この記事でわかること ・仲介手数料の交渉がしやすいケースや、交渉しにくいケース ・仲介手数料の交渉をするタイミングやコツ ・仲介手数料の交渉が難しい場合の代替案 |
家を購入するときや、賃貸物件を探しているときに「仲介手数料、思ったより高いな…」と感じることはありませんか?
仲介手数料は、賃貸契約で家賃1ヶ月分、売買契約となれば物件価格によっては100万円を超えることもあり、大きな負担となり得ます。
本記事では、仲介手数料の仕組みから、法律に基づいた上限額、そして最も気になる「交渉」のタイミングや具体的な方法、さらには交渉以外の代替案まで、徹底解説します。
法律上、仲介手数料は上限が定められていますが、下限は設けられていないため、交渉自体は可能とされています。
しかし、その現実や交渉に伴うリスクも理解しておくことが重要です。
この記事を最後まで読めば、仲介手数料を交渉する際の悩みを解消させ、賢く費用を抑えるための具体的な行動が見えてくるでしょう。
この記事の目次
そもそも仲介手数料とは?基本を理解しよう
仲介手数料の交渉を考える前に、まずはその基本的な仕組みを理解しておくことが大切です。
仲介手数料はなぜ発生するのか、また、何に対して支払うものなのかを知ることで、交渉時により的確な判断ができるようになります。
不動産会社は何をしてくれる?仲介手数料の内訳
仲介手数料は、不動産会社が提供するさまざまなサービスに対する対価として支払われるものです。
具体的には、不動産を売買する場合、賃貸する場合で内容は異なりますが、一般的に以下のような業務がそのサービスに含まれます。
・物件探しや紹介(主に物件の購入希望者、賃借希望者)
・条件の交渉
・契約書類作成・重要事項の説明
・契約締結・決済・引き渡しサポート
これらの活動には、広告費、人件費、事務所の維持費など、多くの経費がかかっています。
仲介手数料は、これらの経費を賄い、不動産会社の利益となる重要な収入源となるのです。
また、仲介手数料は基本的に「成功報酬」であり、契約が成立して初めて発生する費用です。
そのため、ただ物件探しを手伝ってもらっても、最終的に契約に至らなければ支払う必要はありません。
仲介手数料が「高い」と感じる背景には、これらの業務内容や、契約成立までの労力が見えにくいという点があるかもしれません。
しかし、仲介手数料は取引の労力だけでなく、会社の経営コストや、成約に至らなかった案件のコストもカバーしている側面があることを理解しておくと、手数料の意義についてより深く納得できるでしょう。
賃貸と売買では違う!仲介手数料の上限と計算方法とは?
仲介手数料は、不動産会社が自由に決められるわけではなく、宅地建物取引業法によって依頼者から受け取れる上限額が定められています。
この上限は、以下のように賃貸と売買で異なりますので、事前に確認しておきましょう。
【売買の場合】
不動産売買の仲介手数料の上限は、売主・買主それぞれに対し、売買価格によって以下の料率で計算され、その合計額となります。
売買価格 | 仲介手数料の上限の計算式 |
---|---|
~200万円の部分 | 売買価格×5%(+消費税) |
200万円~400万円の部分 | 売買価格×4%(+消費税) |
400万円~の部分 | 売買価格×3%(+消費税) |
しかし、これらの計算は部分ごとに分割して計算する必要があり、非常に複雑です。
そこで、より簡単に計算するために、以下のような速算式を用いられます。(売買価格が400万円超の場合)
仲介手数料=(売買価格×3%+6万円)+消費税
例えば、3,000万円の物件を購入する場合の仲介手数料の上限は以下の計算式で求めることができます。(消費税が10%の場合)
(3,000万円×3%+6万円)=960,000円 960,000円+96,000円(消費税)=1,056,000円 |
