不動産会社に依頼して不動産を売却もしくは購入する場合には、仲介手数料を支払う必要があります。不動産取引では大きな金額が動くこともあって、仲介手数料も比較的高額なことが多いものです。そのため、事前にいくらかかるのか予想しておいた方が安心でしょう。
その際、単に不動産会社の言い値を聞くのではなく、仲介手数料の計算方法も知っておき、妥当な金額なのかを判断できるようにしておきたいものです。
また、不動産会社によって仲介手数料の価格は大きく異なる場合があります。なぜそのような差が生まれるのかは、一般の人にとってはわかりにくいものです。
しかし、不動産仲介のしくみを知れば、不動産会社がしてくれる具体的な仕事の内容と、仲介手数料の価格を照らし合わせながら、どの不動産会社を選択すべきか判断する助けにもなります。
そこで、仲介手数料の意味や計算方法、不動産会社によって仲介手数料の価格に差が出る理由など、詳しく解説します。
この記事の目次
不動産売買に必要!仲介手数料とは一体?
不動産の売却を不動産会社に依頼して、実際に不動産を売ることができたら、仲介手数料を支払うことになります。また、不動産会社に探してもらった不動産が気に入って実際に購入できた場合も、不動産会社に仲介手数料を支払わなければなりません。
この不動産売買で必要となる仲介手数料とはそもそも何なのか説明しましょう。
仲介手数料とは
不動産の売却を不動産会社に依頼すると、不動産会社と「媒介契約」と呼ばれる契約を締結することになります。これは、宅地建物取引業法という法律が不動産会社に義務付けており、どの不動産会社であっても必ず行うことです。
媒介契約
不動産を売却するために買主を探す
さまざまな準備をして売買契約を成立させることを約束する
それに対して
■売主
不動産会社に媒介報酬を支払う=仲介手数料
というのが大まかな媒介契約の内容です。
購入する不動産を不動産会社に探してもらうことを依頼する場合にも、不動産会社との間に媒介契約は結ばれます。これも宅地建物取引業法による不動産会社の義務です。ただ、売却の場合と異なり、物件探しを依頼したタイミングで媒介契約を行うことは、実際には少なくなっています。
なぜなら、不動産会社に物件探しを依頼する時点では、他の多くの不動産会社にも声をかけている人が多いからです。特定の不動産会社から必ず不動産を買うという意思はなく、良い物件を見つけてくれたら買うという程度といえます。
その段階で媒介契約書への署名・捺印を求めるのは客の意思にも合わないため、すぐには媒介契約書を交わさないのです。取引の現場では、特定の不動産に対して購入の意思を売主側に伝えるタイミングなど、その不動産会社で購入手続きを勧めることが確定してから媒介契約は締結されています。
媒介契約の中身は、不動産会社が売主との間で売買契約が成立するように働き、その対価として買主が仲介手数料を支払うという内容です。
いずれにしても、不動産会社の仲介手数料請求は、売主や買主との媒介契約を根拠にしているものです。媒介契約書には、仲介手数料の額や売買金額に応じた手数料計算方法が記載されています。
そもそも媒介契約が必要とされるのは、高額な商品である不動産の取引には専門家のサポートが必要だからです。不動産会社は依頼主のために次のような仕事をします。
不動産会社の流れ
売主から依頼を受けた不動産会社は、まず物件の価格査定を行います。物件の権利関係の調査や、売却後に問題になりそうな物件の不具合などもしっかり調査し、周辺の取引事例などを参考にしながら価格を評価するのです。
また、市場の動向を見ながら販売戦略を立て、それを背景に売主との間で売出価格の相談をします。
実際に売り出しを始めたら、物件の広告宣伝活動や他の不動産会社への情報提供を行い、購入希望者を探すのも中心的な仕事です。購入希望者側と価格や契約条件の交渉を売主の意向を確認しながら行い、売買契約成立に向けて努力をし、契約書や重要事項説明書等の契約に必要な書類の作成も行います。
さらに、売買契約の締結や所有権移転登記、代金の受領や物件の引き渡しが滞りなく行われるように、当事者間の調整を行うことも大切な業務です。特に、売買契約書には後々トラブルにならないように細かい規定があり、契約内容を当事者にしっかりと理解をしてもらうため、不動産取引の専門家として厳密に説明をしなければなりません。
購入希望者から依頼を受けた不動産会社も、希望に沿うような物件情報を探索し、実際に現地に案内をしながら専門家として購入の是非についての相談に乗ります。また、物件が買主にとって安全に取引できるものなのかどうか、法律的な権利関係について調査するのも仕事です。
また、物件の価格はもちろん、買主が不利にならないような条件を売買契約に盛り込むなど、売主側との交渉も行います。さらに、買主の住宅ローンの手配をサポートし、安全に代金の決済や物件の引き渡しが行われるように確認準備しなければなりません。
