建物を建築する際の高さ制限は、建築基準法で定められています。しかし、それ以外にも市区町村が独自に決める高度地区があり、規制に則って建築しなければなりません。この記事では、高度地区が指定される理由や、指定されるとどのような規制があるのかを紹介します。

建物の高さを制限する高度地区とは

建築をするときには、自分の土地だからといって好き勝手に建物を建てていいわけではありません。居住性や安全性を確保するために法律でさまざまな制限が設けられているのです。

その制限は、建ぺい率や容積率などのように建築面積に関するもの以外に、高さに関する規制もあります。その高さの規制の1つに高度地区があります

高度地区とは、都市計画法で高さに関する規制がされた地区のことです。高度地区では、用途地域内の市街地の環境維持、土地利用の増進を図るために、建物の高さの最高限度または最低限度が決められています。

そして、高度地区の制限は自治体によって独自に定められ、第一種・第二種・第三種のように規制内容によって区分けされています。

第一種の高さ制限が1番厳しく、次に第二種、第三種となっていて、第三種では比較的規制が緩やかです。この制限は、地区によってはさらに多くの区分けをしている場合もあり内容も異なります。

特に、都会などの狭小地で建物を建てるときには注意が必要です。土地が狭いと広さを確保するために階数が増え、高さのある建物になります。高度地区の制限を知らずに土地を購入してしまうと、思い通りの建物が建てられない場合もあるので、土地の購入前に事前に確認しておくことが大事です。

高度地区が指定される理由

建築基準法では高さに関する制限として、絶対高さ制限や斜線制限などがあります。しかし、これらの規制は用途地域に対してのみ適用されるものです。

つまり、建築基準法の規制のみだと、建築物の高さをコントロールするには限界があるのです。そこで指定されたのが、自治体が独自で定めた高度地区です。

高度地区に関することについては、建築基準法においても、建物の高さは都市計画の内容に適合するものとされていて、具体的に明記されていません。そのため、高度地区は自治体によって制限内容が異なり、それに合わせて建築することがルールとされているのです。

もし、高さに関する制限が無ければ、自宅の隣に大きなビルが建ち、日が当たらなくなることも考えられます。日が当たらないと、洗濯物を乾かせないばかりか、1日中暗い家となってしまうのです。

反対に、自宅を建築したときに隣地とのご近所問題に発展するかもしれません。お互いに気持ちよく過ごすためにも、高さの制限を定める必要があります。自治体がその地域に合わせて高度地区を指定することで、周辺の日照や建物の圧迫感を防ぎ、良好な住環境や景観づくりを担っているのです。

第一種高度地区とは

第一種、第二種、第三種と高度地区には区分がありますが、そのなかでも多くの住居地域に適用されている第一種高度地区について説明します。

第一種高度地区は、自治体によって規制内容が異なりますが、第二種や第三種と比べると1番厳しい規制です。つまり、同じ自治体の高度地区であれば第一種より第三種高度地区のほうが高い建物が建てられることになります。具体的には「北側の隣地境界5mの高さから1:1.25の斜度で、高さの最高限度10m」というような規制内容が多いです。

どのくらいの高さになるかを知るためには、実際に図にして線を引いてみるといいでしょう。隣地境界線から5mの高さを基点として、そこから1:1.25の傾斜で線を引きます。そして、高さの最高限度である10mの線を水平に引くと、その2本の線が制限の斜線となり、それ以下の高さであれば建築ができるということになるのです。

仮に、一般的な階高である2860mmの建物で、このような第一種高度地区の規制があるとすると、高さの最高限度10mの高さ以内であるにもかかわらず、2階から斜線の制限を受けることになります。屋根部分を斜めに設計することも可能ですが、垂直な建物を建てたい場合は、斜線の規制がかからない部分までセットバックすることで垂直な建物を建築することが可能です。

大きな制限を受けることになる高度地区の規制ですが、北側道路だとその規制が緩和されます。高度地区の斜線の規制は北側からかかってきます。

そのため、北側道路だと土地から見て道路の反対側から斜線の規制がかかることになるのです。反対側の道路からの斜線になるので、斜線規制も緩やかになります。高度地区において、高層の建築を検討している場合には、北側道路の土地を利用したほうがいいでしょう。

建物の最低限度の高さ規制も

建物の高度地区指定は主に最高限度を定めるものです。しかし、都市部や駅前などにおいては土地の有効活用を促進するために、最低限度の高さが規定されていることもあります。

つまり、決められた高さ以上の建物を建てなければならないのです。最低限度高度地区の規制も自治体により異なりますが、7mや12m、なかには20mの最低限度を規制している自治体もあります。

高さのある高層ビルを建築することで、多くの商業施設が集客の見込める駅前に出店することができるのです。また、一定の高さの建築をすることで延焼を防ぐことできるので、市街地の防災構造強化にもつながります。

商業施設などを計画している場合は問題ありませんが、住宅などの低い建物は最低限度を定めた高度地区では建築できない場合が多いでしょう。

しかし、建物の高さの最低限度が決められている最低限度高度地区は、ターミナル駅や幹線道路周辺などになり、全体の1%未満です。そのため、高度地区のほとんどの場合は高さの最高限度が決められている最高限度高度地区となります。

高度地区を調べる方法

高度地区かどうかの確認を

高度地区は高さによる制限があり、特に第一種高度地区は高さ制限が厳しくなります。そのため、土地を購入したり所有地があったりする場合には、建築の際に高度地区かどうか調べることも大切です。

どこが高度地区になるのか、どのような規制内容になるかは自治体によって異なり、市区町村が決定します。そのため、詳細を知りたい場合には市区町村の建築指導課などに問い合わせることが必要です。インターネットでも、「知りたい市区町村と高度地区」を入力すれば、情報を得ることが可能ですが、高度地区の境界にまたがっていたり、他の規制がかかっていたりする場合もあります。

判断が難しい場合や正確な情報が欲しい場合は、建築指導課などの窓口に問い合わせるほうがいいでしょう。建築指導課であれば、高度地区かどうか以外にも、その地区にかかる規制について指導してもらえます。高度地区は、用途地域とは異なる規制があるため、役所できちんと確認することが重要です。

高度地区でないか確認しよう

高度地区に指定されているかどうかで、建物の高さや大きさ、外観が大きく違ってきます。そのため、建物の建築を見越して土地の購入を考えている場合には、その土地が高度地区に該当するかどうか確認してから購入することが大切です。

確認を怠ってしまうと、土地を購入しても思うような建物が建てられない可能性があります。そして、高度地区の制限は、最低限度高度地区なのか最高限度高度地区なのかによって内容も異なります。また、所有地が高度地区だった場合には、建物の高さやデザインを考える必要があるのです。

建築計画を立ててから後悔することのないように、高度地区でないか、高度地区であればどんな規制があるのかを確認するようにしましょう。

まとめ

建物の高さを制限するために指定されている高度地区。

基本的に第一種、第二種、第三種となるに連れて高度の規制が緩やかになります。

具体的にどの程度の高さの建物まで建築していいかは自治体により異なるので建築指導課などの窓口に問い合わせるのが確実です。

建てられる建物の外観に関わる制度のため、建築を目的として土地を購入する場合にはその土地が高度地区がどうかは確認するようにしましょう。