この記事でわかること

  • 空き家を国が買い取る制度の有無
  • 相続土地国庫帰属制度の概要について
  • 相続土地国庫帰属制度のメリットデメリットがわかる

不要な空き家を相続してどうすればいいか分からないという方もいるのではないでしょうか?

また、近年空き家が増加傾向にありますが、空き家を国が買い取る制度がないか気になっている方もいると思います。

この記事では空き家を国が買い取る制度があるのかについてご紹介しています。

また、2023年より新たに設立された「相続土地国庫帰属制度」の概要についても解説していますよ。

空き家を国が買い取る制度はあるのか?

空き家を国が買い取る制度があるのかのイメージ画像

相続などにより、不要な空き家の処分に困っているという方もいるかもしれません。

実際、空き家はこの20年で1.5倍も増加しています。

空き家を国が買い取る制度はないのか、と考える方もいるかもしれませんが、残念ながらそのような制度は現在のところありません。

このような空き家の問題を踏まえて、国土交通省では空き家の「活用拡大」「管理の確保」「特定空家の除却」などの取り組みを行っています。

詳しい内容は、下記の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

参照:空き家を売却する方法とは?流れや注意点をわかりやすく解説!

また、国による空き家の買取制度はありませんが、土地を引き取る「相続土地国庫帰属制度」が2023年に新しく設立されました。

以下の記事では、相続土地国庫帰属制度について詳しくご紹介していきますよ。

相続土地国庫帰属制度とは? 

相続土地国庫帰属制度についてのイメージ画像

相続した土地があるけれど、誰も利用する予定がない。

不要な土地があるけれど、遠方に住んでおり、なかなか管理に行けない。

という方もいるのではないでしょうか?

このように

  • 土地が管理されずに放置されたままになること
  • 将来「所有者の分からない土地」が発生すること

を防ぐために、不要な土地を国が買い取る「相続土地国庫帰属制度」が2023年に新しく設立されました。

ここでは、「相続土地国庫帰属制度」がどのような制度なのか詳しくご紹介していきます。

制度の概要

「相続土地国庫帰属制度」とは、2023年4月27日に新しく設立された制度です。

相続や遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の条件を満たした場合に土地を国に買い取ってもらうという制度になります。

相続土地国庫帰属制度の手続きの流れのイメージ画像

手続きの流れ 

  1. 必要な書類を準備し、審査手数料を納付する
    (必要書類・審査手数料に関しては下記で説明します)
  2. 書類が受理されると法務局による書類審査、必要であれば実地調査が行われる
  3. 承認が認められると、申請者のもとに通知が届く
  4. 通知書に記載された負担金を通知が届いた日から30日以内に支払う
  5. 納付された日から土地の所有権利が国となる

申請先

所有している土地がある都道府県の法務局・地方法務局

国が引き取れない土地

どのような土地でも国が引き取るという訳ではありません。

なかには、そもそも申請ができない土地や、承認を受けられない土地などがあります。

申請が不可な土地

  1. 土地に建物が建っている
  2. 担保権や使用収益権※が設定されている土地
    (※使用収益:物を直接に活用して利益を得ること)
  3. 他の人への利用が決まっている土地
  4. 土壌汚染されている土地
  5. 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地


承認を受けられない土地の条件

  1. 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
  2. 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
  3. 土地の管理・処分のために、除去しなければならない有体物が地下にある土地
  4. 隣接する土地の所有者などとの争訟によらなければ管理・処分ができない土地
  5. その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

申請に必要な書類

下記の申請内容によって必要な書類は異なります。

  • すべての申請者が必要な書類
  • 遺贈によって土地を取得した相続人が必要な書類
  • 申請者と所有権登記名義人が異なる場合に必要な書類

詳しくは法務省のウェブサイトに詳しく記載してありますので、参考にしてみてください。

ここでは、すべての申請者が必要な書類について、ご紹介します。

すべての申請者が必要な書類

  • 土地の位置及び範囲が分かる図面
  • 土地の形状を明らかにする写真
  • 土地と該当土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
  • 申請者の印鑑証明書


申請にかかる費用は?

一つの土地に対して14,000円の審査手数料がかかります。

この審査手数料は、申請の際に収入印紙を貼って納付を行います。

なお審査手数料は、申請を取り下げた場合や審査の結果承認されなかった場合でも、返還はできないので注意が必要です。

負担金とは?

「相続土地国庫帰属制度」では、土地の所有者が土地の管理をする必要がない代わりに、管理費用の一部を負担する必要があります。

この負担金は10年分の平均的な費用の額を考慮した金額となっており、土地の種類によって異なります。

負担金の例

宅地

面積にかかわらず20万円

田んぼや畑

面積にかかわらず20万円

森林

面積に応じて算定

その他(雑種地、原野等)

面積にかかわらず20万円

※この負担金ですが、宅地の場合、都市計画法の市街化区域に指定されている場合などは、面積に応じて算定されるなど、一部例外もあります。(下記画像参照)【相続土地国庫帰属制度】負担金の算定式
出典:法務省ウェブサイト

