「地価税」という言葉を、初めて聞く方も多いのではないでしょうか。これは土地にかかる税金の名前です。この地価税は、新しい税金の名前ではなく、バブル景気の頃にあった税金の名称なのです。

土地に課税するという考え方は豊臣秀吉の太閤検地の頃から変わっていないものの、不動産にかかる税金の種類(名称や内訳)は、変わり続けています。不動産の税制は戦後も変化しており、今後も変わっていくかもしれません。

地価税とは社会的混乱を避けるための税金

地価税とは、土地を所有している人に課される個別財産税です。現在は地価税の課税が見送られていますが、あくまでも課税「停止」であり「廃止」になったわけではありません。※地価税を定めた地価税法(平成3年5月2日法律第69号)は存在しています。

地価税は社会的混乱を避けるための税金

固定資産税のように、一定の土地等を有する個人及び法人を納税義務者として課される日本の税金で、国税・個別財産税の1つです。

1980年代、バブル景気による過剰な土地投機取引で、地価が異常に高騰しました。そのころ地価税は、地価の高騰及びそれによる社会的混乱を抑制する目的で作られたのです。

地価高騰の影響で、とりわけ都市部においての土地を持てる者と持たざる者との資産格差が拡大していくことを防止することや、地上げなどによる社会的混乱・公共事業費の不経済を避けるための税だったのです。

そのため、課税対象も富裕層や大企業が主な対象でした。

地価税の歴史

具体的に説明すると、1戸当たり1000平方メートルまでの土地や1平方メートル当たりの価額が3万円以下の土地などについては非課税です。更には「個人・法人の場合は15億円以上の土地(定額控除を除く)にのみ課税する」とされました。

※1997年度以降、資本金等が10億円超の法人は5億円以上、 資本金等が1億円超10億円以下の法人は8億円以上に改定されました。

ちなみに、税率は地価税成立当時「課税対象額×0.3%」、1996年度(平成8年度)以降は0.15%です。もっともバブル経済は崩壊し、地価は大幅に下落、日本の土地に対する需要は低迷しました。

それにともない、租税特別措置法71条により1998年度(平成10年度)以降当分の間、地価税は課税されないことになったのです。しばらく、地価の急激な上昇はないとの判断でした。

実際のところ、地価も下がり課税されるほうもたまったものではないという事情もあったのかもしれません。

以上が、地価税についての詳細です。

凍結されている不動産に対する税

最後に、 現在凍結されている不動産に対する税は地価税のほかにも1973年(昭和48年)に創設された税で、特別土地保有税というものがあります。

1973年度(昭和48年度)〜2002年度(平成14年度)まで実施されていましたが、2003年度(平成15年度)以降は地価税同様、同じく当分の間、課税が見送られています。

特別土地保有税とは

特別土地保有税とは、同一の市町村内に5000平方メートル(政令指定都市などは2000平方メートルなどの場合あり)以上の土地を所有している人に、課税される地方税です。

こちらの税も地価税同様、土地の投機目的の取引を防止するためではあったのですが、バブル景気のときように土地の値上がりを規制するために設けられたものではないため「土地の有効利用が促進」、具体的には建物用の敷地や駐車場として使われている土地は課税免除となっています。

税率は、「その土地を所有開始したとき(取得)」と「所有し続けている年(保有)」の2種類があります。

取得分の税
土地の取得価額 × 税率3%=不動産取得税相当額
保有分の税
(取得後10年間)土地の取得価額 × 税率1.4%=固定資産税相当額

となります。

この税の珍しいところは、固定資産税評価額でも路線価でもなく、取得価格に課税するところです。取得価格とは、実際にその土地を購入するために要した費用のことです。

土地の購入代金はもちろん、仲介手数料、立ち退き料などすべてを含んでいます。※贈与など実際に金銭のやり取りがなかった場合は、通常の金銭やりとりがあったときにかかかるであろう金額が適用された。

そんな特別土地保有税ですが、取得分の税に関しては2003年度(平成15年度)以降は課税免除、保有分も同じく2003年度(平成15年度)以降は、課税が見送られています。