都市計画で定められた用途地域は全部で13種類あり、そのうち住居系の用途地域は8種類です。なかでも利便性の高い住居地域として第1種中高層住居専用地域があります。そこで、この記事では第1種中高層住居専用地域で家を持つ魅力やどんな規制があるかを詳しく紹介します。

第1種中高層住居専用地域の特徴

都市計画法において、第1種中高層住居専用地域は「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されています。

つまり、マンションなどの高層建築物を建てても、人が生活するうえで環境が損なわれないように考慮されている地域だということです。第1種というと、一般的には同じ住居地域でも第2種と名称がつくエリアよりは、厳しい制限が設けられています。

しかし、第1種中高層住居専用地域では、第1種住居専用地域でありながら、低層住居専用地域のような絶対高さ制限がありません。そのため、容積率に応じて、4階建て以上の中高層マンションの建築が可能なのです。

また、低層住居専用地域では病院を建てることはできず、店舗も第2種低層住居専用地域に2階建て以下で床面積が150平方メートル以下の小規模なものが建てられるだけです。

しかし、第1種中高層住居専用地域では病院や500平方メートルまでの店舗も建築することもできます。つまり、第1種中高層住居専用地域は、良好な住環境と利便性が両立できる地域なのです。

中高層住居とは

中高層住居と一口にいっても、なんとなくイメージは湧くものの、明確な定義がわからないという人もいるでしょう。

どれぐらいの高さや何階建てからが中高層になるのか、場面によって多少定義が違うこともあります。たとえば、中高層の建物や工作物を建築する際には、日照や通風の環境をめぐって紛争が起こることもあり、各自治体の条例で中高層建築物の定義が決められているのです。

そうした条例で中高層建築といえば、原則高さ10mを超えるもので、第1種および第2種中高層住居専用地域では軒の高さが7mを超えるもの、または3階建て以上になっています。

一方、国土地理院が中高層建物として地図記号で表す場合は、3階相当の高さ10m以上で、建物の短い方の一辺が25m以上あるものです。

ただ、用途地域の第1種中高層住居専用地域で定義される「中高層住居」は、それほど細かく定義されているわけではありません。一般的に3階建て以上の集合住宅を指し、主にマンションが中高層住宅として認識されています。

戸建住宅を中心とした住宅街を整備したい場合は、高い建物が建ってしまうと環境が整いません。一方で、マンションのような中高層住居を建てながら生活環境を保護する地域を造っていくために、第1種中高層住居専用地域が設けられているのです。

地域内に建築できる建物

地域内に建築できる建物

実際に第1種中高層住居専用地域で建築できる建物として、もちろん住宅があります。中高層住宅の専用地域であるため、中高層の建物しか建てられないのかと思ってしまう人もいるかもしれません。

もちろん、3階建て以上のマンションなどが多く建てられている地域ではありますが、戸建住宅も建築することが可能です。また、寄宿舎や下宿として利用される建物も建てることができます。

公共性の強い建築物として、図書館や病院、公衆浴場のほか、老人ホームも建てることができる施設です。また、幼稚園や小学校、中学校、高校に加え、大学や専修学校まで、さまざまな教育施設も建築することができます。店舗に関しても床面積が500平方メートルまでならば大丈夫であるため、建てられる店舗のバリエーションが広いです。

たとえば、銀行や理髪店、日用品販売店舗や物品販売店舗など、日常生活で利用することが多いお店も地域内に建てることができます。また、喫茶店や飲食店なども建設可能な建物であるため、家の近くに外食できる店舗もあるということです。

第1種中高層住居専用地域では、基本的に工場は建てることができません。ただし、パン屋や菓子屋、洋服屋のような職種の場合、2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下など、条件をクリアしていれば建てられる建物もあります。

第1種中高層住居専用地域の建築制限

第1種中高層住居専用地域の建ぺい率は30~60%です。ある程度中高層の建物が建てられる地域ではありますが、近接商業地域の建ぺい率が60~80%、商業地域は80%まで許されていることに比べると、やはり住居専用地域として建築制限が厳しくなっています。

容積率も第1種中高層住居専用地域は100~500%で、商業地域が最高1300%まで認められていることに比べて厳しく制限されています。

また、第1種中高層住居専用地域は基本的に斜線制限が道路斜線制限と隣地斜線制限、北側斜線制限の3つとも適用される地域です。道路の日照や通風を確保するために設けられる、道路斜線制限の適用距離は20~35mで、勾配は1.25または1.5で算出します。

一方、建物と建物の間に空間を取り、隣地の日照や通風を確保するためにあるのが隣地斜線制限です。隣地斜線制限は隣地との境界線上に立ち上がり20mまたは31m、勾配1.25または2.5です。また、北側に位置する隣地の日照を確保するために設けられている北側斜線制限は、立ち上がり10m、勾配1.25で設定して考えます。

なお、第1種中高層住居専用地域の場合は、場所によって日影規制が設けられているところがあります。日影規制のある場所では、日影規制で主に北側にある隣地の日照が確保されるため、北側斜線に関する制限は設けられていません。

第1種中高層住居専用地域の魅力

第1種中高層住居専用地域は、「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義される地域であるため、もちろん、マンションなどの集合住宅が多く建てられている地域です。そのなかに、戸建住宅や小規模な店舗などが入り混じって建っていますが、大規模な店舗や工場などはありません。

同じ中高層住居専用地域でも、第2種中高層住居専用地域の場合は、床面積が1500平方メートルまでの店舗や事務所なども建てることが可能です。そのため、第1種中高層住居専用地域に比べると、住宅以外の建物、しかも規模の大きなものが住宅の周辺に建ち並ぶ可能性があります。

しかし、第1種中高層住居専用地域はあくまで住居専用地域であるため、マンションを中心に閑静な住宅地が形成されやすい用途地域なのです。

ただ、第1種中高層住居専用地域でも、よほど大規模なものでない限りスーパーマーケットを建てることができるため、日常生活では家の近くで買い物がしやすいというメリットがあります。また、病院や飲食店などもあり、利便性が高いという点が魅力のひとつです。

加えて、日当たりや日影などに関しての制限が厳しいため、建物が密集していません。そのため、中高層の建物が多いわりには圧迫感も少なく、住宅地として良好な環境のなかで生活することができます。

現地の環境を確認してみよう

第1種中高層住居専用地域は良好な住環境で利便性もいい

第1種中高層住居専用地域は、中高層のマンションなどが良好な住環境のなかに建っていることが特徴的です。それでいて、生活に必要な店舗や学校などもある程度は立地しています。そのため、ゆったりとした環境の中で生活を送りたいけれど、近所には買い物ができる店舗や外食できる飲食店もあって欲しいという人におすすめの用途地域です。

ただし、実際にどのような街並みが広がっているかは、行ってみないとわからないこともあるでしょう。そのため、まずは現地に足を運び、その地域の様子を見て実際の環境を把握することが大切です。

まとめ

第1種中高層住居専用地域は住みやすい環境と、スーパーマーケットなどの利便性を両立したとてもよい環境です。
しかし、実際の街並みは見てみないとわからないことも多いので住むことを決める前に一度は足を運ぶことをおすすめします。