マンション売却を決意したら、ただ買主を探すだけだと失敗する恐れがあります。売却価格や売却時期などに注意を払い、最もメリットが生まれる方法で買主を見つけましょう。この記事では、マンション売却で成功するためのコツを5つに分けて紹介していきます。
マンション売却は新居購入のタイミングも考慮して
マンション売却では、あらゆる「タイミング」を見計らいましょう。
たとえば、マンションの築年数・居住期間などは、物件の値打ちを決めるにあたって重要視される要素です。不動産の価値は、築年数によって決まります。基本的には、新築物件が最も高額で売却でき、築年数が経過するにしたがって価格は落ちていきます。マンションを売ろうと決意したら、価格の下落が進む前にすぐ市場に出すことが肝心です。ただし、築年数が経過したマンションでも「駅に近い」「都市圏にある」などの要素が含まれていれば、比較的高値でも買主が見つかりやすくなります。
そのほか、「ローン残高」もマンション売却のタイミングを決めるには考慮すべきポイントでしょう。ローンが残ったままマンションを売却しても、売主は残高を払い続けます。しかし、マンションを売却するにあたり新居もローンで購入する人は少なくありません。つまり、前のマンションのローンと新しいローンを二重に払わなくてはいけなくなるケースがありえるのです。そうならないよう、ローンを払い終わるかほとんど払い終えた状態でマンションを売却するようにしましょう。
また、マンションを引き渡すタイミングも失敗しがちな点です。新居が見つかっていないのにマンションを売ってしまうと、住む家がない状態になってしまいます。
「売却時期」「引き渡し時期」「新居への転居時期」はしっかりと合わせるようにしましょう。
売却価格は相場を踏まえて決定しよう
「悪くない物件なのに買主が見つからない」というケースでは、マンションの売却価格に問題がある可能性があります。
どんなに魅力的な物件でも、相場から大きく外れた価格だと買主はつきません。マンション売却では、価格の相場を調べてから市場に出すのがコツなのです。相場を調べるには、「築年数」「地価」「人気」「周辺地域の環境」「保存状態」など、さまざまな要素から査定します。一般人には、方法も知識もそなわっていないため、正確な査定をするのは困難です。そこで、不動産業者に依頼して査定価格を出してもらうのがおすすめです。
査定方法には、「簡易査定」と「訪問査定」の2種類があります。
- 簡易査定・・・webサイトなどで情報を入力し、すぐに価格を算出してもらう方式
(複数の業者へ同時に査定を依頼できる「一括査定サイト」などもあるので、比較検討に便利です。また、多くの業者が無料で簡易査定を行ってくれます。ただし、簡易査定を営業活動の一環と考えている業者は、売主と契約を結ぶためにあえて高めの査定額を提示します。より正確な査定価格を知るためには、日を改めて訪問査定をお願いしましょう)
- 訪問査定・・・業者が直接物件を見て価格を算出する方法
(訪問査定は有料の場合も多くなりますが、簡易査定よりも根拠のある数字を出してもらえるので、査定結果の信頼度は高まります。)
正式な契約書を買主との間に結んでおこう
買主が見つかったからといって、マンション売買は円満に終わると限りません。むしろ、売主と買主の間でトラブルが起きる可能性も低くないのです。なぜなら、不動産売買は、原則として「自由取引」とされているからです。
売主と買主がどんなルールのもとに取引を行おうが、法律は許してくれます。だからこそ、不動産売買では、取引成立後にお互いへのクレームが噴出してトラブルに発展するケースが絶えません。
たとえば、「瑕疵担保責任」などは代表的なトラブルでしょう。売主は不動産物件を引き渡す際、物件の破損や汚れを修繕しておく責任があります。これが瑕疵担保責任です。ところが、買主が転居してから長い時間が経っているのに「瑕疵が見つかった」などと訴えてくると、どちらの責任かが見えにくくなります。瑕疵担保責任は、「瑕疵の発覚」から1年が目安ですが、この期間は取り決め次第で変更可能なため、揉め事の原因になりやすいのです。
そのほか、手付金の返還や手付解除なども不動産売買でありがちなトラブルといえるでしょう。
こうしたトラブルを防ぐには、売買の際に正式な契約書を交わすことが必須です。瑕疵担保責任から手付金、支払い方法から入居時期にいたるまで、取引に関わるすべてのルールを書面化しておきましょう。契約書を用意するには、不動産の知識を十分にそなえた不動産仲介業者を通すのがおすすめです。
値下げ交渉にはすぐ応じるべきではない
売却したいマンションを市場に出すと、高確率で値下げ交渉が始まります。値下げ交渉に応じると、確かに早くマンションが売れるなどのメリットはあります。しかし、結果的には相場価格よりも安くマンションを売却する事態になり、売主がこうむる損のほうが大きくなってしまいます。値下げ交渉には安易に応じないようにしましょう。
不動産仲介業者を利用すれば、高くマンションが売れると考える人もいます。しかし、すべての業者が「高く売る」ことを重要視するとは限りません。むしろ、「売主との契約期間内にマンションを売る」ことのほうを目的にする業者も多いのです。なぜなら、仲介業者は、基本的に「成功報酬制」を採用しているからです。依頼された物件が売れなければ、仲介業者は利益を出せません。そこで、「できれば値下げして早くマンションを売ってしまいたい」というのが業者の本音です。仮に、業者から「もっと値下げしなくては売却などできませんよ」と持ちかけられたとしても、すぐにしたがわないようにしましょう。
市場に出してからしばらくは、最初の設定価格のまま様子を見ます。そして、買主がなかなか現れないようなら段階的に値下げをしていくのが賢明です。値下げを極端に行わないのは、もしも買主候補から値下げ交渉をされても、利益を残したまま応じられるだけの余裕を残しておくためでもあります。
良い買主は「清掃」と「内覧」で引き寄せる
不動産物件の価値は、「現在の保存状態」でも大きく左右されます。たとえ、築年数があまり経っていない物件でも保存状態が悪いと査定価格が落ちてしまいます。
正確に物件の価値を割り出してもらえる訪問査定を依頼したら、丁寧にマンションを清掃するよう努めましょう。隅々まできれいに拭き掃除、掃き掃除をするのはもちろんですが、壁紙の汚れや設備の不良なども修繕しておきます。一時的に修繕費用がかかっても、そのぶん査定価格が上がるなら決して高くはない投資だといえるでしょう。また、清掃の徹底は「内覧者からの印象を良くする」効果も含まれています。
マンションのように高額な物件を購入する場合、ほとんどの買主候補は契約前の内覧を申し込んできます。内覧は、物件の状態や周辺環境を実際に確かめてもらうためのサービスです。内覧で、市場価格に見合わないような欠陥が見つかったら買主候補を逃がしてしまいかねません。売却したいマンションは、内覧を想定して修繕するようにしましょう。
なお、内覧の申し込みがいつくるかは予想が付かない部分です。もしかすると、「今日、突然時間ができたので内覧にうかがいたい」と連絡がくる可能性もあります。多少の無理も売主ができる範囲で対応すると、買主候補からの好感度は上がります。そして、突然の内覧も受け入れられるように、売却したいマンションは日ごろからきれいに保っておきましょう。
マンション売却では細かい努力を惜しまない
マンション売却で失敗しないためには、清掃や査定、契約書の作成といった細かいポイントをコツコツと積み上げていくことが肝心です。
少しでもマンションの価値を上げる努力を惜しまなければ、満足のいく取引を成功させられるでしょう。