不動産投資は多額の資金を必要とするため、銀行から融資を受けているケースがほとんどです。万一、不動産投資で多額の損失が出た場合は自己破産も頭によぎりますが、任意売却などで破産という最悪のケースを避けられる方法もあります。不動産投資に損失が出た場合の対策と自己破産のリスクについて紹介します。

自己破産のデメリットは大きい?

自己破産はデメリットだらけ!?

自己破産は債務整理のなかでも最終手段ともいわれ、いくつかのデメリットがあります。

自己破産をすることで、以降の数年間は新たなローンを組めなくなるほか、職業制限や官報への掲載もあります。また、財産の処分については生活に必要なものは残すことができ、すべて処分されることはありませんが、99万円以上の現金に加えて20万円以上の財産も処分することになります。

さらに大きな影響を与えるのが連帯保証人で、破産者が免責を受けたとしても、返済義務を引き継ぐことになり、一括返済を求められることになります。

これだけのデメリットや影響を考えれば、やはり自己破産だけは避けたいという気持ちが増すことでしょう。そこで考えておきたいのが、不動産の売却の中でも任意売却です。通常の不動産売却のことを一般売却と呼びますが、損失が出て返済計画に狂いが生じている段階では早期の売却が必要になります。

次は任意売却とはどのようなものか、返済が不能になった場合の銀行の対応を交えて説明します。

  • 数年間ローンが組めなくなる
  • 職業制限や官報への掲載も
  • 99万円以上の現金+20万円以上の財産も処分
  • 連帯保証人に多大な責務

競売となった場合は多額の借金が残ることが多い

多額の借金が残る競売より任意売却

銀行などの金融機関から借り受けた貸付などの返済ができなくなり、その状態が2カ月~3カ月続くと、金融機関は裁判所に強制競売の手続きを申し立てます。競売のタイミングは返済が滞ってから数カ月のタイミングで実行されることがあります。

流れとしては、滞納となった時点で金融機関から催促状・督促状の通知が届き、期限の利益の喪失に該当するとして一括返済を求められることになります。ここまでは、ほかのローンの返済でも同じです。

代位弁済

次に金融機関が実行するのが代位弁済です。代位弁済により保証会社に債権が移り、さらに事態が進むと裁判所から競売開始決定通知が届きます。こうして早い場合では6カ月のタイミングで競売にかけられることになります。

競売となった場合は相場よりも安い価格で売却されるだけでなく、売却資金も手元に戻ってきません。

多額の借金を残さないように気をつける

不動産投資で多くの資金をつぎこんだものの、競売により多額の借金が残ることも避けたいところです。ポイントは相場よりも高く売却して借金が残らないようにするか、自力で返済できる範囲まで減らすことです。

また、貸付の返済に苦慮しているなかでは、固定資産税などの滞納しているケースも見られます。こちらも、滞納期間によっては役所が対象不動産の差し押えに入ります。競売では安く買い叩かれることも多いので、借金と税金の支払いの二重の負債を抱える可能性があります。

そこで手を打ちたいのが「任意売却」という方法です。任意売却は融資を受けている金融機関、税金の支払いでは役所と話し合いの場を持ち、できるだけ高い価格で不動産を売却して少しでも借金を減らす方法です。

抵当権と任意売却のメリットについて

抵当権という権利をつける

任意売却はローンなどの返済が滞っている段階では銀行などの金融機関と交渉し、同意を得ることが条件になります。また、物件を差し押えられている場合は役所の同意を取り付ける必要が出てきます。そのような同意を得るなかでポイントとなるものに抵当権があります。

金融機関は住宅ローンや不動産投資など多額の融資を実行している場合、抵当権をつけています。不動産投資における貸付は金額も大きく、返済期間も長期です。いつ返済が行き詰まるかわからないリスクを抱えることになるので、あらかじめ競売できる権利をつけています。これが抵当権と呼ばれるものです。

競売できる権利をもつ金融機関は、裁判所に申し立てることで早期に資金を回収できるという訳です。

抵当権の外し方

抵当権がついている段階では自由に不動産を売却できません。そこで抵当権を外してもらう必要があります。抵当権を外してもらうには、不動産を売却した金額が貸付の返済総額を上回ることで可能になります。

借金が残る場合でも差額を用意できればよいのですが、返済に苦慮しているなかで新たに資金を用意するのは容易ではありません。そのため、貸付のすべてを返済できないケースでも銀行などは任意売却に応じています。

住宅ローンの返済でも行われる任意売却は、金融機関にとってもメリットがあります。抵当権があれば、競売にかけることができても回収できるお金は融資した金額よりも少なくなるのが通常です。任意売却であれば相場よりも高く売却することができますので、競売のケースよりも多くのお金を回収できます。

抵当権を外すことは不動産の売却を自由にすることでもあり、買い手もつきやすくなります。不動産投資の損失でローンなどが返済できなくなった場合の対策として、まず任意売却できないか金融機関と早期に交渉を進めることが大事です。

【抵当権】

任意売却でも多額の借金が残る場合とサービサーの存在

任意売却できたとしても、問題となるのはどれだけ借金を減らせるかです。もし、任意売却でも多額の借金が残った場合ですが、金融機関によっては債権を他社に売却することがあります。

