この記事でわかること ・不動産の仲介手数料の意味やタイミング ・不動産の仲介手数料の上限と計算方法 ・仲介手数料を安く抑える方法や不動産会社を選ぶ際の注意ポイント |
建物や土地など、不動産の売買をする際に、必ず発生するといってもいいのが仲介手数料です。
不動産会社を通して取引をすることで発生する手数料ですが、具体的にどのような条件でいくら発生するものなのか、よくわからないという方が多いのではないでしょうか?
本記事では、不動産の仲介手数料の意味や支払いのタイミング、計算方法、さらに安く抑える方法などについてご紹介していきます。
これから不動産の売買をする予定がある方は、理解を深め、どれくらいの仲介手数料が発生するのか事前にイメージしておきましょう。
この記事の目次
そもそも不動産仲介手数料とは?
不動産を売ったり買ったりする際、多くの場合、不動産会社に仲介を依頼します。
その不動産会社へ支払う成功報酬が「仲介手数料」です。
ここでは、その基本的な意味合いと支払いタイミングについて解説します。
不動産会社の役割と仲介手数料の意味
不動産会社は、売主と買主の間に入り、買主探しや条件交渉、契約手続きなどのサポートをします。
これらの業務を「仲介業務」と言い、これが成立した場合に対価として支払うのが「仲介手数料」です。
仲介手数料は、「不動産会社への依頼料」だと認識する方も多いですが、あくまでも成功報酬です。
そのため、不動産会社に仲介を依頼しても、売買契約が成立しなければ原則として支払う必要はありません。
仲介手数料を支払うタイミング
不動産売買での仲介手数料の支払いをする具体的なタイミングは、不動産会社によって異なります。
しかし、売買契約成立時点では不動産を引き渡していないため、契約成立時に仲介手数料を全額支払うケースはあまりありません。
一般的には、以下のタイミングで支払うことが多いです。
■売買契約時:仲介手数料の50%
■引き渡し完了時:残りの50%
多くの場合は、あらかじめ不動産会社側が支払いルールを定めていますので、事前に確認し、相談したうえで支払いましょう。
なお、仲介手数料の支払いは基本的に銀行ローンを組むことはできず、現金で支払うことが一般的です。
振込で対応可能な場合もありますが、現金での支払いを求められることが多く、売買契約日や引き渡し日には多額の現金が必要になります。
相場はいくら?不動産の仲介手数料の上限と計算方法
仲介手数料の金額は、不動産会社が自由に決められるわけではありません。
宅地建物取引業法(宅建業法)によって、受け取れる上限額が定められています。
ここでは、その上限額や、仲介手数料を求めるための計算方法について詳しく見ていきましょう。
法律で定められた仲介手数料の上限額とは
不動産売買にかかる仲介手数料は、不動産の売買価格によって大きく左右されます。
ただし、どれくらいの金額になるにせよ、宅地建物取引業法という法律に基づいて仲介手数料には上限が設けられているので覚えておきましょう。
つまり、不動産会社は法律に基づいた上限額を超えた仲介手数料は受け取れません。
もし上限を超えて受け取ってしまった場合は法律違反となります。
そのため、仲介手数料が異常に高額になるということはありません。
不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限額は、不動産の売買価格に応じて以下の計算式で算出されます(消費税別途)。
売買価格 | 仲介手数料上限額の計算式 |
---|---|
200万円以下の部分 | 売買価格の5%(+消費税) |
200万円を超え400万円以下の部分 | 売買価格の4%(+消費税) |
400万円を超える部分 | 売買価格の3%(+消費税) |
例えば、売買価格が3,000万円の場合、以下のように分割して計算します。
(200万円×5%)+(200万円×4%)+(2,600万円×3%) =10万円+8万円+78万円 =96万円(税別) |
速算式を使った仲介手数料計算シミュレーション
前述した計算は少し複雑なため、より簡単に仲介手数料の上限額を計算できる「速算式」についてご紹介します。
速算式を用いた計算方法は以下の通りです。
売買価格 | 速算式 |
---|---|
200万円以下 | 売買価格×5%(+消費税) |
200万円を超えて400万円以下 | 売買価格×4%+2万円(+消費税) |
400万円超 | 売買価格×3%+6万円(+消費税) |
これらの計算式を用いた、1,000万円、3,000万円、5,000万円の不動産を売買する際の計算シミュレーション(消費税10%の場合)は以下の通りです。
売買価格 | 速算式による上限額(税別) | 上限額(税込) |
---|---|---|
1,000万円 | (1,000万円×3%+6万円)=36万円 | 39万6,000円 |
3,000万円 | (3,000万円×3%+6万円)=96万円 | 105万6,000円 |
5,000万円 | (5,000万円×3%+6万円)=156万円 | 171万6,000円 |
仲介手数料は消費税がかかる!