相続土地国庫帰属制度のメリット・デメリット 

相続土地国庫帰属制度のメリットデメリットのイメージ画像

相続土地国庫帰属制度を利用するには、メリット・デメリットがあります。

それぞれの内容を理解した上で、制度を利用するか検討しましょう。

メリット

  • 何かトラブルがあっても国に対処してもらえる
  • 定期的に管理する必要がない
  • 次の引き受け先を探す手間や費用を抑えられる

誰も使用していない土地であっても、定期的に管理を行っていないと、近隣住民とのトラブルになりかねません。

ですが、国に所有権を返すことで、定期的な管理が不要になったり、トラブルが起きた際も、国が対処してくれるので安心です。

また、不要な土地の引き受け先を探す手間や費用を抑えることができるというメリットもあります。
 

デメリット

  • 負担額が大きい
  • 建物は引き取ってもらえない
  • 手間と時間がかかる

先ほどもご紹介したとおり、負担金として最低でも20万円、さらに審査手数料として14,000円が必要となり、負担額が大きいのがデメリットの一つです。

また土地に建物が残っている場合、引き取ることはできないので、建物の撤去を行う必要があります。

さらに、申請には複数の書類を準備したり、審査があったりと、手間と時間がかかるという事も覚えておきましょう。

よくある質問

よくある質問のイメージ画像

ここからは、土地国庫帰属制度に関してのよくある質問をまとめました。

制度に関してもっと詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみて下さいね。
 

制度に関して相談はどこにすればいい?

制度に関する相談は、土地がある都道府県の法務局または地方法務局でおこなうことが可能です。

法務局の不動産登記部門で窓口の面談もできますし、電話やウェブ相談などもできます。

相談する際は事前予約が必要となるため、「法務局手続案内予約サービス」から予約しておきましょう。

制度開始より前に相続している土地でも申請は可能?

「土地国庫帰属制度」は、上記でもご紹介した通り2023年4月27日に新しく設立された制度です。

この制度では、申請の対象者は、相続や遺贈で土地を取得した相続人となります。

そのため、制度前に相続している土地であっても申請は可能です。

相続したのが山林で所在があいまいだが申請は可能?

相続した土地の場合、所在があいまいな事も多いと思います。

「土地国庫帰属制度」では、土地の範囲や境界を現地で確認できることが必要です。

そのため所在や境界があいまいな場合は申請は承認されません。

もしあいまいな場合は、申請を行う前に、土地家屋調査士などの専門家に相談しておくことがおすすめです。

その他の空き家を手放す方法 

空き家を手放す方法のイメージ画像

相続した空き家を手放す方法の一つとして、「土地国庫帰属制度」をご紹介してきました。

しかし、この制度では空き家自体は売却する事はできません。

ここでは、空き家を手放す方法として他にどんな方法があるのかをご紹介していきます。


その他の空き家を手放す方法

  • 相続放棄
  • 空き家バンク
  • 売却する
  • 不動産買取

相続放棄

相続放棄とは、相続したすべての財産を相続しないための手続きのことです。

すべての財産なので、借金などのマイナスの財産はもちろんのこと、不動産や預貯金、現金などプラスの財産もすべて放棄しなければなりません。

また、既に所有している不動産の場合、相続放棄しても空き家を管理する人が現れるまでは相続放棄者が空き家の管理をしなければなりません。

そのため、相続放棄をして次の相続人が管理を始めるまでに、空き家の倒壊や衛生面で問題が発生した場合は、責任を負う必要があります。

相続放棄に必要な手続き

相続放棄を行うには、家庭裁判所へ必要な書類を提出する必要があります。

提出書類
・相続放棄の申述書
・相続される人の住民票か戸籍の附票※
・相続放棄する人の戸籍謄本

※戸籍の附票とは?

新しく戸籍を作った時以降の住民票の移り変わりを記録したもの。
戸籍簿と一緒に本籍地の市区町村で管理してある。

期限:相続発生から3ヶ月以内に相続放棄の申請を行う必要がある
(ただし相続放棄の期間延長を家庭裁判所へ申し立てる事も可能)

空き家バンク

自治体が空き家バンクを行っている場合もあります。

空き家バンクとは、自治体が提供するサービスで、空き家の物件情報を地方公共団体のホームページなどで掲載し、移住や地域交流の場として活用できるよう情報を提供する仕組みです。

空き家を購入したい人や借りたい人がいる場合、不動産と同じように購入や賃貸をすることができます。

ただし、空き家バンクを行っていない自治体もありますし、すぐに買主や借り手が見つかるわけではない点に注意が必要です。

売却する

空き家を売却するという方法もあります。

この場合、不動産会社に仲介してもらい、売却活動を行うことが一般的です。

ですが、相続の場合、建物自体が古い事も多いので思うような価格で売却できるとは限りません。

また、利便性の悪い立地だと、売却までに時間がかかってしまう事も多いです。

不動産買取

不動産買取とは、不動産業者に直接、空き家を買い取ってもらう方法です。

直接買取をしてもらえるので、売却までに時間がかかる事もありません。

また、売却の場合、なかなか売れないとリフォームや立て直しを検討しなければならず、費用が発生する恐れがあります。

一方で、買取の場合はそのままの状態で買い取ってもらえるため、追加の費用はかかりません。

無駄な費用をかけずに売ることができるのもメリットの一つです。

空き家を手放すなら不動産買取がおすすめ

空き家を手放すなら不動産買取がおすすめのイメージ画像

「相続土地国庫帰属制度」や「相続放棄」はどちらもご紹介した通り、必要な書類を準備する必要があり時間がかかります。

また、適用条件などもあるので、誰でも利用できるわけではありません。

空き家バンクや売却なども、利用者が現れたり売却したりするまでに時間がかかる事も多くその間定期的な管理を行う必要があります。

では、不要な空き家を手放すにはどのような方法が一番おすすめなのでしょうか?

おすすめの方法は、不動産買取です。

不動産買取の場合、売却代金も入りすぐに買い取ってもらえるので、定期的な空き家の管理や面倒な手続き等も必要ありません。

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