マンションを売却したいと考えてはいるものの、実際に何をしていいかわからずに困っている人もいることでしょう。不動産の売却を後悔のないように行うためには、正しい手順を踏んだ手続きをすることが大切です。そこで、マンション売却の手続きの流れについて解説します。
STEP1 相場のチェック
マンションを売却する際には、流れに沿って順に手続きを行っていくと安心です。
最初に行う手順は、相場のチェックになります。売却したいと思っているマンションに対して、実際にどのくらいの価格が付きそうかということを把握しておくことは重要です。相場を掴んでいない状態で不動産会社に相談に行くと、たとえ根拠のない算出方法であっても、高い査定額が出る良い話ばかりに目を奪われてしまうこともあります。そして、冷静な判断ができなくなってしまうこともあるのです。
事前に相場を調べるための方法には、たとえば実際に売買している物件を紹介している不動産情報誌やチラシを見たり、インターネットで検索してみたりといった手段があります。自分が売却しようとしているマンションと同じエリアにある物件や、似た間取りのものなどを探して参考にするとよいでしょう。同じマンション内で売却している物件があれば、大きな参考になります。
しかし、売却したい物件のマンション内の位置や間取りによっても価格が大きく変わることがあるため、あくまでも相場の参考とだけ捉えておくようにしましょう。
STEP2 査定の依頼
売却したいマンションの物件について、おおよその相場感を掴むことができたら、より詳しい相場を知るためにプロへ査定を依頼します。不動産会社による査定では、必ず複数の会社に依頼することが必要です。最低でも3社以上に査定を依頼するようにしましょう。もしも、他社と比べて1社だけ過剰に高い査定額を算出した場合には注意が必要です。
不動産会社の売却のための査定方法には、主に2つの方法があります。
- 机上で行う簡易的な査定・・・毎年発表される公示価格や過去に成約した売却事例、周辺の類似物件の売り出し情報などを参考にして価格を算出する方法
- 訪問査定・・・その名のとおり、実際に現地を訪問して査定額を出す方法。簡易査定により調べた情報に加えて、売却したい物件の周辺環境や接道状況なども見て調査する。さらに、法務局や官庁に出向き、インフラ状況なども含めてより正確に査定額を算出する。
STEP3 費用の確認
売却を正式に依頼する前には、後で慌てないようにするためにもかかるコストについて計算しておくことが大切です。
売却にかかる費用には、
- 売却を依頼した不動産会社に支払う仲介手数料(仲介手数料は、売却の成立時に支払うことが一般的です)
- 売買契約書に貼る印紙税や、登記にかかる費用(印紙税の金額はマンションの売買価格によって異なります。登記費用は、具体的には抵当権を抹消させるための費用や司法書士の報酬などです。)
- マンションの売却時には所有権を移転するための所有権移転登記という手続きも必要(この登記費用については買主が負担することとなっています。また、5年を超える期間で所有していたマンションを売却し、利益が発生した場合には譲渡所得税が課されることになっているため注意が必要です。ただし、マイホームとして使用していた場合であれば特別控除が利用できることもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。)
そのほかにも、売却物件を引き渡す際に、ハウスクリーニングの費用がかかったり引っ越し代がかかったりすることもあるため、しっかりと準備をしておくことが大切です。
STEP4 不動産業者との契約
不動産会社による査定が終わったら、次の手続きは売却を行う業者との契約です。
査定依頼した複数の不動産会社のうち、実際に売却を頼む業者を絞ります。ただし、契約する会社は1社でなければいけないというわけではありません。売却のための不動産会社との契約には3つの方法があり、複数に依頼することも可能となっているのです。
- 「一般媒介契約」・・・複数と契約することができる契約方法。個人的に見つけてきた相手への売却についても可能となる契約方法
(依頼主にとっては、自分の物件の売却における販促方法の幅が広がるという利点があります。しかし、一方では複数の不動産会社と契約している物件であることから、売却する不動産会社の取り組みの熱意が薄くなってしまうケースも少なくないです。)
- 「専属専任媒介契約」・・・1社のみに仲介を依頼する契約方法
- 「専任媒介契約」・・・1社のみに仲介を依頼する契約方法
(専任媒介契約は、加えて個人的に見つけた相手への売却も可能となっている契約方法です。)
どのような契約の手段を取る場合であっても、長い付き合いとなることもある業者選びは慎重に行うことが重要となります。
依頼する業者を選ぶ際には、不動産会社が提示する査定価格を参考にする人もいるかもしれません。しかし、金額だけではなく売却契約に携わる担当者の対応をチェックしておくことも大切です。査定や契約についての説明が十分になされているか、丁寧な対応をしてくれているかといったポイントも業者選びの判断材料にしておきましょう。
STEP5 売却開始
売却のための宣伝活動は、不動産会社によって異なります。新聞やチラシなどに広告を掲載するという方法をとる業者もあれば、自分の会社のHPに売却物件情報として紹介するところもあるのです。
さらに、会員となっている全国の不動産会社が情報を共有し合う「レインズ(REINS)」を利用することもあります。そして、さまざまなルートを通してマンションの売却情報を見た購入希望者が不動産会社に問い合わせをすると、希望に応じて物件見学が行われます。
売却中も住み続けていたり、生活用品が残っている状態であったりする場合には、見学する希望者に少しでも良い印象を与えるためにも、室内をきちんと整えておくようにしましょう。
STEP6 条件交渉
購入希望者が売却中のマンションを気に入り、買いたい旨を申し出てきたら、すぐに売り渡すための契約手続きへと進んでいくわけではありません。まずは、お互いの条件を伝えあって交渉が行われます。
売買交渉の条件となる項目とは、
- 価格
- 代金の支払い方法
- 物件の引き渡しの時期
などです。特に価格は、提示されることが多い条件となっています。価格交渉では、買い手側が希望する価格への値下げを求めます。そして、売り手側は相手が希望する価格との折り合いをつけるために、可能な限りの値引き金額を提示するという流れが一般的です。しかし、一度値引きをすると買い手側が値引き可能な物件と判断し、さらなる値引きを要求してくることもあります。このため、最初の段階ではっきりと売り手側の希望価格を提示しておくことも大切です。
そして、特に売却を急いでいないのであれば、安易に交渉に応じないことが上手に価格交渉を行うポイントとなります。
STEP7 売買契約と物件の引き渡し
交渉の末、お互いに売買条件について納得することができたら正式な契約となります。
不動産会社が仲介している場合であれば、業者が契約の日程や場所を調整し、手続きに必要となる書類について事前に説明をしてくれることが通常です。このため、業者のアドバイスのもと、決められた流れに従って手続きを進めていくこととなります。
売買契約が成立してからの流れ
- 買い手側から手付金を受領
- 不動産業者に仲介手数料の半額を支払う
- 抵当権の抹消や住宅ローンが残っている場合には残金を完済させ
- 最後に売却残金をすべて受け取ったら物件の引き渡し
マンションの売却は流れに沿って慎重に手続きを進めていくことが大切
マンションの売却を開始すると、つい焦って早くに売却を完了させようとしてしまう人がいます。しかし、特別な事情がない限りは、焦らずに状況を見守ることも、売却を成功させるために必要となる大切なポイントです。
また、思うような売却ができずに後悔することがないよう、売却を依頼する業者選びを慎重に行うことも重要となります。さらに、不備や損が出ることを防ぐために、随時情報収集を行い、万全に手続きを行うことも重要です。
気持ちに余裕を持って手続きを進めていくためにも、売却を検討し始めたらできるだけ早いうちから行動を起こすようにしましょう。