この記事で分かること

・ホームインスペクションの費用相場
・ホームインスペクションの費用を左右する3つのポイント
・ホームインスペクションが費用対効果が高い3つ理由

自宅を売却する前にホームインスペクションを行うか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

ホームインスペクションは、住宅の劣化状況や不具合を専門家が第三者の立場で確認してくれるサービスで、購入希望者に安心感を与え、売却後のトラブルを防ぐための有効な手段です。

一方で、「費用はいくらかかるのか」「本当に必要なのか」と疑問に思う方もいると思います。

実際には、建物の構造や築年数、調査内容によって費用は変動します。

木造戸建てやマンション、詳細な床下・屋根裏調査などによっても相場が異なるため、事前に目安を知っておくことが重要です。

この記事では、ホームインスペクションの費用相場や内訳に加え、費用を左右する3つのポイントや費用対効果についても詳しく解説します。

これを読むことで、「費用に見合う価値があるか」を判断し、安心して売却準備を進めることができますよ。

ホームインスペクションとは?

ホームインスペクションの目的のイメージ画像

ホームインスペクションの目的

・建物の状況を明確にする
・将来的な修繕やリフォーム費用の目安を把握する
・安心して売買できるかを判断する

「ホームインスペクション(住宅診断)」とは、建物の劣化状況や不具合がないかを、専門家が第三者の立場で確認してくれるサービスのことです。

主に中古住宅を購入する前に行われ、外からではわかりにくい基礎や屋根、外壁、配管などの状況を丁寧にチェックします。

このホームインスペクションは売り手側、買い手側、どちらでも行うことができ売買契約成立後の思わぬトラブルを防ぐ目的で、利用する人が増えています。

特に築20年以上の物件では、老朽化や施工ミスが見えにくいため、購入前や売却前に専門家の目でしっかり確認しておくことが大切です。

診断結果は報告書としてまとめられ、安心して購入してもらえる判断材料の一つになります。

また、必要に応じて売主との価格交渉にも活用できるため、費用以上の安心感を得られるというメリットもあります。

ホームインスペクションの費用相場とは?

ホームインスペクションの費用相場のイメージ画像 

ホームインスペクションの料金は、建物の構造や調査内容の範囲によって大きく異なります。

ここでは、一般的にどの程度の費用がかかるのか、その目安をわかりやすくご紹介します。

ホームインスペクションの費用相場 

ホームインスペクションの費用は、建物の種類や調査の範囲によって異なります。

おおよその目安は下記のとおりです。

建物の種類

費用の目安(税別)

新築木造一戸建て(30坪前後)

約5~8万円

中古の木造一戸建て(30坪前後)

約7~9万円

マンション(専有部分のみ)

約3万~6万円

詳細診断(床下・屋根裏含む)

約8万~12万円

【木造一戸建て】
木造の戸建住宅では、一般的な診断内容で5万〜8万円前後が相場です。

建物の延床面積や築年数、あるいは特別な調査が必要な場合には、追加費用が発生する場合もあります。

特に築年数が古い物件や、増改築を繰り返している住宅では、診断範囲が広がる分だけ費用がやや高くなる傾向があります。

【マンション】
マンションやアパートなどの集合住宅では、3万〜6万円程度が目安です。

ただし、専有面積が広い部屋や、構造が特殊なタイプの建物では、追加料金がかかる場合もあります。

【詳細診断を行う場合】
床下や屋根裏など、通常の目視では確認しにくい箇所まで調査を依頼する場合は、詳細診断として追加料金が必要になります。

追加費用は、基本プランにおおよそ3万円前後上乗せされるケースが多いです。

詳細診断の費用目安

ホームインスペクションで行われる各種詳細診断の費用は、調査内容によって異なります。

一般的な目安は以下の通りです。

調査内容

詳細

費用の目安

床下への進入調査

シロアリ被害や基礎のひび割れ、漏水などを確認する調査

約2~3万円

屋根の調査

建物の外部から双眼鏡等で目視で見えない部分を調査

約1~2万円

屋根裏への進入調査

雨漏れの痕跡や断熱材の施工状況等の調査

約2~3万円

設備機器の点検

給排水設備の漏水有無の確認や換気設備、冷暖房設備の確認

約2万円

基礎配筋(鉄筋探査)調査

基礎の配筋が正しく配置されているかの確認

約5千円~1万円

内覧会同行サービスもある(買い手側向け) 

一部のインスペクション会社では、内覧会に専門家が同行し、その場で住宅診断を行うサービスを提供しています。

このサービス料金も、物件の種類や診断内容によって変動します。

建物の種類

費用の目安(税別)

一戸建て(目視による基本検査)

5~7万円

一戸建て(詳細な検査、目視では判断が難しい場合)

6~12万円

マンション

4~6万円

 マンションの場合は、目視による基本調査のみを行うケースが多く見られます。

内覧会同行サービスの料金は、一般的なホームインスペクションとほぼ同程度で依頼できるのが特徴です。

ホームインスペクション費用の内訳とは?

