建築条件付きの土地というものがあります。これは、読んで字のごとく条件が付いた土地のことです。条件付きと聞き、何か問題のある土地のことなのかという印象を持たれるかもしれませんが、この場合の条件とはそういう意味ではありません。

今回は、自分の土地に建築条件をつけて売る場合に気をつけたいことなどについて紹介します。

建築条件付き土地の基本

建築条件付き土地とは、購入した土地に一定期間内に建物を建築する契約をすることを条件に売買される土地のことです。

なお、建物を建築する際は土地の売り主が指定する建築業者を利用しなければいけません。

条件付きの土地では建物建築の際には売主指定の建築業者を利用する必要がある

この場合の土地の売り主とは、通常は土地を管理している不動産会社のことです。また、売り主が指定する業者を利用しなければならないということは、購入者は自分の好きな建築業者に建物を建ててもらうことはできないということになります。

なお、このとき指定される建築業者は不動産会社が売り主の場合、その会社が所属するグループの業者であることがほとんどです。

購入者は、この業者と一定期間内(多くの場合3ヶ月)に建物プランを立て請負契約を結ばなければいけません。「売買契約ではないのか?」と思われるかもしれませんが、この時点では売買される建物はまだ存在していないので、あくまで建物を建てるという請負契約になります。

ちなみに、不動産仲介会社から建築条件付きの土地を購入したという場合、建物価格分には仲介手数料がかかりません。これは不動産仲介会社から紹介されたのが土地だけであるため、支払い義務が生じるのは土地の価格分のみだからです。このため、建築条件付き土地はそうでない土地と比べて割安の傾向になっています。

建築条件付きの土地を売っても、購入者が指定の業者と請負契約を結ばなかったり売り主の指定した一定期間を過ぎてしまったりなどの場合、土地の売買契約は白紙解除となります。つまり、なかったことになるわけです。この場合は、すでに支払われている手付金などはそのまま購入者へ返金され、違約金・損害金も発生しません。文字通りすべて白紙になるわけです。

以上が、建築条件付きの土地の基本となります。

自分の土地を建築条件付きで売ることはできるのか?

結論から言えば、自分の土地を建築条件付きで売ることは可能です。

たとえば、売り手の知人の建築業者が建築を請け負う条件で土地の売買を行うということができます。しかし、建築条件を付けて果たして売れるのかという不安もあるでしょう。そういうときは購入者側から見た場合、建築条件付きの土地はどのようなメリットがあるのかを把握しておくと、売却の見通しを立てやすいです。

建築条件付きの土地のメリット
建築条件の付かない土地と比べて割安の傾向にある・間取りや仕様レベルを変更でき自由度が高い・建築中に施工不良の有無をチェック可能

これらは建売住宅との相違点でもあり、建築条件付き土地の最大の特徴です。

建売住宅の場合はすでに完成しているわけですから、自由度は低く施工不良の有無も簡単にはチェックできません。

建築条件付き土地に建てる住宅の場合は、これらの問題をクリアしているわけです。また、建築条件付き土地には注文住宅との相違点もあります。それは、建築費用の全体像を把握しやすいという点です。

建築条件付き土地の場合、建築費用が大方決まっているため、資金契約が立てやすいという利点があります。注文住宅の場合は予算オーバーしがちですが、建築条件付き土地に建てる住宅の場合その心配は少ないと言えるでしょう。

購入者側は、こういったメリットを考えて建築条件付きの土地を検討します。自分の土地を売る際に建築条件をつけるときは、これらのメリットを前面に押し出すようにしましょう。

建築条件付き土地を売る際に気をつけたい点

建築条件付きの土地を売るにあたって、気をつけたい点はいくつかあります。

1.「購入者にとっては建築業者を選べない」

仮に売り主が指定する建築業者がイマイチだったとしても、購入者は「ではこちらの業者に変えよう」ということができません。建築業者と一口にいっても、そのレベルはぴんからきりまであります。

たとえば、家を建てるとなるとそれなりの技術や経験などが求められるでしょう。購入者としては立派な家を建てられるレベルの業者を選びたいところですが、建築条件付きの土地の場合はそれができないのです。

また、家の仕様レベルを上げることを業者が拒否することもあります。これは、その業者が今まで使ったことのない仕様を用いることが基本的にできないからです。この場合、売り手側ができる対策は、なるべくレベルが高くさまざまな建築経験を積んでいる業者を指定しておくほかありません。

なるべくレベルや建築経験が高い業者を指定しておけば買主も安心

2.「建築条件付きの土地の場合、購入者は設計者も自由に選べない」

腕の悪い設計者に当たってしまったら、非常に暮らしにくい間取りの家になってしまうということもありえない話ではありません。そのため、購入者の注文通りの間取りにならず、トラブルの原因になることもしばしばあります。こちらの場合も、売り手側ができるだけレベルの高い設計者を見つけておく必要があるでしょう。