以下の記事では、これらの計算方法についてより詳しく紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
【賃貸の場合】
賃貸物件の仲介手数料の上限額は、貸主と借主から受け取る合計額が「家賃1ヶ月分+消費税」と定められています。
原則として、貸主と借主それぞれから受け取れる上限は「家賃の0.5ヶ月分+消費税」ずつですが、依頼者の承諾があれば、一方からまとめて「家賃1ヶ月分+消費税」を受け取ることも可能です。
以下の記事では、賃貸の仲介手数料の相場についてより詳しく紹介しています。
こちらも参考にしてみてください。
【注意】低廉な空き家の場合は仲介手数料が違う
仲介手数料に関するルールは、社会状況の変化に合わせて見直されることがあります。
直近では、2024年7月1日に「低廉な空家等の媒介報酬(※)」に関する特例が改正されました。
これは、地方や郊外に増えている空き家の流通を促進するための措置で、具体的には、売買価格が800万円以下の「低廉な空家等」については、売主・買主それぞれから最大で30万円(税抜)の仲介手数料を受け取ることが可能になりました。
従来は、400万円以下の物件について、売主からのみ最大18万円(税抜)を受け取れる特例でしたが、今回の改正で対象物件の価格帯が広がり、上限額も引き上げられ、さらに買主からも報酬を受け取れるようになった点が大きな変更点です。
このように最新の法改正情報を把握しておくことは、適正な手数料を理解し、不利な条件で契約しないために不可欠です。
また、不動産会社が最新の法令を遵守しているかを見極める上でも役立ちます。
常に最新の情報を提供できる専門知識は、信頼できる不動産会社を見分けるための一つの指標とも言えるでしょう。
仲介手数料の交渉は本当にできるの?
仲介手数料の基本を理解した上で、いよいよ本題である「交渉」について掘り下げていきましょう。
「法律上は交渉することは可能」とされていても、実際に交渉がうまくいくのか、どのような場合に交渉が成功する可能性があるのか、また交渉することのリスクはないのかなど、解説します。
法律上は可能だが上限額請求が多い
先述した通り、宅地建物取引業法で定められている仲介手数料はあくまで「上限額」であり、「必ずこの金額を請求しなければならない」というわけではありません。
つまり、法律的には上限額の範囲内であれば、不動産会社と依頼者(売主・買主・借主)の合意によって自由に手数料額を決めることができるので、値引き交渉は全く問題のない行為です。
しかし、多くの不動産会社では上限額を請求するのが実情です。
では、なぜ上限額を請求するのでしょうか?
その主な理由は以下の通りです。
・収入源が減ってしまうから
仲介手数料は、不動産仲介会社の主な収入源であることが多いです。
そのため、値引きを引き受けてしまうことで、直接的に会社の売上や営業担当者の報酬の減少につながります。
・コストのカバーをしているから
前述の通り、仲介業務には、物件の広告宣伝費、人件費、事務所経費など、多くのコストがかかってます。
手数料はその資金となります。
・会社の方針であるから
会社の方針として値引きを引き受けず上限額を請求することが一般的になっていることもあります。
この場合、値引きに応じてくれないことが多いです。
このように、法律上の上限額が、実質的な「デフォルト」として機能しているのが現状です。
こうした現状から、依頼者側から見ると、仲介手数料の交渉は「当たり前の行為」ではなく「基準からの逸脱」を求める行為と捉えられがちです。
この認識のギャップから、交渉することの心理的なハードルを上げている一因と言えるでしょう。
仲介手数料の交渉しやすいケースとは?