ホームインスペクションの費用の内訳のイメージ画像 

ホームインスペクションに必要な費用は、いくつかの項目によって成り立っています。

ここでは、主な費用の内訳と、それぞれに含まれる内容についてわかりやすく解説します。

1. 住宅診断士・住宅検査員にかかる費用

ホームインスペクションは、専門資格をもつ住宅診断士や住宅検査員が実施します。

そのため、調査を行う専門家の人件費が発生します。

経験や資格のレベルによって、料金に差が出る場合があります。

2. 報告書作成に関する費用

調査結果をまとめるための報告書を作成する際にかかる費用です。

 印刷用紙やインク代、郵送費などの実費が含まれます。

より詳細な内容の報告書を希望する場合には、5,000円~1万5,000円程度の追加費用がかかることもあります。

3. 調査機器の使用料

赤外線サーモグラフィーカメラや鉄筋探査機など、特殊な機材を使用して診断を行う場合には、その機器使用料が発生します。

 一方で、目視による基本的な点検だけであれば、追加費用はほとんど必要ありません。

4. 出張費

調査を行う物件までの移動にかかる交通費が該当します。

対象となる建物が遠方にある場合や、複数回の訪問が必要な場合には、別途料金が加算されるケースもあります。

5. 事務スタッフの人件費

インスペクション会社には、受付や書類作成などを担当する事務スタッフが在籍しています。

そのスタッフの作業コストも、全体の料金に含まれている場合があります。

6. 広告・宣伝費

インスペクション会社が運営するホームページの管理費や広告掲載費、人件費などが、料金の一部に反映されていることもあります。

これらは、会社の信頼性やサービス品質を維持するための運営コストと考えられます。

費用を左右する3つのポイント

費用を左右する3つのポイントのイメージ画像

上記で、ホームインスペクションの費用相場をご紹介しましたが、実際の費用は建物の築年数や診断内容などによって大きく変わります。

ここでは、費用に影響を与える主な3つのポイントを見ていきましょう。

①建物の構造・広さ・築年数 

木造住宅は構造上、確認すべき項目が多くなりやすく※、鉄筋コンクリート造に比べてやや高額になりやすい傾向があります。

また、築年数が古い物件や大規模な改築が行われた物件は、点検箇所が増え、費用もあがる傾向です。

さらに、業者によっては床面積ごとに料金を設定しているところも多いため、特に床面積の広さは、費用を左右する大きな要因の一つです。

【※なぜ木造住宅はマンションより確認項目が多いのか?】

木造住宅では、床下や屋根裏の状態を確認することが多く、調査範囲が広くなるためマンションよりもチェック項目が増える傾向にあります。

②診断内容・依頼範囲の違い 

詳細診断の費用目安】でもご紹介したように、診断の内容によって料金は大きく異なります。

例えば「外観のみを目視でチェックする簡易的な調査」と「床下や屋根裏まで確認する詳細な調査」とでは、かかる費用に差が生じます。

売却を控えている段階であれば、まずは外観中心の簡易調査を行い、物件の状態を把握しておくのも一つの方法です。

ただし、建物の劣化箇所を正確に把握して買主への説明責任を果たしたい場合や、信頼性を高めたい場合には、詳細診断を依頼しておくと安心です。

③業者や地域による価格差 

東京都など都心部では人件費が高いため、同じ内容でも地方より1万〜2万円程度高くなる傾向があります。

また、個人の診断士よりも、組織型の専門会社のほうが保証や報告書の質が高い分、やや料金が上がるケースもあります。

ホームインスペクションは費用対効果が高い! 

ホームインスペクションは費用効果が高いのイメージ画像

これまで、ホームインスペクションの費用相場などをご紹介してきました。

詳細な調査を依頼すると10万円前後かかるため「本当に行うべきか」と悩む方もいるかもしれません。

しかし、ホームインスペクションは費用対効果が非常に高く、さまざまなリスクを事前に回避することができます。

例えば

【雨漏り気づかずに放置したケース】

・被害が徐々に広がりシロアリ被害やカビの発生により建物の耐震性が損なわれた。
・修繕費に100〜200万程かかった。

【基礎コンクリートにひび割れが発見されたケース】

・構造上の耐力に影響を与えるひび割れが見つかり、買主が工事完了まで一時的な仮住まいを余儀なくされた。
・引っ越し費用や生活の負担が発生した。

このように、売買契約の成立後に不具合が見つかると、買主は高額な修繕費や仮住まい費用を負担することになり、最悪の場合は売却後にトラブルへ発展する可能性もあります。

事前にホームインスペクションを実施しておけば、問題箇所を早期に発見でき、修繕費を抑えることが可能です。

また「診断済みの物件」は売主、買主ともに安心材料となり、スムーズな売却や信頼性の向上にもつながります。

ホームインスペクションで安心できる売却を

ホームインスペクションで安心できる売却を目指すのイメージ画像

ホームインスペクションは、5万〜12万円程度の費用で建物の状態や劣化の様子を事前にチェックできる、安心感の高いサービスです。

売却前に診断を受けておくことで、購入希望者に信頼感を与えられるだけでなく、売却後に思わぬトラブルや高額な修繕費が発生するリスクも減らせます。

特に築年数の古い物件や増改築を重ねた住宅では、事前に確認しておくことで、安心でスムーズな取引につながります。

売却を検討している方は、ホームインスペクションを早めに取り入れることで、より信頼性の高い取引と、費用の節約につなげることができますよ。