仲介手数料を支払うときに忘れてはならないのが消費税です。
土地や個人間の建物売買そのものは非課税取引となることが多いですが、不動産会社に支払う仲介手数料には消費税が加算されます。
消費税率が10%の場合、税別の仲介手数料で10万円であれば、消費税は1万円かかるという計算です。
売買取引の中ではそこまで大きな金額ではないと感じるかもしれませんが、予算を考えるうえで見落とさないようにしましょう。
【注意】800万円以下の不動産売買の仲介手数料
2024年7月1日の宅建業法関連の改正により、「低廉(ていれん)な空家等の媒介特例」が見直されました。
これは、通常の仲介手数料だけでは現地調査等の費用を賄えず、取引が敬遠されがちな空き家問題に対応するための制度です。
この改正により、売買価格が800万円以下の低廉な空き家等について、売主・買主から受け取れる仲介手数料の上限額が最大30万円(税別)となりました。
また、この特例を適用する際は、あらかじめ売主・買主と不動産会社間で合意する必要があります。
賢く節約!不動産売買にかかる仲介手数料を安く抑える方法
前述の通り、仲介手数料は、法律で上限が定められています。
しかし、必ずしも上限額を支払わなければならないという訳ではありません。
ここからは、仲介手数料を少しでも安く抑えるための具体的な方法をいくつかご紹介します。
不動産売買にかかる費用を少しでも抑えたいと考えている方は、必ず確認しましょう。
仲介手数料の値引き交渉をする
仲介を依頼する不動産会社次第では、交渉することで仲介手数料の値引きを引き受けてくれる可能性があります。
ここでは、仲介手数料の値引き交渉がしやすいケースや、交渉する際の注意点についてご紹介します。
交渉することを検討している方は、必ずチェックしてくださいね。
交渉しやすいケース
仲介手数料の値引き交渉がしやすいケースは以下の通りです。
・専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結する場合
これらの媒介契約は、契約期間中(3ヶ月以内)、1つの不動産会社だけに仲介を委託する契約です。
売買が成立すれば、他社に仲介手数料を取られることなく自社で報酬を得られるため、多少の値下げ交渉であれば応じてくれる場合があります。
・売却と購入を同じ不動産会社に依頼する場合
住み替えなどで不動産の売却と購入を同じ不動産会社に依頼することで、セットでの取引として仲介手数料を値下げしてもらえる可能性があります。
・両手仲介が見込める場合
両手仲介とは、1つの不動産会社が売主と買主の双方を仲介することです。
この場合、双方から仲介手数料を請求できるため利益が大きくなることから、一方の手数料を値引きしても採算が取れると考え、値引きに応じる不動産会社も少なくありません。
交渉時の注意点
仲介手数料の値引き交渉をする際は、以下の点に注意しましょう。
・無理な要求は避ける
「半額にしてほしい」など、相場からかけ離れた無理な要求は、不動産会社との関係が悪化したり、トラブルにつながったりする可能性があります。
交渉する際は、お互いが納得できる形で進めることが大切です。
・サービスの内容を確認する
値引きを優先するあまり、広告活動などの必要なサービスが削られてしまわないか注意が必要です。
特に売却の場合、適切な広告活動がされないと、売却期間が長引いたり、希望価格で売却できなかったりする可能性もあるため、サービス内容に変更がないか確認しましょう。
・必ず交渉を受け入れてもらえるわけではない
交渉しても、不動産会社の方針や状況によっては、必ずしも要求に応じてもらえるとは限りません。
値引きが叶わない可能性も理解しておきましょう。
仲介手数料が安い不動産会社に依頼する
近年、「仲介手数料半額」や「無料」などを謳う不動産会社も増えています。
仲介手数料を安く済ませたいのであれば、このような仲介手数料の安さを売りにしている不動産会社を検討してみるのも一つの手段です。
なぜ仲介手数料を安くできるのか?