このように、媒介契約を締結した不動産会社は、専門家としてさまざまなサポートを行い、売買契約が成立するように努力をします。仲介手数料はこれらの仕事の対価として支払われるというものなのです。
さらに、売買契約締結後に当事者間でトラブルが起こった場合に、不動産会社の仲介業務が不十分だったと判断されれば、不動産会社が重い仲介責任を問われ損害賠償をしなければならない場合もあります。不動産会社としては、重い仲介責任と引き換えに仲介手数料を受領しているともいえるのです。
仲介手数料は不動産会社にとっては仕事の対価として重要なものです。そのため以前はほとんどの不動産会社が法律で認められた仲介手数料の上限額を受けとるのが当たり前でした。しかし、最近は不動産業界でも価格で競争をする会社も出てきています。
仲介手数料を上限額の半額にしたり、中には無料にしたりする会社もある状況です。
仲介手数料がかかるのはいつ?発生の条件
不動産会社から仲介手数料を請求されて支払わなければならない時期はいつでしょうか。仲介手数料の発生時期について説明しましょう。
「不動産会社の仲介手数料(媒介報酬)を請求する権利が発生するためには」
◇不動産会社が実際に仲介業務(媒介行為)を行っていることも要件
◇仲介業務によって売買契約が成立したことが最後の要件
です。
これらの3つの要件がそろわないと、不動産会社は仲介手数料を請求することはできません。そのため、不動産会社がどんなに売買契約成立のために力を尽くしたとしても、売買契約が成立しなければ仲介手数料はもらえないのです。
たとえば、売却不動産の広告宣伝のためにどんなに費用をつぎ込んだとしても、実際に売買契約に至らなければその費用は全くの無駄になってしまうことになります。これは、仲介手数料の請求権が、売買契約が成立したことによってはじめて成立する「成功報酬」であることが理由です。
売買契約が成立したら依頼者は全額の仲介手数料を支払う義務があります。しかし、取引の実際では、売買契約締結時には買主が手付金を支払うことはあっても、残代金の決済や物件の引き渡し、所有権移転登記手続きは行われません。
この売買契約締結後の決済業務も契約の目的を達成するために非常に重要な業務です。にもかかわらず、売買契約締結と同時に仲介手数料の全額を支払うのは、依頼者からすれば不安な面もあります。
仲介手数料を支払った途端に、不動産会社がしっかりサポートしてくれなくなる可能性もなくはないからです。
そこで実際には、売買契約締結時に仲介手数料の半額を支払い、代金決済・引き渡し完了時に残りの半額を支払うとすることが行われています。また、不動産会社によっては、売買契約締結時には仲介手数料の支払いを求めず、代金決済・引き渡し時に一括して仲介手数料を支払ってもらうことにしている会社もあります。
仲介手数料の支払い時期などの条件は、媒介契約書に記載されますので、媒介契約締結時にしっかり確認し、説明を受けておくことが大切です。
なお、一旦売買契約が成立すると、法律的には有効に仲介手数料の請求権が発生します。そのため、当事者の債務不履行による解除や、解約手付条項を利用した解除、売主と買主との合意解除などによって契約が解除されても、仲介手数料は支払わなければならないことになります。
売買契約成立に尽力して実際に契約が成立したにもかかわらず、当事者の過失や勝手な都合で手数料がもらえなくなるのは、不動産会社に酷だからです。ただ、債務不履行による解除に不動産会社の仲介業務における不注意が関わっている場合には、仲介手数料は発生しません。
また、買主の住宅ローンが成立せず、売買契約上のローン特約条項によって解除された場合にも、仲介手数料を支払う必要はなくなります。売買契約自体に特約を設けてある以上、このような解除は不動産会社も十分に予想できることと、当事者が意図的な行為で生じる解除ではないというのが理由です。
仲介手数料(媒介手数料・媒介報酬)の相場
仲介手数料は宅地建物取引業法という法律によって売買価格に応じた上限額が決められています。たとえば上限額以上の報酬を請求するといったことは、法を破ることになるので業者には罰則が科せられることになります。
また、取引慣例で上限額がそのまま請求されることが多く、特段の事情や業者の自助努力で割引を設定していない限りはほぼ上限額がそのまま請求されることになるでしょう。
仲介手数料は、契約成立後に発生することになります。
支払のタイミング
◇決済時50%
という支払方法が行政によって指導され、一般的
仲介の依頼者の特別な要望によって、通常の仲介業務以上の費用が発生した場合は実費のみ請求されます。(仲介料で賄えないような高額な広告を依頼する等)
上限は3%、下限は0%!!!