仲介手数料の交渉が成功するかどうかは、さまざまな要因によって左右されます。
一般的に、以下のようなケースでは交渉の余地が生まれやすいと言われています。
・中小規模の不動産会社である
大手企業は担当者の裁量が小さいことが多い一方、地域密着型の中小企業は比較的担当者の裁量が大きい場合があるため、値引き交渉が期待できる場合があります。
・閑散期である
不動産業界の繁忙期(一般的に2月~4月、9月~11月)を避けた時期は、賃貸、売買問わず会社側も契約を確保したいと思い、仲介手数料の交渉に応じてもらいやすい傾向があります。
・高額物件である(売却の場合)
高額物件を売却する場合は、手数料も大きくなるため、多少の値引きでも会社側の許容範囲内となる可能性があります。
・長期にわたって空室である・売れ残り物件である(賃貸・売却の場合)
長期間空室であったり、売れ残っていたりしているなど、貸主や売主が早期契約を望んでいる場合は、不動産会社も手数料を調整してでも契約をまとめたいと考えることがあります。
・AD物件である(賃貸の場合)
貸主から広告料(AD)を受け取っている物件の場合は、不動産会社は借主からの手数料がなくても利益を確保できるため、借主は仲介手数料を交渉しやすい傾向があります。
・両手仲介である(売買の場合)
不動産会社が売主と買主の双方から手数料を受け取る「両手仲介」の場合は、多少の値引きをしても「片手仲介」よりも儲かるため、値引き交渉に応じてくれる傾向があります。
しかし、「囲い込み」などのリスクも伴うため注意が必要です。
「両手仲介」「片手仲介」「囲い込み」については、以下の記事をご参照ください。
仲介手数料の交渉がしにくいケース
一方、以下のようなケースの場合は、仲介手数料の交渉がしにくいでしょう。
・繁忙期である
2月~4月、9月~11月の時期は、賃貸、売買問わず、問い合わせが多く、値引きしなくても顧客が見つかりやすいため、交渉されても引き受けないケースが多いです。
・人気物件である
賃貸、売買問わず、需要が高く、他に希望者がいるような物件では、交渉しても引き受けてくれないことがほとんどです。
・他社で紹介できない物件である
他の不動産会社では紹介できない物件の場合は、競合他社と比較した交渉ができなくなるため、必然的に仲介手数料の値引き交渉は難しくなります。
・大手不動産会社である
賃貸、売買問わず、大手不動産会社は社内規定やブランドイメージ維持のため、値引きには応じにくい傾向があります。
交渉前に知っておきたいリスク
仲介手数料の値引き交渉を試みる前に、それがもたらす可能性のあるリスクについても十分に理解しておく必要があります。
安易な交渉は、不利益につながる可能性も否定できないため、しっかり把握しましょう。
・サービスの質や優先順位の低下
不動産会社や担当者によっては、仲介手数料を値引いた顧客への対応の優先順位を下げたり、サービスの質を落としたりする可能性があります。
・担当者のモチベーション低下
手数料は担当者の成果報酬に直結する場合が多いため、値引き交渉によって担当者の意欲を下げてしまう可能性があります。
・関係性の悪化
無理な要求や高圧的な態度は、担当者との信頼関係を損ない、その後の手続きやコミュニケーションに悪影響を及ぼす可能性があります。
最悪の場合、仲介を断られてしまうケースも考えられます。
これらのリスクを考慮すると、仲介手数料の交渉は単なる「値切り」ではなく、サービスの内容とのバランスを見極める必要があると言えます。
仲介手数料のたった数万円を節約した結果、最終的に、売主にとっては売却価格の低下、買主や借主にとっては希望物件の買い逃しなどの損失を被る可能性もゼロではありません。
値引き交渉を行う場合は、これらのリスクを理解した上で、慎重に進めることが求められます。
仲介手数料を交渉する最適なタイミングとは
仲介手数料の交渉のリスクを理解した上で、それでも交渉を試みたいと考える方のために、最適なタイミングについて解説します。
