缶ジュースは120円、ライターは100円など、物には値札がついていますが、土地には値札はついていませんよね?バブル時の土地価格と今の土地価格に違いがあるように、土地価格は常に上下動し変動するものです。

では土地価格の目安はどのように決められているのでしょうか。実は土地には「4つの値段(一物四価)」が隠されているのです。今回は土地の一物四価とはなにか、また土地の価格や値段の基準はどのようにして決まるのかについて解説していきます。

一物四価

土地の値段

土地の値段というものは「できるだけ高く売りたい」「とにかくすぐに売りたい」という売主側の事情や思惑に対して「できるだけ安く買いたい」「高くてもすぐに手に入れたい」というのが買主側の事情や思惑です。

売主側と買主側のそれぞれの事情や思惑によって、実際の土地の価格相場よりも安くあるいは高く、売買されることがあります。

ただそれでは、目安となるものがないため、例えば相続税の算定時などの特定のシチュエーション時に、公的に算定された目安となる土地の価格を基準にする必要があります。このように、1つの土地の価格には4つの値段(値札)がついており、これらの価格をまとめたものを一物四価(いちぶつよんか)と呼びます。

その4つの価格とは以下の通りです。

◇実勢価格
◇公示地価(公示価格)
◇路線価/相続税評価額
◇固定資産評価額

それぞれ詳しく解説していきます。

実勢価格

実勢価格は市場で実際に取引されている価格を指します。身近な例で言うと実際に土地が売買される価格、不動産業者が掲示する価格のことで1番親しみのある価格かもしれません。

一般的にはその土地の相場価格になりますが、とにかく売りたいということで値引きされたり、何がなんでもほしいということで、値段が上がったりします。よって実勢価格は買いたい人の需要と、売りたい人の供給のバランスが取れたときに決まります。

また実勢価格は公的なルールのない価格のため、常識の範囲内であれば自由に決められます。よって実際に取引される価格、実勢価格は売主にとっても買主にとっても大切な判断基準と言えるでしょう。

注意点として、実勢価格は、SUUMOなどに載っている価格で判断するのか、売買契約がなされた価格(値引き交渉などがあるかもしれません。)で判断するのかは状況によって使い分けられています。

公示地価(公示価格)

公示価格とは国土交通省が公示する、毎年1月1日時点の土地の評価額です。(発表されるのは3月下旬頃)一言でいえば土地の「目安価格」といえば分かりやすいでしょう。

不動産の売買は需要と供給のバランスで決まります。つまり、そんなに公平ではないということです。需要が多くあっても供給が少なければ当然値段はどんどん上がり、その逆であれば値段はどんどん下がります。

こういう状況は都市の中心部では必ず発生します。そうすると、この場所は本当は一体いくらくらいが適正価格なのか?という『目安』が必要になります。つまり、国が考えるこの場所の基準価格が公示価格という訳です。

これを決めるのは1地点について2人の不動産鑑定士がそれぞれ現地調査し、その近隣の最新取引の事例や対象となる土地からの収益性を分析して評価を行います。さらに、地点間や地域間のバランスなどを考慮して、最終的に国土交通省の土地鑑定委員会と呼ばれる人たちによって価格が導き出されており、全国一律に設定されています。

国が決めている土地の価値ということですが、国が隅から隅までくまなく土地を評価することは極めて困難であることから、標準地(全国で26,000地点)にしか設定されておらず、国が認めた土地については価格が設定されています。これは、全国どこでも金銭的な価値のある土地ばかりではないということを表しています。

そして、売買後の 「(土地の)管理・維持・相続」には、公示地価を参考に決められた、 路線価及び固定資産評価額という値札が適用されます。
つまりこの公示価格を元に、次の路線価と固定資産評価額も算出されるため、とても大切な価格です。

実勢価格は取引の平均値から算出されますが、公示価格については価格の根拠となる条件にひとつずつ照らし合わせて算出されるため、実勢価格に比べて客観性の高い価格と言えます。
ちなみに、公示価格のおおまかな相場は実勢価格の90%程度となることが多いです。

尚、公示地価(公示価格)のような、国が国土の算定を行うという世界でも稀有な制度です。
他国に比べ、個々人がその不動産取引によっていくらのお金が入ったなどを公表しない国民性もあって、実際の取引情報が公開されておらず、結果として情報の非対称性が国民の利益にならないという理由から国自らが不動産取引の価格算定基準値を公表しているということになっています。