上述した手数料はあくまで上限なので固定ではありません。つまり、3%以下であればいくらに設定しても問題ないのです。昔は慣習的に3%(上限)を支払うということが多くありました。
1億円の不動産を売却しても仲介手数料が0円になる場合もあるのです。
「え?3%プラス6万円だから・・・306万円、かかるんじゃないの?」そう思われるかたもいるかと思いますので、下で解説します。
大昔の法律?
そもそも仲介手数料とは
なのです。不動産会社はこの仲介手数料から、広告費や販売にかかった諸費用、更には営業マンの人件費を支払っています。
更に言えばこの仲介手数料こそが不動産会社の収入源になるのです。そのため、この大きな収入源である仲介手数料は上限いっぱいを請求することが不動産業界の慣習のようなものとなっていました。
しかし、法律上定められているのは、あくまでも上限です。「3%プラス6万円を上限とする」ことが法律で定められたのは40年以上も前のこと。40年も昔と今とでは不動産業界の市況も大きく変化し、通信手段も大きく発達してきました。その中で変わっていないのは法律だけなのです。
現在ではインターネットの普及などにより営業活動の方法も多様化しています。そこで、広告費や人件費といった営業活動費から仲介手数料の値引き分を捻出する企業も出てくるようになりました。
実際に「仲介手数料半額!!」や、「仲介手数料最大無料!!」などといった広告を打ち出している業者も多く見かけるようになってきています。
仲介手数料(上限額)一覧
取引額 |
仲介手数料額(税別) |
100万 |
5万 |
300万 |
14万 |
500万 |
21万 |
1000万 |
36万 |
2000万 |
66万 |
3000万 |
96万 |
5000万 |
156万 |
8000万 |
246万 |
あれ?3%+6万円じゃないの?という疑問を持つ方もいるでしょう。上記の計算は、式があるので簡単にできます。
仲介手数料(上限額)の計算方法
仲介手数料は、金額によって料率が定められています。仲介手数料が3%となるのは売却価格が400万円以上の場合のみとなり、400万円以下では下記のように規定されています。
売買価格(税別) |
手数料率 |
~200万円の部分 |
5% |
200~400万円の部分 |
4% |
400万円以上の部分 |
3% |
総額が仮に2000万円であれば
=200万×5%=10万円
■200~400万円の部分に4%
=200万×4%=8万円
■400万円~2000万円の部分に3%
=1600万×3%=48万円
よって仲介手数料は 10+8+48=66万円
となります。
毎度毎度この料率に合わせて、分解して計算すると答えは出ますが、それでは手間がかかって仕方ありません。
面倒!良くわからない!という人は速算式で計算を
実際には、分解した式をまとめる速算法があります。
速算法
=売買価格×5%+消費
■200~400万円まで
=売買価格×4%+消費税
■400万円以上
=売買価格×3%+消費税
なぜこのように速算が出来るのでしょうか。
400万円以下の場合
⇓
200万×1%の2万円をプラスする
400万円を超える場合
200万円部分で2%分=4万円
200~400万円部分で1%分=2万円が足りない
そのため、6万円をプラスする事で速算が可能
例えば3000万円の不動産を売却した際に不動産会社に支払う仲介手数料は
3000万の3%+6万円なので
96万円となる
全国的に400万円以下の物件というのはあまりなく、さらに+6万円を明快に説明することが難しいため「仲介手数料は3%」という言葉が独り歩きしているかもしれませんが、法で定められた決まりは上記の内容なのです。
手数料計算の間違いやすいポイント
不動産の価格は消費税込みで表示されています(不動産の表示に関する公正競争規約施工規則)。不動産の中で建物は課税対象、土地は非課税であるため、
となりますが、仲介手数料の算出には消費税抜きの売買価格が必要なので建物の消費税価格を算出する必要があります。仮に、売主が不動産業者の、3000万円(税込)の戸建てを購入する仲介をした場合、建物価格には消費税が含まれています。
例:「建物1,296万円(税込)+土地1,704万円」だった場合
⇓
税抜の建物代1,200万円+土地代1,704万円=2,904万円
に対して仲介手数料がかかる
消費税の2重取りにならないように計算をする必要があります。これは、不動産業者が売主の場合に限り個人所有の不動産売買の際には課税が無いので消費税計算をする必要はないとなっているためです。
なぜ、「仲介手数料無料」が可能なのか?
