通常、不動産の売買をする時は不動産業者に頼みますが、個人間や親子間で売買する事も可能です。法律上も全く問題ありませんが、個人間売買はメリットがある一方で隠れたデメリットも存在します。
それでは、個人間で不動産売買を行うメリット・デメリットとは何かを解説していきます。
この記事の目次
個人間売買のメリット
仲介手数料が一切かからない
通常、仲介業者を挟む場合「売却価格×3%+6万円(×消費税)」という仲介手数料がかかります。売却価格が大きければ大きいほど手数料が取られてしまう仕組みなので、負担もかかり、勿体無いと感じることがあるかもしれません。
特に身内同士や知人の間での取引となると、どうして払わなければならないのかと疑問をもつことも多いでしょう。
そこで個人間売買という方法を選ぶと、そういった手数料が不動産業者に頼まないことで当然手数料はかからず、比較的希望料金で売買することができるのです。
消費税の負担がない(不課税)
消費税の問題も見過ごせません。不動産や中古車を購入した際に「消費税って馬鹿にならないな・・」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そもそも消費税というのは、国税庁のホームページによると「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供に課税される」。
国税庁「消費税のしくみ」参照
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm
つまり、仲介という業者を挟むことによって税金が発生してしまい、それらを業者に納税する義務が消費者に発生してしまうということです。仲介手数料の上に消費税がかかるとなると、金額の大きな不動産にとってかなりの負担と言えます。
しかし、個人間売買になると売り値を消費税分だけ相場より低くすることができるため、比較的購入されやすくなるというメリットがあるのです。
知人に家を譲り受けてもらうには最適
仲介人を挟むと信頼関係を築くのに時間がかかったり、言いたいことや自分の考えが上手く伝わらない。その結果、希望した料金と違った取り引きになってしまった、といったことが起きかねません。
その点、気心の知れた知人や身内同士との売買は、個人売買で当人同士じっくり話し合う事が可能です。不動産業者に仲介を依頼して事務的に行うよりも、お互い納得のいく内容で売買をする事ができます。
個人間売買のデメリット
瑕疵担保責任がついてくる
瑕疵とは簡単に言うと不動産の欠陥等を指し、瑕疵担保責任とはその瑕疵に対して売主が責任を負うといったものです。 売買契約時に免責となる記載をしない場合は、売主にはこの責任がついてきます。
例えば売買が完了した後、売主から説明されていない瑕疵(欠陥)が買主により発見された場合、瑕疵担保責任を負っている売主が費用を出し修繕を行わなければなりません。
責任を負わない旨を契約書に記載すれば、免責、つまり責任を負わないようにする事も可能ですが、「この家に欠陥があってもなんの保証もしない」と言っている家を買おうという人は当然少なくなります。
免責したとしても売主にとっては、売却がスムーズにいかないというマイナス要素になります。
不動産業者に仲介を頼んだ場合、この瑕疵担保責任は不動産業者が担ってくれますので実際には個人間売買を行う事ができても行わない人がほとんどです。
瑕疵担保責任は、原則10年は負わなければならないので、この期間を不安に思う方は個人売買という方法を考え直してみてもよいかもしれません。
相場がわからない
不動産業者を通さないので、相場がわからず、売り手側も買い手側も損をする可能性が高まります。仲介業者は「RAINS/レインズ」という不動産屋同士で物件情報を共有できる情報システムを扱えるので、全国の不動産情報などを閲覧することができます。
しかし、個人間売買になるとそれらへ登録することができず、平均的な相場などがわかりづらいのです。
揉める、トラブル
買い手が知人や家族の場合、上述のメリットがありますがお金が絡むとどうしても揉めて喧嘩になる事が多いです。
揉めると金額が大きいだけに、その後の人生ずっと気まずい状態になってしまうことが多いのがデメリットです。これから長くお付き合いをしていかなければならない相手となると、余計に気を使ってしまうということも。
こういう場合、第三者である人物が必要なケースもあるので、一概に良いとは言えないのです。
宣伝は自ら行わないといけない
不動産業者に頼まない以上、宣伝は自分で行うしかありません。HP等インターネットが普及してはいるものの、費用もかかりますし宣伝作業というのは相当な手間になります。
現在では簡単に個人間売買ができるような仕組みや業者(料金は比較的リーズナブル)ができつつあります。しかし、やはり広告というのは認知されてこそ発揮しますので、できはじめのサービスは見る人が少ないという不安要素があります。
そのため、売れるのに時間がかかり、長期戦になることが多いのです。もし売却を急いでいる場合はオススメできません。
十分な情報を集める必要がある
仲介を頼む場合でも、当然情報収集は必要となりますが、個人で行う場合は更に時間をかけて情報収集をする必要があります。情報不足で買主とのトラブルが発生してしまった場合、そのトラブルも自ら解決するしかなく、大変な労力です。
また、売買時の手続き等、一体どこから何を始めれば良いのかなど、自分がわかっていなければ専門家に頼らざるを得なくなり、最悪の場合仲介よりも資金がかかってしまう可能性も否定できません。
まとめ
このように、個人売買には様々なメリット、デメリットがあるのがわかります。売りたい不動産によって環境は様々ですが、無理をせず、その不動産に合う方法で売買する事をおすすめします。