路線価(相続税評価額)

路線価とは土地の相続税及び贈与税の計算の元になる価格です。

路線価そのものは、土地全体の価格ではなく、路線(=道路)に面する宅地の約1㎡あたりの評価額です。所有地に接している道路の価格に、土地の面積を掛け算すると、その地の路線価が出るのです。路線価は金融関係の流れをコントロールしている国税庁が価格を定めます。

路線価には相続税用固定資産税用の2種類がありますが一般的には相続税用のことを指しています。この路線価とは分かりやすくいえば、税務署用の土地価格といえます。

価格は年一回の更新で、日本中の道路の1㎡の評価を毎年1月1日時点で行い、その年の7月1日に発表します。仮に8月に土地を相続する場合、1月に高かった土地が8月時点で安くなっていても、相続税は土地の価値が高い状態である1月時点で計算されるため、タイミングが重要になります。

路線価は納税する側の便宜、及び徴税費節減のためのある意味大雑把な価格です。個々の土地の特質や例外を考慮することなく、全国一律で決定されます。そのため、納税者が不利益にならないよう公示地価の80%が目処になっていますが、結果としてその数字になっているだけであって、単純に80%としているわけではありません。なお、この路線価で売却価格が決まってしまうことはありませんので心配はいりません。

相続税対策として一時期タワマン節税というものが流行して購入が増えましたが、2022年4月の最高裁でのタワマン節税裁判で国税局が相続税路線価での算定評価ではなく、実勢価格での評価をして追徴課税したことが結審したことで、令和5年の税制改正大綱では、マンションの相続税評価額を実勢価格に近づけることがほぼ決まりました。
そのため、相続税対策に安易に不動産購入はおすすめできない手法となりました。

固定資産税評価額

固定資産税

その名の通り、固定資産税の算定基礎用に算出する価格のことで、市町村(東京23区は都)などの地方自治体が、固定資産税・不動産取得税・登録免許税などの徴税額を算出するときに用いる価格です。こちらは地方自治体が決める価格なので、税金といっても国や国税庁で決定しません。また、土地だけでなく建物にも課税されるため、土地と建物の両方に算出されます。

価格決定は3年に1度のため、実際の土地の価格と誤差がある場合もあります。3年の間に土地の値段が大きく変化することもあり、その変化を見越して実際の30%引きになっています。要するに納税者の不利益にならないよう、公示地価の70%を目処に決定されます。

まとめ

このように1つの物件に4つの値段がついているとはいえ、使用用途は変わってきます。その違いを上手に活用し、不動産売買に賢く活かしましょう。また、そのままの価格が反映されるわけではありませんのであくまで目安の1つとして考えると良いでしょう。

では、土地を売る際に不動産屋業者が査定した金額が高いのか安いのか、どのように判断すればよいのでしょうか。

所有している物件について詳しい売却査定金額を知りたい場合は、不動産一括査定サイトを利用し、相場を知ることをおすすめします。一括査定サイトはWEB上のフォームに物件情報を入力することで複数の不動産会社から見積もりを受け取ることが可能です。見積もりを比較することで相場を知ることができ、不動産会社が提示した金額が高いのか安いのか判断することができるでしょう。

不動産取引を成功させるためには、自ら動いて確認するという行為が重要です。そして、売主に寄り添い、親身になってくれる不動産会社を探しましょう。信頼できる不動産会社が見つかれば、売却成功の可能性は大きく高まるのです。

一括査定サイトを利用して効率的に不動産会社選びをしよう

不動産売買に関する知識がなく、所有している不動産をどのような方法で売却すればいいかわからない、どの一括査定サイトを選べばいいかわからない、という方は一括査定サイト「イエイ」の利用をオススメします。

イエイ」では、国内主要の不動産会社や地元に強い地域密着の不動産会社などとの取引があり、多様な不動産会社から自身に合う不動産会社を見つけやすいのが利点です。

フォーム内に物件情報を入力することで複数の不動産会社から売却査定金額を確認することができ、簡単に相場を知ることも可能です。また信頼できる担当者が見つかれば、そのまま不動産会社に仲介を依頼することもできるので、安心して売却活動を進めることができるでしょう。

またイエイには「なんでも相談室」や「お断り代行」など業界屈指のサービスがあり、不安の多い売主を徹底サポートしてくれます。

イエイ」を使って効率的に不動産会社選びを行いましょう。