かつて仲介手数料は上限一杯を請求することが一般的でした。それは高額売却に向け、多額の広告費や人件費をかけている以上、なかなか削ることのできない部分でもありました。
しかし近年、売買に特化し、店舗を持たないことで固定費を抑えたり、インターネット広告に特化することで広告費の最適化をはかるなどし、なんとか費用を抑え、手数料の値引きを行っているのです。
「じゃあ仲介手数料が安いほうがいいに決まってるじゃん!!」
確かに、仲介手数料の値引きは各不動産会社の営業努力の賜物です。反対に、手数料を3%請求するのは悪なのでしょうか?いえ、そうとは限りません。
そもそも仲介手数料とは
なので、いくら手数料が安くとも安く売却してしまっては元も子もありません。
極端な話ですが、同じ物件であっても
手数料無料だった!でも5000万円にしかならなかった・・・
なんて話も起きてしまう可能性があるのです。手数料を3%請求しているということは裏を返せば営業活動費、広告費に費用を割いている、という捉え方もできるのです。
結果的にどちらがいい?
この問いに対しての答えは、あるようでないといったほうがいいでしょう。それは物件の市場価値、希望の売却時期、更にはお住まいの地域によっても状況が変わってくるからです。詳しい話を聞いてみたい、という方はお住まいの地域で不動産売買に強い、人気店を複数社ご紹介することができます。
仲介手数料が高い、安いだけでなく、販売活動の方法、更には物件によって得意不得意もあるので複数の不動産会社から比較検討することが重要になってきます。各地域の人気企業様だけを紹介しているので、一度じっくりとご相談してみてはいかがでしょうか。
「仲介手数料無料」でなくても手数料を払わなくてOK!?
契約が成立したら仲介手数料は支払わなければならない。不動産仲介は法律で定められた免許業で、誰でもできるわけではない。参入障壁も高い専門職だ。専門家に依頼したら報酬が必要なのは当たり前なので、その前提は頭に置いておこう。
手数料が無料となるもしくは払わなくていい場合は、例えば売主が不動産業者で、売主買主双方の仲介に入る場合は、仲介業者は双方から手数料をもらえるので、買主の負担を減らすためにサービスをする業者も多い。
また、契約後にローンが組めなくなり白紙解約になった場合も当然に仲介手数料は返金される。その他事由によって契約が破棄となった場合も仲介手数料は返金される。ただし、利息は付加されない。
仲介手数料以外に必要な費用
不動産売買の際には、仲介手数料以外にも諸費用が必要となります。購入する場合は特にその諸費用が多くなるので気をつけましょう。
購入する場合
住宅ローン保証料
登記費用
ローン手数料
印紙代
固定資産税
不動産取得税
管理費・修繕積立金精算分
決済日から日割り計算
火災保険料
購入の際、ローン借入額が購入価格の8~9割程度の場合、諸費用額は購入価格の7~8%程度となることが多いです。3000万円位の物件を買う場合は、諸費用が250万ほどかかることを想定しておく必要があります。
売却する場合
印紙代
抵当権等の抹消
所得税・住民税
売却する際には、購入時よりも費用は少ないですが、確実に売却が出来る状況を整えておく必要があります。住宅ローンの残債がある場合は、売却価格が残債を上回っていなければ追加で現金を負担する必要もあるので注意が必要です。
注意が必要な不動産会社の特徴
今どきは、インターネット等で集客が可能なので不動産業者は数多あります。その中で注意が必要な業者の特徴は、
◇提示してくる手数料額が上限を超えている
◇手数料の項目が仲介手数料ではなく業務委託料などになっている
◇書類作成料を請求してくる
◇依頼していない業務についても手数料が請求される
等があげられます。
基本的に、仲介手数料以外の報酬は、ほぼ請求できません。それ以外に、細かく費用を設定してくる業者はおかしいと思っていいでしょう。ただ、請求を受ける段階まで来てしまっていれば契約が反故になるリスクもあるので、事前にどのような費用がかかるのかを確認しておくことが重要です。
不動産仲介をどの会社に依頼するかというよりは、誰に依頼するかという視点で捉えましょう。本気で親身になって考え、動き、結果満足のいく取引が成立したならば適正な仲介手数料を払う事に何も問題はないのです。