交渉する際は、やみくもに要求するのではなく、不動産会社の様子を見ながらアプローチすることが成功の鍵です。
売買の場合の交渉タイミング
不動産売買をする際の仲介手数料を交渉するタイミングは、以下の通りです。
・媒介契約を締結する前
不動産会社に売却や購入の仲介を依頼する「媒介契約」を締結する前は、仲介手数料の交渉がしやすいタイミングの一つです。
仲介手数料の金額は、媒介契約が締結されてから正式に決定します。
売却後や購入決定後に割引を求めると、契約違反と見なされる可能性があるため注意が必要です。
・物件の購入の申込みをする時(購入の場合)
買主が物件の購入の申込みをする際は、物件の値引き交渉も実施されるため、仲介手数料の値引き交渉も行いやすいタイミングとなります。
ただし、仲介手数料の交渉ばかりを優先してしまうと、他の買主に物件を取られてしまうリスクがあるため、注意が必要です。
・物件の購入の申込みが入った時(売却の場合)
売主の物件に買主が購入の申込みを行う際には、物件の値引きも実施されることがあります。
この際に、売主が「値引きに応じる代わりに、仲介手数料を引いてほしい」と交渉することで、値引きに応じてくれる可能性があります。
賃貸の場合の交渉タイミング
物件を賃貸する際の仲介手数料を交渉するタイミングは、以下の通りです。
・契約の意思を伝える時
借主が気に入った物件が見つかり、入居の申込みをする際や、契約の意思を伝えるタイミングは、仲介手数料の値引き交渉に最適なタイミングと言えるでしょう。
ただし、必ず契約をすることが大前提です。契約しないにも関わらず、交渉をしてしまうと冷やかしと思われ、今後物件の紹介をしてもらえないリスクがあるため注意が必要です。
・審査通過後~支払い前
借主が契約を締結し、保証会社の審査を受けたタイミングも仲介手数料の値引き交渉のタイミングと言えるでしょう。
このタイミングは、不動産会社も契約が取れたことに安心して、油断している可能性があります。
そのため、契約後の対応などに不満を感じた場合、契約解除を前提として交渉することで、値引きに応じてもらえる可能性があります。
ただし、クレームと思われて、取り合ってもらえない可能性もあるため注意が必要です。
【注意】交渉を避けるべきタイミング
交渉に最適なタイミングを理解するだけではなく、避けるべきタイミングを知ることも非常に重要です。
ここからは、仲介手数料の交渉を避けるべき2つのタイミングについてご紹介します。
・繁忙期
前述の通り、2月~4月や9月~11月などの繁忙期は、不動産会社が多忙で、交渉に応じる余裕がないことが多いです。
これは売買、賃貸、いずれの場合も同様です。
可能であれば、5月~8月などの閑散期を狙うのが得策です。
・契約締結後
売買契約などの契約を締結した後に仲介手数料の交渉をしても、応じてくれないことが一般的です。
これも売買、賃貸、いずれの場合も同様で、契約後は、契約時に交わした書類に記載された金額に合意したことになるためです。
交渉することを検討している場合は、必ず契約前に行うようにしましょう。
不動産会社に響く!仲介手数料の交渉のコツ
仲介手数料の交渉をする際は、タイミングを見計らうだけでなく、テクニックを知ることも重要です。
単に「安くしてほしい」と伝えるだけでは、不動産会社もあなたの思いを受け入れられず、引き受けてくれないでしょう。
ここからは、不動産会社の立場も考慮した、丁寧かつ効率的に交渉を進めるためのテクニックをご紹介します。
具体的な交渉テクニック
不動産会社に仲介手数料の値引き交渉をする際は、以下のテクニックを押さえたうえで交渉を進めていきましょう。
・契約するという意思を強く示す(購入・賃貸の場合)
物件を購入する際や、物件を賃貸する際に「この物件が非常に気に入っており、仲介手数料の条件さえ合えばすぐにでも契約したい」という熱意を伝えます。
