所有する不動産を売却するとき、税金について確認することが大切です。なぜなら、仮に売却利益が出た場合、利益に税金がかかることがあるからです。利益が出たときに納税する税金は短期譲渡所得、または長期譲渡所得と呼ばれています。不動産の所有期間が短期または長期かによって納める税額は変わることを覚えておきましょう。ここでは、短期譲渡所得と長期譲渡所得の仕組みや違いについてくわしく説明していきます。
この記事の目次
不動産を売却したときの税金は?
不動産を売却するとき、譲渡所得の有無を確認しましょう。
税額の計算
課税譲渡所得がプラスになれば、不動産売却益が出ていることになり、売却益に対し所得税や住民税がかかります。譲渡所得は分離課税であり、他の所得と合算することはできません。そのため、給与所得やそのほかの事業所得などとは分けて計算し、個別に納税が必要です。
売却価額
◇売却した年の固定資産税・都市計画税の精算金が含まれる
取得費
さまざまな費用や税金を計上することが可能
たとえば
◇自宅であれば不動産取得税や印紙税など
◇一方、賃貸用など事業用不動産の場合には含めることはできない
取得費はこのような実額法に基づいて金額を求める
譲渡費用
たとえば
◇仲介手数料
◇司法書士に登記を依頼する際の費用
◇登記や契約時にかかる契約書の印紙税など
◇建物のある土地を更地にして売却する際の、建物の取り壊しにかかった費用
◇売主負担で土地の測量をしたとき
◇借地権付きの土地の場合は地主に支払う承諾料(名義書換料)
特別控除
◇3000万円特別控除の特例
◇軽減税率の特例
(10年以上不動産を所有していた場合)
短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いは?
仮に譲渡所得が発生したとき、不動産の所有期間によって税額が変わるので確認しましょう。譲渡所得には短期譲渡所得と長期譲渡所得があり、この2つは税率が大きく違うので注意が必要です。
判定方法
短期譲渡所得
(5年以下の所有期間)
所得税30.63%
住民税9%
譲渡所得:合計39.63%の税率が課税される
長期譲渡所得
(5年を超えた所有期間)
所得税15.315%
住民税5%
譲渡所得:合計で20.315%の税率が課税される
短期譲渡所得と長期譲渡所得は、不動産の所有期間が違うだけでこれだけ税率が異なることがわかります。なぜ、短期譲渡所得の場合に40%近く税金が課税されるかというと、不動産を短期で転売する目的で購入する投機的な取引を抑制するための目的があるからです。
いつからが所有期間?
不動産所有期間によって大きく変わる譲渡所得の税率は、売却益が発生しそうな不動産の売却を考えているときには、注意しておく必要があるでしょう。不動産の取得日が、所有している期間の起算日となるので、それがいつなのかをおさえておきましょう。
土地や建物、マンションなどを購入した場合
◇売買契約書に記載されている引き渡しの日付
などを参考にする
土地を購入し自宅を新築する場合
自営工事で建物を建築した場合
相続や贈与で土地や建物を引き継いだ場合
◇当時の物件引き渡し日まで取得日を遡ることができる
不動産の取得費
上記したように、不動産の取得費には不動産を購入したときの代金、贈与や相続による不動産、仲介手数料、登録免許税や司法書士に支払う登記手数料、不動産取得税や印紙税、古家付きの土地を購入後の古家取り壊し費用、などさまざまな費用を含んでいます。
金融機関から不動産購入資金を借入する場合には、購入した対象不動産を使用するまでの期間にかかった利子も取得費に計上できるでしょう。賃借人がいる不動産を購入し、自己使用のために借主に支払う立退料が発生した場合にも取得費に含めることができます。
購入した不動産の土地にかかる造成費用なども取得費に含めることが可能です。たとえば、土地の埋立てや盛土などの改良や造成にかかった費用も取得費となり、土地取得時に測量が必要なときには測量費も取得費として計上可能です。そのほかにも、土地取得のためにかかった訴訟費用などが取得費として認められる場合もあるでしょう。
不動産の取得費の合計を確認したあとは、不動産に建物がある場合は取得費の合計金額から法定の経過年数に基づいて建物の減価償却費を差し引きます。減価償却費は建物を取得した日がわかれば実額法で計算することができるでしょう。しかし、ときには親から引き継いだ古い不動産などは購入時の状況がよくわからず、取得費が不明なケースもあるでしょう。その場合には、概算法と呼ばれる方法を適用することができます。概算法は売却価格x5%で計算し、取得費を求めます。
特別控除の特例
譲渡所得を計算していく中で、忘れてはならないのは特別控除です。不動産はそれぞれに置かれている状況が違います。そのため、不動産の利用状況や売却の理由によってさまざまな税金の控除が受けられる可能性があるでしょう。特例を知らなかったために、必要のない税金を納めることは避けたいものです。
たとえば、公共事業のために土地や建物を売却したときには、特別控除額は5000万円です。マイホームを売却すると3000万円の特別控除を受けることができます。ときには、自宅であったにもかかわらず転勤で賃貸に出していた場合、時期によっては特別控除が受けられないこともあるので注意しましょう。
住んでいる市町村で特定土地区画整理事業の対象になり、土地や建物を売却することもあります。その際には2000万円の特別控除の対象になります。また、特定住宅造成などで売却した場合には特別控除額は1500万円です。農地を所有していて、合理化の理由で売却したときは、800万円の特別控除の対象になることもあるでしょう。
利用できる特別控除を確認しよう!
不動産を売却するとき、譲渡所得税の計算方法がよくわからないという人もいるでしょう。しかし、知らないと予想外の納税額になることもあるので注意が必要です。しかし、マイホームを売却するときは、たとえ売却益が出たとしても所有している期間に関わらず3000万円の特別控除が受けられます。特別控除についてはしっかり確認しておくことが大切です。
売却時にはできるだけ好条件での取引を目指したいものです。
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