最初から仲介手数料が安い不動産会社は、どうして安くすることができるのでしょうか?
その理由として、以下の点が考えられます。
・業務の効率化をしているから
オンライン化の推進や人件費、広告費などを削減してコストカットを図っている不動産会社は、仲介手数料による収入が多少減っても経営をまかなうことができます。
このように業務を効率化させることにより、仲介手数料を安く設定できるのです。
・両手仲介を前提としているから
前述の通り、両手仲介は売主・買主の双方から仲介手数料を得ることができます。
これにより、不動産会社は通常の取引の2倍の仲介手数料を得られる可能性があるため、売主もしくは買主のいずれかに対して「仲介手数料が無料」と提示し、顧客獲得につなげることができるのです。
この場合、無料と提示されなかったもう一方には、通常通り仲介手数料を請求します。
・仲介手数料以外で収入を得ているから
自社で管理している物件の賃貸収入など、仲介手数料以外にも収入源がある場合は、仲介手数料を安く設定することがあります。
仲介手数料が安い不動産会社のメリット・デメリット
仲介手数料が安い不動産会社には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
・費用を抑えられる
【デメリット】
・サービスの範囲が限定的になる場合がある(例:広告活動が少ない など)
・希望の価格や条件での売買が実現しにくい恐れがある(例:売却活動が不十分で買主が見つかりにくい など)
・別の名目で費用を請求される可能性がある(例:広告宣伝費や書類作成費など)
これらのメリット・デメリットをよく理解し、提供されるサービス内容と仲介手数料が見合っているかを見極めたうえで、依頼するかどうか判断するようにしましょう。
不動産会社に買取してもらう
仲介ではなく、不動産会社に直接不動産を買い取ってもらう方法です。
この場合、買主が不動産会社となるため、仲介手数料は発生しません。
ただし、買取価格は、仲介で売却した際の相場の7~8割程度になることが一般的です。
買取についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
また、買取を実施している不動産会社を探す際は、不動産一括査定サービスのご利用がおすすめです。
当サイトが提供する「イエイ」では、物件情報等を入力するだけで、一度に複数の会社に査定を申し込むことが可能です。
不動産の売却を検討している方は、ぜひ一度ご活用ください。
個人売買で売却する
不動産会社を介さず、親族や知人などと直接不動産の売買をする方法です。
仲介手数料はもちろんかかりませんが、契約書の作成や、引き渡し、トラブル発生時の対応など、すべて自分たちで行う必要があります。
そのため、専門的な知識がないとリスクが伴います。
個人売買については、以下の記事で詳しく説明しているのでこちらも参考にしてみてください。
不動産会社選びの参考に!仲介手数料で注意すべきポイント
仲介手数料を抑えることができれば、金銭的な負担を軽減できます。
しかし、仲介手数料の安さだけで不動産会社を選ぶと、後悔することもあるのが実情です。
ここからは、仲介手数料に関連して注意すべきポイントを解説します。
「囲い込み」のリスクはないか
不動産会社の中には、自社で買主を見つけることを優先して、他社からの購入希望者を意図的に紹介しない「囲い込み」を行うケースがあります。
囲い込みを図解で表すと、以下のような仕組みになります。
こちらの図解の通り、囲い込みを行うことで不動産会社は、売主・買主の双方から仲介手数料を得ることができます。
そのため、囲い込みをされることで、良い条件で購入を希望する買主が現れても、その人にはその情報が届かず、結果的に売却の機会を逃してしまう可能性があります。
不動産会社と媒介契約を締結する際は、事前に会社の評判を確認して、囲い込みをするような会社ではないか調べておきましょう。
サービスや質の良さを重視する
仲介手数料が半額や無料だと、お得に感じてつい依頼したくなるかもしれません。
しかし、肝心なサービスの質が悪いと満足のいく売買はできません。