不動産会社にとって、契約の確度が高い顧客は魅力的です。
交渉する際は、手数料が契約の最後のハードルであることを示唆するのがポイントです。
・他社の情報を活用する
賃貸、売買問わず、複数社から相見積もりを取っていて、他の不動産会社より有利な仲介手数料の提示を受けている場合は、その事実を正直に伝えましょう。
例えば、「○○社では仲介手数料が△△円と提示されているのですが、できれば御社でお願いしたいと考えています」といった形で、比較情報を示しつつ、あくまで「この会社と契約したい」という意向を伝えるのがポイントです。
ただし、嘘の情報は信頼を失うだけなので絶対に避けましょう。
・予算を伝える
賃貸、売買問わず、不動産会社に仲介を依頼する際は、「初期費用の予算が〇〇円で、現状の見積もりだと少しオーバーしてしまう」など、具体的な予算状況を説明し、協力をお願いする形で相談します。
事前にこうした情報を伝えておくことで、唐突に交渉するよりも成功率が高まる可能性があります。
・「端数切捨て」を提案する
仲介手数料を提示され、大幅な値引きが難しい状況でも、「○○円ちょうどになりませんか?」といった端数をカットする提案は、比較的話しやすい交渉術です。
抵抗感が少なく、受け入れられる可能性もゼロではありません。
・専任媒介契約・専属専任媒介契約を締結する(売却の場合)
物件を売却する際、1社の不動産会社に仲介業務を任せる、「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」で契約するのも有効です。
これらの契約を締結することで、不動産会社は確実に売主から仲介手数料を得られる可能性が高まるため、値引き交渉に応じてもらえるかもしれません。
媒介契約の詳しい特徴については、以下の記事も参考にしてみてください。
・知り合いを紹介する(購入・賃貸の場合)
物件の購入や賃貸の契約後に友人など知り合いを紹介し、不動産会社の集客に協力する方法です。
紹介のお礼として、仲介手数料の値引き交渉に応じてくれるケースもあります。
・丁寧な対応を心がける
丁寧な対応を心がけることは、交渉時に最も大切なことと言っても過言ではありません。
交渉はあくまで「お願い」や「相談」という姿勢で行うことが重要です。
事前に仲介手数料の相場を理解したり、相手の話をしっかり聞いたり、礼儀正しく接して、交渉するようにしましょう。
これはNG!交渉で避けるべき言動や態度
交渉の際には、絶対に避けるべき言動や態度もあります。
以下のような言動や態度を示してしまうと、交渉を失敗させてしまうだけでなく、不動産会社との関係を悪化させ、最悪の場合は取引自体が破談となるリスクがあります。
・高圧的な態度
「客なんだから安くして当然」「法律で決まってるんだから半額にしろ」といった、高圧的な態度は絶対に避けましょう。
不動産会社側に不快感を与え、「トラブルを起こしそうな客」と見なされ、協力的な姿勢を引き出せなくなるどころか、敬遠される原因になります。
・嘘や不誠実な言動
他社の条件を偽って伝えたり、契約する意思がないのに交渉だけを有利に進めようとしたりする行為は、不動産会社との信頼関係を破壊する可能性があります。
・仲介手数料以外の費用も値切ろうとする(賃貸の場合)
賃貸契約の際、仲介手数料の交渉だけでなく、鍵交換費や保証料などの費用まで無理に値切ろうとすると、入居後のトラブルを懸念され、仲介を断られる可能性があります。
仲介手数料の交渉が難しいときの代替案
さまざまな工夫をしても、仲介手数料の交渉がうまくいかない、あるいは交渉自体に抵抗がある、という場合もあるでしょう。
しかし、諦める必要はありません。
仲介手数料の値引き以外にも、不動産の契約にかかる費用を抑える方法は存在します。
ここでは、仲介手数料の交渉が難しい場合に試したい代替案をご紹介します。
代替案1.最初から仲介手数料が安い会社を選ぶ
近年では、仲介手数料の「半額」や「無料」を謳う不動産会社も増えています。