先の競売の流れのなかで、金融機関は債権を代位弁済により保証会社に移します。不動産投資のような多額の資金を要する貸付では、多くの場合で保証会社をつけることが条件になっています。任意売却ではこの保証会社と手続きを進めることもあるのですが、任意売却後の残債の状況によっては債権をサービサーに売却することがあります。

サービサーとは

サービサーとは債権回収会社のことで、法律が改正される前までは弁護士だけしか認められていませんでした。

債権回収に関する法律の改正を受けて取り扱うことができる債権を限定したうえで民間企業でも行えるようになっています。もし、債権譲受通知が届いた際は、サービサーが債権を買い取ったということです。

では、債権の額面のとおり残った借金を今度はサービサー相手に返済することになるかと言えば、そうではありません。サービサーが債権を安く買い取り、手数料をつけて販売しているのですが、その売買価格は1%~10%程度です。つまり、サービサーに債権が移った場合に返済すべき金額は残債の1%となることがあるのです。

たとえば、任意売却しても500万円の借金が残ったとした場合、返済は5万円になります。ただし、サービサーが買い取るタイミングはまちまちで、時間が相当経ってから通知で知ることも多くあります。

任意売却で不動産を売却しても自己破産はできる!

次に任意売却と自己破産の関係を見ていきます。自己破産ができない条件として同じく返済が困難な業者だけを優先して支払ってしまったというケースでは自己破産はできないのではという例です。

自己破産に限らず、特定調停や個人再生でも特定の業者だけに返済することで公平性の観点から手続きができなくなることがあります。偏頗(へんぱ)弁済というものです。任意売却も銀行などの金融機関と交渉のうえ、不動産を売却して弁済していることになりますから、これも偏頗弁済にあたるのではと見ることができます。

また、自己破産はすべての財産を対象に手続きを進める債務整理ですから、当然ながら不動産も含まれています。

任意売却をしても自己破産はできる

結論から言えば、任意売却をしても自己破産はできます。自己破産の手続きでは不動産を含めて財産は裁判所から選任された破産管財人が管理・売却して、債権者に公平に分配します。しかし、手続きの前に特定の業者のみに返済を行った場合は先の偏頗弁済にあたり、自己破産はできなくなります。

また、自己破産の免責不許可になる事由のひとつにギャンブルや投資による借金があります。これに不動産投資があたるかは裁判所の判断によるところが大きく、ほとんどのケースで免責となり、借金の返済義務がなくなっています。

それぞれの裁判所の判断によることを裁量免責といいますが、手続きに非協力的な態度をとっている場合や無計画で無謀な不動産投資でない限り免責許可が下りています。

不動産を最良の方法で売却できないと自己破産できないリスクが出てくる

不動産を処分するなら自己破産のほうが良いのではと見る向きもあるでしょう。しかし、不動産を任意売却の方法で処分した場合、相場次第では借金を大幅に減らすことができます。また、自己破産となった場合にも手続きに費用がかかります。

自己破産にかかる費用は収入印紙代、切手代こと予納郵券代、官報への掲載費用にあたる予納金の3つが自己破産の手続きでは必要になります。このうち多くの費用がかかってくるのが予納金です。これには同時廃止となるか、それとも管財事件となるかで大きく違ってきます。

財産がある場合は多額の金額がかかる

自己破産にも費用がかかる

同時廃止は目ぼしい財産がない場合で、早期に免責となる制度もあり、費用も2万円で済みます。財産がある場合は管財事件となり、20万円~50万円かかることになります。自己破産の手続きで対象となる財産には不動産をはじめ、車・貴金属・骨董品・絵画なども含まれます。換価できるものは財産にあたり、管財事件となります。

不動産投資で物件を任意売却した場合では、財産が残っていなければ同時廃止となると考えられがちですが、ギャンブルや投資などのケースでは少額管財事件となることがあり、費用も多くかかることがあります。

任意売却を行えば、自己破産の費用を捻出することができます。費用がなくて自己破産ができないというケースもあり、不動産投資の資金以外に借金がある人の場合は、たちまち返済に苦慮することになってしまいます。いかに最良の方法で不動産を売却できるか、投資で要した貸付以外に借金もあれば、なおさらです。

自己破産をできないリスクを避ける意味でも、投資した不動産を任意売却で整理する必要があるのです。

不動産投資で損失が出た場合は早期に最良の方法をとることが大切に

不動産投資で大きな損失が出た場合、すぐに自己破産を考える必要はありません。自己破産はデメリットもあり、連帯保証人がついている場合は影響も多大です。

まず、考えることは抵当権を外すなど、任意売却の方法で相場に近い価格で売却すること。それでも残る借金は、自己破産を含めた債務整理で返済していくかを考えていきます。売却価格次第では借金を大幅に減らすこともできますし、自己破産をとらざる負えなくなった場合は費用を捻出することができます。

 一般売却では時間がかかるため、損失が出ている状況で返済を迫られている場合には向いていません。返済が滞る状態になれば、早い段階で金融機関は競売の手続きをとります。競売となれば、相場よりも安い価格での売却となるため、抱える損失も大きくなります。

早期に、任意売却など投資物件の整理についても実績のある専門家の力を借りて手続きを進めることをおすすめします。