仮に仲介手数料が相場通りであったとしても、その分サービスの質がよく、結果的に有利な価格で不動産の売買ができたとなれば、満足度は高くなるでしょう。
仲介手数料は、あくまでも依頼する不動産会社を選ぶ際の検討材料のひとつに過ぎません。
仲介手数料の金額だけでなく、会社の評判やサービス内容などを総合的に判断したうえで、信頼できる不動産会社を選ぶようにしましょう。
請求額が高すぎないか
法律で定められた上限額を超えた仲介手数料を提示する不動産会社は違法です。
こうした不動産会社は、悪徳業者である可能性が高いと判断できます。
また、上限額を超えていない場合でも、上限額いっぱいの金額を提示し、「この金額は法律で一律に決められた仲介手数料である」といった虚偽の説明をするケースもあります。
金額そのものは違法ではないものの、誠実さに欠ける対応であり、信用できる会社とは言えないでしょう。
手数料以外の費用の請求がある
仲介手数料以外に、「広告宣伝費」「書類作成費」「出張費」などの名目で別途費用を請求してくる不動産会社には注意が必要です。
通常の仲介業務において、不動産会社に支払うのは基本的に仲介手数料のみです。
そのため、仲介手数料以外に不明瞭な費用を請求された場合は、その根拠や内訳をしっかり確認し、納得できなければ安易に支払わないようにしましょう。
不動産売買の経験が少ない人をターゲットに、不当な費用を請求しようとする業者も存在するため、契約前に費用の内訳をしっかり確認することが重要です。
仲介手数料以外にも!不動産売却でかかる諸費用
不動産を売却する際、仲介手数料に目がいきがちかもしれませんが、諸費用がかかる部分はたくさんあります。
ここでは、仲介手数料以外の主な諸費用についてご紹介します。
どのような費用がかかるのかを事前に知っておき、予算を把握しましょう。
費用 | 費用の概要 |
---|---|
印紙税 | 売買契約書を作成する際に課される税金。 契約金額によって税額が異なる。 |
譲渡所得税 (所得税・住民税) |
不動産を売却して得た譲渡所得(利益)に課される税金。 不動産の所有期間によって税率が異なる。 |
登記費用 | 「抵当権抹消登記」などにかかる登録免許税や司法書士への報酬。 |
住宅ローンの手数料 | 住宅ローンを完済する際にかかる手数料。 ※ローン残債がある場合 |
引越し費用 | 住み替えの際に発生する費用。 引越しの規模や時期によって金額が異なる。 |
解体費用 | 解体業者に依頼するための費用。 建物の建材や坪数によって金額が異なる。 ※古家などを解体し、更地として売却する場合 |
ハウスクリーニング費用 | ハウスクリーニング業者に清掃を依頼する際にかかる費用。 物件の種類や広さによって金額が異なる。 |
測量費用 | 土地家屋調査士に土地の境界測量を依頼する際に発生する費用。 ※境界未確定の場合 |
売却する不動産の状況によっては、上記以外にも追加で費用が発生する場合がございます。
以下の記事では、ここで紹介した費用の大まかな目安についてもご紹介しているので、売却をする前に参考にしてみてくださいね。
【まとめ】仲介手数料を理解して、納得のいく不動産売買を!
不動産売買をする際には、ただ不動産会社に指示されるがまま仲介手数料などのお金を支払うのではなく、上限や相場を把握したうえで判断することが重要です。
本当なら安く済ませられるはずなのに、知らずにお金を無駄にしてしまう可能性があります。
何より、悪徳業者に引っかかってしまい、支払わなくてもよかった高額な費用を請求されてしまうことにもなりかねません。
納得して任せられる会社を見つけるためにも、複数の不動産会社の話を聞き、比較検討することがおすすめです。
お得に、そして安心して不動産の売買をするためにも、仲介手数料の仕組みや上限金額の目安をしっかり理解したうえで、契約に臨みましょう。
当サイトが提供する不動産一括査定サービス「イエイ」では、物件情報等を入力するだけで、簡単に複数の不動産会社に査定を依頼することができます。
ぜひ信頼できる不動産会社を見つけるためにも、ご活用くださいね。