助金や助成金を利用する
- 「空き家解体ローン」や「住宅ローン」を活用する
それぞれについて詳しくご紹介していくので参考にしてください。
事前に片付けをしておく
家屋の中にある生活ゴミや家財などの産業廃棄物以外のゴミの処分費用は案外高く、面倒だからとすべて業者に任せると結果的に損をしてしまう恐れがあります。
リサイクル業者に売ったり、クリーンセンターに引き取ってもらったりして自分で処分すると安上がりになることもあるので活用すると良いでしょう。
また庭木や雑草などが生えている場合、事前に自分たちで伐採したり、処理しておくと費用を削ることができるかもしれません。
補助金や助成金を利用する
現在人口減少や高齢化、都市部への人口集中などにより地方などに居住者が済まなくなった家が放置される「空き家問題」が深刻化しています。
その対策として、多くの自治体では独自の助成金・補助金制度を設けています。
制度名や補助額は自治体によって異なりますが、解体費用の1/2もしくは上限50万円の補助金が支給されます。
該当する自治体で詳細を調べてみるとよいでしょう。
「空き家解体ローン」や「住宅ローン」を活用する
「空き家解体ローン」とは、住宅ローンと同じように金融機関での借入れを利用することができるローンです。
空き家問題は国や自治体としても解決を促進したいため、その要請を受けて、多くの金融機関が無担保・低金利の「空き家解体ローン」を取り扱っています。
また、解体後に家を新築する予定がある場合は、解体費用を住宅ローンに組み込める場合があります。
売却を前提とした解体の場合は、使用目的が自由な「フリーローン」や、金融機関が独自の審査基準で融資してくれる「プロパーローン」が利用可能です。
住宅ローンでの資金調達を検討する段階で、金融機関に相談してみるとよいでしょう。
解体業者を選ぶ際のポイント
解体業者を選ぶ際は、見積もりを必ず複数の業者から取ることがポイントです。
良い業者を見極めるコツは、見積書に細かく費用内訳を記載しているかになります。
ただ単に「解体費用一式〇〇万円」とだけ書いてあり、詳しい費用内訳の記載がないところは怪しいと思ったほうが良いでしょう。
依頼主側が余分な費用を支払っている可能性があります。
また、ハウスメーカーなどから紹介された業者を使うと、紹介料として解体費用の2割〜3割程度取られてしまうこともあるので、業者選びは時間や手間がかかってもなるべく自分で行うことが節約にも繋がります。
不動産の査定額を把握して解体費用の目安にしよう
家の解体は遠方の実家を相続したときなどに発生する悩みです。
頻繁に手入れができず、かといって放っておくこともできないという状況は、この時代多く見られます。
もしも不動産の売却を考えているなら、家の解体を検討してみるのも良いでしょう。
まずは所有している不動産の査定額を知っておくことをおすすめします。
そうすることで、おおよその解体費用の目安がわかるので、解体が利益になるか損するかの予想がしやすくなります。
ただし、査定も一社だけであればその金額が高いのか安いのか判断するのは難しいでしょう。
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