最初からこのような不動産会社を選べば、面倒な交渉をする手間が省けます。
探す際は、インターネットや「不動産一括査定サービス」などで検索し、そうした会社を探してみるのも一つの有効な手段です。
ただし、注意点もあります。
なぜ仲介手数料が安いのか、その理由を確認することが重要です。
単に価格競争のために安さをアピールしているだけで、サービスの質が低かったり、他の名目で費用を請求されたりする可能性もゼロではありません。
特に売主の場合、手数料が安くても、売却活動に力を入れてもらえず売却期間が長引いたり、希望価格で売れなかったりしては本末転倒です。
また、買主や借主の場合も、紹介される物件の選択肢が少なかったり、契約までのサポートが不十分だったりする可能性も考慮しましょう。
仲介手数料の安さだけでなく、会社の評判、実績、担当者の対応などを総合的に判断し、信頼できる会社を選ぶようにしましょう。
代替案2.仲介手数料以外の費用を交渉する
仲介手数料の値引き交渉が難しい場合でも、他の初期費用について交渉することで、トータルの負担を軽減できる可能性があります。
【売買の場合】
売買では、仲介手数料以外の諸費用は交渉が難しいものがほとんどです。
しかし、物件価格の交渉は一般的であり、こちらに注力する方が効果的な場合が多いです。
例えば、買主が物件を購入する際に少しでも価格の交渉に成功すれば、結果的に仲介手数料も若干安くなります。
不動産会社に「仲介手数料の値引きは難しいでしょうか?」と尋ねる代わりに、「全体の初期費用を予算内に収めたいのですが、何か調整できることはありますか?」と相談してみるのも良いでしょう。
【賃貸の場合】
賃貸の場合は、仲介手数料以外に、「礼金」「敷金」「家賃」などの費用が生じます。
これらの費用の値下げが交渉できる可能性について、解説します。
・礼金(大家さんへの謝礼金)
空室期間が長い物件などであれば、礼金なしに応じてもらえる可能性があります。
・敷金(退去時の原状回復費用に充てられる預け金)
預け金のため、交渉はなかなか認められない傾向がありますが、不可能ではありません。
しかし、仮に交渉が成立し、入居時に値下げしてもらえたとしても、退去時に追加で費用を支払う恐れがあるため、この点も考慮する必要があります。
・家賃
一定の期間、家賃が無料になる「フリーレント」の物件を契約することで、費用を抑えることができます。
ただし、フリーレント物件には、注意すべき点もあるので、交渉する際はデメリットについてもよく把握する必要があります。
上記の費用だけでなく、「鍵交換費用」や「保証会社利用料」、室内消毒などの必須でないオプションにかかる費用が発生する場合があります。
【まとめ】賢く費用を抑え、納得のいく不動産契約を結ぶために
不動産契約における仲介手数料は、金額が高くなる傾向があることから、大きな負担になりやすいです。
しかし、その仕組みや法律上のルール、そして交渉の可能性について理解することで、賢く費用を抑えることができるでしょう。
本記事で解説してきたように、仲介手数料は法律上、上限額が定められているだけであり、交渉すること自体は可能です。
ただし、実際には上限額が請求されるケースが多く、交渉する際には、タイミングや不動産会社への配慮が不可欠です。
また、無理に交渉してしまうと、不動産会社との関係が悪化してしまうリスクが生じる恐れがあります。
もし交渉が難しいと感じる場合でも、諦める必要はありません。
最初から仲介手数料が「安い」あるいは「無料」の不動産会社を選んだり、買主であれば物件価格、借主であれば礼金やフリーレントなど他の初期費用の交渉を試みたりすることで、費用を抑えられる可能性があります。
重要なのは、ご自身の状況に合わせて最適な方法を見つけることです。
仲介手数料の仕組みを理解したうえで、さまざまな選択肢を比較検討し、主体的に費用をコントロールしていきましょう。