建築条件付きの土地を売る場合は、価格についても注意を払う必要があります。家を建てる場合、売り手側が最初に見積を出すのですがこのときに購入者が建てたい家を建てた場合、総額でいくらになるかをきちんと把握するべきです。

なぜなら、家本体は安くともオプションを付けていくと割高になったというケースもあるからです。購入者が入れたいオプションは事前に把握し最初から見積に入れて、最終的にいくらかかることになるかを早い段階で把握しておきましょう。

仮に契約を急かされたとしても、この点に関して妥協はいけません。なぜなら購入者側の予算オーバーを防ぐことは勿論、それによって起こりうるお金のトラブルを回避するためにも必要なことだからです。

これらの点がある結果、建築条件付きの土地では家を自由に建てられるはずなのに実質的には建売住宅とそう大差ないといった現実もあります。購入者側とのトラブルを避けるためには、自分の土地をよりよい土地にしておくことが必要です。

自分の土地を良い建築条件付き土地にする方法

建築条件が付いている土地の場合、購入者にとって重要となるのは一にも二にも売り主が指定している業者の質です。そのため、購入者側はどの業者が指定されているかを真っ先に確認します。これは裏を返せば、良い業者を指定しておけば建築条件付きの土地が売れる可能性は高くなるということです。

業者について尋ねてくる時点で、購入者側は売られている土地に興味を持っているということになります。そのため、評判の良い業者をしておくことが建築条件付きの土地を売るときの基本と言えるでしょう。良い業者を指定しておき、それをその土地のアピールポイントにするのもありです。

建築条件付き土地と人の相性

建築条件付き土地は、その特徴から人によって相性の良し悪しがあります。もしも相性の悪い人に売ってしまった場合、これも後々トラブルの原因になりえます。そのため、どのような人が建築条件付きの土地と相性が良いのか、相性の悪い人はどんな人なのかを把握しておく必要があるでしょう。

相性の良い人

これは土地の立地条件を最重要とし、かつ家に対するこだわりが薄い人などです。この場合、土地の条件が最優先となるので、家が自分の注文通りでなくとも気にならないことが考えられるので、建築条件付きの土地の欠点も欠点ではなくなります。

相性の良くない人

家に強いこだわりを持っている人です。建築条件付きの土地の場合、家の質や内装などは何よりも業者に左右されますから、購入者の思い通りにいかない部分のほうが多いでしょう。そのため、家に対し「ここは絶対にこうしたい」と強くこだわっている人に対して建築条件付きの土地を売ることは検討し直したほうが無難と言えます。

建築条件付き土地と相性が良くないわけではないが購入には熟考を要する人

家に強いこだわりがあるわけではないものの、せっかくなら使い勝手のよい家、できれば一定レベルの性能がある家が良いと考える人などが該当します。おそらく、多くの人はこのパターンでしょう。こういった場合もまた、建築条件付き土地を安易に売ることはおすすめできません。だからこそ業者が重要となります。

担当することになる業者が過去に建てた家の情報を購入者側と共有したうえでしっかりと話し合い、相手が心から納得したうえでなら建築条件付き土地を売っても良いでしょう。この納得というのが重要です。後々トラブルに発展させないためには、業者の質などいろいろな要素を吟味したうえで購入者側が得た納得が必要不可欠となります。

建築条件付き土地の売却で失敗しないために

建築条件付き土地が購入された場合、残念なことに購入者が後悔したり困ったことが起きたり、トラブルに発展したりするケースは多くあります。そういった問題の多くが、建築条件付き土地の場合は建築業者を選ぶことができないという点に起因していると言えるでしょう。

建築条件が付いた土地の売買取引の場合、購入者側は交通アクセスや周辺の環境など土地の条件自体は気に入ったうえで検討に入っていることが多いことが考えられます。しかし、建築条件付き土地の場合は、そこからもう一歩踏み込んで購入者の建てたい家がその土地・指定した業者で建てられるかどうかを考えることが必要です。

 建築条件付きの土地は、条件が付いている分普通の土地よりもいろいろな注意が必要となります。トラブルに発展してしまえば、購入者はもちろんのこと、売り手側も損をするだけになってしまうでしょう。トラブルを回避するためには、何よりも知識が必要です。自分の土地を建築条件付きとして売りに出す場合は、どんな業者に依頼するかが重要となります。

そのうえで、購入者との交渉は条件なしの土地よりも複雑化することが考えられるので、それに対する対策も必要です。

そのトラブル回避には不動産業者の存在が必要となるので、売主はしっかりと不動産業者選びをしましょう。不動産売却査定サイト「イエイ」では、査定額はもちろんのこと取引する業者にも重きを置いています。

自身に合う不動産会社をしっかり選び、買手に安心して購入してもらえるよう自分の土地に建築条件を付ける場合にはどのような注意をするべきなのかを、不動産業者と共に調査し臨みましょう。